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部活動

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あれから時間が過ぎて、昼頃となった
いつもなら食堂で飯を食べてから午後の授業に入るのだが突然、午後の授業が無くなったと知らせが校内に流れ、午後からは暇になった
ヒイロはあれから姿を見ていないのだが、先生に会って話をすれば、ヒイロは王様に会いに城に連れてかれたとの事らしい……
どうやら勇者としての任を告げられるのだろう……

確かにストーリーでもそうなっていたはずだ……

(と、なると午後から暇だしな……
今日の宿題とかも早めに終わらせちまったし……)

この後の事をぼんやりと考えながら廊下を進んでいた俺だったがふと、ある事を思い出した

(そう言えば……  このゲームには部活があったな……
ゲームだと色々ある部活の中から一つだけ選んで部活に所属する事でステータスにバフがかかる…… んだっけ?
妹のプレイを見ていたんだけど流石にそこまで詳しくないんだよな……)

そんな事を考えているが俺は小さく「よし……」と呟くとある場所に向かった

俺の目の前の扉を開けるとそこは清楚なロビーだった
ここは学園の部活中心となっている【学園クラン】と言う場所だ
クランと言うが本格的なギルドとかでは無く、学園の部活をクランと読んでいるとの事だ
ちなみにクランに所属していれば街での関連施設で援助とかしてもらえるとの事らしいが詳しくは知らない……

(まぁ……  そんな裏設定とかは妹は読まない主義だからな……
だから俺も知らない……  ってか、その頃には俺も別ゲーをしてたから興味すら無かったし……)

そんな事を思いながらクラン募集を確認する為に掲示板に近づいた
クラン募集は大抵、掲示板に募集の貼り紙をしているらしいが見てみると相当な数の貼り紙がしてあった
(どんだけだよ……)と思いつつ、パッと見て確認していく

(錬金研究会 ダンジョン攻略部 冒険部……
本当に異世界様々な部活の内容だな……
その他にもモンスター研究会とかもあるし……)

様々なクラン募集を見ている中、一つだけ気になる内容が目に入った
そこには【スキル研究会】と書いてあった

「スキル研究会?」  「なんや? ウチが気になるんか?」  「うわぁっほい!?」

スキル研究会の文字に首を傾げていると唐突に声をかけられ、ビクッと体が反応しながら俺は振り返った
そこには金髪ギャルの女性がそこに居た

「あー 驚かせて堪忍な
ウチがスキル研究会の部長をしてるチョウカ・ユリシオや 美人やさかい堪忍な」

そう言いながらチョウカさんはケラケラと笑っていた
つーか……  喋り方……

「んで? あんさん 一年やろ?」  「あ、はい カイト・アオミネです」

チョウカさんに言われ、俺は慌てて自己紹介をするとチョウカさんは「お~」と声を漏らした

「あんさんがカイト君か~ ウチらのクラスでも噂になっていたで~
何でも罪を犯した家族を止める為に決闘したと」

「ま、まぁ……  流れでですけど事実ですね……」

俺が頬を掻きながらそう言うとチョウカさんは俺の顔をジッと見てきた

「んで? あんさんは何でここに居るんや?」

「あっと……  少し興味がありまして」

俺がそう言うとチョウカさんはジッと俺を見ている

「ふーん……  まぁ、ええか
それでウチのクランの募集を見ていたって、ことは少しは興味持ってくれたってことやろ?」

「え、えぇ……  スキルに付いて興味がありますので……」

そう言っているとチョウカさんがガッと勢いよく俺の手を掴んだ

「うぇ!?」  「あんさん……  固有スキル持っとるやろ?」  「っ!?」

チョウカさんが真面目な顔でそう言ってきたので俺は驚きのあまり彼女の顔を見た
その眼差しは真剣そのもので、(何で気付いたのか?)と疑問は消えていった

「は、はい」  「ちょいとウチのクランルームに来てもらうで 話はそこでや」

そう言い、チョウカさんに連れられ、俺は彼女のクラン スキル研究会のルームに連れて行かれた

チョウカさんに連れ込まれたのはスキル研究会の部室とも言えるルームだ
そこには様々な本や古い資料などが置かれていて、チラッと見たのだが色んなスキルの名称やその効果などが書かれていたが曖昧なものが多い……

