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第四章 王立学院中等部三年生
238 甘いくちどけとトキメキ①
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Side:アシェル14歳 夏
社交界シーズンの始まりを告げるデイパーティーの翌日。
アシェルは朝から、女物の夏制服に袖を通していた。
白の半袖ブラウスの袖には紺色のカフス、紺色ロングスカート、ボルドーカラーの編み上げコルセットに、首元には中等部三年生を示す青色のリボンをつけ、足元はショート丈の編み上げブーツという出で立ちだ。
冬物だと長袖ブラウスになり、上に肘上までのポンチョを羽織ることになる。
コルセットの編み上げは前にあるので、一人でも着替えが出来るデザインだ。
「ねぇ、ベル。ベストはむりでも、ベルトくらい……。」
「シルエットが崩れるので駄目です。レッグホルスターで我慢してください。」
「……落ち着かないわ。」
「どうせマナポーション以外は、今はお飲みになれないでしょう?レッグホルスターだけで十分です。」
「そうなんだけど……。」
食事が摂れなくなってからも、ベスト型ホルスターにはいつものラインナップを装着していたのだ。
確かにアシェルのストレージに各種薬剤の在庫は入っているが、咄嗟に使える位置にないというのはどうにも落ち着かない。
昨日のパーティーでゼリーが食べれたので、朝ご飯は試験的にゼリーが出てきた。
このまま少しずつ食欲が回復してくれないものかと思いながら、朝の分の解熱剤と胃薬、そして栄養剤の錠剤を流し込む。
「登校はどうされますか?そろそろいつもの時間ですが……。」
三年生になってから、毎朝アークエイドとムーラン、モーリスと登校していた。
ムーランがアークエイドの部屋に泊まるようになってからは、合流もスムーズだった。
「言ったでしょ。昨日喧嘩したって。今日も明日からも、少し遅めに出るわ。」
「かしこまりました。もしお迎えがいらしても、お断りしておきますね。」
「うん、お願い。」
いつもの時間になっても現れないアシェルを心配して、モーリスが訪室してくれたようだがイザベルが上手く対応してくれた。
明日からも迎えは不要だと告げて。
結局ホームルームが始まるギリギリに登校する。
擦れ違う生徒達の視線が刺さるが、噂を確認するための興味本位という視線だ。
嫌な感じはしなかった。
教室に入れば視線が集まるのが分かるが、無視して幼馴染たちの座る場所へ直行する。
最近は少し隣に座っているアークエイドとムーランの後ろに座っていたので、幼馴染たちと朝一緒に座るのも久しぶりだ。
とはいえ、今しているようにマリクのモフモフタイムは健在だったのだが。
「おはよう、アシェ。遅かったのね。エトとノアから、昨日熱を出してたみたいって聞いて心配していたのよ。っていうか、こっちで良いの?」
「おはよう、皆。大したことなかったし、もう平気よ。人が多かったし発表もあったから、少し気疲れしちゃったみたいなの。ちょっと二人とは昨日喧嘩しちゃってね。はぁ……やっぱりマリクのモフモフは癒されるわね。」
「アシェは撫でるのじょーずだから好きー。でも、お胸が邪魔だねー。」
「わたくしもマリクを撫でるのが好きよ。それはわたくしも邪魔だと思ってるわ。コレが無かったら、ベストを着れたかもしれないのに。」
はぁと溜息を吐いたアシェルに、イザベルがチクリと釘をさす。
「アシェルお嬢様……。女性の制服を着てベストやベルトを装着するのは、体型の件が無くても許しませんわよ。」
「うぅ……だって、落ち着かないんだもの。……明日からは着けても良いかしら?」
「胸潰しは無しだと言っていますでしょう。許可できてもベルトまでですわ。」
「ベストが良い……。」
「駄目です。シルエットが崩れますので。」
「うぅ……ベルのケチ。」
「なんとでもおっしゃってくださいませ。許可が出ることはありませんので。」
明日からの装いに敗北したアシェルに、幼馴染たちは苦笑する。
「なんていうか、アシェのスカートは違和感あるけど、アシェはアシェだな。」
「分かっていても、頭の中で情報が噛み合わないな。」
「そうかな?昨日のドレスもだけど、見慣れればとても良く似合ってると思うよ。」
