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「ねえ、リユイ。そもそもなんで俺三人も子ども産まなきゃいけないの?」
「四人でも、五人でも構いませんよ」
真顔でリユイは応える。
「増やすなよ」
夕食を食べさせられながら、俺はリユイに聞いた。

午後からは治療院で怪我をした人の治療を少しだけ手伝わせて貰った。
街の人だと何かあったら困る、と訓練で怪我をした軍部団の軍人さん相手だった。
4,5人の軍人さんの治療をしたけど、みんな俺を見ると「可愛い」「華奢すぎる」「尊い」「やばい…」と俺の世界のオタクのような語彙力を発揮した。
リユイが苦々しい顔で睨みつけると皆黙るんだけど俺が傷口に触れ傷を治すと「今日は風呂は入りません!」「今日どころか一生!」と皆が口走り、リユイに早々に追い出されてしまった。

なんだろう。
華奢と言われて少々傷つく。
ただの運動不足なだけなんだけどな。
歩かせて貰えるようになったのも今日からだし。
仕事終わったら筋トレしよう!


イメージと、『思い』で、怪我は綺麗に治って行った。
これから医学を学ぶ、医学のイの時も知らない学生がこんなことをしても良いのかと思わないこともないが、せっかくこんなことができる世界にいるのなら何事も経験だと思うことにした。
帰った時に何かの役に立つかもしれないしね。

「単純に考えて、一人では何があるかわかりませんよね」
「うん。まあ…」
確かにいくら王族とは言え病気なんかのリスク回避は100とはいかないし。
「じゃあ、二人ならどうでしょう?」
「良いんじゃない?こう言っちゃなんだけど、スペアもできるし」
「そうですけど、二人だと対立を生む可能性があります。『あいつさえいなければ俺が王だったのに』」
「三人なら?」
「三人以上なら蹴落とす相手が増えますし、自分が王になる確率も減りますので、そうなれば大抵『王を立ててみんなで国を盛り上げよう』となります」
「…一人ならともかく複数は殺すの面倒なんだね」
「まあそういう事ですね。なのでできるだけ多くの子を成す事を望まれますが最低でも三人は産んで頂きたいです。これは神子様に限ったことでは無く王族に課せられた使命のようなものです」
「じゃあ、王様も兄弟多いの?」
「そうですね、陛下は5人兄弟の一番上…ですね」
「ふーん。でもさ、その5人にはリユイは含まれていないんだろ?」
「私みたいな立場の物を含めたらもう少し、増えますね」
「…リユイ以外にもいるのか。前の王様ってすごかったんだね」
「まあ、先ほどの説明通りですよ。できるだけ血を分散させたかったんだと思います。一人では心許ない、二人では袂を分かつかも、では、三人、四人…と。王である重圧は私たちにはわかりませんから」
さて、と、リユイはフォークを持ち直す。
「次は何を召し上がりますか?」
「なんでもいいよ。よくわからないから」
異世界物の話の中で主人公がこっちの世界の食べ物が口に合わないと泣いていることがあったがおかげさまで俺にはそんなことは無かった。
なんだか和風に近い味付けの物のあったりするし。
風呂の件もあるから歴代の神子、聖女は日本人が多かったのかも。
ただ、料理は肉なのか、魚なのか、何なのかはよくわからないから、俺が好きな物、というより、リユイが食べさせたいもの…が口に運ばれる。
「お昼はピルシェを好んで召し上がられたとか?」
「あー、うん。俺の世界の『桃』っていう食べ物に似てておいしかったよ」
「良かったです」
果物は割と口に入れられる率が高い。
けど、そういう事まで引き継ぎがされているのか。
…王様も俺が『リンゴ』好きだって知ってたしな。
ふと、昼間王様に触れられた唇を這う指の感触を思い出す。
俺はそっと自分の唇を触った。

『神子、お前が孕むのは、私の子だよ』

王様が言った台詞にはどんな意味があったのか。
俺はチラリとリユイをみた。

リユイも俺をみて唇に置いた俺の指に手を添えてそのまま膝へと誘導した。

「な、何?」
「そのまま、指を食べてしまうのかと思いまして」
「しないし」
「まあ、指を食べるくらいでは死にませんが、そんなこと陛下の耳に入ったらまた手枷が復活します」
「う」
俺は膝の上で手をぎゅっと握った。
やっと自由になったのに、また枷をつけられるなんて、嫌だ。
「変な報告しないでよ」
「…もうしませんよ。神子様が不自由になる報告は」
「え?」
「いえ、早く食べましょう。明日も仕事ですよ」
「ああ」
俺はあーんと口を開けて、運ばれるよくわからない料理を食べた。

日に日に紋の花が開いていく。
実をいれてから10日たった頃、風呂と食事を終えた俺にリユイが言った。
「今日から数日おきに、診察を行いますので」
「診察?」
「はい。胎の生育の進行の確認と、陛下を受け入れる為の準備も兼ねます」
「それって…」

この世界のエロゲ仕様、その2、かな?
「触診…ってこと?」
「え?あ、まあ、そうですね」
なぜかリユイが赤くなって応える。
やる方が照れてたらやられる方はどうすればいいんだよ。
「ベッドに横になっていただけますか?」
掛け布団の上に横たわる。
リユイは足枷を片方外してくれた。
いや、外さないと触診できないから、だよね。

