乙女・ギャルゲーの世界に転生したんだけど、モブでもないただのオーガですが何か？

第一章

オーガ スマホで調べる

画面をスライドさせれば、スマホの画面に《この世界での貴方の名前を記入してください》と映し出され、その文字の下に記入欄が出てきた

（あー、と……、流石に佐久間悠馬ってのは、自分は転生してきましたって、自分から言ってるもんか）

少し考え、記入欄をタップし、名前を【ユーマ・クラーグ】と記入した
名前である悠馬は、異世界っぽく、ユーマとして、クラーグは、俺がオンラインゲーム等をやる際に使っている名前だ
思い入れのある名前だから、それを性にしよう

名前の記入が終わると、画面が変わり、縦に綺麗にフォルダーが並べられていて、フォルダー名でどれのどの情報なのかが、わかる様になっていた

（分かりやすいな…………）

そう思いつつ、先ずは《世界》と言うフォルダーを開いた

《この世界は、貴方の世界のゲーム【貴方に届ける幸福の光】と【プリンセス・セレナーデ】の世界を合わせた世界です
このゲームに登場する人物ですが、貴方の知るゲームの人物とは、異なる部分があります
例えばですが、ある人物とある人物が兄弟という関係と言う事です
場所の名前とかは、同じですので安心ください》

説明を読めば、どうやらそこまでややこしい世界では無さそうだ
だが、キャラの関係か…………
例えば、乙女ゲームのキャラとギャルゲーのキャラが兄妹とかになってるのか…………
ただ地名とかが、同じだけでもありがたい…………
そう考えながら俺は次の欄を見た

（人物？
…………この世界の重要キャラみたいなヤツの事か？
いや、攻略キャラと主人公って事もあるな）

そう思いつつ、人物のフォルダーを開くと、殆どがハテナで埋まっていた
スライドで下に動かしてもハテナが続いており、タップしても反応がなかった

（これは…………、もしかしたら会わないと観覧とかが出来ない仕組みか？
それにしても多いな…………）

スライドしながら多さに苦笑いを浮かべていれば、一つだけ欄にシェアの名前が書かれていた

（シェアだけが観覧可能か…………）

そう思いながらシェアの欄を開いてみる

《シェア
・この世界の創造神にして神の頂点にいる者
・地球の神とは、姉妹でよく行き来している
・地球のスイーツが好き》

その情報を見て、何だか、力が抜けてきた………
シェアは、この世界の神様で間違いないようだ
だが、これと言っていいほど、重要なことは書かれていないらしい………
それよか…………、最後のは、完全にプライベートの情報だろ……………

（スイーツが好きって……………、まるで何処かの誰かみたいだな……………）

苦笑いを浮かべながら人物のフォルダーを閉じれば、次のフォルダーに目線を向けた
そのフォルダーの名は、ステータスと書かれているのが見え、首を傾げた

（ステータス？
乙女ゲームとギャルゲーに？
………………いや、確か【プリンセス・セレナーデ】には、レベル機能があったな
それか？）

考えても仕方なく、迷う事なくステータスのフォルダーを開けば、急に空中にディスプレイが表示されたかと思えば、ズラッと細かく自分のことが書かれていた

《ユーマ・クラーグ
種族・オーガ【絶鬼】　性別・男
レベル・？？？　HP/MP・???
攻撃力・レベル10   防御力・レベル10
素早さ・レベル10   器用さ・……………………》


「細かすぎるわぁ！！！」

ステータスを見ていた俺だったが、あまりに細かい所が多すぎて、思わずツッコミを入れてしまった
流石に会社の書類や企画書で、細かいのを見慣れているとは、思っていたが……………
これは流石に細かすぎる…………
しかもスクロールバーがあり得んくらい小さいんだが…………

（しかも何だよ…………
この攻撃力・レベル10 って………、数値じゃないと分からんが…………）

目頭を押さえ、溜息を吐けば、再び画面を見た
細かすぎるのと、量が多い為、理解するのに時間がかかったが、最後まで読めば、最後にシェアが付け足したであろう文が書いてあった

《レベル10などは、この世界では最高レベルです
数値で書くと、膨大な量の為、簡易的に書かせていただきました》

そう書かれていたのを見た後、再び俺は目頭を押さえ、天を仰いだ
仰ぎたくなるのも無理もない…………
この分だけでも、大分、簡略化されてるのだと分かったら、（それでもかよ…………）、と愚痴を言いたくなる気分だ…………

息を吐き、改めて、俺のステータスを確認した

身体能力とかは、最大………、スキルとかは、多すぎて何が何だか分からないが、錬金術や家事、鍛治とかがあって、それも最大…………

だけど、気になるのは、自分のレベルとHP/MPがハテナ表示になっている事だ………

普通のゲームならここは表示されているはずだが、ハテナ表示になっている………
何でかは、知らないがそこはシェアに任せておこう………
最も気になるのは、種族、オーガの後に付いている【絶鬼】だ………
これが何なのかが、分からない………
むしろオーガに種類なんてあったのか？

考えていれば、スマホが光ったと思えば、【絶鬼】の下にヘルプの文字が書かれていた
ヘルプをタップすれば、画面が変わり、次のように書かれていた

《【絶鬼】
・オーガ種族の中でも伝説と言われしモノ
その特徴は黒い肌に2本の角、そして何より見た目は人間と同じと言う所》

シェアの説明によれば、【絶鬼】と言う種類は、言わば御伽噺と同レベルって感じらしい………

（やれやれ…………、これから大変そうだな………）

スマホをしまい、顔を上げ、気持ちを切り替えれば、俺は歩き出した