「昨日のアシェはめっちゃ綺麗だったんだろ?俺もノアと一緒にデビューしとくべきだったかな。俺もエトやデュークと一緒で、違和感の方がすげぇ。」
「どんなかっこーでもアシェはアシェだよー。」
ぐりぐりとマリクの頭が押し付けられ、モフモフタイムの終了を告げられる。
そのタイミングで担任のクライスが入ってきて、ホームルームが始まる。
ちらりとアークエイドを確認すると相変わらずムーランは定位置に居て、最近ではほとんどつけていなかった眼鏡を付けていた。
昨日のパーティーの時同様、眼鏡には弱めの認識阻害がかかっているようで、サファイアブルーの瞳に抱く色は分からない。
昨日熱があったことがバレたかどうかを確認したかったのだが、聞こえていなかったと思っても良いだろうか。
相変わらず挨拶だけで何も伝達事項のないホームルームが終わり、月曜日の一限目である体術の授業の為に第二演習場へ移動した。
更衣室で着替えて、演習場に出る。
体操服である軍服もどきも、アシェルの体型に合わせたものに変わっていた。
胸を保護するためか、揺れて痛くならないようにか。
運動着の下にかっちりとした革の胸当てを着けている。
「流石に運動着だと違和感が凄いな……。シオンから少しだけ事情は聞いてる。アークは俺かトワが対応するから、アシェは気にするな。」
「ありがとう、デューク。」
相変わらず人見知りで受け答えがイマイチなアークエイドは、体術の時間にも関わらず眼鏡をかけたままだ。
確かに中等部一年生の頃は毎日眼鏡をかけていたが、それでも剣術の運動の際は外していた。
そこまでして顔色を窺われたくないのかと思ってしまう。
エラートも気付いたようで、「眼鏡外さねぇの?」と絡みに行っていたが、「気にするな。」のひと言で会話は終了していた。
今日も型の訓練が終わった者から、各自手合わせが始まる。
最近のアシェルは、武術の時間は幼馴染たちと手合わせをするだけで終了していた。
栄養が足りてないせいか、剣術よりも体術の方が特に身体への負担が大きく感じるのだ。
今日も真っ先にエラートと手合わせするが、去年のような手応えは全くない。
ぐらりと重心が傾いたところで、エラートに投げ飛ばされた。
「……悔しい……。」
エラートの手を取って立ち上がりながら感想を口にすれば、苦笑される。
「今までと身体のバランスも違うだろうし、馴染むまで仕方ねぇだろ。その状態で良く付いてこれてるよ。ただ……今日はもう休んだ方が良いぜ?まだあんまり体調良くねぇんだろ?」
「流石に手合わせしたらバレるか。」
「当たり前だ。どんだけ今まで手合わせしてきてると思ってんだよ。薬は飲んでんのか?」
「うん。液体は無理だから、実家で錠剤貰ってきた。だから熱は上がってないと思うよ。昨日より、かなり体調は良くなったし。」
休憩場所になっているベンチに腰掛けて、水分補給する。
少しずつ食べれるものが増えてきたあたりから、持ち込んでいる水分はレモンの香りがするものだ。
時々リンゴやイチゴの香りがするものもあるので、イザベルが手を変え品を変え果実水を作ってくれているようだ。食事の時に飲む果実水よりも味は薄く、本当に香りづけという感じだ。
「なら良いんだけどよ。ファンクラブイベントは明日からでも良いんじゃねぇのか?」
「あれ……エトも知ってるの?……【シーズンズ】に入ったの?」
「んなわけねぇだろ。そういうイベントをやるって、リリィから聞いたんだよ。」
「あぁ、なるほど。別に人に移しちゃうような病気じゃないし、宣言通り今日からやるよ。といっても、男じゃない僕が相手じゃ、本当にイベントとして機能するか分かんないけどね。」
「まぁ、アシェは男前だし、それでもって令嬢も多いんじゃねぇの?少なくとも昨日のパーティー会場に居たそれっぽいご令嬢達は、盛り上がりこそすれって感じだったぞ。」
「皆ブレないなぁ……。むしろ、新しいネタに歓喜されてそうな気がする。ユーリ先輩たちがそうだったから。」
「ははっ、違いねぇ。お、皆戻ってくるな。」
いつもなら大体初回の手合わせは皆同じ頃合いに終わるのだが、今日はアシェルが早々に負けてしまった。
マリクだけは二回戦終えてから戻ってきている。
「流石にもう暑いな。リリィはこっちの夏は過ごしやすいって言うけど、全く共感できないよ。」
「お疲れ、デューク。まぁ、日本は湿度が高いから、もっと不快感も暑さも感じるんだよね。気温は変わらなくても、湿度が低いだけでこんなに変わるんだなって感じだよ。」
