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第一章
オーガとオーク 伯爵家を知る
しおりを挟むあれから程なくして、パーティの為にエルミナとゾールスは、準備の為に部屋を後にした
そして残された俺達は、メイドの一人に案内され、ある部屋に通された
「やぁ、ユーマ君にアカツキ君
娘の誕生日パーティに参加してくれてありがとう」
「いえ、カタストロフィー伯爵
我々は、エルミナに招待された身です
友の招待ならば、参加しなければ失礼に当たりますので」
部屋に入ると、カタストロフィー伯爵が俺達を迎え入れてくれた
俺たちは、会釈をすれば、カタストロフィー伯爵は、立ち上がり、椅子を指した
「立ち話もなんだから座ってくれ
少し君達と話をしたいと思っていたんだ」
カタストロフィー伯爵は笑顔でそう言う為、俺達は、戸惑いながらも椅子に座った
「さて、まずは礼を言わせてくれ
エルミナは、君達と出会ってから本当に毎日が楽しそうなのだ
本当にありがとう」
カタストロフィー伯爵は、俺達を見てから、そう言い、頭を下げてきた
「カタストロフィー様、頭を上げてください
私達には、何の事か………」
突然の事で、俺とツッキーが困惑すると、カタストロフィー伯爵が顔を上げた
「エルミナは…………、あの子は、幼いながらに賢く………
いつも私達の事をまるで様子を伺うように見てきたり、使用人達と接したりしているが何処か、必死になっているような感じがしてたんです
まるでここに自分の居場所を残すようにと」
その事を聞き、俺………、いや、ツッキーもだろう………
心から驚いた………
エルミナは、俺達と同じ転生者………、知識がある分、この家の事を熟知している
カタストロフィー家は、伯爵の地位に居るが故、使用人も沢山いる…………
だからこそ、カタストロフィー家に反感が生まれたりする
そしてそんな中で巻き込まれたのが、エルミナだ………
物語でのエルミナは、一部の使用人から差別のような扱いを受け、それを父親にも話せず、その結果、自分の中に黒い魔力に触れて、闇魔法に目覚めてしまう………
その事を知ってるからこそ、エルミナは、使用人達の仲を取り持ち、カタストロフィー家の均衡を安定させ、反感が生まれない場所にした
そしてそれはこの前、エルミナが来た際にツッキーと共に聞いた話だ
「そんな中、エルミナは、ゾールスと出会い、そして君達と出会った
そこからエルミナが変わったと感じたのだ」
そう言い、カタストロフィー伯爵は、何処か遠くを見るように窓の外を見た
「あの子がようやくこの家に馴染んだ…………
いや、本来の彼女をやっと見せてくれた
その事が本当に親として嬉しいんだ………」
その言葉に俺とツッキーは、息を飲んだ
その時、扉がノックされ、カタストロフィー伯爵が返事をすれば、伯爵夫人が入ってきた
「あっ、ずるいわ
貴方だけ先にお礼を言ってるなんて」
「あぁ、すまない
話するきっかけを作ろうとしたらつい、話してしまっていてね」
そう言うと、伯爵夫人は、俺達を見てから、頭を下げてきた
「この度はありがとうございます
私たちは、ようやく…………、エルミナの親になれたような気がします」
その言葉を聞き、俺は思わずツッキーを見た
ツッキーも俺を見て、困惑してる様子だった為、俺は意を決して、口を開いた
「あの…………、全て、ご存じなのですか?」
「えぇ、エルミナ、ゾールス…………
そして貴方方は、シェア様によって来られた人…………
【神の加護】を与えられた人たちですね」
その言葉に俺達は、息を飲んだ
カタストロフィー伯爵は、確かにしっかりとシェアの名前を言い、俺達を来られた人…………
転生者と言い放ったのだ
「貴方は………、一体………」
「これについては、皆で話し合うと言うのはどうだろうか?
エルミナ、ゾールス」
そう言い、伯爵が扉の方を見た
俺達も見れば、エルミナとゾールスが居た
だが、その表情は、驚きで染まっていた
「お父様…………、貴方は一体…………」
「父上………」
驚く二人を他所に伯爵は、彼ら用の椅子であろう………
小さな椅子を出すと手を差した
「先ずは座ってくれ
そこで話そう」
伯爵に促され、エルミナ達が椅子に座ると、伯爵は、手を合わせ、俺達を見た
「先ず、何故、私が君達がシェア様のお導きに合い、この世界に来た人かを気付いた件だが、それは私の祖父が君達と同じシェア様に導かれ、この世界に来たお人だったからだよ」
「俺達より前に!?」
伯爵の言葉にツッキーが驚きの余りにそう告げれば、伯爵は、ゆっくり頷いた
「正直、私も信じがたい話だが、祖父から聞いた氷魔法を使った食物の保存法等…………
まるで御伽噺のような方法を生み出され、そして父やまだ子供だった私にそれはそれは…………
懐かしそうに不思議な話を聞かせてくれた」
伯爵が懐かしむように微笑み、話してれば、スマホが鳴り、チラッと見れば、シェアからのメッセージが来ていた
《彼、カーラス・カタストロフィーの祖父、【マルギリー・カタストロフィー】は、確かに私がこの世界に転生させた人です
ですが、彼を転生させたのには、訳があり、この世界を発展させてくれる正義感と使命感があると、見抜き、彼が貴方方の世界で死後、この世界に来ていただくように頼みに行きました
随分と前の話ですが…………
そんな彼は、カタストロフィー家の令嬢に魅入られ、婚約し、カタストロフィー家に来たのです》
シェアのメッセージには、そう綴られているが、肝心な事が書かれていない…………
何故、伯爵は、話を聞いただけで俺達を見抜いたのかだ…………
「そして祖父から聞きました
私達、カタストロフィー家の祖先でもある一人の人間がシェア様の恩恵でこの世界に来たお人であったそうで…………
それから我々、カタストロフィー家の血筋の者は、貴方方のような人を見れば、シェア様の光が纏っている魔力を感じるのです」
「それが俺達を一瞬で見抜いたって事か」
「はい、本来ならユーマ君やアカツキ君に会った時、すぐにでも話せば良かったのですが、その頃はまだエルミナ達は、まだ幼く…………
話をしても困惑させると思ったのです」
そう言い、伯爵は、二人の前に行けば、しゃがみ、目線を合わせた
「二人に黙っていた事、すまないと思っている
二人の事を思えば、私達がとやかく言うのは、親として、ダメだと思ったのでな」
「お、お父様…………」
「だけど安心してくれ
これからもお前達は、私達の大切な家族だ
これからは、少しでも私達を頼ってくれ
全力で力になる事を約束しよう」
そう言い、伯爵は、笑えば、我慢の限界だったのか、エルミナは声を上げて泣き始め、伯爵に抱きついた
ずっと不安で、俺たちやゾールスが居ても、拭いきれない不安等が彼女を襲っていたのだろう…………
それが伯爵………、自らの親の愛情に救われた…………
その光景は、そう言える光景だった
ゾールスを見れば、姉を嬉しそうに見つめていて、ただ少し母親に頭を撫でられて気恥ずかしいと見える
そんな彼らを見て、俺とツッキーは、お互いに顔を見合わせ、笑った
この瞬間、俺達は、カタストロフィー家と言う最高の協力者を手に入れたのだ
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