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橘と威津那の巡り合いと探り合い
14☆巣の中
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落とし穴に落ちた橘は直感で地面が近いことを感知すると身をかがめてくるくると回転するように落ちると地面に踵から着いて体操選手の様に手をピッと上げて綺麗に着地した。
周りは真っ暗だ。
だが半妖の橘には何があるか見ることができる。
更にダウジング石がピカピカと光る。
この場所のようだ。
「だ、誰!また、妖怪!?」
夜行性のあやかしの瞳で見ればハーフの女の子が泣き出しそうな声で行った。
「もしかして、槐寿さんの恋人のマリアちゃん?」
国名を忘れてしまったので、直接名前を尋ねてみた。
「は!はいっ!彼のことを知っているんですか?」
彼女は不安ながらも精一杯に声をを出した。
「うん、一緒に助けに来たんだけど迷子になっちゃって……」
テヘヘと頭を掻いて笑った。
どっちが迷子になったかわからない……
でも、きっと、助けに来ていると橘は確信している。
「攫われて、目を覚ましたら、卵の殻の中で、鳥のお化けが空を飛んでいて、怖くて何度も気絶しながら…でも、とりあえず妖怪の巣を抜ける道があったので、ここまで来たら尚更真っ暗で……」
えぐえぐ泣きながら今まであったことを話す。
マリアの体はあやかしの瘴気が漂っているのが不思議で、触るとベタベタした何が体に張り付いていた。
きっと卵から出てきた証拠だろう。
「槐寿さんの木彫りのお守りが私を守ってくれたんです。」
マリアは十字架のペンダントを握りしめていた。
橘にもわかる、霊力あるお守りだと……
それは家系の力。
槐の木を込めてお守りを作ることができる一族だと桜庭の姫に聞いた。
槐寿の力で西洋の神様が進行している十字架を槐寿は作って持たせたようだ。
更に、槐には安産の効果もあるようで、無事に出られた理由もお守りのおかげかもしれないと橘は思う。
それを、震えながらも大切に握りしめていた。
「とりあえずあなたが無事でよかった。他にさらわれた子どもたちを探さないとね」
橘は狐火でマリアの近くに炎を灯す。
最初橘の狐の半妖姿にびっくりするが、ニコッと安心させるように橘は微笑むと、マリアはやっとホッとした。
「この入り口には姑獲鳥はいない見たね……」
イぁぁぁぁぁぁぁぁ!
イャァァァァァ!ァァァァァア!!
という、人間の女性の断末魔のような声が聞こえた。
「よ、妖怪の声です!見つかってしまいましたの⁉」
マリアは怯える。
「怖かったら残ってていいのよ。きっとここのほうが安全だと思うし…」
ここが入り口ならば、すぐにでも威津那と槐寿が来てくれるはずだから…
「いいえ!ついていきます!あなたは信用できるし!槐寿さまの知り合いなのでしょう?子どもたちのことも気になりますし!それに、残るほうが怖いですぅぅぅ!うぁぁぁあん!」
ついに、今までこらえていた涙を溢れだす。
しっかりしたお嬢様だけど、十五歳のまだまだ子供なのだ。
手をしっかり握って慎重に歩きだした。
「きゃっ!あ、あれは……」
狐火がなかったらよくわからなかった姑獲鳥の姿を見てマリアは声を上げた。
大きな円形型になった空間の真ん中に子供の入った卵が数個あって蜘蛛の巣のように枝のような糸を張っている。
その糸の枝に数十匹、暗闇の中から百匹以上の大小さまざまな女の顔にくちばしを持った鳥が飛んでいる。
そしてギラギラ暗闇で光る瞳を一斉に橘達の方に向けて睨んだ。
周りは真っ暗だ。
だが半妖の橘には何があるか見ることができる。
更にダウジング石がピカピカと光る。
この場所のようだ。
「だ、誰!また、妖怪!?」
夜行性のあやかしの瞳で見ればハーフの女の子が泣き出しそうな声で行った。
「もしかして、槐寿さんの恋人のマリアちゃん?」
国名を忘れてしまったので、直接名前を尋ねてみた。
「は!はいっ!彼のことを知っているんですか?」
彼女は不安ながらも精一杯に声をを出した。
「うん、一緒に助けに来たんだけど迷子になっちゃって……」
テヘヘと頭を掻いて笑った。
どっちが迷子になったかわからない……
でも、きっと、助けに来ていると橘は確信している。
「攫われて、目を覚ましたら、卵の殻の中で、鳥のお化けが空を飛んでいて、怖くて何度も気絶しながら…でも、とりあえず妖怪の巣を抜ける道があったので、ここまで来たら尚更真っ暗で……」
えぐえぐ泣きながら今まであったことを話す。
マリアの体はあやかしの瘴気が漂っているのが不思議で、触るとベタベタした何が体に張り付いていた。
きっと卵から出てきた証拠だろう。
「槐寿さんの木彫りのお守りが私を守ってくれたんです。」
マリアは十字架のペンダントを握りしめていた。
橘にもわかる、霊力あるお守りだと……
それは家系の力。
槐の木を込めてお守りを作ることができる一族だと桜庭の姫に聞いた。
槐寿の力で西洋の神様が進行している十字架を槐寿は作って持たせたようだ。
更に、槐には安産の効果もあるようで、無事に出られた理由もお守りのおかげかもしれないと橘は思う。
それを、震えながらも大切に握りしめていた。
「とりあえずあなたが無事でよかった。他にさらわれた子どもたちを探さないとね」
橘は狐火でマリアの近くに炎を灯す。
最初橘の狐の半妖姿にびっくりするが、ニコッと安心させるように橘は微笑むと、マリアはやっとホッとした。
「この入り口には姑獲鳥はいない見たね……」
イぁぁぁぁぁぁぁぁ!
イャァァァァァ!ァァァァァア!!
という、人間の女性の断末魔のような声が聞こえた。
「よ、妖怪の声です!見つかってしまいましたの⁉」
マリアは怯える。
「怖かったら残ってていいのよ。きっとここのほうが安全だと思うし…」
ここが入り口ならば、すぐにでも威津那と槐寿が来てくれるはずだから…
「いいえ!ついていきます!あなたは信用できるし!槐寿さまの知り合いなのでしょう?子どもたちのことも気になりますし!それに、残るほうが怖いですぅぅぅ!うぁぁぁあん!」
ついに、今までこらえていた涙を溢れだす。
しっかりしたお嬢様だけど、十五歳のまだまだ子供なのだ。
手をしっかり握って慎重に歩きだした。
「きゃっ!あ、あれは……」
狐火がなかったらよくわからなかった姑獲鳥の姿を見てマリアは声を上げた。
大きな円形型になった空間の真ん中に子供の入った卵が数個あって蜘蛛の巣のように枝のような糸を張っている。
その糸の枝に数十匹、暗闇の中から百匹以上の大小さまざまな女の顔にくちばしを持った鳥が飛んでいる。
そしてギラギラ暗闇で光る瞳を一斉に橘達の方に向けて睨んだ。
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