「アシェー落ち着いたら手合わせしよー。」
身体を動かしてご機嫌で撫でろと要求してくるマリクを撫でていると、エトワールがげんなりとした顔で呟く。
「俺はマリクをモフってるほうが、暑そうに見える。」
「そう?トワも撫でたら良いのに。気持ち良いよ?」
「撫でるー?」
「撫でないからっ。俺は暑いんだよっ。」
「こんなに気持ち良いのに。あ、マリク。今日は手合わせしなくてもいい?昨日のパーティーで疲れちゃったみたいで、今日はもうゆっくりしてようかなって。マリクの動きについていけないどころか、多分動きに目が付いていかないと思うんだよね。」
「そーなの?でも、仕方ないかー。パーティーって疲れるもんねー。デビューしたくないなー。」
「ちゃんとメルのお披露目してあげてね?来年か再来年にはマリクにもデビューしてもらわないと、お父様たちが怒るかもしれないよ。」
「うー。それは困るー。」
「どっちでも良いけど、メルと相談して決めてね。」
「分かったー。じゃーエト、俺と手合わせしよー。」
本日二回目のモフモフタイムを終え、マリクはエラートと一緒に演習場の中央へと戻っていく。
「……アシェ。疲れてるのか?」
「えっ、あ、うん。どうして?」
不意にアークエイドから話しかけられて驚く。
ムーランたちが来てからというもの、あまり直接言葉のやり取りはしていなかった。
それこそ手合わせの仲介やちょっとした会話程度で、今のように座る場所ですら少し距離を取られている。
そんなアークエイドが立ち上がって近寄ってきたと思ったら、『ストレージ』から取り出した何かを手渡された。
「これは……魔道具?」
「目元を温める魔道具だ。少しは目の疲れが取れる。社交界は華やかな分疲れやすい。やるから使え。」
マリクの動きに目が付いていかないと言ったので、疲れ目対策にこの魔道具をくれたらしい。
確かにパーティーは華やかで目がチカチカするが、アシェルの目がついていかなくなっているのは、最近の疲れからだと自覚している。
だが、善意からの申し出なのでありがたく受け取っておく。
「ありがとう。早速使ってみても良い?」
「……今か?それは視界を塞ぐから、寝る前とかの方が良いぞ。」
魔道具の眼鏡のせいで詳しい表情は見えないが、アークエイドの声は困惑している。
「僕が観ようと思えば、視覚情報より沢山の情報を得れることは知ってるでしょ?視界の確保が出来てるかどうかなんて、些細なことだよ。」
「そう言えばそうだったな。俺も次の相手と手合わせに行ってくる。……無理はするな。」
それだけ言い残して、アークエイドはさっさとベンチを後にする。
誰も幼馴染が付いていないのだが、目星を付けている相手に自分から申し込みでもするのだろうか。
と思ったら、単純に真っ先に声をかけてきた相手を捕まえたようだ。
「……今更心配してくれなくても良いのに……。」
厚意はありがたく思っても、喜べばいいのか悲しめば良いのか分からない。
いっそのこと、突き放したままでいてくれる方が割り切れるのに。
渡された魔道具は、目元に乗せて使うようだ。
VRゴーグルや、目元の美容用品としてこんな感じのものが電器屋に並んでいたなと思う。
薫には縁のなかった類のものだ。
その分厚いゴーグルを目元に装着して魔力を流すと、ポカポカと温まる。
さらに何か弾力のある物が、目元をマッサージしてくれる。
確かにコレは目の疲れが取れそうだ。
「思ったより気持ち良いかも。」
「良かったじゃん。俺かデュークが傍に居るから、無理に周り観てなくて良いぞ?アークの護衛も居るんだろ?」
「うん、アークを任せても大丈夫な近衛が一人ついてる。……お言葉に甘えようかな。」
「ずっと観っぱなしなんだ。たまには良いんじゃないのか?僕も警戒しとくから、ゆっくりして。」
「ありがとう。」
エトワールとデュークの厚意に甘えて、朝から使っている探査魔法を切ってしまう。
不安が無いと言えば嘘になるが、授業中は襲撃の対象になっていた三人がばらけていることが多い。特に武術は被らないので、確実にこの時間はばらけている。
アビゲイルは最上級生なので、さらに場所が被る可能性は低くなる。
時々ダニエルに夜間の状況を聞いているが、あれ以来夜間の襲撃は無く静かなものらしい。
かなり大き目の暗殺組織だったようなので、あれで打ち止めなのか。
それともまた新しい組織が、大海を越えてやってくるまでのタイムラグなのかどうかは分からない。
