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あやかしと神様と子供たちの海水浴
9☆人魚のねぐら
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あやかしの異界のある場所が直感的にわかる野薔薇は、
人気のない海岸の岩場に野薔薇は香茂親子たちを案内する。
立ち入り禁止という訳では無い。
むしろ、砂浜に穏やかな波が打ち付ける。
静かな空間だが、生き物の気配がない。
人が無意識に避けている岩場だった。
《人魚から貰った鱗を少しずつかじっておくといいよ》
と、ルカの神が降りてきて瑠香にアドバイスをしたのでその通りにした。
《これで、異界に入る時に息が出来やすくなるからね》
ルカの神は重要な時はアドバイスをくれる。
いつもは事後報告だが今回は早めに、助言をくれた。
そして、宮中の瑠香の髪の依代に戻って行った。
晴房は面白そうなことが起こっている瑠香の家族の様子を羨ましがっていると思うと、海でのお土産を後で送ってやろうと瑠香は思った。
野薔薇は無言で自分に見える異界の入口であるシャボン玉の膜のような扉を見つけて手を伸ばして入れる事を確認して、
「私に続くでつよ!手は絶対に離しちゃダメでつよ?」
数珠繋ぎのようにお互いの手を固く握り最後尾に瑠香が着く。
シャボン玉の扉をくぐると岩場の風景ではなく突然海の中に入った。
髪の毛が水中になびく。
息は鱗のおかげで地上と同じく息ができるし喋れるようだ。
もし鱗をかじってなかったらと思うとゾッとする。
目の前には白く大きな巻貝の家があった。
扉はやはりシャボン玉のように透明な七色が揺らいでいた。
野薔薇は躊躇なく扉の中に入り香茂親子たちも続いて入った。
入ったそこは波の模様平面に淡く書かれて、貝殻やブルーのグラデーションの魚のイラストが書かれて、所々に淡く輝く貝殻や魚がかざられていてマリンデザインの女の子部屋のようだ。
部屋の真ん中に大きな真っ白いホタテ貝のベッドに人魚が横たわっていた。
「お邪魔しマース!」
葛葉子と子供たちは声を合わせて挨拶をする。
「ひゃっ!」
突然訪れた人間にびっくりして飛び起きた。
そして、勢い余って天井に頭をぶつけて頭を抱える一連の動作を見られて恥ずかしくなりながら、ゴホンと咳をして誤魔化して、
「良くぞ、我の異界に足を入れられたな……正直びっくりだ。異界に迷わず来られるとはな……」
現世に返したものの、どうやって落ち合うか考えていなかった。
とりあえず夜になれば来るかと思っていたが真昼の時間帯に直接ねぐらに現れるとは思ってもいなかった。
「普通の人間の家系じゃないからな」
瑠香は人魚の考えを常に覗いて、鼻で笑った。
野薔薇は現世では方向音痴だか、異界では的確に野薔薇の感は当たる。
さらに、瑠香の鼻の良さで的確に、人魚の匂いを辿れば百パーセントたどり着いた。
「約束通り来てやったんだから、さっさと要件を済ますぞ。」
瑠香は人魚の髪を引っ張って現世に連れていこうとする。
瑠香はあやかしにほんとに容赦がない。
「ちょっとまて、足を交換しないと我は消えるだろうが!」
人魚は、バタバタと体を暴れて瑠香の手から逃れようとする。
まるで鮭(人魚)を容赦なく咥えて話さない熊(瑠香)のようだなぁと葛葉子は思った。
「子供たち三人と一人か……」
とボソリといいながら、人魚は鱗をブチッと抜くと血が出た。
「……あ、僕はとーさんと一緒に人魚の想い人探すからいいよ。」
桂は可愛そうになって遠慮した。
「いいの?滅多にない経験だよ?」
葛葉子はびっくりする。
子供たちと絶対ありえない海で遊べる思い出を作れると思ったのに……と葛葉子は桂の意見をもう一度聞く。
「……経験よりも、早く父さんと一緒にその男の人を捕まえた方が、もっとかーさんといられるでしょ?」
と、誤魔化した。
桂も遊ぶつもりで来たのだけれどどうしても他人の痛みで遊ぶのは気が引けた。
「かーさんと一緒に海で遊ぶことも捨て難いけれど、約束を守らせることの方が大切だと思うから……」
そんな桂の心を読んだ瑠香は頭を撫でる。
見つけたら、うさぎのぬいぐるみで呼ぶからすぐに来るようにと確認して人魚の足になった葛葉子と鱗を飲んで人魚の足になった野薔薇と薫は滅多にできない海の世界を楽しむことにした。
