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桂と薫と野薔薇の異界探検
3☆即決行動
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子供達だけで広い屋敷、異界を探す。
異界は人の目には見えないがそこにあるという。
この世が光だとすると影に入り口があると、あやかしの世界を簡単に行き来できるジジ様が言っていた。
ジジ様が連れていってくれれば簡単なのだがもう年なので無理をさせたくないという気持ちがひ孫たちにはあった。
けれど、万が一迷子になったときの保険にうささんストラップ式神にジジ様に伝言お願いした。
ジジ様は心配性の両親には黙って承知してくれた。
《いざって時にはわしが助けてやるから安心して遊んでおいで》
と、伝言までもらった。
《ジジ様!ありがとう!大好きだよ!》
ひ孫三人揃ってジジ様に伝言すると
《ひゃっひゃっひゃっひゃっ、嬉しいのぉ。本当にそう言われるのがいちばんうれしいのじゃぁ…》
と、式神電話うささんが伝言してくれた。
ということで、少し正午が過ぎた日の影を探す。
一番あり得そうなところは大人が通れるくらいの小さな鳥居だった。
祠もないところに宮中に向けて鳥居が立っているという。
さらに、昔は香茂家と阿倍野をつなぐ橋があり、阿倍野殿の代理をしていた祖母の橘はここからあやかしを召喚していたという。
「この鳥居の影の中に入ったら意外にいけるかもしれないでつね」
「もっと探検したい!ここの他も探そうよ!」
あっさり異界への道に繋がるだろうところを言い当てた野薔薇に不服な薫は抗議する。
「異界の中での探検の方が楽しいかもしれないでつよ!それに帰れる時間もわからないでつし早く入ってみませう!」
「野薔薇ちゃんは天性の方向音痴なのに何かを見つける感は鋭いよね。迷子にならないように目印があれば迷子にならないよね…」
「にーちゃん!ちがうよ!野薔薇は目的のものを見つけた後が帰って来れないんだよ、きっと!」
「そっか」
桂は薫の明快の答えに納得した。
(そしたら,目的の黒狐様を見つけたら帰って来れないってことじゃ……)
「二人とも私の悪口言ってないで早く来るでつ!」
野薔薇は地面に手だけ出して振る。
その様子に桂は驚愕する。
迷いなく入り込んでしまう野薔薇の行動力は知っているがいつも驚かされてしまうのだ。
「にーちゃん!早くいかなきゃ、野薔薇ともはぐれるぞ!」
薫は本能的に異界の仕組みを知っているのか、狐耳と尻尾を出して、金の瞳でこちらを見る。
「わ、わかったよ!」
桂は薫に引っ張られて影に足を踏み入れた。
異界は人の目には見えないがそこにあるという。
この世が光だとすると影に入り口があると、あやかしの世界を簡単に行き来できるジジ様が言っていた。
ジジ様が連れていってくれれば簡単なのだがもう年なので無理をさせたくないという気持ちがひ孫たちにはあった。
けれど、万が一迷子になったときの保険にうささんストラップ式神にジジ様に伝言お願いした。
ジジ様は心配性の両親には黙って承知してくれた。
《いざって時にはわしが助けてやるから安心して遊んでおいで》
と、伝言までもらった。
《ジジ様!ありがとう!大好きだよ!》
ひ孫三人揃ってジジ様に伝言すると
《ひゃっひゃっひゃっひゃっ、嬉しいのぉ。本当にそう言われるのがいちばんうれしいのじゃぁ…》
と、式神電話うささんが伝言してくれた。
ということで、少し正午が過ぎた日の影を探す。
一番あり得そうなところは大人が通れるくらいの小さな鳥居だった。
祠もないところに宮中に向けて鳥居が立っているという。
さらに、昔は香茂家と阿倍野をつなぐ橋があり、阿倍野殿の代理をしていた祖母の橘はここからあやかしを召喚していたという。
「この鳥居の影の中に入ったら意外にいけるかもしれないでつね」
「もっと探検したい!ここの他も探そうよ!」
あっさり異界への道に繋がるだろうところを言い当てた野薔薇に不服な薫は抗議する。
「異界の中での探検の方が楽しいかもしれないでつよ!それに帰れる時間もわからないでつし早く入ってみませう!」
「野薔薇ちゃんは天性の方向音痴なのに何かを見つける感は鋭いよね。迷子にならないように目印があれば迷子にならないよね…」
「にーちゃん!ちがうよ!野薔薇は目的のものを見つけた後が帰って来れないんだよ、きっと!」
「そっか」
桂は薫の明快の答えに納得した。
(そしたら,目的の黒狐様を見つけたら帰って来れないってことじゃ……)
「二人とも私の悪口言ってないで早く来るでつ!」
野薔薇は地面に手だけ出して振る。
その様子に桂は驚愕する。
迷いなく入り込んでしまう野薔薇の行動力は知っているがいつも驚かされてしまうのだ。
「にーちゃん!早くいかなきゃ、野薔薇ともはぐれるぞ!」
薫は本能的に異界の仕組みを知っているのか、狐耳と尻尾を出して、金の瞳でこちらを見る。
「わ、わかったよ!」
桂は薫に引っ張られて影に足を踏み入れた。
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