警戒を緩めるわけにはいかないが、それでも少し平和な時間だ。
前世ではホットアイピローの使い捨てみたいな商品もあったし、夜寝る前に使ってみるのも良いかもしれない。
熟睡とまではいかなくても、疲れが取れそうだ。
7月初旬とはいえ梅雨もなくカラッとした気候なため、晴天の日はとてもお昼寝日和だ。
視界が暗くなり、余計な情報が無くなった。その上このマッサージ器はとても気持ちいい。
こくっこくっと船を漕いでいるとデュークの声がする。
「眠たいなら寝てていいぞ。昨日熱を出してたならなおさらだ。」
「そーそー。どうせあと一時間ちょい授業はあるしさ。このベンチって基本俺達が居るから他のヤツ来ないし、横になってたらどうだ?」
「んー……でもそうなると、二人が手合わせに行けないでしょ?」
「エトたちと交代すれば良いだけだ。必修じゃないから、少しサボってても先生も何も言わないしな。」
「じゃあ、少し横になろうかな……首痛くなりそうだし。」
確か耳元についていたボタンを押して、魔力の供給を止める。
一旦マッサージ器を外せば、太陽光が眩しく感じた。
ベンチに横になり、いそいそとマッサージ器を再装着する。
試しにボタンを押してみれば、残っている魔力があればボタンだけでも開始できるようだ。
止めて魔力を流せば、それでも動き始める。
とても使い勝手のいいシステムのようだ。
このマッサージをしてくれるムニムニの素材も気になるし、魔力消費量と稼働時間の兼ね合いも気にかかる。
アシェルにくれたものなので、少しくらい詳しく調べてみても良いだろうか。
モーリスに貰った辞書のような術式の本を見ながら、どんな術式が使われているのか考えるだけでも時間を潰せそうだ。
——物音に耳を傾けるだけの夜は長すぎる。
「そんなに気持ち良いのか、それ?ノアに結婚祝いでプレゼントしたら、喜んでくれるかな?」
「すっごく気持ちいいよ。温かいし、なんかマッサージしてくれてるし。ノアはデビューしたし、これからパーティーに出ることが増えるだろうから……。そういうのって前倒しじゃダメなのかな?早い方が喜ばれそう。」
「確かに。王都に居る間の方が使う頻度高そうだよなぁ。アビー様と一緒に色々参加しないといけなさそうだし。んー……前倒しで良いのか両親に相談してみるかな。で、買える場所はアークだな。」
「だね。貰いものでなんだけど、とりあえずすっごくおすすめ。久しぶりに心躍る魔道具に出会えたなって思う。」
横になったまま嬉しそうに口元を綻ばせたアシェルに、二人は苦笑する。
この口ぶりは魔道具の使い心地よりも、仕組みや使われている素材に興味を惹かれていそうだ。
「あれー。アシェおやすみー?」
「身体しんどいのか?ってかそれは?」
手合わせを終えたエラートとマリクが帰ってきたようだ。
「さっきアークがくれたんだよ。パーティーで疲れたならって。」
エラートとマリクは納得したようで、デュークと話して交代することにしたようだ。
アシェルが眠たそうだという話まで、しっかり伝わってしまった。
「……みんなごめんね。」
「良いって。少し楽にしとけ。授業が終わる頃に声かけてやるから。」
「そーそー。アシェが観てなくても、俺なら鼻で分かるしねー。」
確かにアシェルが魔力を使わなくては観れないものも、マリクなら匂いで判断してしまう。
優しい幼馴染達の言葉に、眠れそうなら寝てしまおうと思う。
眠れないとしても、少しは身体が休まるだろうと。
アシェルの邪魔にならないように静かにしてくれているようで、演習場で手合わせをしている人たちの喧騒だけが響いてくる。
夜とは違うその喧騒が、少し心地いい。
どれくらいうとうととしていただろうか。
やっぱりうとうとは出来ても、悪夢を見たような気がして目が覚めてしまう。
不意に額にひんやりとした手が触れる。
離れたと思ったら、程なくして冷たいタオルが乗せられた。
濡らした上に、少し凍らせてくれているようだ。
その冷たさが心地よくて、身体を動かしたせいで熱がぶり返してきているのだろうかと思う。
もう体内魔力の反応は無いし、着替える時にでも解熱剤を飲んだ方が良いかもしれない。
「……気持ち良い……ありがとう。」
手合わせで体調の悪さに気付いていたし、昨日熱を出したことも知っていた。
エラートだろうと当たりを付けてお礼を言えば、ポンポンと軽く頭を叩かれ、手が離れていく。
