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第一章

オーガとオーク 魔物事情を知る

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エルミナ達との協定を結び、時が来るまで、鍛えなきゃならない日々が始まって、数日が過ぎた

「やっほ~、ユーマにアカツキ
来たわよ♪」

拠点の外に出れば、馬車から下りてきたエルミナが嬉しそうにこちらを見ながら手を振っていた

「…………………流石に来すぎじゃねぇか?
ほぼ毎日、来てんだろ…………」

「そんな事ないわよ これでも二日ぶりよ」

俺が呆れながらそう言えば、エルミナは、不思議そうな顔をしている
あれからほぼ毎日、エルミナとゾールスは、俺達の拠点に訪れれば、畑を耕したり、花を育てたり、自分のスキルを極めたりと、思うままに過ごしている

まぁ、それだけならいい…………
だが、時折、攻略対象キャラを連れてくるのは、どうかと思うが…………

「お久しぶりです、ユーマさん」

「これはこれは、エルーガ様、それにファンシア様
よくおいでになりました」

「えぇ、エルミナが来るのであれば、私が来るのは当然です
まぁ…………、殆ど、付き添えてないのですがね…………」

エルーガ様達に挨拶をすれば、エルーガ様は、エルミナを見て、溜息を吐いた
どうやらエルミナに振り回されて、苦労しているのだろう…………
そしてこの溜息は、もはや諦めの極地であろう…………

(なんというか…………、どんまい………)

心の中でエルーガ様に同情しつつ、ゾールスの方を見れば、ファンシア様が既にススス…………、と後ろをついて行きながら、ツッキーと共に畑の方へ、向かって行くのが見えた

あぁ見えて、ゾールスは、畑を始めてから、ハマったかのように、夢中で畑を耕し、苗を植えたりとしていたからな………

「それで…………、エルミナ
今回は、何をやりに来たんだ?」

「まずは前に植えた苗を見に行くわ
その後は、水やりをして、雑草を抜いて…………、あぁ、忙しいわ」

エルミナは、顎に手をやりながら話しているが、その顔は、ワクワク感が溢れ出ているモノをしていた

「はぁ、やれやれだな………」

早足で畑の方へ、駆けて行くエルミナとその後を追うエルーガ様の後を追おうと足を進めようとした時、目の前にウィンドウが現れた

《警告 結界内に魔物多数の侵入を確認》
「っ」

ウィンドウに警告文が出れば、俺は、反射で駆け出せば、森に入り、探知を広げた
すると、結界が張られてるギリギリの所に複数体、居るのが確認できた

ふと、後ろから音がすれば、ツッキーが隣に来ていた
ツッキーも先ほどの警告文を見て、すぐに駆けてきたのだろう…………

張られてる結界は、前までは、魔物を全面的に侵入を防いでいたが、アレから変更して、敵意の無いヤツは、侵入出来ないようにしている
魔物や人間などだけどな………
そうでもしないと、王族が居るのに、敵に気付きませんでしたー、とは言えないからな…………

しばらくして、反応があった場所まで来ると、目の前にゴブリンの群れが見えた
だが、すぐに違和感が出た
ゴブリンの群れなのは、間違いない…………
だが、そのゴブリンは、別のゴブリンに襲われているのだ
結界の外でもゴブリン同士が交戦し、よく見れば、身体的に女性と思うゴブリンも中に居た
現場の状況が分からないが、襲われてるゴブリンが怪我をしたゴブリンを助けに入っていることから、理性があると判断すれば、俺は剣を取り出し、まずは結界に張り付くゴブリンを斬り伏せた

「ツッキー!!」

ツッキーに合図を送れば、ツッキーは、既に槍を両手に持ち、腕を引き絞り、連続で突きを繰り出せば、襲っていたゴブリン達が次々に額が弾け飛んだ

そして最後の一匹が倒されるのを見届ければ、結界内のゴブリン達を見た
所々、怪我をしているが、命に別状は、無い様子だ

「ユーマ、お疲れ」

「待てよ、まだ終わってねえ」

ツッキーが近づいてきて、話しかけてくれば、俺は、そう言い、一応、警戒をしていた
結界内に入ってるとは言え、襲われる可能性が無くなったわけではないからな…………

ゴブリンに近付けば、その中の一匹が俺達の前に来た

「あの、助けてくれてありがとうございます」

「「喋った!?」」

次の瞬間、ゴブリンから少年のような声で話しかけてきたので俺達は、声を揃えて、驚いた
今まで出会ったゴブリンで喋ったヤツは、居なかったから、驚くのも無理はなかったな…………

「お前、喋れるのか!?」

「えぇ、私達は、あの【造魔物】とは、違いますので」

俺が慌てて、聞けば、ゴブリンはやや冷静に答えてくれた
そしてその答えてくれた中に聞き慣れないワードが出てきた

(これは…………、詳しく聞いた方が良さそうだな…………)

俺は、チラッとツッキーに視線を向ければ、ツッキーも微かに頷くのが見えた

「とりあえずここだと危険だ
俺達の拠点に来てくれ
そこで詳しく話が聞きたい」





それからしばらくして拠点にて…………
ゴブリン達の手当てを終え、代表者であるゴブリンを前に俺、ツッキー、そしてエルミナ達が居る
ツッキーには、先に戻ってもらい、エルミナ達に説明をしてもらった
だから、こうして敵対をしないでもらっている

「さて、こうして腰を落ち着かせることが出来たところで……………
聞かせてくれ、造魔物とは、何だ?」

俺が聞けば、ゴブリンは、真剣な表情をすれば、俺をじっと見てきた

「造魔物とは、私達、魔物とは、違い、魔王軍が作った人工魔物です
ヤツらは、私達と瓜二つの姿をしておりますが、欠点がございます」

「その欠点とは?」

「それは私達とは、違い、知識、理性が無いことです」

ゴブリンは、そう言い、後ろの仲間を見てから、俺達を見た

「造魔物は、本能…………、と、言えるモノでしょうか…………
それしか持ち合わせてないのです」

「それは?」

「一つは、魔物、魔族、人族…………、それらを見境なく襲うこと…………
そして一つは、それらの雌を捉え、繁殖する事………、それだけがヤツらの行動になります」


それを聞き、ファンシア様が息を呑むのが聞こえた
この歳の子が聞くには、あまりにもショキングが事だから、仕方ないと言えば仕方ない…………

「一つ、聞きせてくれないか?
お前達は、どうやって繁殖をしている?」

「それは、群れによって変わります
中には、造魔物と同じやり方で数を増やしている群れも居ますが、私達は、基本的に私たちの中で繁殖を行っております」

「では、お前達が襲われたのは」

「私達の仲間を捉えて、繁殖するつもりだったと思います」

それを聞き、俺は、顎に手を置けば、ツッキー達を見た

「どう思う?」

「彼らは嘘を言ってる訳ではありませんね
この話が事実だとすれば、それは国………、いいえ、魔族を含めた世界中の問題となります
この話は、私が責任を持って、父上に話ます
父上ならば、ある程度の手を回してくれるかと…………」

聞けば、すぐにエルーガ様が答えた
確かにエルーガ様達だけでは、信憑性に欠けても、俺達と面識がある国王なら、他の国との連携が取れるかもしれない………

まぁ、時間はかかりそうだがな…………

「私も知り合いに話します
こっそり屋敷を抜け出しては、ギルドに行ってたので、私を知ってるギルドマスターなら、話だけでも聞いてくれるかもしれないから」

そう言いながらエルミナが、頷いてるが……………
お前…………、まだゲーム本編でもないのに行動しすぎだろ…………
ギルドって……………、まぁ、いいか…………

「話は纏まったな?
おい、ゴブリン…………、いや、お前の仲間もゴブリンだな…………
お前、名は?」

「名前はありません」

「んじゃあ、ゴブ助」

ゴブリンに名を聞けば、名前は、無いとの事だからパッと思いついて、そう呼んだ

「ご、ゴブ助?」

「名前が無いんじゃ、呼びにくい
だからお前は、ゴブ助
それよりお前ら、ここに住め
ここなら幾分か、安全だからな」

「い、いいんですか!?」

「ここでお前らを見ないふりする訳にはいかないからな」

そう言いながらツッキーに合図を送り、ゴブリン達の家を作ってもらうための木材を出してもらってる中、ゴブリン達は、喜んでるのが聞こえてきた

魔物だろうと、危害を加えない平穏な魔物なら救いたいからな…………
こうして拠点に新たに住民が増えたのだが……………

ゴブリン達が進化したのは、別の話……………
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