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橘の狐の嫁入り
4☆半妖の紺太
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集合場所は近所の稲荷神社。
提灯をもった二足歩行の着物を着た神狐たちが集まる。
今回は深夜あやかしの道を通っての狐の嫁入りのようだ。
橘も提灯をもらい列に並びあやかしの異界の道を歩き出す。
あやかしの道といえど、現世の山に幻想的な光が浮かび上がり山の夜闇を照らしながら移動する。
狐の嫁入りだと、地元の村人達は微笑ましく思う。
輿に乗っている花嫁狐は本当に美しく品があるほど真っ白で、目の淵の葉っぱのような紅が美しく、口周りも紅が引いてありとても美しい神狐と橘は思う。
自分の黄色い色の尻尾を見ると羨ましくなる。
(自分も白狐が良かったなぁ……そういえば、亡くなった叔父様は珍しい黒狐だったと、父様が言っていたような……)
父の晴綛は黄色というより、金色に近い。金色だと言うことを隠しているとも言える。
毛の色は力の現れでもあるのかもと橘は思う。
威津那が白狐にこだわるのは力の強い狐が欲しいから?
黄色の狐じゃ力不足だからいらないってことなの……?
そう思った瞬間ズキリと胸が痛くなった。
威津那に白狐じゃない黄色の狐の半妖の私も全て受け入れて欲しい……
「白狐が羨ましいわ……」
と、口に出してつぶやいていた。
「そうかな?黄色も可愛いし、好きだよ。僕とお揃いだしね?」
そういって、橘の黄色い尻尾を触った。
「なっ!だ、だれ?」
橘は尻尾を引ったくって隠す。
「僕以外にも半妖がいるなんて嬉しいなぁ。仲良くしようよ?ね?」
橘の尻尾を触ったのは目の淵に赤い紅が引かれて、瞳が青く、十四、五歳くらいの高良と同い年ぐらいの少年だった。
ニコッと屈託ない笑顔は人の心を和ませる魅力があった。
耳と尻尾の色は橘と同じ黄色だった。
「僕の名前は紺太。よろしくねえーと…」
「私の名前は阿部野橘よ。」
橘も微笑んで挨拶をした。
「お姉さん、美人だね。僕気に入っちゃった。今後とも、よろしくね?」
そう言って提灯を持ってない方の手で橘の提灯を持ってない左手を握った。
(なつっこいなぁ。高良なんて、最近は顔を赤くして距離を取ることだってあるのに…なんだか弟みたいで可愛い)
橘も紺太の掌をぎゅと握って行列の目的地まで歩き出した。
☆
「おう、おう、婿のイナ彦は待っておったぞ、ナリ姫よ。」
向こうの狐の仲人らしい、人間にしたら中年ぽい狐が向かい出てくれた。
「二狐合わせて『稲荷』ってことですね。名前からも運命的でお似合いです。末永くお幸せになってください」
と橘はそう祝いだ。
橘はナリ姫の前足に手を置いてもらい神輿から降りてもらった。
「ありがとう、阿部野殿の娘様」
とお礼を言われて、自分の存在が誇らしくなった。
神狐だけあって心を浮かせる言霊を持っていると橘は感じた。
そんな橘の耳元に紺太は口を寄せて、
「この役をやった狐は近いうち結婚するって言い伝えがあるんだよ?」
「そ、そうなの?わーっ!役得だったんだね!」
(近いうち威津那と……うふふ。)
と、思って想像しようとしたら、紺太に小指をキュッと小指同士を絡めて
「僕たちも近いうちに……ね?」
艶っぽく紺太は橘を見つめた。
なんか恋人になったような言い方だなと、橘は思った。
なんとなく、嫌な予感がした。
「私、紺太君のこと知らなすぎで、恋人みたいなこと言われても困るわ?」
橘は直感に従ってはっきりそういった。
(思い過ごしならいいのだけど……)
「そうだよね。同じ半妖って事でしったふうに言っちゃってごめんね?橘お姉ちゃん……」
ウルッとした瞳で見られて、しかも狐耳を後ろに倒して反省している姿が可愛すぎて胸がキュンとしてしまった。
紺太は橘より少し背が低いので少しかがんで、視線を合わし、
「ごめんね?きつい言い方しちゃって、これから仲良くしようね?半妖仲間としてね。」
半妖仲間以上にはなれないことを強調して言う。
「うん。今のところはそういう事にしておくね?」
紺太も同じ調子で返してきた。
やはり、含みがあるだろうと思うけれど、怒ることでも無いのでとりあえず橘は苦笑して放置した。
イナ姫とは違う客用の入り口に通される。
襖と障子で廊下の左右を囲まれた迷路のような廊下を通る。
「……で、紺太くんは、どこの家の半妖なの?」
阿倍野以外にも半妖の家は少ないけれどあるとは聞いたことがあるのでそういう家系があるなら知りたいと橘は思って聞いてみた。
「うーん…両親は戦争で死んじゃってどんな家とわかんないんだけど、阿倍野の様な棟梁の家じゃないけれど狐付きの家だったらしいよ……」
両親のことを思い出すと悲しそうな雰囲気が漂う。
心の傷でもあるようだと聞いたことを橘は後悔するが、紺太は暗い表情を消して、いたずらっ子みたいな瞳をすると、
「ウカノミタマの狐の『孫』ってことしかわからないんだ!」
と、エヘヘっ!と可愛く自慢するように笑う紺太は誇らしげだった。
それは、実は狐の国の王子様という告白のようなものだ。
「えっ?えええええええっ!?」
千年以上存在してる古狐のウカ様の孫ということに橘は大いにびっくりして大声を出したことに、廊下を楚々として歩く白狐たちにキッ!と睨まれて慌てて謝る。
「といっても、本当に僕は十四歳だよ。ふふ。」
盛大に驚く橘の反応を満足気に紺太は楽しんでいた。
提灯をもった二足歩行の着物を着た神狐たちが集まる。
今回は深夜あやかしの道を通っての狐の嫁入りのようだ。
橘も提灯をもらい列に並びあやかしの異界の道を歩き出す。
あやかしの道といえど、現世の山に幻想的な光が浮かび上がり山の夜闇を照らしながら移動する。
狐の嫁入りだと、地元の村人達は微笑ましく思う。
輿に乗っている花嫁狐は本当に美しく品があるほど真っ白で、目の淵の葉っぱのような紅が美しく、口周りも紅が引いてありとても美しい神狐と橘は思う。
自分の黄色い色の尻尾を見ると羨ましくなる。
(自分も白狐が良かったなぁ……そういえば、亡くなった叔父様は珍しい黒狐だったと、父様が言っていたような……)
父の晴綛は黄色というより、金色に近い。金色だと言うことを隠しているとも言える。
毛の色は力の現れでもあるのかもと橘は思う。
威津那が白狐にこだわるのは力の強い狐が欲しいから?