凍らせるのはマリクがしてくれたのだろうか。
その冷たい優しさのお陰か、少しだけ寝入ることが出来たのだった。
社交界シーズンの始まりを告げるデイパーティーの翌日。
アシェルは朝から、女物の夏制服に袖を通していた。
白の半袖ブラウスの袖には紺色のカフス、紺色ロングスカート、ボルドーカラーの編み上げコルセットに、首元には中等部三年生を示す青色のリボンをつけ、足元はショート丈の編み上げブーツという出で立ちだ。
冬物だと長袖ブラウスになり、上に肘上までのポンチョを羽織ることになる。
コルセットの編み上げは前にあるので、一人でも着替えが出来るデザインだ。
「ねぇ、ベル。ベストはむりでも、ベルトくらい……。」
「シルエットが崩れるので駄目です。レッグホルスターで我慢してください。」
「……落ち着かないわ。」
「どうせマナポーション以外は、今はお飲みになれないでしょう?レッグホルスターだけで十分です。」
「そうなんだけど……。」
食事が摂れなくなってからも、ベスト型ホルスターにはいつものラインナップを装着していたのだ。
確かにアシェルのストレージに各種薬剤の在庫は入っているが、咄嗟に使える位置にないというのはどうにも落ち着かない。
昨日のパーティーでゼリーが食べれたので、朝ご飯は試験的にゼリーが出てきた。
このまま少しずつ食欲が回復してくれないものかと思いながら、朝の分の解熱剤と胃薬、そして栄養剤の錠剤を流し込む。
「登校はどうされますか?そろそろいつもの時間ですが……。」
三年生になってから、毎朝アークエイドとムーラン、モーリスと登校していた。
ムーランがアークエイドの部屋に泊まるようになってからは、合流もスムーズだった。
「言ったでしょ。昨日喧嘩したって。今日も明日からも、少し遅めに出るわ。」
「かしこまりました。もしお迎えがいらしても、お断りしておきますね。」
「うん、お願い。」
いつもの時間になっても現れないアシェルを心配して、モーリスが訪室してくれたようだがイザベルが上手く対応してくれた。
明日からも迎えは不要だと告げて。
結局ホームルームが始まるギリギリに登校する。
擦れ違う生徒達の視線が刺さるが、噂を確認するための興味本位という視線だ。
嫌な感じはしなかった。
教室に入れば視線が集まるのが分かるが、無視して幼馴染たちの座る場所へ直行する。
最近は少し隣に座っているアークエイドとムーランの後ろに座っていたので、幼馴染たちと朝一緒に座るのも久しぶりだ。
とはいえ、今しているようにマリクのモフモフタイムは健在だったのだが。
「おはよう、アシェ。遅かったのね。エトとノアから、昨日熱を出してたみたいって聞いて心配していたのよ。っていうか、こっちで良いの?」
「おはよう、皆。大したことなかったし、もう平気よ。人が多かったし発表もあったから、少し気疲れしちゃったみたいなの。ちょっと二人とは昨日喧嘩しちゃってね。はぁ……やっぱりマリクのモフモフは癒されるわね。」
「アシェは撫でるのじょーずだから好きー。でも、お胸が邪魔だねー。」
「わたくしもマリクを撫でるのが好きよ。それはわたくしも邪魔だと思ってるわ。コレが無かったら、ベストを着れたかもしれないのに。」
はぁと溜息を吐いたアシェルに、イザベルがチクリと釘をさす。
「アシェルお嬢様……。女性の制服を着てベストやベルトを装着するのは、体型の件が無くても許しませんわよ。」
「うぅ……だって、落ち着かないんだもの。……明日からは着けても良いかしら?」
「胸潰しは無しだと言っていますでしょう。許可できてもベルトまでですわ。」
「ベストが良い……。」
「駄目です。シルエットが崩れますので。」
「うぅ……ベルのケチ。」
「なんとでもおっしゃってくださいませ。許可が出ることはありませんので。」
明日からの装いに敗北したアシェルに、幼馴染たちは苦笑する。
「なんていうか、アシェのスカートは違和感あるけど、アシェはアシェだな。」
「分かっていても、頭の中で情報が噛み合わないな。」
「そうかな?昨日のドレスもだけど、見慣れればとても良く似合ってると思うよ。」
「昨日のアシェはめっちゃ綺麗だったんだろ?俺もノアと一緒にデビューしとくべきだったかな。俺もエトやデュークと一緒で、違和感の方がすげぇ。」
「どんなかっこーでもアシェはアシェだよー。」
ぐりぐりとマリクの頭が押し付けられ、モフモフタイムの終了を告げられる。
