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橘と威津那の出会い
恐怖と出会い
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その瞳は赤く……紅く……
真紅に輝く宝石のようだった。
、全てを焼き尽くための油が国を焼き尽くす爆弾が、雨の如くに降り注ぐ……
地上は炎に包まれて逃げるすべもなかった……
十歳の橘は呆然として赤黒く空を燃やし、その煙に死した魂の無念の阿鼻叫喚が炎に紛れて聞こえてきて恐怖に震えていた。
橘もその悲しき魂の一つになるかもしれない恐怖に足がすくんで逃げることができなかった。
建物は全て焼かれて燃え上がる。
炎に巻き込まれて苦しみながら死ぬ者、負傷する者、生きるために逃げ惑う者。
地獄そのものだった……
普段目に見えない化け物相手ならば恐れることなど、命の危険に晒されても逃げ切る自信があった……
だけど、能力も持たない日和の神をも恐れぬ他国の人間が機械に乗って殺戮する兵器になすすべもなく座り込む。
涙さえ出てこない…
「君を死なせない…」
青年の声が後ろから聞こえたと思うと、抱き上げられた。
軍服を着た青年が橘を抱えてすぐ近くの川に飛び込んだ。
マントを川の水で濡らして、頭からかぶる。
油や熱から守ってくれているらしい。
周りを見れば橋の下で布団をかぶって難を逃れようとしている人々が固唾を飲みながら時が過ぎるのを待っていた。
その中に二人入れてもらって難を逃れる。
橘はぎゅっと青年に抱きつくと、青年は硬い表情をふと柔らかくしてぽんぽんと落ち着かせるように背中を叩く。
数時間して、飛行機も炎も落ち着いてきた。
朝日が登ってきて、暗闇を晴らしていく。
敵がいなくなったのを確認すると川からみんな上がる。
なんとか助かったのだ。
だが、町の残骸助からなかった人たちの死体を見ると悲しい、怖い気持ちがよみがえって体が震える。
橘は助けてくれた青年軍人を見つめる。
お礼を言いたいのに、恐怖の出来事のせいで声が出なかった。
だから、じっと彼を見つめる。
よく見れば、包帯の眼帯をして、右腕にも包帯が巻いてある。
歳の頃は十八歳頃か……本来ならばお国のために命を捧げに戦地に赴いていたかもしれないが、負傷している者は出撃できない。出兵すれば足手まといだ。
そのため特別に陛下のおわすこの都を守る部隊の者かもしれない……
朝日で照らされる空は未だゴウゴウと不吉な赤黒い煙立ち昇らせる。
その赤黒い空を軍人さんは見つめているせいで、赤く、真紅に、光っているように見えるだけではない、不思議の色に橘は感じる。
それは身内がそういう特殊な瞳を持っている事を知っているから……
そして、彼の包帯から滲み出るものは血液ではなく、真っ黒いオーラ。
不吉な空に似た呪いを感じる。
それは、憎しみ、怨み、哀しみの念にも感じる。
それはこの場にいる者たち全て感じ思う事だ。
(気持ちはわかる……でも……助かった事を感謝したいよ……)
橘は彼の手を握った。
橘に気が付いた軍人さんは、じっくりと橘の顔を赤い瞳で無表情で見つめたあと、瞳の色を消して微笑えみ頭を撫でて、
「君を救えてよかった。僕でも君を救えて……」
そう言ってしゃがんで橘の油で汚れた頬を優しく拭った。
「じゃ、僕は行くよ……」
瞳を再び鋭く光らせ、
「復讐をしに……」
最後の言葉尻はドスがきいていて、本気だということが聞こえた者には分かった。
是非ともそうしてほしい…!と、家族を失った悲しみを怒りを思う者は強く共感した。
軍人さんは橘を助かった大人に向き直させて、
「この子のこと頼みます」
そういうと一人颯爽と歩いて行ってしまった。
橘は、じっとその背中を見つめていた。
忘れたくなかった…忘れられるわけはない……
この出会いは縁で結ばれていると思うから……
あの軍人のお兄さんに一目惚れをしてしまったから……
優しくて漆黒の髪に整った顔立ち、スラリと背の高い体躯は王子様そのものだった。
恐怖で肝を冷やして高鳴っていたドキドキは、トクントクンと鼓動を変えて胸に温かいものを芽生えさせた。
橘は災難で恐怖の中で素敵な男性に恋をしたのだった。
この恋心を一生忘れないし、恋愛から結婚するならあの人しかいないと強く想った。
そして十年後……
再び二人は巡り会う
今度は運命的ではなく、必然的に…
それは宿命を定めるために……
