31 / 161
橘の狐の嫁入り
6☆稲荷狐の婚礼儀式
しおりを挟む
「この、稲荷の結婚は現世の稲成豊穣子孫繁栄を願うもの。今年は豊作になる事を約束しよう。さぁ、結婚式の始まりじゃっ!」
ウカ様は新郎新婦の前に座りそう祝いだ。
二匹は盃を交わすと互いを改めてしばらく見つめ合い、四足になり、ぐるぐる互いのしっぽに鼻をつか付けるように回ると、着ていた着物が脱げて、突然後尾が始まった。
周りはやんややんやと酒を酌み交わし寿ぐ。
橘は顔を真っ赤にする。
「け、結婚ってみんなの前で恥ずかしいことすることなの!?」
囃し立てられて、当の本人たちは恥ずかしがっているようだがやることはやっている。
そして、事が終わると静々と服を着て座布団に座って手をつなぐ様に互いの前足を重ねてほほえみあっていた。
微笑ましい似合いの新婚夫婦だと思うが、あまりのことに橘は戸惑う。
(人間の結婚式であんなことなんてありえないし、できないわ……)
と思っているのを察したウカ様はフォフォっと笑って、
「あれは、皆に結婚しましたよとの愛の証のお披露目じゃて、白狐の儀式でもあるから人の世界じゃ違うがの。」
わかっていたけれど、ほっとした。
(もし、狐の結婚儀式で威津那とみんなの前であんな事をする…なんて……恥ずかしぃ!)
橘は妄想が止まらない。
幼い頃から威津那を思って色々妄想してたけれど、狐を人間に例えるハンパな妄想をしてしまって恥ずかしくなるしドキドキする。
誰にも知られたくない自分一人の妄想だ。
(人間世界のだと、初夜というものを二人だけでするんだからそっちの妄想にしなきゃ!でもでも、西洋だと、口づけを結婚式出することはさっきの後尾と同じのような…違うようなぁ…)
一人妄想に頭を混乱させていると、突然小指を絡められた。
「ひゃっ!な、なに?」
橘はやっと現実に戻ってきたが、紺太は絡めた指を紺太の口元に寄せ、軽く口づけをした。
それは艶っぽさを感じる。
「僕は橘とならみんなの前で証明したいかな?」
「え、やめてよ。恥ずかしすぎるし。」
橘は冷たく速攻拒否をする。
紺太はに青い瞳を橘に合わせて微笑む。目の心は笑っていないと橘は思う。どこか僅かな怒り、闘志が灯っていると思う。
「じゃ、内緒でしちゃおうよ?」
青い瞳が橘を縛る。
「な、内緒なら……」
はっと、橘は口元を抑える。
(私何を!しかも妖術にかかってる……?)
幼い頃いたずら狐に化かされて、からかわれたことを思い出した。
優しい神狐たちの中には半妖が嫌いなものもいた……
紺太のはそれとは違う、誇りのようなものを守るようなものだと、橘は直感する。
「小指の縁も変えた…僕と陛下の瑞兆をつくるんだ……」
「瑞兆を…つくる?」
意味がわからない。だけれど頭の芯がしびれているのがわかる。
目の前がぼやける。
「僕は縁結びの神、ウカの孫でもあるんだよ。ばあちゃんにも了承済みなんだよ」
何かを企んでいる、それが成功したというように恍惚とした表情を紺太はしている。
「ウカノミタマの化身として、わしが紺太との縁を結んでやるぞ。」
ウカ様はフォフォっと笑う。
「半妖と半妖のほうがよい異能者が生まれるじゃて。
かの、『九尾殿』にも勝る狐も生まれるかもしれぬ。試してみようではないか?」
ウカ様は面白い実験をすることにワクワクしているようだ。
しかも息はとても酒臭い。
「お主の想う運命の相手よりも紺太に惚れて、次の帝の瑞兆を作るのだ。」
それは威津那を諦めろと言うことか…そんなのしたくないのに…威津那の顔すら思い出そうとすると滲む。
「お主には瑞兆を産む役目がある。これは変わらぬことよ。男の相手は誰でもいい……産むのは橘だからの。」
産む…?威津那の子では無い誰かと結ばれて……?
