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桂と薫と野薔薇の異界探検
10☆お節料理の中に
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「さぁ、お正月を楽しみましょう!」
橘は雰囲気を明るく変えるために大声で号令をかける。
「では、皆様改めまして、あけましておめでとうございます!今年も良い年になるように陛下の御代の弥栄お祈りいたしましょう」
威津那も橘と同じく明るく現世の弥栄を願う。
「すめらぎいやさか……」
明綛は無表情でつぶやいた。
神誓い失敗してこの異界に辿り着いたが、弥栄を祈ることを、素直に言える己にハッとして口元を押さえる。
故意に裏切ったわけではないけれど胸に陛下に対する黒い気持ちを抱いていたが、日和の新年の繁栄を思うのならば、言霊に陛下の弥栄を思ってしまう。
「すめらぎいやさか!」
「すめらぎいやさか!」
「すめらぎいやさか!」
子供達は元気よく一斉に声をあげる。
普通の家の子供ならばその寿ぎの言葉を知らないだろうが、代々宮中、陛下お側に仕える一族なので当たり前に弥栄を願う。
「すめらぎ弥栄、あけましておめでとうございます…ね」
流花はそう言って明綛に微笑む。
「ああ…すめらぎ弥栄…だ」
明綛の心も何か明るく開けた気がすると胸元に手を置いた。
その様子を橘と威津那は見て微笑む。
(ああ、明綛さんの気持ちすっごくわかる……)
威津那はしみじみと思う。
そんな夫に橘はふふっと笑う。
この異界は夫婦の気持ちがすぐに反映される。楽しく嬉しい気持ちが無意識に皆に伝わるのだ。
色とりどりの重箱のおせちに子供達は瞳を輝かせる。
まるで、飴細工のようにキラキラしている。
「でも…食べていいの?黄泉…あの世のものを食べると現世に帰れなくなるんじゃ…」
桂は祖父が昔話で聞かせてくれた物語でそう言う話を聞いたのを思い出して言ってみる。
薫はすでに食欲に負けて口に入れてしまっていた。
「ここはあの世とこの世の『境』でもあって、黄泉じゃないから大丈夫よ。このおせちはウカ様からいただいだものよ」
ウカ様はウカノミタマの化身の狐のあやかしで神様で阿部野のご先祖様でもあると母から聞いているのでホッとした。
「まぁ、ここで食べ物を食べたら、ちょっとした元々持っている能力が磨かれるだけだから安心してお食べ。」
能力が磨かれるだけならいいかな?と桂は安心した。
「オモチでつか?これ?」
飴細工のようなキラキラなお正月料理の中に一際目立つゲテモノがあった。
お碗にお餅らしきものが浮いている。、
だが、
黒い餅…
餅の中に黒い何かが詰まっている。
しかも底はアメーバーの形になっている。
汁はミルク…?白い汁に黄色い色も混じってる。
黒い餅の皮は赤と黒のマーブリング色をしていた……
ミルクの中を救うと小さな果物が出てきた。
もうすでに黄泉の食べ物みたいだとドン引きする。
橘はニコニコして、
「大丈夫!たべて!」
強制だった。
能力が磨かれる前に、内臓が磨かれる…と野薔薇と明綛は思う……
「すごい!美味しそう!色も綺麗だし!」
桂はすごく興奮しだす。
「橘のそう言うところ継いだかー……」
威津那は遠い目をした。
橘のゲテモノ料理に桂は大絶賛。
生前でも褒められたことがなくて、孫に褒めてもらえて橘は思わず嬉しくて涙をこぼす。
「桂くん!ほんと可愛いっ!私の孫ね!」
「あ!美味しい!デザートだぞ!これ!」
薫も瞳をキラキラさせて絶賛した。
「本当でつ!美味しいでつ!不思議でつね!餅の中にぎっちり餡子がはいってまつ!現世に帰ったら作ってみまつ!」
子供達はほっぺたが落ちそうなほど美味しいことに満足だった。
「孫たちは可愛い!いい子達すぎるわ!」
橘がとても喜ぶ姿に威津那は微笑む。
明綛食べて狐の耳がピン!と立つほど満足だった。しかも子供達と同じく頬がほのかなピンク色になっていることに流花は微笑んだ。
橘は雰囲気を明るく変えるために大声で号令をかける。
「では、皆様改めまして、あけましておめでとうございます!今年も良い年になるように陛下の御代の弥栄お祈りいたしましょう」
威津那も橘と同じく明るく現世の弥栄を願う。
「すめらぎいやさか……」
明綛は無表情でつぶやいた。
神誓い失敗してこの異界に辿り着いたが、弥栄を祈ることを、素直に言える己にハッとして口元を押さえる。
故意に裏切ったわけではないけれど胸に陛下に対する黒い気持ちを抱いていたが、日和の新年の繁栄を思うのならば、言霊に陛下の弥栄を思ってしまう。
「すめらぎいやさか!」
「すめらぎいやさか!」
「すめらぎいやさか!」
子供達は元気よく一斉に声をあげる。
普通の家の子供ならばその寿ぎの言葉を知らないだろうが、代々宮中、陛下お側に仕える一族なので当たり前に弥栄を願う。
「すめらぎ弥栄、あけましておめでとうございます…ね」
流花はそう言って明綛に微笑む。
「ああ…すめらぎ弥栄…だ」
明綛の心も何か明るく開けた気がすると胸元に手を置いた。
その様子を橘と威津那は見て微笑む。
(ああ、明綛さんの気持ちすっごくわかる……)
威津那はしみじみと思う。
そんな夫に橘はふふっと笑う。
この異界は夫婦の気持ちがすぐに反映される。楽しく嬉しい気持ちが無意識に皆に伝わるのだ。
色とりどりの重箱のおせちに子供達は瞳を輝かせる。
まるで、飴細工のようにキラキラしている。
「でも…食べていいの?黄泉…あの世のものを食べると現世に帰れなくなるんじゃ…」
桂は祖父が昔話で聞かせてくれた物語でそう言う話を聞いたのを思い出して言ってみる。
薫はすでに食欲に負けて口に入れてしまっていた。
「ここはあの世とこの世の『境』でもあって、黄泉じゃないから大丈夫よ。このおせちはウカ様からいただいだものよ」
ウカ様はウカノミタマの化身の狐のあやかしで神様で阿部野のご先祖様でもあると母から聞いているのでホッとした。
「まぁ、ここで食べ物を食べたら、ちょっとした元々持っている能力が磨かれるだけだから安心してお食べ。」
能力が磨かれるだけならいいかな?と桂は安心した。
「オモチでつか?これ?」
飴細工のようなキラキラなお正月料理の中に一際目立つゲテモノがあった。
お碗にお餅らしきものが浮いている。、
だが、
黒い餅…
餅の中に黒い何かが詰まっている。
しかも底はアメーバーの形になっている。
汁はミルク…?白い汁に黄色い色も混じってる。
黒い餅の皮は赤と黒のマーブリング色をしていた……
ミルクの中を救うと小さな果物が出てきた。
もうすでに黄泉の食べ物みたいだとドン引きする。
橘はニコニコして、
「大丈夫!たべて!」
強制だった。
能力が磨かれる前に、内臓が磨かれる…と野薔薇と明綛は思う……
「すごい!美味しそう!色も綺麗だし!」
桂はすごく興奮しだす。
「橘のそう言うところ継いだかー……」
威津那は遠い目をした。
橘のゲテモノ料理に桂は大絶賛。
生前でも褒められたことがなくて、孫に褒めてもらえて橘は思わず嬉しくて涙をこぼす。
「桂くん!ほんと可愛いっ!私の孫ね!」
「あ!美味しい!デザートだぞ!これ!」
薫も瞳をキラキラさせて絶賛した。
「本当でつ!美味しいでつ!不思議でつね!餅の中にぎっちり餡子がはいってまつ!現世に帰ったら作ってみまつ!」
子供達はほっぺたが落ちそうなほど美味しいことに満足だった。
「孫たちは可愛い!いい子達すぎるわ!」
橘がとても喜ぶ姿に威津那は微笑む。
明綛食べて狐の耳がピン!と立つほど満足だった。しかも子供達と同じく頬がほのかなピンク色になっていることに流花は微笑んだ。
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