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祈り姫とハルカの神
法子と瑠香
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白狐は時たま耳としっぽの生えた人間のようなあやかしの姿となって、法子内親王と触れ合う事があった。
今日は狐の姿だった。
「お主は葛葉子ともうすのか。素敵な名じゃの」
「お褒めいただき有りがたき幸せ」
狐の姿で法子に撫でられる。
幼い祈り姫法子内親王は御霊を見ることも触ることもできた。
それは法子が生まれながらにして『祈り姫』と決定されている宿命と父である中務の宮東親王殿下は阿闍梨の魂を持ち不思議な力を持っている影響もある。
元祈り姫で、中務の宮妃春子女王殿下も魂や神を見る力を持っていた。
この白狐は祈る思いの魂とは違い、彷徨っているわけではないみたいだ。
皇族を守る誓いをした魂だから、現世に留まり縁結びの神の使いをしているらしい。
そして、ルカの神の化身とされた香茂瑠香の妻だということを知った。
生まれながら不思議な能力を持つ法子は神々が人として集まる陰陽寮にしばしば遊びにいき晴房や瑠香に遊んでもらっていた。
それは、能力を人としてまである程度下げるためでもあった。
皇族として神と同じ様な力を持つのは神々に『祈りを捧げる祈り姫』になるにはいささか不都合だった。
神が神に祈るのではなく人が神に国民の幸せを祈り願うことこそ日和国を治める『祝皇』であり、人々の祈りを受けとり国と世界に幸せを巡らせる『祈り姫』なのだ。
そして、ハルの神とルカの神は法子の余りある能力を触れ合うことによって封じることをしていた。
だが、ルカの神はいつも悲しそうな辛そうな顔しか見たことがなかった…
その理由を葛葉子から聞いたのだった。
☆☆☆
法子殿下も桂も薫もどうやら葛葉子の御霊を見ることができるらしい…
どうして、自分だけ見えないのか…不服だ。
ワザとか?
と内心イライラしていた。
法子が瑠香のそばに座り、
「葛葉子がいうには、ルカは品が高くて見えないらしいぞ。」
と言った。
「品が高くてみえない…ですか?本当ですか?」
「わ、私を疑うのか?」
なぜだか法子は焦る。
「いえ、そういう訳ではございません。申し訳ありません…」
深々と頭を下げて謝る。
幼子の法子殿下が深い意味もわかるはずもないからちょっと意地悪してしまった。
それは納得した。
葛葉子を亡くしたあと、性欲が消えてしまった。
自分の性欲は葛葉子のみだった。
魂から宿命で結ばれていて、愛してると言えない分、結婚して狂おしいほど寿命が来るまで愛しあった。
あの二人以上作ったら葛葉子との時間がなくなると思って作らなかった。
葛葉子を抱かないと落ち着かなかった。
それほど愛していた。
急いていた…
命短い妻だから……
最後まで愛し合いたかったから…
「それに、愛しの息子たちに、暴言を言った事も許せないらしいぞっ!」
それが葛葉子の本心らしい。
確かにあれは反省すべきものだった。
怒った葛葉子は頑として姿を見せないだけかもしれないと思ってもいた。
それとも、夫である自分に現では見えないルールでもあるのだろうか…ジジ様は妻の瑠花をみれなかった…
ジジ様が亡くなったときはルカの神が共に天へ行ったと言っていた。
だが、品を落とせば葛葉子を見る事が出来るというのならば、好きでもない適当な女を抱いてみるか……
想像する。
好きでもない女を抱いてる最中葛葉子に会えたとしても会いたくない!
それだけは嫌だっ!絶対に!
「法子様ありがとうございます。」
瑠香は法子内親王に向き直り深々と頭を下げる。
そして顔を上げて法子に瞳を合わせて、
「その狐を使いにしてもかまいませんよ。
きっと快く命令をきいてくれます。」
とても爽やかに美しく笑った瑠香を始めて見た。
葛葉子がいうように品が高い神だと思った。
☆☆☆
「このごろ、葛葉子がみえるのだか……」
別に構わないけれど、一応神なのに幽霊でもある御霊みるのはいかがなものだろうか?
と晴房は瑠香に相談した。
「……おまえ、品がなくなったんだよ。雪さんといい思いしてるから。」
さらに葛葉子が見えるなんて羨ましい。
「神失格だな、このスケベが」
意地悪く微笑んで言ってやる。
「スケベは男の嗜みだって昔おまえ、言ってただろ?」
ビシリと、檜扇を瑠香に指し言う。
「……そんなことだけ良く覚えてるな……」
と瑠香は苦笑した。
葛葉子は自分に姿を現さないだけで、皇室を寿ぎ息子たちに見える。
法子殿下にもハルにも。
だけど自分だけ見えない。
(最大限のごとく意地悪だな…)
と苦笑する。
でも、いつか天寿を全うした時に迎えに来てくれると瑠香は信じて日々を慎ましくいきるのだった。
今日は狐の姿だった。
「お主は葛葉子ともうすのか。素敵な名じゃの」
「お褒めいただき有りがたき幸せ」
狐の姿で法子に撫でられる。
幼い祈り姫法子内親王は御霊を見ることも触ることもできた。
それは法子が生まれながらにして『祈り姫』と決定されている宿命と父である中務の宮東親王殿下は阿闍梨の魂を持ち不思議な力を持っている影響もある。
元祈り姫で、中務の宮妃春子女王殿下も魂や神を見る力を持っていた。
この白狐は祈る思いの魂とは違い、彷徨っているわけではないみたいだ。
皇族を守る誓いをした魂だから、現世に留まり縁結びの神の使いをしているらしい。
そして、ルカの神の化身とされた香茂瑠香の妻だということを知った。
生まれながら不思議な能力を持つ法子は神々が人として集まる陰陽寮にしばしば遊びにいき晴房や瑠香に遊んでもらっていた。
それは、能力を人としてまである程度下げるためでもあった。
皇族として神と同じ様な力を持つのは神々に『祈りを捧げる祈り姫』になるにはいささか不都合だった。
神が神に祈るのではなく人が神に国民の幸せを祈り願うことこそ日和国を治める『祝皇』であり、人々の祈りを受けとり国と世界に幸せを巡らせる『祈り姫』なのだ。
そして、ハルの神とルカの神は法子の余りある能力を触れ合うことによって封じることをしていた。
だが、ルカの神はいつも悲しそうな辛そうな顔しか見たことがなかった…
その理由を葛葉子から聞いたのだった。
☆☆☆
法子殿下も桂も薫もどうやら葛葉子の御霊を見ることができるらしい…
どうして、自分だけ見えないのか…不服だ。
ワザとか?
と内心イライラしていた。
法子が瑠香のそばに座り、
「葛葉子がいうには、ルカは品が高くて見えないらしいぞ。」
と言った。
「品が高くてみえない…ですか?本当ですか?」
「わ、私を疑うのか?」
なぜだか法子は焦る。
「いえ、そういう訳ではございません。申し訳ありません…」
深々と頭を下げて謝る。
幼子の法子殿下が深い意味もわかるはずもないからちょっと意地悪してしまった。
それは納得した。
葛葉子を亡くしたあと、性欲が消えてしまった。
自分の性欲は葛葉子のみだった。
魂から宿命で結ばれていて、愛してると言えない分、結婚して狂おしいほど寿命が来るまで愛しあった。
あの二人以上作ったら葛葉子との時間がなくなると思って作らなかった。
葛葉子を抱かないと落ち着かなかった。
それほど愛していた。
急いていた…
命短い妻だから……
最後まで愛し合いたかったから…
「それに、愛しの息子たちに、暴言を言った事も許せないらしいぞっ!」
それが葛葉子の本心らしい。
確かにあれは反省すべきものだった。
怒った葛葉子は頑として姿を見せないだけかもしれないと思ってもいた。
それとも、夫である自分に現では見えないルールでもあるのだろうか…ジジ様は妻の瑠花をみれなかった…
ジジ様が亡くなったときはルカの神が共に天へ行ったと言っていた。
だが、品を落とせば葛葉子を見る事が出来るというのならば、好きでもない適当な女を抱いてみるか……
想像する。
好きでもない女を抱いてる最中葛葉子に会えたとしても会いたくない!
それだけは嫌だっ!絶対に!
「法子様ありがとうございます。」
瑠香は法子内親王に向き直り深々と頭を下げる。
そして顔を上げて法子に瞳を合わせて、
「その狐を使いにしてもかまいませんよ。
きっと快く命令をきいてくれます。」
とても爽やかに美しく笑った瑠香を始めて見た。
葛葉子がいうように品が高い神だと思った。
☆☆☆
「このごろ、葛葉子がみえるのだか……」
別に構わないけれど、一応神なのに幽霊でもある御霊みるのはいかがなものだろうか?
と晴房は瑠香に相談した。
「……おまえ、品がなくなったんだよ。雪さんといい思いしてるから。」
さらに葛葉子が見えるなんて羨ましい。
「神失格だな、このスケベが」
意地悪く微笑んで言ってやる。
「スケベは男の嗜みだって昔おまえ、言ってただろ?」
ビシリと、檜扇を瑠香に指し言う。
「……そんなことだけ良く覚えてるな……」
と瑠香は苦笑した。
葛葉子は自分に姿を現さないだけで、皇室を寿ぎ息子たちに見える。
法子殿下にもハルにも。
だけど自分だけ見えない。
(最大限のごとく意地悪だな…)
と苦笑する。
でも、いつか天寿を全うした時に迎えに来てくれると瑠香は信じて日々を慎ましくいきるのだった。
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