人魚は歩くのがおぼつかないのを瑠香と桂で支えると言うよりか連行するように逃げられないようにしっかりと捕まえて目的を達成するため真夏の現世に向かった。
人気のない海岸の岩場に野薔薇は香茂親子たちを案内する。
立ち入り禁止という訳では無い。
むしろ、砂浜に穏やかな波が打ち付ける。
静かな空間だが、生き物の気配がない。
人が無意識に避けている岩場だった。
《人魚から貰った鱗を少しずつかじっておくといいよ》
と、ルカの神が降りてきて瑠香にアドバイスをしたのでその通りにした。
《これで、異界に入る時に息が出来やすくなるからね》
ルカの神は重要な時はアドバイスをくれる。
いつもは事後報告だが今回は早めに、助言をくれた。
そして、宮中の瑠香の髪の依代に戻って行った。
晴房は面白そうなことが起こっている瑠香の家族の様子を羨ましがっていると思うと、海でのお土産を後で送ってやろうと瑠香は思った。
野薔薇は無言で自分に見える異界の入口であるシャボン玉の膜のような扉を見つけて手を伸ばして入れる事を確認して、
「私に続くでつよ!手は絶対に離しちゃダメでつよ?」
数珠繋ぎのようにお互いの手を固く握り最後尾に瑠香が着く。
シャボン玉の扉をくぐると岩場の風景ではなく突然海の中に入った。
髪の毛が水中になびく。
息は鱗のおかげで地上と同じく息ができるし喋れるようだ。
もし鱗をかじってなかったらと思うとゾッとする。
目の前には白く大きな巻貝の家があった。
扉はやはりシャボン玉のように透明な七色が揺らいでいた。
野薔薇は躊躇なく扉の中に入り香茂親子たちも続いて入った。
入ったそこは波の模様平面に淡く書かれて、貝殻やブルーのグラデーションの魚のイラストが書かれて、所々に淡く輝く貝殻や魚がかざられていてマリンデザインの女の子部屋のようだ。
部屋の真ん中に大きな真っ白いホタテ貝のベッドに人魚が横たわっていた。
「お邪魔しマース!」
葛葉子と子供たちは声を合わせて挨拶をする。
「ひゃっ!」
突然訪れた人間にびっくりして飛び起きた。
そして、勢い余って天井に頭をぶつけて頭を抱える一連の動作を見られて恥ずかしくなりながら、ゴホンと咳をして誤魔化して、
「良くぞ、我の異界に足を入れられたな……正直びっくりだ。異界に迷わず来られるとはな……」
現世に返したものの、どうやって落ち合うか考えていなかった。
とりあえず夜になれば来るかと思っていたが真昼の時間帯に直接ねぐらに現れるとは思ってもいなかった。
「普通の人間の家系じゃないからな」
瑠香は人魚の考えを常に覗いて、鼻で笑った。
野薔薇は現世では方向音痴だか、異界では的確に野薔薇の感は当たる。
さらに、瑠香の鼻の良さで的確に、人魚の匂いを辿れば百パーセントたどり着いた。
「約束通り来てやったんだから、さっさと要件を済ますぞ。」
瑠香は人魚の髪を引っ張って現世に連れていこうとする。
瑠香はあやかしにほんとに容赦がない。
「ちょっとまて、足を交換しないと我は消えるだろうが!」
人魚は、バタバタと体を暴れて瑠香の手から逃れようとする。
まるで鮭(人魚)を容赦なく咥えて話さない熊(瑠香)のようだなぁと葛葉子は思った。
「子供たち三人と一人か……」
とボソリといいながら、人魚は鱗をブチッと抜くと血が出た。
「……あ、僕はとーさんと一緒に人魚の想い人探すからいいよ。」
桂は可愛そうになって遠慮した。
「いいの?滅多にない経験だよ?」
葛葉子はびっくりする。
子供たちと絶対ありえない海で遊べる思い出を作れると思ったのに……と葛葉子は桂の意見をもう一度聞く。
「……経験よりも、早く父さんと一緒にその男の人を捕まえた方が、もっとかーさんといられるでしょ?」
と、誤魔化した。
桂も遊ぶつもりで来たのだけれどどうしても他人の痛みで遊ぶのは気が引けた。
「かーさんと一緒に海で遊ぶことも捨て難いけれど、約束を守らせることの方が大切だと思うから……」
そんな桂の心を読んだ瑠香は頭を撫でる。
見つけたら、うさぎのぬいぐるみで呼ぶからすぐに来るようにと確認して人魚の足になった葛葉子と鱗を飲んで人魚の足になった野薔薇と薫は滅多にできない海の世界を楽しむことにした。
人魚は歩くのがおぼつかないのを瑠香と桂で支えると言うよりか連行するように逃げられないようにしっかりと捕まえて目的を達成するため真夏の現世に向かった。
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