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第一章

転生者一同 話し合いを開始する

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夜……………
アルフレッド様、カーラス様一向は、拠点の敷地内の所でテントを張り、宿泊している
話が弾み、夕暮れになり、俺が転移で送ろうと言ったが、聞き入れてもらえず、仕方なく、少し開けた所で宿泊してもらっているが……………
本当にこれでいいのだろうか…………
仮に貴族と王族なんだが………、まぁ、気にしてもダメか…………

そんな夜も更けてきた頃…………
俺とツッキーは、家のリビングで椅子に座り、待っていると、テーブルから少し離れた所に転移陣が現れれば、エルミナ達がやってきた
二人が来たのを確認すれば、遮音と遮断の結界を何重にして、重ねて張れば、息を吐いた

「来たか」

「えぇ、お待たせしてごめんなさい」

エルミナは、そう言い、改めて姿勢を正せば、俺たちを見た

「改めて名乗らせてもらうわ
私は、エルミナ・カタストロフィー
前世では、【秋月 詩織】[訳・あきづきしおり]と言うわ」

「そんで俺が、ゾールス・カタストロフィー
前世では、【秋月 冬馬】[訳・あきづきとうま]と言う」

「苗字が同じってことは、前世でも姉弟だったのか?」

「えぇ、彼は、ちゃんと血の繋がった私の弟よ」

ツッキーが、テーブルにコップを置いて、紅茶を注げば、二人は、それを一口飲み、一息ついた

「さて、改めてこうして集まったから本題に入るわ」

一息、吐いてからエルミナが真剣な表情で俺達を見てきた

「貴方達もこのゲームの事は、知ってるわよね?」

「あぁ、俺は、まだ全部はプレイしてないが、ツッキーが熟知している」

「まぁな、一応、全キャラの攻略は、済んでたしな」

それを聞けば、エルミナは、大きく頷いた

「それを聞けてよかったわ
私は、ここに転生して、エルミナ・カタストロフィーになった
言わば、悪役令嬢に転生してしまった…………
ここまで言えば分かるわね?」

「破滅フラグを避けたいから、協力しろ………、と、言うわけだな?」

俺がそう言うと、エルミナは、大きく頷いてから、テーブルの上に紙を広げた

「破滅フラグを回避したい、それでいて、ヒロインに攻略されろなんて、いい加減なシナリオで生きるなんてもってもほか
私は私らしく生きたいの」

「なるほどな
確かに破滅フラグを回避するなら、破滅前にフラグをへし折るか、ヒロインに攻略されるルートしかないってことか、かと言って、そのルート通りに行ったら、自分の意思とは、関係ないからな」

エルミナの言葉にツッキーが、腕を組みながら考えを述べた
確かにフラグを折るか、ヒロインに攻略されるか、って、言えば、どっちも苦労しそうだ…………
なにより、エルミナ自身の意思ではなく、そのルートに行くのも嫌なのも分かる

「分かった
そう言う事なら、俺達も協力する」

「っ、ありがとう」

「同じ転生者だからな」

俺がそう言えば、エルミナは、嬉しそうに微笑めば、紙にサラサラと何かを書いていく

「協力してくれるなら、まずは今、私達の情報を共有しておかないとね」

そう言いながら書き終えたエルミナは、紙を俺たちに見せてきた
見れば、それは二つのゲームの攻略キャラの名前が書かれていた

「今、私達が会えた攻略キャラは、祝福の方で、五人、プリンセスの方で、三人よ」

そう言い、名前の横に印を付ければ、俺達を見てきた

「なるほどな
祝福の方に関しては、殆どの攻略キャラに会えたんだな」

「えぇ、その一人が私の婚約者のエルーガ様よ
……………本当に嫌なのだけど」

そう言い、本当に嫌そうな顔をしているエルミナに対して、ツッキーが頷いていた

「確かにな…………
確か、エルーガって、腹黒イケメン皇子って設定で、攻略ストーリーのエルミナに対しては、ほぼ利用してたしな
そしてヒロインと結ばれるために、エルミナを断罪と同時に斬り伏せてたな」

ツッキーが腕を組み、思い出しながら首を捻っていた
その横で俺も、エルーガルートを思い出していた
確か……………、エルーガルートでは、ヒロインが学園に入学した際、初めて会うのが、エルーガだった
その理由が、学園で迷子になってと言う、ベタなシチュだったけど、そこでエルーガは、ヒロインに初めて一目惚れというものをして、エルミナが邪魔になり、遠ざけながらヒロインを口説きに来るというシナリオだったな

「そうなってくると、婚約者は、飾りってところか
他の令嬢からの婚約を避ける為の」

「ぐっ…………、そうなるとなかなか婚約破棄してくれないのも頷ける…………
けど、さっさと破棄して欲しいんだけど………」


「まぁ、それはおいおいにしとくか」

エルミナが、苦汁を飲まされたような顔をしてるのを見て、同情しながら俺は他の四人の名前を見た

「他の四人は、どうだ?
エルミナに関しては、悪影響は今のところはあるか?」

そう聞けば、エルミナは、首を左右に振った

「いいえ、他の四人は、至ってマトモね
私に対しては、悪印象は、無いみたいだし、結構、親切にしてくれるわ」

エルミナが、そう言えば、隣に居るゾールスが、引き攣った笑みを浮かべていた

(……………あっ、なるほど)

ゾールスの顔を見て、理由が分かれば、俺も同じように引き攣った笑みを浮かべた
どうやら、エルミナが知らないところで、勝手に攻略は、進んでいるようだ…………
無意識だろうか………、はたまた彼女の性格からだろうか…………、この分だと問題はなさそうと思いたいが、これからの事は、誰にも分からないからな…………
意識の片隅に置いておこう…………

「んで、もう片方の攻略対象は、三人にしか会ってねえのか?」

ゾールスの苦労を考えていると、ツッキーが紙のもう一つの方を指差した
ツッキーの言葉にエルミナとゾールスは、頷いた

「やっと三人に会えただけでも苦労ものよ……………」

「情報が、少ない故に尚且つ、ごく自然に会わないといけないってのが、結構、難易度が高えんだよな……………」

今までどんな苦労をしてきたのか、分からないが、分かるくらいに肩を下げ、落ち込む二人に同情しながら俺は、紙を見た

「そうなると、俺達を含めれば、四人って事だな」

「えっ!?攻略キャラに会ってたの!?」

「エルフ族のネネだ」

俺がそう言えば、ゾールスが「あーー…………」と、小さく呟いた

「エルフルートは、やり途中で尚且つ、エンディングまでは行ってねぇんだよな…………
そもそも攻略キャラが多すぎて、全員をコンプするのに相当、時間がかかる」

「分かる!!
『最初はこのキャラにしよう』、そう思ってたけど攻略キャラの多さで、もうなりふり構わずだったからな…………」

何か、既プレイ勢が語り出したんだが…………
俺とエルミナが置いてかれてるが、まぁ…………、ほっとこう…………

「で、これからどうすればいい?」


「とりあえず私たちが15になるまでは、それとなく準備をしといて
一応、農業系の知識も学びたいから、ここには、ほぼ毎日、通わせてもらうわ」

「毎日?」

「えぇ、破滅回避を前提としてだけど、学べる知識は、学んどかないとね」

もしもの場合……………….、最悪、これから生きてく故の知識を学んでおいて、生き残る可能性を増やす考えか………
確かに、もしもの場合を想定しておかないと、今後は困るか………

「分かった」

「それなら契約成立ね
これからよろしく、ユーマ」

「あぁ、生きるために頑張ろう、エルミナ」

お互いに笑顔を浮かべて握手を交わした
そして俺は、それとは別に転生者の仲間が出来たことを、心から喜んだ

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