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第一章
オーガとオーク 悪役令嬢一向+αを迎え入れる
しおりを挟む俺達の拠点前に馬車が止まり、中から見るからに貴族だろうと分かる服を着た人達が下りてきた
その中に見覚えのある少年が居た
そしてその人たちの後ろに明らかにこの人たちより、上の位の人と思われる人達が居た
「お父様、彼らがお話した通り、助けてくれたオーガ様とオーク様ですわ」
「あぁ、話は娘から聞かせてもらっている
私は、カーラス・カタストロフィー
そして妻の」
「アルミナ・カタストロフィーです
娘達を救ってくださり、ありがとうございます」
二人の名乗りを聞き終え、俺は、チラッとツッキーを見れば、ツッキーも俺を見て、頷いたので、頷き返し、俺は姿勢を正した
「わざわざ遠い所、ご足労、お掛けします
私は、ユーマ・クラーク
隣に居るのがアカツキ・ロータスと申します」
「本来ならこちらがもてなす側ですが、なにぶん、何もありませんので、ご無礼、失礼いたします」
二人でそう言えば、カーラスさんは、小さく「ほぉ………」と呟いたのが聞こえた
「騎士達から話は、聞いたが、本当に話せるとはね
しかもちゃんと敬意が出来ておる」
「昔………….、ある人に叩き込まされましたので………」
カーラスさんの言葉にアカツキが、やや詰まりながら答えた
流石に転生する前に取引先との礼儀を上司にいや、と言うほど叩き込まされたとは、言えないからな…………
即興だが、そう言う設定を作ったのだろう
「ある人とは?」
「私達を育ててくれた人間です」
「ほぉ、人間とな
その者は?」
「五年ほど前に亡くなりました」
「そうか…………、出来れば会って話してみたかったな…………」
カーラスさんが聞いてくれば、俺は少し躊躇いながらツッキーが作った設定に、乗る感じでそう言えば、カーラスさんは、俯きかけながらそう言った
「ユーマ様、アカツキ様
こちらは、私の弟でゾールスって言うのです」
「ゾールスです………」
話が終わったと見越し、エルミナが少年の手を引いてくれば、そう言い、俺達の前に来させた
ゾールスは、恥ずかしそうにしながらも名を名乗った
そして俺達は、眉がピクっとした
ゾールスは、俺たちに見えるようにスマホを握ってるからだ
そしてエルミナの立ち位置は、ゾールスを隠すような位置に立っているから、恐らく二人は、既に転生者として、話がついてるのだとわかった
「あぁ、よろしくな」
そう言えば、ゾールスは、俺たちにしか、見えてないことをいい事に、ニヤリと子供らしからぬ笑みを浮かべた
その笑みに、普段は、姉の影に隠れている弟と、演じていると感じ、俺達もニヤリと笑い、答えた
「ゴホン、カーラスよ
そろそろワシらもいいか?」
「おっと、すまん
すっかり話に花が咲いてしまった」
エルミナ達がカーラスの所に戻れば、後ろに居た高貴な服を着た男が咳き込めば、カーラスは、気さくにそう言った
その男は、俺達の前にくれば、手を胸元にやりながら、胸を張った
「お初にお目にかかる
私は、【アルフレット・ローレライ】と申す
この国の国王を任されてる者だ」
「「ぶっ!?」」
アルフレットと言う男の名乗りに、俺とツッキーは、思いっきり噴き出した
と、言うのも無理は、無い
まさかの国王が現れるなんて、ゲームでも無かったからだ
「し、失礼しました」
「申し訳ございません」
俺とツッキーは、素早く膝を付き、頭を下げれば、アルフレット様は、豪快に笑った
「はっはっはっはっ!!
そう畏まるな、俺もカーラスのように気楽に接してくれ」
アルフレット様はそう言い、手をヒラヒラさせている
俺は困惑しながらツッキーと目を合わせてから、姿勢を戻した
「わ、分かりました………」
「うむっ、それでこれが私の倅で」
「初めまして、私は、この国の第二皇子で、エルーガ・ローレライと申します
そして私の後ろにいるのが、妹のファンシア・ローレライです」
アルフレット様は、隣に居た少年と少女を見れば、少年が胸に手をやり、名乗れば、少女を見ながら紹介してくれた
それと同時に俺とツッキーは、内心………、声に出してないが、思ってることは同じだろう…………
((攻略キャラじゃねぇか!?))
