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橘の狐の嫁入り
10☆手に入れたいもの
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橘は目の前で苦しむ紺太を助けようと、手を縛るカラスを引き抜こうとしながら、威津那とウカ様の様子から目が離せなかった。
「どうせお前の眷属になるというのなら、この姿になればよいかの……?」
ウカ様の体からドロン!と煙が出たと思うと橘そっくりの容姿だが髪が長く巻くせ毛の色気のある美しい巫女姿の半妖すがたのウカ様になった。
「お前は力のある白狐の女ならば橘でなくてもいいのだろう?」
そう言って威津那に近づく。
九尾の狐は大陸のあらゆる王を篭絡させてきた大妖怪というが、ウカノミタマの化身も負けていない。
色白で豊満の色気が豊穣の女神という神秘さを感じさせる。
さらに品のある色気だ。
そして男を魅了する。
「ほう…お前の身は闇に穢れておっても、まだ清らかな身のようだの……」
と、小声で言うのは威津那への配慮か、嫌味か……
「清らかである事がこの身を器にさせる素質があるんだよ……」
威津那もウカ様の耳元で囁いてやった。
「ふふ、そうであったな……血筋と肉体は邪悪でありながら、未だ誰とも交らわぬ清らかな体は神が憑くのに相応しい……」
神を憑かせる器として完成品だとウカ様は威津那を神の瞳で見る。
「そんなお前のものになるのも一興じゃな……それとも……」
ウカ様は軽く威津那の唇に口づけた。
「な、なんてことぉぉぉお!」
橘が叫ぶのが聞こえるが、ここで気を離したら負けると威津那は思い心を鬼にする。
威津那の方からもウカ様の体を引き寄せて見つめ合い、軽く口付けて、息を入れて縛る。
(篭絡される前に籠絡する……それがこの身を器としてあやかしを宿す……)
黒御足は神憑きの家系、カラス以外も受け入れることができると確信がある、むしろそう生きてきた。
受け入れたならば、ウカそのものを使役として使うのだ。大カラスのように……
簡単なこと…だが、狐は人を騙す。
だんだん口づけをしている女が橘に見えてくる。
術をかけている。
「ウカ様は瞳はいたずらめいて、余裕を感じるわ……」
橘と威津那の運命を返してくれる気があるのか不安になった。
「ばーちゃんにキスをされたなら誰でもけして逆らえないよ。威津那の体を、精気を栄養にまた新たな子を作るかもよ……?」
紺太はわざと意地悪を言う。
「むしろ食べ尽くしてしまえ!」と思う。
「それじゃ約束反故じゃないの!」
「違うよ、あれは試しているんだ。あいつの橘への魂からの思いを…」
ウカ様のは余裕に威津那の唇を味わう様に何度も軽い口づけをしている。
威津那の方から何故か偉そうなことを言っているわりに、戸惑っているように見える……
(いくら縁のためだからって、そんな試されてる様子を見るのもう耐えられない!)
