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橘と威津那の巡り合いと探り合い
4☆初恋の君、陰陽寮に現る
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「はじめまして、僕の名前は威津那です。今日から働かせてもらうことになりました」
威津那は嬉しそうににこにこ微笑んでそういった。
(やだ…微笑みもかわいい……)
橘はドキドキが止まらない。
初恋の人と再び会えたことに気持ちもふわふわして、威津那からキラキラオーラが溢れて見える。
「君の父君を捉えようと思ったら逆に捉えられちゃってね…僕の力で役に立つ事があったら言ってね…?えーと…君の名前は?」
微笑んで和ませようとしているが、どことなく、微かにあのときの殺気立ったような怖い雰囲気が漂ってると感じる……
それは呪術くらべか、狐のあやかしの父様に捉えられた不満?
………それとも他の何か?
橘の狐の感の危険信号が警告を放っている。
けれど……恋の前では意味がない…
「そういうところがかっこいいんじゃない!あいかわら素敵!」
「え?君の名前そんなに長いの?覚えられない…」
と、首を傾げられた。
「はっ!」
と橘は現実にもどって慌てる。
「わ、私の名前は、阿倍野橘、末永くよろしくお願いいたします!」
どさくさに紛れてわざと嫁に行くような自己紹介をした。
「ワシはまだ、この男にお前をやるとは言っておらぬぞ?」
晴綛が先にツッコミをいれる。
「え?えへへ。父様、勝っちゃったんだっけ?残念」
ほんとに残念だと思う。
問答無用で初恋の人と結婚できたのに……
「何が残念だ。親不孝者が、ワシは男どもからお前を守ってるんじゃぞ?」
「嫁にやりたくないだけでしょ?」
「親より強いやつじゃないと認めないのは先祖代々の掟じゃて」
といって、可愛い娘の頭をワシワシ撫でる。
「もうー父様ったら♡」
橘もそうされると嬉しい。
父子は誰が見ても仲が良すぎる。
「じゃ、今度、狐の娘さんをいただくために勝負してもらいますよ?」
と、威津那は話しに割り込んだ。
「えっ、私をお嫁にしてくれるの?」
威津那は笑顔でうーんと考えて
「管狐として君が欲しい……」
と、微笑んで橘にとって物騒なことを言う。
「は?管狐?」
橘は浮かれすぎてだんだん今ある現実に戻って冷静になる。
「威津那はイヅナ権現の呪術を使うんじゃて……わしも勝てたのもギリギリじゃったがな」
「イヅナ権現って、天狗が白キツネにまたがって邪法ともいわれる呪術を使う?」
陰陽寮職員は基本呪術の事も知識に入れる。
更に阿倍野家のものはそういうことは子供の頃から基礎知識で教わるので橘はもちろん知っていた。
イヅナ権現は呪術の神様、天狗の一族で、特に狐を管狐として使役して呪術を行う。
威津那はゆっくり瞼を閉じて、開くと改めて赤く煌めく瞳で橘を見つめる。
「……君は黄色のお狐さんなんだね」
そう言って、そっと耳を触る。
「だから橘ってみかん色の名前をもじってつけたんじゃぞい!」
晴綛は腕を組んで自慢する。
威津那は橘の耳を本物かどうか確かめるというより撫でるようにふれる。
突然のことに橘は身動きができなかった。
「…これで…白狐だったら……」
と声に出さないでつぶやく声も橘の耳には聞こえた。
耳を触る手つきで尻尾を触って、膝を折ると尻尾に口付けた。
「ひやっ!な、何するの!」
慌てて尻尾をひったくる。
あまりの色気のある雰囲気に橘はのまれていたが、唇を寄せられた事はとても恥ずかしく感じた。
(咲羅子姉さんにしか触られたことないのに!しかも初恋の男に触られるなんて!)
「橘、今、女の顔しとったぞ父は悲しい……」
両手で顔を被って泣く振りをする。
「だったら止めてよ!」
父にそう言われてなおさら恥ずかしい!
赤い瞳で橘を見つめて真剣な顔をしていたが、瞳を閉じると漆黒な色の瞳で、柔和な顔に戻る。
「ごめんね、わざとじゃないんだ。勝手に口づけしたくなっちゃうだけなんだ。悪気はないんだよ。狐はみんな使役したくなっちゃう癖なんだ」
「癖でごまかそうとしないでよ!手つきの悪い男ってことなのね!わかったわ!もう!」
わざと橘は怒ったふりをしながら、顔がニヤけるのを抑えることに必死だった。
(なんなの?この二重面相?なんなの?幻滅するより、なおさら気になっちゃうんだけど!これが、恋ってやつなの!?やっぱり憧れとは違うのねぇぇ!)
