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2021年9月初旬誕生 夏の終わり

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 連日30度を超える夏日が永遠に続くのではと思われた8月が終わると、一転して寒さを感じる。そんな2021年9月初旬の夏の終わりを感じる季節、僕も突然この世に放り出された。

 東京オリンピックは一年遅れて開催された。
 この世界は今、世界的なDフィーバーの真盛りだ。

 生まれてすぐにママからは引き離され、保育室に寝泊まりしている。パパはガラス窓越しにしか僕を見ることは出来ない。

 けど、僕は直ぐにママの隣に寝ることは出来た。ママは「カワイイ!」と僕を見て言ってくれた。僕のこんな皺くちゃな姿はどう見てもカワイイとは言えないと僕は思うんだけど。スマホで写真を撮ってジィージやケイちゃんにも送ってくれた。ケイちゃんとはバァーバァのことだ。バァーバァが怒るからバァーバァと呼んでは行けない。

 他にもトモちゃん、ナオちゃんと僕を祝ってくれる身近な人が沢山いるけど、今はDフィーバーでぼくの生まれた総合病院には会いに来ることは出来ないらしい。

 ママのおっぱいは甘くて美味しい。僕はいつも夢中でほうばる。飲みたい~と言う言葉がどうもこの世界では違うらしいが、いつも「あらあら、泣いてる」と言っては僕にたくさんのミルクをくれる。

 ママと保育室を往復する毎日が1週間ほど経過すると、ようやく僕はパパに抱っこしてもらうことができた。

この窮屈な川沿いにある大きな病院ともおさらばだ。僕の家はこの病院の反対側にある。ウォーターフロントの小さな赤い家が僕の家だ。

 9月の1月の間は僕は長江喩え武漢の街の中心地にあるジィージの家でママと一緒に過ごす。

 2021年11月、またしても変容の兆しが。今度はOフィバーになりそうだ。2022年以降も、まだまだこのフィバーは続くのだろう。
 



 

 

 
 

 
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