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第一章
オーガ、鉱山へ向かう
しおりを挟む記憶を頼りに森を進むこと、数分…………
突然、目の前が開けたと思えば、視界の先に洞窟が現れた
(やっぱり思った通りだ
ゲーム通りだったら、あの湖の近くにあるコレもあるって、事だからな)
目の前の洞窟は、攻略サイトを見つけた際、見つけた裏技みたいなモノで………
大体、【プリンセス・セレナーデ】では、終盤、ラストエピソードに入った直後、散策フェイズで、森を選択すれば、稀にイベントでこの洞窟を見つけるモノだ
そして何故、俺がこの洞窟に来たかと言うと、この洞窟は、まさにレベリング…………、そして鋼石集めに持ってこいの場所だ
簡易な松明を作り、火を付け、洞窟内に進めば、矢印と鉱石の名前が急に出てきた
スキルを見れば、《鑑定スキル・発動中》となっていた
(うはぁ、ゲーム通りに選り取り緑………
鉱石の宝箱ってのも頷ける)
そう、この洞窟は、鉱石を最も採掘及びドロップするのがバグレベルで多い所だ
しかも一回きりでは無く、回数制限は無かったから、まさにぶっ壊れの裏技だ
しかもここに出てくる魔物も経験値を貰えるのが、多いとまできた…………
だから、ここは【鉱石の宝箱】と言われている
近くで取った石と木を使い、ピッケルを作れば、近くの岩を削り取った
鑑定をすれば、それは【黒鉄】と言われ、ゲームでは、レア度トップレベルの品物だった
(この鑑定スキルって便利だな
それにクラフトもスキルを使えば、簡単に出来る
でも、こんなにレア度が高えのを、初手で見つけるとはな……………)
苦笑いを浮かべながら、俺は、採掘を続けた
続ければ、続けるほど眉間が狭まっていくのを感じた
採掘し、その石を鑑定すれば、どれもレア度がトップレベルの物で、それが立て続けに採れていたら、誰でもこうなると思うが…………
(どうなってやがる?
何でこんなにレア度が高えのばっかり採れるんだよ…………
……………あっ!! ステータス!!)
慌てて、スマホを取り出し、ステータスを開いて、調べれば《幸運・レベル10》と書かれていた
(これだ!!
これのお陰でここまで採れてるのか!!
でも、数が多いが)
納得し、一応、スキルを見れば採掘、鑑定の他に《極運スキル・発動中》と《採掘数倍増スキル・発動中》が見えた
(……………これのせいか)
俺は苦笑いを浮かべながら思わず、頭を押さえた
流石にここまで採れれば、この後の生活に問題はない所まで来ていた
いや、余るくらいだ…………
(ってか、どうやって持って帰ろう?
流石に多すぎて、一回じゃ、運びきれないな)
採った鉱石を見ながら、悩んでいれば、《ピコン》と電子音が鳴れば、目の前に《魔法》のウィンドウが現れた
(魔法?
もしかして使えってことか?)
《魔法》を選択すれば、ズラーーー、と呪文が並んでいるが、自動でスクロールされ、止まれば、呪文の一つが点滅している
「《インベントリホール》」
手を翳し、唱えてみれば、目の前に大きめの穴が開いた
(もしかして…………)、と思い、採った鉱石をその穴に全て入れれば、収納された
更に簡単に分かる様に綺麗に整頓されていた
(うわぁ…………、凄え便利………
そして見事に異世界だ!!)
その魔法の便利さ、そして魔法を使えた事から、テンションが上がった俺は、更に鉱石を取りながら奥へと進んでいく
しばらく採りながら進んでいると、ふと、気配を感じ、足を止めた
岩陰に隠れながら顔を覗かせれば、少し離れた場所に小さな影が複数体、蠢いているのが見えた
(ゴブリン………、数は五か…………
ってか、凄えな、気配察知のスキル………
何が居るかまで、分かっちまうのかよ)
感動していた俺だったが、息を吐き、じっとゴブリンを見た
数は五匹で間違いない………
そして手には、棍棒が握られているのが、うっすらだが見える
(初戦闘か…………
今の手持ちの武器は、さっき拾ったこの棒のみ…………
少しばかし、心もとないな………)
俺は、手にした棒を見ながら考えていれば、ふとスキルの欄に錬金術があったのを思い出した
(もしかして…………)
慌てて《インベントリホール》を開けば、鉄を一個、取り出し、棒と一緒に地面に置けば、手を合わせ、翳した瞬間、錬成陣が展開され、すぐに大きめのメイスが完成した
(錬金術って、便利だな……………
道具が有れば、錬金して作れる…………
まぁ、耐久がどこまで保つのかはわからねえから、一から作った方が確かかもな)
メイスを持てば、手にズッシリとメイスの重さを感じるが、軽くなんとも振りやすく感じた
(これもステータスのお陰か………)
軽く微笑み、ゴブリンに集中すれば思考がクリアになり、無駄な事が消えた
小さく息を吐き、持っていた松明をゴブリン達から離れた所に投げ込んだ
松明は軽い音を立て、その音を聞き、ゴブリン達が松明の方を向いた
その瞬間、岩陰から飛び出せば、先ずはゴブリンの最後尾の一匹の頭をメイスで突き砕いた
メイスが当たった瞬間、砕け散る音と共に赤い鮮血が手にかかったが、お構いなしに両手で握れば、メイスの横に振り、並んでいた三匹を叩き砕いた
三匹分の血肉がかかるのを感じながらメイスを逆手に持てば、怯んだ最後のゴブリン目掛けて、振り下ろし、地面に砕き潰した
ここまで時間をかけず、一瞬にしてカタがついた
そして冷静に自分の姿を見れば、ゴブリン達の返り血で汚れ、周りを見ればゴブリンだった肉片が転がっていた
(初めて…………、生きてた生物を殺した…………
だけど気持ち悪くならねえ…………
こんなグロいのを見ているのに)
息を吐きつつ、ステータスを確認すれば《精神苦痛耐性・レベル10》を見つけた
これのお陰で平気でいられるみたいだ
(運が良かったのか………、はたまた人間として何かが無くなったのか知らねえが…………
魔物とかを討伐する際は、助かるな………)
メイスに付いた血や肉片を振り払えば、松明を拾おうと歩き出そうとした瞬間、息が止まった
視線の先…………、松明の光がチラつく近くで大きな影が見えたからだ
(ゴブリンに気を取られたからか!?
でもスキルの気配察知に反応がなかったぞ!!)
慌ててメイスを構えれば、その影は慌てた様子で両手を前に出してきた
「待ってくれ!?
俺に敵意は無いんだ!!」
「はぁ?」
その影がゆっくりとこちらに近づいてくれば、それは大きなオークだった
ただ俺が知ってるオークとは、全く違った
その姿は黒い毛に覆われ、大きな牙が目立ち、豚と言うよりイノシシに近い姿をしていた
「急に姿を見せて悪いとは思う
だけど質問させてくれ」
そのオークはそう言って大きく息を吸った後、ゆっくりと話してきた
「お前、転生者か?」
「……………は?」
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