そのタイミングで担任のクライスが入ってきて、ホームルームが始まる。
ちらりとアークエイドを確認すると相変わらずムーランは定位置に居て、最近ではほとんどつけていなかった眼鏡を付けていた。
昨日のパーティーの時同様、眼鏡には弱めの認識阻害がかかっているようで、サファイアブルーの瞳に抱く色は分からない。
昨日熱があったことがバレたかどうかを確認したかったのだが、聞こえていなかったと思っても良いだろうか。
相変わらず挨拶だけで何も伝達事項のないホームルームが終わり、月曜日の一限目である体術の授業の為に第二演習場へ移動した。
更衣室で着替えて、演習場に出る。
体操服である軍服もどきも、アシェルの体型に合わせたものに変わっていた。
胸を保護するためか、揺れて痛くならないようにか。
運動着の下にかっちりとした革の胸当てを着けている。
「流石に運動着だと違和感が凄いな……。シオンから少しだけ事情は聞いてる。アークは俺かトワが対応するから、アシェは気にするな。」
「ありがとう、デューク。」
相変わらず人見知りで受け答えがイマイチなアークエイドは、体術の時間にも関わらず眼鏡をかけたままだ。
確かに中等部一年生の頃は毎日眼鏡をかけていたが、それでも剣術の運動の際は外していた。
そこまでして顔色を窺われたくないのかと思ってしまう。
エラートも気付いたようで、「眼鏡外さねぇの?」と絡みに行っていたが、「気にするな。」のひと言で会話は終了していた。
今日も型の訓練が終わった者から、各自手合わせが始まる。
最近のアシェルは、武術の時間は幼馴染たちと手合わせをするだけで終了していた。
栄養が足りてないせいか、剣術よりも体術の方が特に身体への負担が大きく感じるのだ。
今日も真っ先にエラートと手合わせするが、去年のような手応えは全くない。
ぐらりと重心が傾いたところで、エラートに投げ飛ばされた。
「……悔しい……。」
エラートの手を取って立ち上がりながら感想を口にすれば、苦笑される。
「今までと身体のバランスも違うだろうし、馴染むまで仕方ねぇだろ。その状態で良く付いてこれてるよ。ただ……今日はもう休んだ方が良いぜ?まだあんまり体調良くねぇんだろ?」
「流石に手合わせしたらバレるか。」
「当たり前だ。どんだけ今まで手合わせしてきてると思ってんだよ。薬は飲んでんのか?」
「うん。液体は無理だから、実家で錠剤貰ってきた。だから熱は上がってないと思うよ。昨日より、かなり体調は良くなったし。」
休憩場所になっているベンチに腰掛けて、水分補給する。
少しずつ食べれるものが増えてきたあたりから、持ち込んでいる水分はレモンの香りがするものだ。
時々リンゴやイチゴの香りがするものもあるので、イザベルが手を変え品を変え果実水を作ってくれているようだ。食事の時に飲む果実水よりも味は薄く、本当に香りづけという感じだ。
「なら良いんだけどよ。ファンクラブイベントは明日からでも良いんじゃねぇのか?」
「あれ……エトも知ってるの?……【シーズンズ】に入ったの?」
「んなわけねぇだろ。そういうイベントをやるって、リリィから聞いたんだよ。」
「あぁ、なるほど。別に人に移しちゃうような病気じゃないし、宣言通り今日からやるよ。といっても、男じゃない僕が相手じゃ、本当にイベントとして機能するか分かんないけどね。」
「まぁ、アシェは男前だし、それでもって令嬢も多いんじゃねぇの?少なくとも昨日のパーティー会場に居たそれっぽいご令嬢達は、盛り上がりこそすれって感じだったぞ。」
「皆ブレないなぁ……。むしろ、新しいネタに歓喜されてそうな気がする。ユーリ先輩たちがそうだったから。」
「ははっ、違いねぇ。お、皆戻ってくるな。」
いつもなら大体初回の手合わせは皆同じ頃合いに終わるのだが、今日はアシェルが早々に負けてしまった。
マリクだけは二回戦終えてから戻ってきている。
「流石にもう暑いな。リリィはこっちの夏は過ごしやすいって言うけど、全く共感できないよ。」
「お疲れ、デューク。まぁ、日本は湿度が高いから、もっと不快感も暑さも感じるんだよね。気温は変わらなくても、湿度が低いだけでこんなに変わるんだなって感じだよ。」
「アシェー落ち着いたら手合わせしよー。」
身体を動かしてご機嫌で撫でろと要求してくるマリクを撫でていると、エトワールがげんなりとした顔で呟く。
「俺はマリクをモフってるほうが、暑そうに見える。」
