7 / 161
橘と威津那の巡り合いと探り合い
6☆陰陽師の一族と古い一族
しおりを挟む
陰陽寮長の晴綛は両手をパンパンと清めるように両手を叩いて場の空気を沈める。
そしてこちらに注目させる。
陰陽寮職員は暦を書く手を止めて、晴綛に向きなおり背筋を正す。
美丈夫の父の晴綛と若く美形な威津那が並ぶと目の保養になると思うと橘は頬を染める。
現在陰陽寮には古い一族が存在する。
阿倍野家
香茂家
卜部家
芦屋家
渋川家
という、古くから宮中や恵土で使えた一族と、その他の陰陽寮長に負けた呪術者達を集めて改めて威津那を紹介する。
「今日から陰陽寮に所属する黒御足威津那だ。よろしく頼む」
「未熟者ですがご指導よろしくお願いします」
威津那は深々と頭を下げる。
「黒御足…まさかあの……?」
「……黒御足といえば…」
威津那の姓を聞いた途端職員はどよめく。
橘は首を傾げる。
威津那はイズナ権現の由来って聞いたことあるけれど、黒御足はわからなかった。
「黒御足は、初代祝皇を導いた一族の末裔の姓だ。恵土の頃にいつのまにか消えた一族だ。千五百年前は我ら香茂家の本家でもあったんだ」
呪術の始祖とも言える存在で何人も呪術にたけた一族を輩出して国に貢献していった。
「すごいんだね。黒御足かぁ…なんだか鴉っぽいね。名前も天狗の神様の由来だけど」
橘は素直な想像でそう言った。
「鴉の一族…アマテラス神が使えし鴉の一族。神の影の一族だという伝説もあるんだ…」
高良は何やら口元に手を当てて独り言をぶつぶつつぶやいて考えを巡らせている。
「とりあえず好きなだけこき使ってやってくれ…一番下っ端だからな。威津那も仕事を早く覚えて皆にバカにされないようにな」
そういって威津那の背中を叩く。
「は、はい。頑張ります…」
緊張感が最初はなかったのに、みんなの前に出て緊張している威津那を橘は見て本当は恥ずかしがり屋さんなのかな?といろいろ威津那の仕草一つ一つ確認する。
威津那が何者でも構わない威津那が陰陽寮職員になったという現実すら夢に思えるほど橘の心はふわふわしていた。
「じゃぁ、とりあえず仕事の内容は、高良が教えてやれ」
高良はあからさまに嫌な顔をした。
「はいっ!私が教えちゃダメ?」
橘はすかさず立候補する。
もっとお近づきになりたいし、いろいろ話したいし聞きたいこともある。
だって初恋の君だし自分のことも知ってほしい……
という気持ちが丸わかりだった。
「まぁ…許す。高良も人に教えることは自らの勉強だからなお前も手伝え、そして、橘に手出ししないように見張っておくように」
「それはもちろんです!陰陽寮長!」
高良はやる気に満ちて良い返事をした。
「ちっ…親密になる機会だったのに…」
橘はわざと舌打ちして言ったけれど、二人っきりというのも自分の方が緊張して何も教えてあげられない気がしたので良いことだと思うことにした。
そしてこちらに注目させる。
陰陽寮職員は暦を書く手を止めて、晴綛に向きなおり背筋を正す。
美丈夫の父の晴綛と若く美形な威津那が並ぶと目の保養になると思うと橘は頬を染める。
現在陰陽寮には古い一族が存在する。
阿倍野家
香茂家
卜部家
芦屋家
渋川家
という、古くから宮中や恵土で使えた一族と、その他の陰陽寮長に負けた呪術者達を集めて改めて威津那を紹介する。
「今日から陰陽寮に所属する黒御足威津那だ。よろしく頼む」
「未熟者ですがご指導よろしくお願いします」
威津那は深々と頭を下げる。
「黒御足…まさかあの……?」
「……黒御足といえば…」
威津那の姓を聞いた途端職員はどよめく。
橘は首を傾げる。
威津那はイズナ権現の由来って聞いたことあるけれど、黒御足はわからなかった。
「黒御足は、初代祝皇を導いた一族の末裔の姓だ。恵土の頃にいつのまにか消えた一族だ。千五百年前は我ら香茂家の本家でもあったんだ」
呪術の始祖とも言える存在で何人も呪術にたけた一族を輩出して国に貢献していった。
「すごいんだね。黒御足かぁ…なんだか鴉っぽいね。名前も天狗の神様の由来だけど」
橘は素直な想像でそう言った。
「鴉の一族…アマテラス神が使えし鴉の一族。神の影の一族だという伝説もあるんだ…」
高良は何やら口元に手を当てて独り言をぶつぶつつぶやいて考えを巡らせている。
「とりあえず好きなだけこき使ってやってくれ…一番下っ端だからな。威津那も仕事を早く覚えて皆にバカにされないようにな」
そういって威津那の背中を叩く。
「は、はい。頑張ります…」
緊張感が最初はなかったのに、みんなの前に出て緊張している威津那を橘は見て本当は恥ずかしがり屋さんなのかな?といろいろ威津那の仕草一つ一つ確認する。
威津那が何者でも構わない威津那が陰陽寮職員になったという現実すら夢に思えるほど橘の心はふわふわしていた。
「じゃぁ、とりあえず仕事の内容は、高良が教えてやれ」
高良はあからさまに嫌な顔をした。
「はいっ!私が教えちゃダメ?」
橘はすかさず立候補する。
もっとお近づきになりたいし、いろいろ話したいし聞きたいこともある。
だって初恋の君だし自分のことも知ってほしい……
という気持ちが丸わかりだった。
「まぁ…許す。高良も人に教えることは自らの勉強だからなお前も手伝え、そして、橘に手出ししないように見張っておくように」
「それはもちろんです!陰陽寮長!」
高良はやる気に満ちて良い返事をした。
「ちっ…親密になる機会だったのに…」
橘はわざと舌打ちして言ったけれど、二人っきりというのも自分の方が緊張して何も教えてあげられない気がしたので良いことだと思うことにした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
【完結】イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』
あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾!
もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります!
ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。
稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。
もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。
今作の主人公は「夏子」?
淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。
ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!
古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。
もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦!
アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!
では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
あさきゆめみし
八神真哉
歴史・時代
山賊に襲われた、わけありの美貌の姫君。
それを助ける正体不明の若き男。
その法力に敵う者なしと謳われる、鬼の法師、酒呑童子。
三者が交わるとき、封印された過去と十種神宝が蘇る。
毎週金曜日更新

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
【連載中】は、短時間で読めるように短い文節ごとでの公開になります。
(お気に入り登録いただけると通知が行き、便利かもです)
その後、誤字脱字修正や辻褄合わせが行われて、合成された1話分にタイトルをつけ再公開されます。
(その前に、仮まとめ版が出る場合もある、かも、しれない、可能性)
物語の細部は連載時と変わることが多いので、二度読むのが通です。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる