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海
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「じいちゃん。今日も行くと?」
「そりゃ行くさ。魚ば獲らんと漁師とは言えんたい。一緒に来るや?」
「いや、オレは良か。だって潮風ベタベタするもん。海ってゴミばっかたい……。」
うちのじいちゃんは漁師だ。と言うか、先代からこの家系は漁師なのだ。当たり前のようにじいちゃんも漁師を継いだ。
そしてオレは海が嫌いだ。何故かって?ベタベタするから。あと日焼け凄いし。
「なんねその理由は……まぁ良かばい。」
「父ちゃんは?」
と じいちゃんが聞いてきたので
「また仕事ってばい。そげん無理せんちゃよかとに……」
父ちゃんは漁師は継がないとオレが小さい頃から口癖のように言っていた。それもじいちゃんの目の前で。その度じいちゃんは継げ継げと口うるさく言うのだ。嫌でも耳に入ってくるので、小さいながらオレも漁師を継がなくてはならないのか。と感じていたのだ。
父ちゃんは東京に出て 一人暮らしをしながら輸送会社の仕事をしている。デスクワーク……という訳にもいかず 荷物のチェックや運搬などの肉体作業を行っている。こっちの方は暑いが 東京はどうか知らない。でも暑いのは確かだ。
「ほーん、まぁ良い、父ちゃんも盆には帰るらしかけん。それまでもう少し辛抱や。じゃあ行ってくっけん。」
「はーい」
テレビの番組表を見ながらそう言った。別に父が帰ってくるのが嫌なわけじゃあない。ただ、中学生にもなってお父さんにベッタリだと流石にあれだから、歳に見合うような対応をしただけだ。
オレは夏休みの間だけじいちゃん家に泊まっている。そりゃそうだ。父ちゃんは仕事。母ちゃんは…………オレが小5の時 死んだ。当時は信じられなかった。
「にしても、田舎のテレビは何も面白かとの無い……」
寝転がりながら呆れ気味にそう呟く。お昼ご飯を食べ終わり 一服しようかと思ったがそれが田舎のため 家で観ていたいつもの番組が映らないのだ。どんだけ田舎なんだよ…………スマホは持っているが速度制限が来ているため使えないも同然。ゲームも無いしスマホゲームも出来ない。動画サイト?そんなもん観れるか……。
あまりに暇なので、少し散歩に出かけることにした。
山道を歩くのも考えたが、更に暑くなりそうなので海沿いの道を歩く事にした。
ふと海の遠くの方を見るとじいちゃんが漁みたいなのをしていた。オレは漁がどんなのか詳しくは知らないから、それっぽく見えただけだ。
「じいちゃんも父ちゃんも……よー動くねぇ……」
浜にあったテトラポットに登りそこに座る。そして海を眺める。遠くにじいちゃんの乗った船がある。
「海って 綺麗だな。」
思わずそう零した。
「そりゃ行くさ。魚ば獲らんと漁師とは言えんたい。一緒に来るや?」
「いや、オレは良か。だって潮風ベタベタするもん。海ってゴミばっかたい……。」
うちのじいちゃんは漁師だ。と言うか、先代からこの家系は漁師なのだ。当たり前のようにじいちゃんも漁師を継いだ。
そしてオレは海が嫌いだ。何故かって?ベタベタするから。あと日焼け凄いし。
「なんねその理由は……まぁ良かばい。」
「父ちゃんは?」
と じいちゃんが聞いてきたので
「また仕事ってばい。そげん無理せんちゃよかとに……」
父ちゃんは漁師は継がないとオレが小さい頃から口癖のように言っていた。それもじいちゃんの目の前で。その度じいちゃんは継げ継げと口うるさく言うのだ。嫌でも耳に入ってくるので、小さいながらオレも漁師を継がなくてはならないのか。と感じていたのだ。
父ちゃんは東京に出て 一人暮らしをしながら輸送会社の仕事をしている。デスクワーク……という訳にもいかず 荷物のチェックや運搬などの肉体作業を行っている。こっちの方は暑いが 東京はどうか知らない。でも暑いのは確かだ。
「ほーん、まぁ良い、父ちゃんも盆には帰るらしかけん。それまでもう少し辛抱や。じゃあ行ってくっけん。」
「はーい」
テレビの番組表を見ながらそう言った。別に父が帰ってくるのが嫌なわけじゃあない。ただ、中学生にもなってお父さんにベッタリだと流石にあれだから、歳に見合うような対応をしただけだ。
オレは夏休みの間だけじいちゃん家に泊まっている。そりゃそうだ。父ちゃんは仕事。母ちゃんは…………オレが小5の時 死んだ。当時は信じられなかった。
「にしても、田舎のテレビは何も面白かとの無い……」
寝転がりながら呆れ気味にそう呟く。お昼ご飯を食べ終わり 一服しようかと思ったがそれが田舎のため 家で観ていたいつもの番組が映らないのだ。どんだけ田舎なんだよ…………スマホは持っているが速度制限が来ているため使えないも同然。ゲームも無いしスマホゲームも出来ない。動画サイト?そんなもん観れるか……。
あまりに暇なので、少し散歩に出かけることにした。
山道を歩くのも考えたが、更に暑くなりそうなので海沿いの道を歩く事にした。
ふと海の遠くの方を見るとじいちゃんが漁みたいなのをしていた。オレは漁がどんなのか詳しくは知らないから、それっぽく見えただけだ。
「じいちゃんも父ちゃんも……よー動くねぇ……」
浜にあったテトラポットに登りそこに座る。そして海を眺める。遠くにじいちゃんの乗った船がある。
「海って 綺麗だな。」
思わずそう零した。
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