チュニックの裾をまくり上げて俺の下腹部辺りまで晒す。
紋はリユイには見えているだろう。
履いていた下着を…あれから毎日下着も履けるようになったんだよね…脱がされると、いつも通りのすっぽんぽん…
何度も言うけど、もう慣れたからいいけどさ。

他の人とあまり比べたこと無いから良くわからないけど、俺の下の毛はちょっと薄い気がする。
運動部の友人なんてこう、へそまでつながってたもんな…
俺のはこう、ぽやっとした感じでさ。
友達と比べるのは恥ずかしいなあと思っていたから見比べたことはない。
修学旅行は隠すように風呂に入った。

俺の俺自身はちょっと小さいかも…
これもまあ比べたことが…以下略

「随分蕾が膨れてきましたね」
下腹部の紋に触れながらリユイが言った。
「あ…」
昼間王様に触られた時みたいに甘い熱がじんわりと浮かぶ。

誰でもいいのかよ、俺。
恥ずかしくなって顔を手で覆うけど隙間からちらりとリユイをみても、なんにも読み取れない表情で俺の紋をなで、俺の膝を立てさせると太ももを開く。
「中からの確認と、準備をします。この前儀式の時に私がやったことを覚えていますか?」
「う、うん」
「同じ事です。次の交配の儀式で神子様が痛くないように慣らしていきます」

リユイが小さく呪文を唱えるとお尻の中が少しヒヤッとした。
「浄化の魔法です」
あー、そうなんだ。
儀式の時は気づかなかったけどやっぱりされてたのかな。
まあそうだよね、そのまま触ると不衛生だし。

リユイは手の平に瓶から香油を垂らした。
バラみたいな良い匂いがする。
「神子様、痛かったら言ってくださいね」
リユイの手で温められた香油が俺のお尻の穴に垂らされる。
「あ…」
その感じたことの無い感覚に俺は小さく声を上げた。
「大丈夫ですか?」
リユイが心配そうな声で尋ねる。
俺はもう恥ずかしくてリユイの顔なんて見れないからそのまま手で顔を覆っていた。
「う、うん。ごめん」
変な声聞かせちゃって。
「どうして謝るんですか?」
「変な声挙げちゃったから」
「…お可愛らしいですよ。遠慮はなさらないでください」
男の喘ぎ声聞いて何がお可愛らしいのかわからないけど、リユイの声は明らかに楽しんでいるような声に変わっていた。

くちゅりと水音を立ててリユイの指が俺の中に入った。
その入り口を何回もこすって少しずつ広げているようだ。
「痛くないですか?」
「うん、大丈夫…」
痛…くは無いけど、気持ちいい訳でもない。
ん?気持ちいい?
俺、何考えてんだろ。

何回か香油をつぎ足され、入り口を広げられ少しずつ奥にリユイの指が侵入する。
「あ!」
と、リユイの指が俺の中の一点に触れると、びりっと甘いしびれが下半身を指先まで駆け抜けた。
「あ、今・・・の?」
もしかして、前立腺ってやつ…なのかな。
しびれは俺自身も刺激し、ゆるっと立ち上がる。
「神子様の良いところはここですね。陛下に伝えておかなければ」
「…そんなのまで引き継ぎしなくても」
「それが私の仕事ですから」
俺に関する情報共有は果物の好みくらいにしてくれないかなあ…

前立腺の位置を覚えたリユイの指はくちゅくちゅと俺の中を責め立てていく。
「あ、あ…ああ…」
膝を立てておく力がなくなり、俺はだらりと足を伸ばした。
「初めてで、中だけでイクのは無理かと思いますので、お手伝いをしますね」
「え?」
「…胎はきちんと育っているようです。神子様の快感が胎の良い栄養となりますので」
なんの、だから、そのエロゲ設定は!

リユイは香油を俺の息子にかけると、手で優しく包み込み上下に擦り始めた。
もちろんもう片手は俺の前立腺を刺激している。

リユイが前立腺を摩る度に息子にしびれが走り、ドクドクと脈を打つのが早くなるのがわかる。
すると、リユイの手の動きが早くなった。

「あ、あ…ああ、リユイ…イッちゃう…」
顔を覆っていた手を俺は外し、快感を少しでも逃すためにシーツをぎゅっと掴んだ。
「ええ、」

容赦ない前立腺への刺激と、息子への刺激で。
童貞の18歳はあっけなく、精を吐き出した。

「お上手です。気持ち良かったですか?」

俺ははあはあと肩で息をしながらリユイを見上げた。
「儀式当日は陛下が与えてくださる中の刺激だけで達することになると思います。次からはそちらを徐々に練習しましょう」
香油にまみれた指を浴布で拭きながら呪文を唱え、俺へも浄化の呪文をかけながらリユイは言った。
「・・・お、俺もイカなきゃだめなの?」
「先ほど申し上げましたでしょう?神子様の快感が、胎の…受精後はお子様への栄養です、と」

そうでした。
エロゲ設定でした。

リユイは俺に下着を履かせるとチュニックの裾を直してくれて、でもきっちり足枷もつけて俺の閨を整えた。

「神子様の可愛らしいお姿を見れるのは役得です」
リユイは薄く笑う。
「…可愛いって…」
俺は恥ずかしくなって布団に潜り込んだ。

ふふっとリユイがさらに笑った気配がしたけど、俺はもう無視してそのまま眠ってしまった。
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