心の中で盛大に叫ぶ橘だった。
威津那は嬉しそうににこにこ微笑んでそういった。
(やだ…微笑みもかわいい……)
橘はドキドキが止まらない。
初恋の人と再び会えたことに気持ちもふわふわして、威津那からキラキラオーラが溢れて見える。
「君の父君を捉えようと思ったら逆に捉えられちゃってね…僕の力で役に立つ事があったら言ってね…?えーと…君の名前は?」
微笑んで和ませようとしているが、どことなく、微かにあのときの殺気立ったような怖い雰囲気が漂ってると感じる……
それは呪術くらべか、狐のあやかしの父様に捉えられた不満?
………それとも他の何か?
橘の狐の感の危険信号が警告を放っている。
けれど……恋の前では意味がない…
「そういうところがかっこいいんじゃない!あいかわら素敵!」
「え?君の名前そんなに長いの?覚えられない…」
と、首を傾げられた。
「はっ!」
と橘は現実にもどって慌てる。
「わ、私の名前は、阿倍野橘、末永くよろしくお願いいたします!」
どさくさに紛れてわざと嫁に行くような自己紹介をした。
「ワシはまだ、この男にお前をやるとは言っておらぬぞ?」
晴綛が先にツッコミをいれる。
「え?えへへ。父様、勝っちゃったんだっけ?残念」
ほんとに残念だと思う。
問答無用で初恋の人と結婚できたのに……
「何が残念だ。親不孝者が、ワシは男どもからお前を守ってるんじゃぞ?」
「嫁にやりたくないだけでしょ?」
「親より強いやつじゃないと認めないのは先祖代々の掟じゃて」
といって、可愛い娘の頭をワシワシ撫でる。
「もうー父様ったら♡」
橘もそうされると嬉しい。
父子は誰が見ても仲が良すぎる。
「じゃ、今度、狐の娘さんをいただくために勝負してもらいますよ?」
と、威津那は話しに割り込んだ。
「えっ、私をお嫁にしてくれるの?」
威津那は笑顔でうーんと考えて
「管狐として君が欲しい……」
と、微笑んで橘にとって物騒なことを言う。
「は?管狐?」
橘は浮かれすぎてだんだん今ある現実に戻って冷静になる。
「威津那はイヅナ権現の呪術を使うんじゃて……わしも勝てたのもギリギリじゃったがな」
「イヅナ権現って、天狗が白キツネにまたがって邪法ともいわれる呪術を使う?」
陰陽寮職員は基本呪術の事も知識に入れる。
更に阿倍野家のものはそういうことは子供の頃から基礎知識で教わるので橘はもちろん知っていた。
イヅナ権現は呪術の神様、天狗の一族で、特に狐を管狐として使役して呪術を行う。
威津那はゆっくり瞼を閉じて、開くと改めて赤く煌めく瞳で橘を見つめる。
「……君は黄色のお狐さんなんだね」
そう言って、そっと耳を触る。
「だから橘ってみかん色の名前をもじってつけたんじゃぞい!」
晴綛は腕を組んで自慢する。
威津那は橘の耳を本物かどうか確かめるというより撫でるようにふれる。
突然のことに橘は身動きができなかった。
「…これで…白狐だったら……」
と声に出さないでつぶやく声も橘の耳には聞こえた。
耳を触る手つきで尻尾を触って、膝を折ると尻尾に口付けた。
「ひやっ!な、何するの!」
慌てて尻尾をひったくる。
あまりの色気のある雰囲気に橘はのまれていたが、唇を寄せられた事はとても恥ずかしく感じた。
(咲羅子姉さんにしか触られたことないのに!しかも初恋の男に触られるなんて!)
「橘、今、女の顔しとったぞ父は悲しい……」
両手で顔を被って泣く振りをする。
「だったら止めてよ!」
父にそう言われてなおさら恥ずかしい!
赤い瞳で橘を見つめて真剣な顔をしていたが、瞳を閉じると漆黒な色の瞳で、柔和な顔に戻る。
「ごめんね、わざとじゃないんだ。勝手に口づけしたくなっちゃうだけなんだ。悪気はないんだよ。狐はみんな使役したくなっちゃう癖なんだ」
「癖でごまかそうとしないでよ!手つきの悪い男ってことなのね!わかったわ!もう!」
わざと橘は怒ったふりをしながら、顔がニヤけるのを抑えることに必死だった。
(なんなの?この二重面相?なんなの?幻滅するより、なおさら気になっちゃうんだけど!これが、恋ってやつなの!?やっぱり憧れとは違うのねぇぇ!)
心の中で盛大に叫ぶ橘だった。
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