孤児院経営の魔導士

ライカ

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本編

とある魔導士の決断

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長くに渡る人間と魔族との戦争があった
それは古くから続いていて、もはや、何故、戦争が起きたか、そんな理由も遥かなる過去に消え去っても、人と魔族は争い続けていた
お互いに争い、傷つき合い…………
どちらも多くの犠牲があり、お互いに疲弊していた
そんな中、一人の王と魔族の王が戦場の真ん中に立ち、同時に武器を捨て、手を握り合った
そしてその瞬間、長くに渡る戦争が終結した

終戦の事実は、一瞬で世界中に渡れば、すぐに争いをしていた人間と魔族は、お互いに武器を捨て、抱き合い、喜びを分かち合った
そしてこれからは手を取り合い、助け合うと和平を結び、永遠に渡る平和を約束した

それから七年の歳月が経ち、人間と魔族のイザコザも無くなり、それぞれが共存していく世界が実現しつつあり、世界は安定し始めた頃…………

王都のとある建物の部屋で荷物を全て、空間魔法で作った別空間に運び終えれば、空間を閉じて、綺麗になった部屋を見回してから、杖を掴ん 「何処に行く気だ?」、……………だ所で声をかけられ、振り返れば、見慣れた装飾をつけたマントを羽織ったダチがそこに立っていた

「お前か、脅かすなって」

「質問に答えろ
何処に行く気だ?」

頭を掻きながらいつものように話したが、ダチは軽く言った言葉を跳ね除けて、言い放った
ヤツの顔を見れば、真剣に、そしてこの部屋を見て、察してるのだろう…………
何処か…………、悲しげな顔をしていた

「本当ならサッと言ってから行こうと思ったんだけどな…………
俺は今日、【_________】を辞める」

既に決めたことで、手続きは既に済ませてある
そして次の【_________】も任命してある
だから、俺はダチの顔を真っ直ぐ見つめて言い放った

「………………そうか」

「この部屋に入った時点で勘付いてたろ?」

「あぁ…………」

ダチは顔を俯かせれば、微かに笑ったが声が震えていた
…………全く、ここまで来て、それは無しだろ?

「まだお前の力が必要だ………」

「いや、もう俺の力は必要ねぇだろ
魔族と人のイザコザも無くなりつつ、大きな争いも無い
そして力を合わせ、暮らす国や都が増えた
全ては魔王とお前の力だ」

「それでも…………!!
まだ、俺は…………」

ダチはそれだけ言えば、言葉が出なくなったのか、肩を震わせていた
そんなダチに近付けば、俺は肩をポンっと叩いた

「安心しろ
お前はもう立派に王の務めを全うしてる
もう俺の力は要らねえよ
大丈夫、俺が信じたお前なんだ
やっていけるさ」

俺がそう言えば、ダチは袖が汚れるのを構わず、袖で顔を拭いた
全く…………、コイツはいつもそうやって涙を拭いてたな

「分かった……………
だけど、いざって時は……………、頼ってもいいか?」

「俺もそこまで冷血じゃねぇさ
いざって時は喜んで手を貸してやる
まぁ、俺のやりたいことが上手く行っていたらの話だけどな」

俺はそう言って、手を離せば、ダチは俺の顔を真っ直ぐ見つめた

「やりたい事?」

「あぁ、俺はな

_____________________________________________

そこで目が覚めた
薄暗い部屋の天井をボー、と見上げながら俺は視線を窓に向けた
空はまだ日が昇り始めた頃だろうか、白み出して、空に青色が生まれつつあった
ふと、俺は息苦しさを覚えて、視線を動かせば、俺の鼻と口を覆うように蛇の胴体のようなモノが置かれている
いや…………、もうコレの正体はわかってんだけどな……………
視線を横に向ければ、クスクスと笑って、今か今か、と、待ち望んでいる影が三人……………

全く…………

「………………息苦しいわぁ!!」

「「「きゃーーー♪」」」

ガバッと上に被っていたタオルケットごと、起き上がれば、楽しそうな声と共に俺から離れるように扉へかけていく三人

「【マーシャ】!!、【レオン】!!、【アルタ】!!
この起こし方は止めろと言っただろう!!」

「起きない院長が悪いんだよ♪」

「ふふふふふ♪」

「皆ぁ!!
お父さんが起きたよーー!!」

「お父さんは止めろ!!」

走りながら俺に悪戯っ子ぽく笑みを見せる人間のレオン、クスクスと笑った口を両翼で隠しながら笑うハーピィーのアルタ、そして長い蛇体をくねらせ、いつものように声を上げ、俺の起床を教えるラミアのマーシャ…………

そんな三人が部屋を出て行ったのを見ていたが、俺はベットから出れば、窓を開けて、伸びをした
そしてすぐに近くの棚から紙を一つ、取れば、それを窓の外に出せば、すぐにその紙は綺麗な水色に変色した

今日は一日中、晴れだな
ここんところ、晴れが続いてるのは嬉しい限りだ
これで洗濯物が乾き続けて、アイツらに温かい着替えを用意できる

そう思いながら寝巻きを脱げば、タンスからいつもの服とローブを着れば、部屋を出て、鍵を閉めた

「さぁ、今日も一日を始めよう」

小さく呟きながら俺は、太陽の日が差し出した廊下を歩き出した

ここは【チェルナーム孤児院】………
俺が作った戦争で行き場を無くしたり、親を無くした子達が集う場所である
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