13 / 29
本編
魔法指導 初級
しおりを挟むあれから孤児院に戻ってきて、一夜が過ぎた
俺も今日は珍しく早めに起きて、孤児院から少し離れた丘で準備をしていた
離れた所に木で作った的を数個…………
あとは桶とかに水を入れて、置いておく
今日は孤児院に居る子供達に魔法を教えるからな…………
準備は入念にしておかないと…………
「ノア~、持ってきたよ~」
「ありがとう、アン
そこに置いておいてくれ」
声がして、見ればアンが大きな柵を数十、持ってきて、置いているのが見えた
その柵を俺が魔法で浮かしながらここら一帯に刺して、囲んでいく
これで目印になって、子供達が勝手に外に出ないようにするのが目的だ
迷子になったら可哀想だしな
柵を刺し終え、汗を拭えば、丁度いい頃合いになった為、孤児院に戻った
もうそろそろで朝食の時間だと思っていたが、まさにベストタイミングだったみたいで、子供達が綺麗に整列して、顔を洗ったりしていた
「おはよう!!お父さん!!」
「あぁ………、おはよう
今日は頼むな」
「まっかせて~!!」
そんな子供達をほのぼのと見ていたら、マーシャに声をかけられた
今日、学園の方は休みと言うことから、マーシャ達にも手伝いを頼んだのだ
暇があれば俺が魔法を見てやるが、今日は子供達の方を重点的に見ないとな
「あっ、院長
おはよう」
「おはよう、【ディボレス】
って、今日は何か凄い髪してんな」
「朝起きたら、見事にクルクルになってて……………
あーもー!! この髪、ウザったい!!」
ディボレス・チェルナーム
獣人の犬獣人でその中でも毛並みなのか?
まぁ、髪とかが綺麗な種類に入る
だけどディボレスはその中でも癖っ毛が付いてる
男だがそこが可愛いと、学園では人気だとか
「ほら、櫛を貸してみろ?
俺がやってやる」
「っ!?//////
い、いいって!!/////」
俺が手を出して、ディボレスが持ってる櫛を見れば、ディボレスは顔を真っ赤にして早足で去って行った
その姿に昔を思い出して、思わず笑えばズボンを引っ張られ、そちらを見た
「っと、どうした?」
「いんちょー…………、お眠…………」
眠そうに目を擦りながらマナリアが俺を見上げていた
そんな姿に思わず笑みが溢れ、マナリアを抱き上げれば、ちゃんと目を覚まさせる為に皆が居る広場に向かった
朝食後、少し時間を得てから全員を練習場に連れてきた
「さてと……………
今日は魔法を教えるけど無理はしない
勝手に居なくならない、ティア達の傍を離れない
いいな?」
「「「はーーーい!!!」」」
俺が注意事項などを伝えれば、全員が元気よく返事をしてくれた
そして魔法を教えるのだが………………
「見事にティア達に取られたな……………」
グループを作って、分けさせたら見事にティア達の方に子供達が集中してしまって、俺が暇を持て余す感じになってしまった
……………まぁ、こうして見ればあの頃と比べて、孤児が少なくなったと喜ぶべきか…………
「ノア、少しいい?」
「どうした?」
しみじみと思い老けていれば、ティアに呼ばれて、そちらに向かえば、数名の子供達が集まっていた
「この子達に最初の魔法を教えたいんだけど……………
どの属性か、調べてくれない?」
「属性か、分かった」
ティアに言われ、俺は子供達の前にしゃがめば、じっと顔を見た
「さて、一人ずつ、俺の前に来てくれ」
「は、はい………」
そう言って、最初に俺の前に来たのはダークエルフの【カリンバ】だ
普段は少し引っ込み思案で怖がりだからあんまり目立たないようにしているが、今回は俺が居るから一番、最初に来てくれたんだな
「カリンバ、少し動かないでくれな?」
「う、うん……」
カリンバが頷くのを確認すれば、俺はカリンバの頭に手を置いて、じっと魔力の流れを見た
俺が手を置いてる間、カリンバは少し照れてるのか、頬を赤くして俺を見上げているが嫌がってなさそうだから安心して俺は集中できた
「…………わかった
カリンバは火だな」
「じゃあ初級の【ファイヤ】を教えるね」
ティアが持ってた名簿にサラサラと書き加えていってる中、俺は次の子の属性を見てやった
そして全員分のを調べ終え、立ち上がれば既にバケツの水を浮かばせてる子供達が見えた
そしてその向こう側では、作った的に風と雷の魔法を当てようと練習している子供達も見えた
(流石に飲み込みが早いな…………
今までの子達と同じだな…………)
周りを見て、困ってたりする子が居ないか、探したがティア達が教えているだけあってか、そんな子は居なくて、着実に初級の魔法を身につけていっていた
「これなら問題なさそうだな
よかった」
「院長」
俺がホッと息を吐いていれば、呼ばれてそちらに顔を向ければ、ディボレスと後二人がそこに居た
「実は…………、魔法の実技で自信が無くて…………」
「見てもらえますか~?」
「【オルシア】と【アナシア】は分かった
だが、ディボレス
お前もか?」
「俺は二人の付き添いだ
それとどうせなら復習の為に院長に見てもらいたい」
エルフのオルシアとアナシアも学園では成績がいい方だ
だが、実技となれば不安に思うのは仕方ない
そんな二人を見かねて、ディボレスが付き合うのだろう
オルシアとアナシア、ディボレスはほぼ同時期にチェルナームで保護してそれ以来、本当の兄妹のように過ごしてきた
オルシアとアナシアも、事ある事にディボレスに頼って、そんな二人をディボレスが甘やかして……………
そんな昔の事を思い出し、微笑めば俺は頷いた
「分かった
久しぶりに三人まとめて見てや「「「きゃあぁぁぁぁ!?」」」って、何だ!?」
俺が話してる最中、悲鳴が聞こえ、慌ててそちらを見れば…………
巨大な水柱が立っていた
「お、お父さん!!
ど、どうしよう!?
魔力をバケツに流してもらったらこうなっちゃった!?」
「ちょっと待ってろ!!
すまん!!後で見てやるからな!!」
俺は慌てて、ディボレス達に言えば、マーシャの方へ、駆けていった
「お前!!
あれほどバケツ一個に対して、複数人で魔力流すなって言ったろ!!」
「ふぇぇぇん!?」
マーシャを叱りながら子供達に魔力を止めるように言ってる中、ディボレス達がその光景を笑いながら見てるのに気付きながら俺は、心の中では、俺も笑っていた
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる