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桂と薫と野薔薇の異界探検
8☆阿部野屋敷の異界の力
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「そんなに、時が流れていたなんて……」
明綛は現実を思い知り呟く。
異界では時空など、まちまちだとは理解しているが、自分が歩んでいる異界の時間と現世の乖離の時の流れが早い……
野薔薇と出会ってそのことを実感したが、弟が曾祖父と言われるまでの時が過ぎ去っているとは……
(これが神誓いを果たせなかった罰なのか?)
明綛の感覚ではせいぜい三ヶ月彷徨っている感覚なのだ。
本来の時間との乖離の絶望感は半端ない。
「……る、流花はまだ生きているのか?」
生きていたらかなりのしわくちゃなお婆さんだ……尚更焦がれるほどに愛した女に会いたくなる……
せめて、亡くなる前に……
子供達は事情が飲み込めないまでも、顔を見合わせて桂と野薔薇は頷きあい、
「……ひいおばあちゃんは、かなり前に亡くなってわからないでつ。会ったこともないでつ……」
「そ…うか…」
明綛は放心して、壁に背中をつけると、ずるずると座りこんだ。
立っていることができなくなってしまった……歩くこともきっとできない……
いつか、彷徨い歩き続ければ出口が見つかって流花に逢えると、僅かな希望を抱いていた。
陛下よりも愛した女が亡くなった事が一番ショックだった…
子供達は流花がどのように生きたかすら知らないのだ……それほどの時が経っている。
まだ存命の晴綛に会えたなら話を聞けたかもしれないが……
明綛は座り込み顔を膝に埋めて肩を振るわし、声を殺して泣く。
その様子に感受性の強い子供達も涙が溢れてしまう。
そんな明綛を慰める言葉をかけられない桂は、ぎゅっと袖の中で拳を握る。
(こんな辛い気持ちになんてなりたくない…ぜったいっ!)
と、母が先に逝く想像をしてしまえば尚更だった。
「こら!子供達を泣かせないでよ!叔父様!」
「そうですよ、その気持ちは痛いほどわかりますが……」
橘と威津那の夫婦神は手を繋いで暗闇から出てきた。
橘は腰手を当ててプンプンと怒る。
その妻の肩に手を置く。
「今日は特別に、母様もご招待したのよ。陛下の祈りの力を少しこちらに貸していただいてね」
幸御霊と呼ばれその思いを祝皇、祈り姫は導き良き方に流れるように神にも祈るのだ。
生前の威津那も無念の念を身に宿し浄化させるが、陛下の祈りによって浄化させ世に想いは巡っているのだが、年末年始に行われる国民にさまざまな災いが来ないように四方拝の儀式に挑む陛下を妬み恨む念も混ざり合わさり災いを起こそうとする荒御魂になる念も陛下の体を通して浄化させ世に巡らせる前に、威津那の御霊は荒御魂の念を神の力で昇華させ無害の念として世に巡り祈り姫の祈りに届き世の中に影響される。
ただし、その不平不満の念は完璧には消えない。
不平不満も世を導く祈りなのだ。
不平不満もない世の中などよくならないのだから……
そして、威津那によって昇華された思いは陛下の身を通り、国民の意識も良い方向へ変えようと向かうのだ。
世にめぐるのは不平不満だけれはなく、残したものへの思いも願いも巡って世が良い方向になるようにも巡っている。
残した愛しきものへの祈り願う巡る念の想いを縁に魂をこの世とあの世の境の阿倍野屋敷に招待することを神に近い御霊の威津那はできた。
「明綛……」
声の方向を子供達と明綛は見る。
薄暗い廊下の方から白い光がぼうっと現れると、美しい二十代後半の女性が現れた。
腰までの長い青みを帯びた黒髪に、色白の肌に凛とした美しさに品のある色気の容姿に子供達も息を呑むほど美しいとおもうが、
「とーさんに似てる!眉毛は違うけど!」
薫は興奮気味に流花に指差して叫んだ。
男女の差はあるが、身近にいるものならば兄妹だと言われても納得してしまうほどだった。
明綛は現実を思い知り呟く。
異界では時空など、まちまちだとは理解しているが、自分が歩んでいる異界の時間と現世の乖離の時の流れが早い……
野薔薇と出会ってそのことを実感したが、弟が曾祖父と言われるまでの時が過ぎ去っているとは……
(これが神誓いを果たせなかった罰なのか?)
明綛の感覚ではせいぜい三ヶ月彷徨っている感覚なのだ。
本来の時間との乖離の絶望感は半端ない。
「……る、流花はまだ生きているのか?」
生きていたらかなりのしわくちゃなお婆さんだ……尚更焦がれるほどに愛した女に会いたくなる……
せめて、亡くなる前に……
子供達は事情が飲み込めないまでも、顔を見合わせて桂と野薔薇は頷きあい、
「……ひいおばあちゃんは、かなり前に亡くなってわからないでつ。会ったこともないでつ……」
「そ…うか…」
明綛は放心して、壁に背中をつけると、ずるずると座りこんだ。
立っていることができなくなってしまった……歩くこともきっとできない……
いつか、彷徨い歩き続ければ出口が見つかって流花に逢えると、僅かな希望を抱いていた。
陛下よりも愛した女が亡くなった事が一番ショックだった…
子供達は流花がどのように生きたかすら知らないのだ……それほどの時が経っている。
まだ存命の晴綛に会えたなら話を聞けたかもしれないが……
明綛は座り込み顔を膝に埋めて肩を振るわし、声を殺して泣く。
その様子に感受性の強い子供達も涙が溢れてしまう。
そんな明綛を慰める言葉をかけられない桂は、ぎゅっと袖の中で拳を握る。
(こんな辛い気持ちになんてなりたくない…ぜったいっ!)
と、母が先に逝く想像をしてしまえば尚更だった。
「こら!子供達を泣かせないでよ!叔父様!」
「そうですよ、その気持ちは痛いほどわかりますが……」
橘と威津那の夫婦神は手を繋いで暗闇から出てきた。
橘は腰手を当ててプンプンと怒る。
その妻の肩に手を置く。
「今日は特別に、母様もご招待したのよ。陛下の祈りの力を少しこちらに貸していただいてね」
幸御霊と呼ばれその思いを祝皇、祈り姫は導き良き方に流れるように神にも祈るのだ。
生前の威津那も無念の念を身に宿し浄化させるが、陛下の祈りによって浄化させ世に想いは巡っているのだが、年末年始に行われる国民にさまざまな災いが来ないように四方拝の儀式に挑む陛下を妬み恨む念も混ざり合わさり災いを起こそうとする荒御魂になる念も陛下の体を通して浄化させ世に巡らせる前に、威津那の御霊は荒御魂の念を神の力で昇華させ無害の念として世に巡り祈り姫の祈りに届き世の中に影響される。
ただし、その不平不満の念は完璧には消えない。
不平不満も世を導く祈りなのだ。
不平不満もない世の中などよくならないのだから……
そして、威津那によって昇華された思いは陛下の身を通り、国民の意識も良い方向へ変えようと向かうのだ。
世にめぐるのは不平不満だけれはなく、残したものへの思いも願いも巡って世が良い方向になるようにも巡っている。
残した愛しきものへの祈り願う巡る念の想いを縁に魂をこの世とあの世の境の阿倍野屋敷に招待することを神に近い御霊の威津那はできた。
「明綛……」
声の方向を子供達と明綛は見る。
薄暗い廊下の方から白い光がぼうっと現れると、美しい二十代後半の女性が現れた。
腰までの長い青みを帯びた黒髪に、色白の肌に凛とした美しさに品のある色気の容姿に子供達も息を呑むほど美しいとおもうが、
「とーさんに似てる!眉毛は違うけど!」
薫は興奮気味に流花に指差して叫んだ。
男女の差はあるが、身近にいるものならば兄妹だと言われても納得してしまうほどだった。
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