「威津那ではないほうが宮中に災いを起こさぬだろうよ。」
威津那が災いをもたらすのはなんとなく直感でわかっていて見ないふりをしていた…そこが信用だきなかった……前科もある…でも…好きなのはやめられない…どうしても……
それは変えられない宿命のような恋……
「まぁ、運命が宿命に勝てればじゃがの…」
頭のしびれは強い眠気を誘い意識を保てなくなった。
最後に聞こえたウカ様の言霊だけが橘の希望になり得た。
ウカ様は新郎新婦の前に座りそう祝いだ。
二匹は盃を交わすと互いを改めてしばらく見つめ合い、四足になり、ぐるぐる互いのしっぽに鼻をつか付けるように回ると、着ていた着物が脱げて、突然後尾が始まった。
周りはやんややんやと酒を酌み交わし寿ぐ。
橘は顔を真っ赤にする。
「け、結婚ってみんなの前で恥ずかしいことすることなの!?」
囃し立てられて、当の本人たちは恥ずかしがっているようだがやることはやっている。
そして、事が終わると静々と服を着て座布団に座って手をつなぐ様に互いの前足を重ねてほほえみあっていた。
微笑ましい似合いの新婚夫婦だと思うが、あまりのことに橘は戸惑う。
(人間の結婚式であんなことなんてありえないし、できないわ……)
と思っているのを察したウカ様はフォフォっと笑って、
「あれは、皆に結婚しましたよとの愛の証のお披露目じゃて、白狐の儀式でもあるから人の世界じゃ違うがの。」
わかっていたけれど、ほっとした。
(もし、狐の結婚儀式で威津那とみんなの前であんな事をする…なんて……恥ずかしぃ!)
橘は妄想が止まらない。
幼い頃から威津那を思って色々妄想してたけれど、狐を人間に例えるハンパな妄想をしてしまって恥ずかしくなるしドキドキする。
誰にも知られたくない自分一人の妄想だ。
(人間世界のだと、初夜というものを二人だけでするんだからそっちの妄想にしなきゃ!でもでも、西洋だと、口づけを結婚式出することはさっきの後尾と同じのような…違うようなぁ…)
一人妄想に頭を混乱させていると、突然小指を絡められた。
「ひゃっ!な、なに?」
橘はやっと現実に戻ってきたが、紺太は絡めた指を紺太の口元に寄せ、軽く口づけをした。
それは艶っぽさを感じる。
「僕は橘とならみんなの前で証明したいかな?」
「え、やめてよ。恥ずかしすぎるし。」
橘は冷たく速攻拒否をする。
紺太はに青い瞳を橘に合わせて微笑む。目の心は笑っていないと橘は思う。どこか僅かな怒り、闘志が灯っていると思う。
「じゃ、内緒でしちゃおうよ?」
青い瞳が橘を縛る。
「な、内緒なら……」
はっと、橘は口元を抑える。
(私何を!しかも妖術にかかってる……?)
幼い頃いたずら狐に化かされて、からかわれたことを思い出した。
優しい神狐たちの中には半妖が嫌いなものもいた……
紺太のはそれとは違う、誇りのようなものを守るようなものだと、橘は直感する。
「小指の縁も変えた…僕と陛下の瑞兆をつくるんだ……」
「瑞兆を…つくる?」
意味がわからない。だけれど頭の芯がしびれているのがわかる。
目の前がぼやける。
「僕は縁結びの神、ウカの孫でもあるんだよ。ばあちゃんにも了承済みなんだよ」
何かを企んでいる、それが成功したというように恍惚とした表情を紺太はしている。
「ウカノミタマの化身として、わしが紺太との縁を結んでやるぞ。」
ウカ様はフォフォっと笑う。
「半妖と半妖のほうがよい異能者が生まれるじゃて。
かの、『九尾殿』にも勝る狐も生まれるかもしれぬ。試してみようではないか?」
ウカ様は面白い実験をすることにワクワクしているようだ。
しかも息はとても酒臭い。
「お主の想う運命の相手よりも紺太に惚れて、次の帝の瑞兆を作るのだ。」
それは威津那を諦めろと言うことか…そんなのしたくないのに…威津那の顔すら思い出そうとすると滲む。
「お主には瑞兆を産む役目がある。これは変わらぬことよ。男の相手は誰でもいい……産むのは橘だからの。」
産む…?威津那の子では無い誰かと結ばれて……?
「威津那ではないほうが宮中に災いを起こさぬだろうよ。」
威津那が災いをもたらすのはなんとなく直感でわかっていて見ないふりをしていた…そこが信用だきなかった……前科もある…でも…好きなのはやめられない…どうしても……
それは変えられない宿命のような恋……
「まぁ、運命が宿命に勝てればじゃがの…」
頭のしびれは強い眠気を誘い意識を保てなくなった。
最後に聞こえたウカ様の言霊だけが橘の希望になり得た。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
【完結】イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』
あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾!
もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります!
ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。
稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。
もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。
今作の主人公は「夏子」?
淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。
ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!
古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。
もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦!
アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!
では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
あさきゆめみし
八神真哉
歴史・時代
山賊に襲われた、わけありの美貌の姫君。
それを助ける正体不明の若き男。
その法力に敵う者なしと謳われる、鬼の法師、酒呑童子。
三者が交わるとき、封印された過去と十種神宝が蘇る。
毎週金曜日更新

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
【連載中】は、短時間で読めるように短い文節ごとでの公開になります。
(お気に入り登録いただけると通知が行き、便利かもです)
その後、誤字脱字修正や辻褄合わせが行われて、合成された1話分にタイトルをつけ再公開されます。
(その前に、仮まとめ版が出る場合もある、かも、しれない、可能性)
物語の細部は連載時と変わることが多いので、二度読むのが通です。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる