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威津那と高良
3☆大家と威津那
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もう、警察は調べ尽くして、そのまま貸家は放置されているが取り壊しになるだろう。
威津那と同じく貸家を借りていた住人は不吉なことがあった貸家を引っ越そうとしている家族が荷造りをしていた。
「あ、黒羽さん、あなたも引っ越したほうがいいよ、大家さん死んじゃったし、まだ犯人捕まってないしね…いい大家さんだったのに…残念ね…」
黒羽は偽名で使っていた姓だ。
「もしかして、お前が犯人じゃ…ないよな?」
五歳くらいの子どもがお母さんの後ろからひょっこり現れる。
「その犯人僕が捕まえてボコボコにするから安心しておくれ」
「お、おう…」
といって、またお母さんの後ろに隠れてしまった。
高良は子供の心を覗くと、引っ越してきた威津那にいたずらしたら夜中赤い瞳を光らしたカラスが周りを囲んでいた事があった。
夢かと思ったら、朝、威津那は雀に餌をやるか如くに大量のカラスに米をまいていた。
その光景を見たとき威津那に恐怖を覚えたようだ。
高良は呆れた瞳で威津那を見た。
(こいつ。何するかわかんないやつだな……)
やっぱり警戒は最大限にして置くべきだなと心に決めた。
☆
威津那の貸家は強盗に入られたようになっていたが、さらに大家の家の部屋は血まみれにななっていた。
凄惨な亡くなり方をしたと想像できる……
もう大家の遺体はないが、暫く黙祷した。
「スパイとしては、最低限の手荷物くらいしかもってなかったんだけど…カメラだけは預かっておいてくださいとお願いしてあったんだよね……」
もしかして、そのために命を狙われたと思うと胸が痛い。
はっとした威津那は真っ直ぐに視線を固定する。
「高良くんは幽霊見える?」
「見えたことないですね。品が高いので…」
正直時たま神様なら見ることはできるけれど…とは言わない。
「じゃ、僕は品が低いな。大家さんが見える。」
幽霊の大家は威津那に気づいて
(君が無事でよかったよ…でも預かっておいたカメラ取られちゃった…すまないね…)
その事が心残りで残っていたようだ。
「僕の方こそ迷惑かけて申し訳ありませんでした……あなたの敵は必ず取ります……」
と威津那は大家の霊に応える。
(家族が迎えに来たようだ……)
と言って数人の光とともに消えた…
「威津那殿、泣いてる…」
「え?あ……」
この頃、家族の温かさや人の優しさに脆くなっていると思う。
一晩、阿倍野家にお世話になった時からか…いや、姑獲鳥を取り込んだときからかもしれない……
もしくはもとからか…霊獣のかーちゃんを身に入れたときに消えた記憶があるが魂は覚えているのかもしれない……
威津那は涙を拭うと瞳の奥に冷たい殺気を宿した。
「高良くん、阿倍野の部屋に行く前に君の家にまたお世話になるかもね………」
呪詛以外で穢れるやつを置くのは気が引けるが、代々香茂家や阿倍野家、黒御足家は呪詛以外で陛下の命を狙う奴らの命も奪うのも役目でもあった。
時たま太刀の者が人を切ったときも魂の決済の為に招くこともある。
阿倍野家に住まわせてもらうのならば香茂家ではなく阿倍野家にお世話になるかもしれないな…と思いながら、
「監視の僕の目の届くことなら許す。」
「ありがとう!さぁ行くよ!」
威津那は高良の腕を引っ張ってカーちゃんに素早く乗せて犯人のもとに向かった。
「ぎゃぁぁぁ!カラスの化物!やっばあいつ人間じゃない!」
と、偶然空を見上げた子供は泣き叫ぶ。
彼はカラス恐怖症となってしまったことは言うまでもない。
威津那と同じく貸家を借りていた住人は不吉なことがあった貸家を引っ越そうとしている家族が荷造りをしていた。
「あ、黒羽さん、あなたも引っ越したほうがいいよ、大家さん死んじゃったし、まだ犯人捕まってないしね…いい大家さんだったのに…残念ね…」
黒羽は偽名で使っていた姓だ。
「もしかして、お前が犯人じゃ…ないよな?」
五歳くらいの子どもがお母さんの後ろからひょっこり現れる。
「その犯人僕が捕まえてボコボコにするから安心しておくれ」
「お、おう…」
といって、またお母さんの後ろに隠れてしまった。
高良は子供の心を覗くと、引っ越してきた威津那にいたずらしたら夜中赤い瞳を光らしたカラスが周りを囲んでいた事があった。
夢かと思ったら、朝、威津那は雀に餌をやるか如くに大量のカラスに米をまいていた。
その光景を見たとき威津那に恐怖を覚えたようだ。
高良は呆れた瞳で威津那を見た。
(こいつ。何するかわかんないやつだな……)
やっぱり警戒は最大限にして置くべきだなと心に決めた。
☆
威津那の貸家は強盗に入られたようになっていたが、さらに大家の家の部屋は血まみれにななっていた。
凄惨な亡くなり方をしたと想像できる……
もう大家の遺体はないが、暫く黙祷した。
「スパイとしては、最低限の手荷物くらいしかもってなかったんだけど…カメラだけは預かっておいてくださいとお願いしてあったんだよね……」
もしかして、そのために命を狙われたと思うと胸が痛い。
はっとした威津那は真っ直ぐに視線を固定する。
「高良くんは幽霊見える?」
「見えたことないですね。品が高いので…」
正直時たま神様なら見ることはできるけれど…とは言わない。
「じゃ、僕は品が低いな。大家さんが見える。」
幽霊の大家は威津那に気づいて
(君が無事でよかったよ…でも預かっておいたカメラ取られちゃった…すまないね…)
その事が心残りで残っていたようだ。
「僕の方こそ迷惑かけて申し訳ありませんでした……あなたの敵は必ず取ります……」
と威津那は大家の霊に応える。
(家族が迎えに来たようだ……)
と言って数人の光とともに消えた…
「威津那殿、泣いてる…」
「え?あ……」
この頃、家族の温かさや人の優しさに脆くなっていると思う。
一晩、阿倍野家にお世話になった時からか…いや、姑獲鳥を取り込んだときからかもしれない……
もしくはもとからか…霊獣のかーちゃんを身に入れたときに消えた記憶があるが魂は覚えているのかもしれない……
威津那は涙を拭うと瞳の奥に冷たい殺気を宿した。
「高良くん、阿倍野の部屋に行く前に君の家にまたお世話になるかもね………」
呪詛以外で穢れるやつを置くのは気が引けるが、代々香茂家や阿倍野家、黒御足家は呪詛以外で陛下の命を狙う奴らの命も奪うのも役目でもあった。
時たま太刀の者が人を切ったときも魂の決済の為に招くこともある。
阿倍野家に住まわせてもらうのならば香茂家ではなく阿倍野家にお世話になるかもしれないな…と思いながら、
「監視の僕の目の届くことなら許す。」
「ありがとう!さぁ行くよ!」
威津那は高良の腕を引っ張ってカーちゃんに素早く乗せて犯人のもとに向かった。
「ぎゃぁぁぁ!カラスの化物!やっばあいつ人間じゃない!」
と、偶然空を見上げた子供は泣き叫ぶ。
彼はカラス恐怖症となってしまったことは言うまでもない。
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