宿命を変えることのできる橘が恋をした若き軍人の威津那は橘に再び故意的に近づくのだった……
真紅に輝く宝石のようだった。
、全てを焼き尽くための油が国を焼き尽くす爆弾が、雨の如くに降り注ぐ……
地上は炎に包まれて逃げるすべもなかった……
十歳の橘は呆然として赤黒く空を燃やし、その煙に死した魂の無念の阿鼻叫喚が炎に紛れて聞こえてきて恐怖に震えていた。
橘もその悲しき魂の一つになるかもしれない恐怖に足がすくんで逃げることができなかった。
建物は全て焼かれて燃え上がる。
炎に巻き込まれて苦しみながら死ぬ者、負傷する者、生きるために逃げ惑う者。
地獄そのものだった……
普段目に見えない化け物相手ならば恐れることなど、命の危険に晒されても逃げ切る自信があった……
だけど、能力も持たない日和の神をも恐れぬ他国の人間が機械に乗って殺戮する兵器になすすべもなく座り込む。
涙さえ出てこない…
「君を死なせない…」
青年の声が後ろから聞こえたと思うと、抱き上げられた。
軍服を着た青年が橘を抱えてすぐ近くの川に飛び込んだ。
マントを川の水で濡らして、頭からかぶる。
油や熱から守ってくれているらしい。
周りを見れば橋の下で布団をかぶって難を逃れようとしている人々が固唾を飲みながら時が過ぎるのを待っていた。
その中に二人入れてもらって難を逃れる。
橘はぎゅっと青年に抱きつくと、青年は硬い表情をふと柔らかくしてぽんぽんと落ち着かせるように背中を叩く。
数時間して、飛行機も炎も落ち着いてきた。
朝日が登ってきて、暗闇を晴らしていく。
敵がいなくなったのを確認すると川からみんな上がる。
なんとか助かったのだ。
だが、町の残骸助からなかった人たちの死体を見ると悲しい、怖い気持ちがよみがえって体が震える。
橘は助けてくれた青年軍人を見つめる。
お礼を言いたいのに、恐怖の出来事のせいで声が出なかった。
だから、じっと彼を見つめる。
よく見れば、包帯の眼帯をして、右腕にも包帯が巻いてある。
歳の頃は十八歳頃か……本来ならばお国のために命を捧げに戦地に赴いていたかもしれないが、負傷している者は出撃できない。出兵すれば足手まといだ。
そのため特別に陛下のおわすこの都を守る部隊の者かもしれない……
朝日で照らされる空は未だゴウゴウと不吉な赤黒い煙立ち昇らせる。
その赤黒い空を軍人さんは見つめているせいで、赤く、真紅に、光っているように見えるだけではない、不思議の色に橘は感じる。
それは身内がそういう特殊な瞳を持っている事を知っているから……
そして、彼の包帯から滲み出るものは血液ではなく、真っ黒いオーラ。
不吉な空に似た呪いを感じる。
それは、憎しみ、怨み、哀しみの念にも感じる。
それはこの場にいる者たち全て感じ思う事だ。
(気持ちはわかる……でも……助かった事を感謝したいよ……)
橘は彼の手を握った。
橘に気が付いた軍人さんは、じっくりと橘の顔を赤い瞳で無表情で見つめたあと、瞳の色を消して微笑えみ頭を撫でて、
「君を救えてよかった。僕でも君を救えて……」
そう言ってしゃがんで橘の油で汚れた頬を優しく拭った。
「じゃ、僕は行くよ……」
瞳を再び鋭く光らせ、
「復讐をしに……」
最後の言葉尻はドスがきいていて、本気だということが聞こえた者には分かった。
是非ともそうしてほしい…!と、家族を失った悲しみを怒りを思う者は強く共感した。
軍人さんは橘を助かった大人に向き直させて、
「この子のこと頼みます」
そういうと一人颯爽と歩いて行ってしまった。
橘は、じっとその背中を見つめていた。
忘れたくなかった…忘れられるわけはない……
この出会いは縁で結ばれていると思うから……
あの軍人のお兄さんに一目惚れをしてしまったから……
優しくて漆黒の髪に整った顔立ち、スラリと背の高い体躯は王子様そのものだった。
恐怖で肝を冷やして高鳴っていたドキドキは、トクントクンと鼓動を変えて胸に温かいものを芽生えさせた。
橘は災難で恐怖の中で素敵な男性に恋をしたのだった。
この恋心を一生忘れないし、恋愛から結婚するならあの人しかいないと強く想った。
そして十年後……
再び二人は巡り会う
今度は運命的ではなく、必然的に…
それは宿命を定めるために……
宿命を変えることのできる橘が恋をした若き軍人の威津那は橘に再び故意的に近づくのだった……
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