スキルは人によって違う……  だからスキルは多くの研究者が研究をしていると前にオイト兄さんから聞かされた事があった

そんな中……

「ほんじゃ……   聞かせてもらおうやないか」

椅子に座らせれると逃げられないようにチョウカさんが俺の膝に乗り、鋭い目付きをしている
そしてチョウカさんの後ろでは仁王立ちで俺を見ている女性と小柄な男性がいるが助けてくれる気配はなさそうだ……

「安心せえ 固有スキルの事を聞いてもウチらは外部には漏らさへん
なんやったら誓約書を書いてもええで」

チョウカさんはそう言い、誓約書を見せてきた
ずっと前から準備とかしていたのだろうか……  紙は痛んでいる部分もあるが俺はソレを見た時、彼女を見た

「いや 書かなくていい
貴女達の事は信頼できると判断した」

誓約書を見た時、彼女達を信じようと思った
その誓約書は魔法道具の一つで、とある魔法がかかっている
その魔法とは誓約が破れた場合、誓約者はその命を持って償う魔法がかかっている
固有スキルは個人情報のトップレベルの極秘事項という事もあって、決して親しい人でも話すことはいけないと言われている
だからチョウカさんは誓約書を書いたのだろう

「だが、話したとしても他言無用で頼む」

「もちろんやで」

そう言って、めちゃくちゃいい笑顔をするチョウカさんに苦笑いを浮かべながら俺は自分の固有スキル【モンスターブレイク】について知ってる限りの事を話した

「なるほどなぁ……  倒した魔物によって魔力の数値をあげたりするっちゅーことか……」

話を終えるとチョウカさんはメモったモノを見ながら何か考えていたが、すぐに俺を見てきた

「あんがとなぁ これで次の研究の課題が出来たわぁ」  「課題?」  「せや あーと、その前に言っておくわ ウチな あんさんと同じ固有スキル持ちでスキル名は【モンスターイーター】やねん」

チョウカさんの言葉に俺は驚き、彼女を見た
チョウカさんは頭を掻きながら笑っているが何処となく、哀愁が漂っていた

「固有スキルちゅーのは未だに解明されてない人々の個性や その中でもただスキルの名前だけで家を追われる者もおってな~  ウチもその一人や」

そう言って、後ろに居る二人を見た

「もちろんそこに居る二人も固有スキルのせいで家を追われた奴らでな
同じ追われた者同士やさかい ウチがクランで面倒を見てんねん
そんな時にあんさんの噂が流れてきたんや」

そう言いながら俺を指差してきた
その勢いに思わず俺は背を逸らしてしまった

「あんさんは今まで何も噂にあがってこんかったのに急にあんな噂が流れてきた
そして今日の授業での魔法の使った所を聞いた時にピン!! と来たんや
あんさんもウチらと同じ固有スキル持ちでありながらその力を使い、生きようとしておる
それならあんさんはウチらの同士確定や」

「……あれ? コレって俺、クラン入りしてる?」

チョウカさんの言葉にボソッと呟くとチョウカさんはニヤリと笑った

「せやで あんさんは固有スキル持ちでウチらを信じてくれた
せやからもうあんさんはウチらの仲間や」

そう言い、チョウカさんはバン!! と机に入部届けを叩きつけると俺を見てきた

「ウチの夢はスキルがどんなんであっても人が自由に夢を見れる事にする事!!
どんなスキルを持っていたとしても使い方によっては人の役に立てると証明することや!!
スキル一つで人の価値観は決められない!! 価値を決めるのは使う人によってや!!」

チョウカさんは胸を張りながらそう宣言すれば後ろの二人も同調するように頷き続けている

「せやから あんさんの力、ちーとばかし貸してくれへんか?
ウチらで世界に大どんでん返しをしてやろうやないか」

そう言って、笑ってるチョウカさんを見て、俺も自然と笑うと入部届けにサインをすればチョウカさんの手を取った

「これからよろしく頼みますよ? 部長」  「部長は余計や チョウカでええで カイト君」

そう言いながら俺たちは笑い合った
こうして俺は流れでだがスキル研究会に入る事になった

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