「そう?トワも撫でたら良いのに。気持ち良いよ?」
「撫でるー?」
「撫でないからっ。俺は暑いんだよっ。」
「こんなに気持ち良いのに。あ、マリク。今日は手合わせしなくてもいい?昨日のパーティーで疲れちゃったみたいで、今日はもうゆっくりしてようかなって。マリクの動きについていけないどころか、多分動きに目が付いていかないと思うんだよね。」
「そーなの?でも、仕方ないかー。パーティーって疲れるもんねー。デビューしたくないなー。」
「ちゃんとメルのお披露目してあげてね?来年か再来年にはマリクにもデビューしてもらわないと、お父様たちが怒るかもしれないよ。」
「うー。それは困るー。」
「どっちでも良いけど、メルと相談して決めてね。」
「分かったー。じゃーエト、俺と手合わせしよー。」
本日二回目のモフモフタイムを終え、マリクはエラートと一緒に演習場の中央へと戻っていく。
「……アシェ。疲れてるのか?」
「えっ、あ、うん。どうして?」
不意にアークエイドから話しかけられて驚く。
ムーランたちが来てからというもの、あまり直接言葉のやり取りはしていなかった。
それこそ手合わせの仲介やちょっとした会話程度で、今のように座る場所ですら少し距離を取られている。
そんなアークエイドが立ち上がって近寄ってきたと思ったら、『ストレージ』から取り出した何かを手渡された。
「これは……魔道具?」
「目元を温める魔道具だ。少しは目の疲れが取れる。社交界は華やかな分疲れやすい。やるから使え。」
マリクの動きに目が付いていかないと言ったので、疲れ目対策にこの魔道具をくれたらしい。
確かにパーティーは華やかで目がチカチカするが、アシェルの目がついていかなくなっているのは、最近の疲れからだと自覚している。
だが、善意からの申し出なのでありがたく受け取っておく。
「ありがとう。早速使ってみても良い?」
「……今か?それは視界を塞ぐから、寝る前とかの方が良いぞ。」
魔道具の眼鏡のせいで詳しい表情は見えないが、アークエイドの声は困惑している。
「僕が観ようと思えば、視覚情報より沢山の情報を得れることは知ってるでしょ?視界の確保が出来てるかどうかなんて、些細なことだよ。」
「そう言えばそうだったな。俺も次の相手と手合わせに行ってくる。……無理はするな。」
それだけ言い残して、アークエイドはさっさとベンチを後にする。
誰も幼馴染が付いていないのだが、目星を付けている相手に自分から申し込みでもするのだろうか。
と思ったら、単純に真っ先に声をかけてきた相手を捕まえたようだ。
「……今更心配してくれなくても良いのに……。」
厚意はありがたく思っても、喜べばいいのか悲しめば良いのか分からない。
いっそのこと、突き放したままでいてくれる方が割り切れるのに。
渡された魔道具は、目元に乗せて使うようだ。
VRゴーグルや、目元の美容用品としてこんな感じのものが電器屋に並んでいたなと思う。
薫には縁のなかった類のものだ。
その分厚いゴーグルを目元に装着して魔力を流すと、ポカポカと温まる。
さらに何か弾力のある物が、目元をマッサージしてくれる。
確かにコレは目の疲れが取れそうだ。
「思ったより気持ち良いかも。」
「良かったじゃん。俺かデュークが傍に居るから、無理に周り観てなくて良いぞ?アークの護衛も居るんだろ?」
「うん、アークを任せても大丈夫な近衛が一人ついてる。……お言葉に甘えようかな。」
「ずっと観っぱなしなんだ。たまには良いんじゃないのか?僕も警戒しとくから、ゆっくりして。」
「ありがとう。」
エトワールとデュークの厚意に甘えて、朝から使っている探査魔法を切ってしまう。
不安が無いと言えば嘘になるが、授業中は襲撃の対象になっていた三人がばらけていることが多い。特に武術は被らないので、確実にこの時間はばらけている。
アビゲイルは最上級生なので、さらに場所が被る可能性は低くなる。
時々ダニエルに夜間の状況を聞いているが、あれ以来夜間の襲撃は無く静かなものらしい。
かなり大き目の暗殺組織だったようなので、あれで打ち止めなのか。
それともまた新しい組織が、大海を越えてやってくるまでのタイムラグなのかどうかは分からない。
警戒を緩めるわけにはいかないが、それでも少し平和な時間だ。
前世ではホットアイピローの使い捨てみたいな商品もあったし、夜寝る前に使ってみるのも良いかもしれない。