胸の抑えていたモヤモヤのヤキモチがついに爆発した。
「やめて、威津那だめっ!それ以上は私が許さないんだからっ!」
橘は二人の元に走り出して、威津那に向かって足蹴りを食らわした。
更に衝撃で吹っ飛ぶ。
「なっ!」
突然のことに威津那は何が起きたかわからない。
ただ、阿倍野家は晴綛も橘も足癖が悪いということはわかった。
しかも半妖の力は普通の人間とは違い力強い。
腸がやられたかと本気で心配するほどの衝撃だった。
(どうせなら原因を作った方を足蹴りすればいいのに……)
とは思うが……すぐさま橘は倒れてる威津那に馬乗りになり、
「私以外が威津那のものになるのなんかヤダ!」
橘は涙目になって威津那の襟首を掴み「うーっ!」と威津那を睨む。
「か、可愛すぎるよ…橘は……」
あんなに黒い怒りが渦巻いていた威津那の心は胸が締め付けられるほど愛おしいという感情に一瞬で支配される。
ウカ様を身の中に入れたあとの計画を橘の顔を見るとどうでも良くなってしまった。
(やはり、僕の唯一の管狐にするのは橘以外ありえない……それは橘の命を削ることになるのだとしても……)
唯一欲しいのは、心も身も縛りたいのは橘なのだ。
「どうせお前の眷属になるというのなら、この姿になればよいかの……?」
ウカ様の体からドロン!と煙が出たと思うと橘そっくりの容姿だが髪が長く巻くせ毛の色気のある美しい巫女姿の半妖すがたのウカ様になった。
「お前は力のある白狐の女ならば橘でなくてもいいのだろう?」
そう言って威津那に近づく。
九尾の狐は大陸のあらゆる王を篭絡させてきた大妖怪というが、ウカノミタマの化身も負けていない。
色白で豊満の色気が豊穣の女神という神秘さを感じさせる。
さらに品のある色気だ。
そして男を魅了する。
「ほう…お前の身は闇に穢れておっても、まだ清らかな身のようだの……」
と、小声で言うのは威津那への配慮か、嫌味か……
「清らかである事がこの身を器にさせる素質があるんだよ……」
威津那もウカ様の耳元で囁いてやった。
「ふふ、そうであったな……血筋と肉体は邪悪でありながら、未だ誰とも交らわぬ清らかな体は神が憑くのに相応しい……」
神を憑かせる器として完成品だとウカ様は威津那を神の瞳で見る。
「そんなお前のものになるのも一興じゃな……それとも……」
ウカ様は軽く威津那の唇に口づけた。
「な、なんてことぉぉぉお!」
橘が叫ぶのが聞こえるが、ここで気を離したら負けると威津那は思い心を鬼にする。
威津那の方からもウカ様の体を引き寄せて見つめ合い、軽く口付けて、息を入れて縛る。
(篭絡される前に籠絡する……それがこの身を器としてあやかしを宿す……)
黒御足は神憑きの家系、カラス以外も受け入れることができると確信がある、むしろそう生きてきた。
受け入れたならば、ウカそのものを使役として使うのだ。大カラスのように……
簡単なこと…だが、狐は人を騙す。
だんだん口づけをしている女が橘に見えてくる。
術をかけている。
「ウカ様は瞳はいたずらめいて、余裕を感じるわ……」
橘と威津那の運命を返してくれる気があるのか不安になった。
「ばーちゃんにキスをされたなら誰でもけして逆らえないよ。威津那の体を、精気を栄養にまた新たな子を作るかもよ……?」
紺太はわざと意地悪を言う。
「むしろ食べ尽くしてしまえ!」と思う。
「それじゃ約束反故じゃないの!」
「違うよ、あれは試しているんだ。あいつの橘への魂からの思いを…」
ウカ様のは余裕に威津那の唇を味わう様に何度も軽い口づけをしている。
威津那の方から何故か偉そうなことを言っているわりに、戸惑っているように見える……
(いくら縁のためだからって、そんな試されてる様子を見るのもう耐えられない!)
胸の抑えていたモヤモヤのヤキモチがついに爆発した。
「やめて、威津那だめっ!それ以上は私が許さないんだからっ!」
橘は二人の元に走り出して、威津那に向かって足蹴りを食らわした。
更に衝撃で吹っ飛ぶ。
「なっ!」
突然のことに威津那は何が起きたかわからない。
ただ、阿倍野家は晴綛も橘も足癖が悪いということはわかった。
しかも半妖の力は普通の人間とは違い力強い。
腸がやられたかと本気で心配するほどの衝撃だった。
(どうせなら原因を作った方を足蹴りすればいいのに……)
とは思うが……すぐさま橘は倒れてる威津那に馬乗りになり、
「私以外が威津那のものになるのなんかヤダ!」
橘は涙目になって威津那の襟首を掴み「うーっ!」と威津那を睨む。
「か、可愛すぎるよ…橘は……」
あんなに黒い怒りが渦巻いていた威津那の心は胸が締め付けられるほど愛おしいという感情に一瞬で支配される。
ウカ様を身の中に入れたあとの計画を橘の顔を見るとどうでも良くなってしまった。
(やはり、僕の唯一の管狐にするのは橘以外ありえない……それは橘の命を削ることになるのだとしても……)
唯一欲しいのは、心も身も縛りたいのは橘なのだ。
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