そう驚きながらも俺は平然とすれば、目線を合わせた
「エルーガ様、ファンシア様
お会いできて光栄でございます
今後とも、よろしくお願いいたします」
「はい、私達もエルミナと同じように接してくれると助かります」
「よろしいのですか?」
「はい、私達は、王族と言ってもまだ子供なので、そう畏れると、問題が…………
それにエルミナのように気楽に接してくれる人が増えると、私達も嬉しいので」
そう言い、エルーガ様は、微笑めば、若干、躊躇いながらも頷いた
「分かった
なら、普通に喋らせてもらう」
「はい、あっ、それと言っておきますが、エルミナは、私の婚約者ですので、あしからず」
そう言うエルーガ様の笑みは、何か腹黒いモノが見えるような気がした
実際、ゲームでのエルーガ様は、確かに腹黒い性格をしていたような感じだったな…………
「エルーガ様…………、一応、言っておくが、まずは歳を考えような?」
「えぇ、ですが、念のためです」
そう言ってるエルーガ様の笑みにさっきまで気のせいだと思っていた腹黒いモノが確かに見えた
「と、とりあえず…………
皆さん、中へ………、っと言いたいですが、流石に大所帯ですので、外で座っても大丈夫ですか?」
「あぁ、構わないよ
ここは、草もあって服が汚れる心配はないからね」
「いえ、テーブルとかは、今、用意します
ツッキー」
そう言い、ツッキーを見れば、既に俺の意志を分かってか、インベントリホールから鉄や木材を出していた
それに近付けば、手を合わせ、錬金すれば、鉄製のテーブルに木材の椅子を人数分、錬成した
「なっ!?錬金術!?」
後ろでアルフレット様が驚いてる声が聞こえてくるが、それは気にせず、インベントリホールから、コップを人数分、出せば、手で差した
「早急に用意した物なので、座り心地などは、悪いと思いますが、恐縮ですが、今は、これで失礼します」
とりあえず皆を席に座らせ、エルミナ達、女性の方は、エスコートして、座ってもらえば、ツッキーが拠点の中に入っていくのが見えた
「この椅子………、しっかりしていて、丈夫そうだ………」
「あぁ、帝都で売っている職人製の物と同じ座り心地だ」
アルフレット様とカーラス様は、椅子に何度も座り直しながら座り心地を確かめてるようだ
カーラス様の奥様は、テーブルを撫でてるが、きっとカーラス様達と同じ理由だろう…………
そう思っていると、ツッキーが何かを抱えて戻ってくれば、テーブルに置いた
ソレは、簡単に言えば、机に置くタイプのウォーターサーバーだ
錬金術で作った際、温かったりとかしたけど、ようやく満足いくヤツが出来たから、それを使っている
俺は、氷魔法を使い、氷を作れば、即座に砕いて、コップに入れていく
そして水を入れれば、皆様の前に置いていった
「本来なら紅茶等を用意すべきでしたが、今は、これしかなくて…………
すみません」
俺が謝ると、カーラス様は、プルプルとした後、ガバッと掴んできた
「君!! 氷魔法を使えるのか!?」
「え? えぇ、一応、全属性は、使えますが………」
「「全属性だと!?」」
カーラス様の質問に答えれば、今度は、アルフレット様も驚いていた
「オーガの君が魔法を使えるのは、知っていたが、全属性持ちとは!! 驚いた!!」
「あ、あの………? 何で驚いているのですか?」
「これが驚かずにいられるか!! 全属性持ちは、過去にただ一人!! 大賢者【マルス】様しか居られないのだぞ!!」
(大賢者マルス?)
突然、知らない名が出てきて、ツッキーを見れば、ツッキーも分からないのか、俺にだけわかるように微かに首を横に振っている
すると、突然、目の前にディスプレイが出てきたと思えば、ズラッと文字が書かれている
《大賢者マルス
・太古の昔、魔王や魔神を封印したり、討伐したりした人
・その正体は、現代では、謎に包まれている
【長いので省略】
今、貴方様方の設定?を参考に少し作りました♪》
最後にシェアからのメッセージを見て、俺は、思わず苦笑いをしていた
(仕事が早くて助かるけどよ……………
シェア………、過去を変えていいのかよ…………
何でもありだな………、神様…………)
そうしていると、カーラス様の奥様が、ツッキーを見ているのに気付いた
「どうされました?」
「あっ、いえ、オークなんて近くで見るのは、初めてで…………、それにここに来るまで、魔物には、出会っていなくて」
「あー、そうですか
ここら辺は、私たちの結界で、魔物が入って来れなくしているので
それとここら辺のはぐれオークとかは、私たちが狩ってたので」
ツッキーが、奥様の質問にドギマギしながら答えている中、ようやく一息ついた俺は、水を飲み干せば、空を見上げた
(平和…………、だけど、賑やかだな…………
賑やかすぎ…………、というか、なんというか……………)
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