あやかしと神様の子供たち

花咲蝶ちょ

文字の大きさ
上 下
31 / 56
高良の宝石

8☆普通の恋愛夫婦の一生♡エンド♡

しおりを挟む
 結婚式は和式と様式という盛大な結婚式を挙げた。
 ウェディングドレスも発注してお披露目し、橘や咲羅子さんも羨ましがるほどの豪勢な式を挙げた。

 美しいドレス姿のルビィをみて、橘は感激で瞳を輝かせて、
「ルーちゃん綺麗!素敵!ああっ!もうっ!私も、ドレス着たい!」
「かーさま!私も着たい!ドレス綺麗!」
 橘と威津那の娘の房菊も瞳を輝かせる。
 二人とも晴れ着は着物でドレスに憧れる。
「フーちゃんは、結婚させないから着せない……」
「ふぇ…」
 真剣に怖い顔して威津那殿は娘に意地悪というか本気の忠告をした。
 房菊は実の父にそんなこと言われて涙目になる。
 威津那殿の真意は誰にも娘をやりたくないという宣言だったようだ。
 そんな旦那の威津那に橘は腹に拳をあやかしの力で入れて制裁する。
「威津那さん!意地悪言わないの!てか、もう一度結婚式しましょうよ!私絶対に着たいもん!」
「相変わらず、子供みたいなわがまま言わないの!」
 橘は咲羅子さんに怒鳴られてしゅんとする。
「それにしても時代よねー…西洋式が普通になっちゃうなんて…」
 咲羅子さんは自分がドレスを着用したイメージをしてため息をつきつつ、
「まぁ、私は満足だけど、娘にはあのくらいやってあげなくちゃね?あなた?」
 季節殿を見て微笑む。
「そうだな……」
 やはり、季節殿は娘を送り出すことを想像すると複雑なようだった。
「はーい!撮るよ!こっち向いて!いいね!そのまま、にっこり!」
 威津那殿はカメラを撮ると興奮して性格が変わる。
 カメラマンを副業にしてもいいくらいだと思うほどだった。
 そして、オレたちの晴れ姿のフイルムがとんでもないことになるほど撮ってくれた。
 今や立派な陰陽寮職員になったとしてもカメラ好きの写真撮りまくり魔は健在だった。
 密かに、呪いとかに使われないことを祈るが……
 盛大な結婚式も終わり改めて、夜の静かになった初夜、夫婦として布団の前で向かい、改めてルビィに告白する。

「ルビィといると普通の人間になった気分になるよ…」
「え?どう言うことですか?」
 ルビィは首を傾げる。
「本来なら人の心を覗いて、伝わって、複雑な気持ちになることがあるんだ…」
 それが常だとして、慣れているはずだったが、好きになった女性の心や考えている事は覗けない、わからない伝わらない…むしろ自分の思いが伝わってしまう……
(最中に、心を伝えてしまうことは避けたい…)と真剣に思いつつ…

「でも、君の心を覗けない分、君をもっと知りたいと思うし大切にしたいと思う…」
 改めてルビィの瞳を見つめて真剣に告白する。
「わからないから互いのことを考えて、分かり合えたときに心がつながるんです……高良さんが私のことを考え思うように私もあなたの気持ちに寄り添います…それが夫婦になるという事ですもの……」
 ルビィはそう言ってオレの手を頬に触れさせて微笑んだ。
「その相手が君でよかった…」
 その夜は優しく慈しむように愛し合った……

 その後、娘の真陽と四年後に息子の瑠香が生まれる。

 常に陰陽寮勤めで家族夫婦生活の半分以上は一緒にいることが難しくても、心は一つで、定年してからもラブラブ夫婦で、子や孫やひ孫に羨ましがられる。

 互いにシワシワになった手を握る。
 いつまでも生きてそばにいたい……
 常にそう思えるほど幸せである。


 私の子や孫は稀に見る波乱な恋愛をしている。
 そんな息子や孫、ひ孫の恋愛を暖かく見守りながら改めてルビィとをして結婚したことを幸せだと確信する。

 大恋愛という心躍る冒険みたいな恋物語よりも、末永く幸せで共に一生を伴侶と過ごせる事が一番幸せなことなのだと改めておもう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

京都かくりよあやかし書房

西門 檀
キャラ文芸
迷い込んだ世界は、かつて現世の世界にあったという。 時が止まった明治の世界。 そこには、あやかしたちの営みが栄えていた。 人間の世界からこちらへと来てしまった、春しおりはあやかし書房でお世話になる。 イケメン店主と双子のおきつね書店員、ふしぎな町で出会うあやかしたちとのハートフルなお話。 ※2025年1月1日より本編start! だいたい毎日更新の予定です。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...