黄色の狐じゃ力不足だからいらないってことなの……?
そう思った瞬間ズキリと胸が痛くなった。
威津那に白狐じゃない黄色の狐の半妖の私も全て受け入れて欲しい……
「白狐が羨ましいわ……」
と、口に出してつぶやいていた。
「そうかな?黄色も可愛いし、好きだよ。僕とお揃いだしね?」
そういって、橘の黄色い尻尾を触った。
「なっ!だ、だれ?」
橘は尻尾を引ったくって隠す。
「僕以外にも半妖がいるなんて嬉しいなぁ。仲良くしようよ?ね?」
橘の尻尾を触ったのは目の淵に赤い紅が引かれて、瞳が青く、十四、五歳くらいの高良と同い年ぐらいの少年だった。
ニコッと屈託ない笑顔は人の心を和ませる魅力があった。
耳と尻尾の色は橘と同じ黄色だった。
「僕の名前は紺太。よろしくねえーと…」
「私の名前は阿部野橘よ。」
橘も微笑んで挨拶をした。
「お姉さん、美人だね。僕気に入っちゃった。今後とも、よろしくね?」
そう言って提灯を持ってない方の手で橘の提灯を持ってない左手を握った。
(なつっこいなぁ。高良なんて、最近は顔を赤くして距離を取ることだってあるのに…なんだか弟みたいで可愛い)
橘も紺太の掌をぎゅと握って行列の目的地まで歩き出した。
☆
「おう、おう、婿のイナ彦は待っておったぞ、ナリ姫よ。」
向こうの狐の仲人らしい、人間にしたら中年ぽい狐が向かい出てくれた。
「二狐合わせて『稲荷』ってことですね。名前からも運命的でお似合いです。末永くお幸せになってください」
と橘はそう祝いだ。
橘はナリ姫の前足に手を置いてもらい神輿から降りてもらった。
「ありがとう、阿部野殿の娘様」
とお礼を言われて、自分の存在が誇らしくなった。
神狐だけあって心を浮かせる言霊を持っていると橘は感じた。
そんな橘の耳元に紺太は口を寄せて、
「この役をやった狐は近いうち結婚するって言い伝えがあるんだよ?」
「そ、そうなの?わーっ!役得だったんだね!」
(近いうち威津那と……うふふ。)
と、思って想像しようとしたら、紺太に小指をキュッと小指同士を絡めて
「僕たちも近いうちに……ね?」
艶っぽく紺太は橘を見つめた。
なんか恋人になったような言い方だなと、橘は思った。
なんとなく、嫌な予感がした。
「私、紺太君のこと知らなすぎで、恋人みたいなこと言われても困るわ?」
橘は直感に従ってはっきりそういった。
(思い過ごしならいいのだけど……)
「そうだよね。同じ半妖って事でしったふうに言っちゃってごめんね?橘お姉ちゃん……」
ウルッとした瞳で見られて、しかも狐耳を後ろに倒して反省している姿が可愛すぎて胸がキュンとしてしまった。
紺太は橘より少し背が低いので少しかがんで、視線を合わし、
「ごめんね?きつい言い方しちゃって、これから仲良くしようね?半妖仲間としてね。」
半妖仲間以上にはなれないことを強調して言う。
「うん。今のところはそういう事にしておくね?」
紺太も同じ調子で返してきた。
やはり、含みがあるだろうと思うけれど、怒ることでも無いのでとりあえず橘は苦笑して放置した。
イナ姫とは違う客用の入り口に通される。
襖と障子で廊下の左右を囲まれた迷路のような廊下を通る。
「……で、紺太くんは、どこの家の半妖なの?」
阿倍野以外にも半妖の家は少ないけれどあるとは聞いたことがあるのでそういう家系があるなら知りたいと橘は思って聞いてみた。
「うーん…両親は戦争で死んじゃってどんな家とわかんないんだけど、阿倍野の様な棟梁の家じゃないけれど狐付きの家だったらしいよ……」
両親のことを思い出すと悲しそうな雰囲気が漂う。
心の傷でもあるようだと聞いたことを橘は後悔するが、紺太は暗い表情を消して、いたずらっ子みたいな瞳をすると、
「ウカノミタマの狐の『孫』ってことしかわからないんだ!」
と、エヘヘっ!と可愛く自慢するように笑う紺太は誇らしげだった。
それは、実は狐の国の王子様という告白のようなものだ。
「えっ?えええええええっ!?」
千年以上存在してる古狐のウカ様の孫ということに橘は大いにびっくりして大声を出したことに、廊下を楚々として歩く白狐たちにキッ!と睨まれて慌てて謝る。
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