熟睡とまではいかなくても、疲れが取れそうだ。
7月初旬とはいえ梅雨もなくカラッとした気候なため、晴天の日はとてもお昼寝日和だ。
視界が暗くなり、余計な情報が無くなった。その上このマッサージ器はとても気持ちいい。
こくっこくっと船を漕いでいるとデュークの声がする。
「眠たいなら寝てていいぞ。昨日熱を出してたならなおさらだ。」
「そーそー。どうせあと一時間ちょい授業はあるしさ。このベンチって基本俺達が居るから他のヤツ来ないし、横になってたらどうだ?」
「んー……でもそうなると、二人が手合わせに行けないでしょ?」
「エトたちと交代すれば良いだけだ。必修じゃないから、少しサボってても先生も何も言わないしな。」
「じゃあ、少し横になろうかな……首痛くなりそうだし。」
確か耳元についていたボタンを押して、魔力の供給を止める。
一旦マッサージ器を外せば、太陽光が眩しく感じた。
ベンチに横になり、いそいそとマッサージ器を再装着する。
試しにボタンを押してみれば、残っている魔力があればボタンだけでも開始できるようだ。
止めて魔力を流せば、それでも動き始める。
とても使い勝手のいいシステムのようだ。
このマッサージをしてくれるムニムニの素材も気になるし、魔力消費量と稼働時間の兼ね合いも気にかかる。
アシェルにくれたものなので、少しくらい詳しく調べてみても良いだろうか。
モーリスに貰った辞書のような術式の本を見ながら、どんな術式が使われているのか考えるだけでも時間を潰せそうだ。
——物音に耳を傾けるだけの夜は長すぎる。
「そんなに気持ち良いのか、それ?ノアに結婚祝いでプレゼントしたら、喜んでくれるかな?」
「すっごく気持ちいいよ。温かいし、なんかマッサージしてくれてるし。ノアはデビューしたし、これからパーティーに出ることが増えるだろうから……。そういうのって前倒しじゃダメなのかな?早い方が喜ばれそう。」
「確かに。王都に居る間の方が使う頻度高そうだよなぁ。アビー様と一緒に色々参加しないといけなさそうだし。んー……前倒しで良いのか両親に相談してみるかな。で、買える場所はアークだな。」
「だね。貰いものでなんだけど、とりあえずすっごくおすすめ。久しぶりに心躍る魔道具に出会えたなって思う。」
横になったまま嬉しそうに口元を綻ばせたアシェルに、二人は苦笑する。
この口ぶりは魔道具の使い心地よりも、仕組みや使われている素材に興味を惹かれていそうだ。
「あれー。アシェおやすみー?」
「身体しんどいのか?ってかそれは?」
手合わせを終えたエラートとマリクが帰ってきたようだ。
「さっきアークがくれたんだよ。パーティーで疲れたならって。」
エラートとマリクは納得したようで、デュークと話して交代することにしたようだ。
アシェルが眠たそうだという話まで、しっかり伝わってしまった。
「……みんなごめんね。」
「良いって。少し楽にしとけ。授業が終わる頃に声かけてやるから。」
「そーそー。アシェが観てなくても、俺なら鼻で分かるしねー。」
確かにアシェルが魔力を使わなくては観れないものも、マリクなら匂いで判断してしまう。
優しい幼馴染達の言葉に、眠れそうなら寝てしまおうと思う。
眠れないとしても、少しは身体が休まるだろうと。
アシェルの邪魔にならないように静かにしてくれているようで、演習場で手合わせをしている人たちの喧騒だけが響いてくる。
夜とは違うその喧騒が、少し心地いい。
どれくらいうとうととしていただろうか。
やっぱりうとうとは出来ても、悪夢を見たような気がして目が覚めてしまう。
不意に額にひんやりとした手が触れる。
離れたと思ったら、程なくして冷たいタオルが乗せられた。
濡らした上に、少し凍らせてくれているようだ。
その冷たさが心地よくて、身体を動かしたせいで熱がぶり返してきているのだろうかと思う。
もう体内魔力の反応は無いし、着替える時にでも解熱剤を飲んだ方が良いかもしれない。
「……気持ち良い……ありがとう。」
手合わせで体調の悪さに気付いていたし、昨日熱を出したことも知っていた。
エラートだろうと当たりを付けてお礼を言えば、ポンポンと軽く頭を叩かれ、手が離れていく。
凍らせるのはマリクがしてくれたのだろうか。
その冷たい優しさのお陰か、少しだけ寝入ることが出来たのだった。
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