上 下
8 / 16

ヒロイン急接近

しおりを挟む


俺とカルタは昼飯を食べに街に繰り出した
街に出るとそこにはオシャレなカフェやレストラン、更には露店もかなりの数、やっている

「うわぁぁ~!! ねぇねぇ!? どれ食べる!?」

カルタは無邪気に辺りを見渡すと振り返り、俺に子供みたいな笑顔を見せてきた
こうしてみると確かに(ヒロインの一人なんだな)と思った

「全く……  金持ちのお前の舌に合うかは時の運だからな?」  「それはカイト君もでしょ?」  「あ、違いねえな」  「ふふふ♪」

そんな会話をしながら適当に露店のサンドイッチを買い、ベンチに座ると食べ始めた

「おいし~♪ このサンドイッチ、パンがフワフワでいい~♪」

どうやらカルタはこのサンドイッチが気に入ったのか、夢中で齧り付いている
その姿を見るとヒロインとは思えないが……

(いや!? 何で俺、ナチュラルにヒロインを昼飯に誘ってんだよ!?
近づかないように注意してたのに!?)

そこでカルタがヒロインだと思い出したが乗り掛かった船という事もあり、置いて帰るわけにもいかなくて、複雑な考えは一旦、忘れてサンドイッチを食べた

「いや、美味っ!?」

正直……  食べた瞬間、露店で売ってていいレベルの美味さではなかった……
マジで店を出せばかなり売れると確信しているが流石にそうすると今後、このサンドイッチを食べられなくなると思い、あの露店には言わないようにした……  今後も通うつもりだし、いざっとなったらアオミネ家の権力使って支援するつもりだ

「あはは♪  カイト君 ほっぺにソース付いてるよ」

サンドイッチに感動しているとカルタがそう言い、俺の顔に近付くとぺろっとソースが付いてる部分を舐めてきた

「♪~ あ……」

舐めた後、ニコニコしていたカルタだったが大胆な行動だったと気がついたのか、徐々に顔を赤くしていく
今になって思うがカルタは何処か、抜けているようだ……
お嬢様っぽいっというか……  まぁ、貴族の令嬢だからお嬢様なのだが……

「カルタ 顔赤くしすぎだ
あとこういうのは他の男にするなよな?」

「は、はい……」

俺はカルタの頭を撫でながら注意をするとカルタは恥ずかしそうにサンドイッチをハムハムと食っていた
……ハムスターみたいだな

(しかし……)

俺はカルタを気にしながらも街の風景を見る
賑わいが前より騒がしくなり、まるでお祭りのような感じだ……
視界を動かすとカフェに学園の生徒と思われる男女が居たりする

(意外と学園生徒が多いな……  ここまで多いと何らかのアクシデントに巻き込まれそうだな……)

と、そんなことを思ったりしていると……

「あ、カルタちゃん」  「あー!! ファリンちゃん!!」

女性の声が聞こえたと思えば、カルタがその人の名前を言った瞬間、俺は食べていたサンドイッチを吹き出しそうになったが急いで飲み込んで視線を向けるとそこには綺麗な黒髪の女性が立っていた

(嫌な予想的中!? ヒロインが増えた!?)

この女性は【ファリン・ルー】
このゲームのヒロインの一人だ
もちろん妹が買ったパッケージにも居たから覚えている
だが……  一つだけ違う部分を上げるとするならば……  何で地雷系と言われる女性の服を着てんだよ!?
ピンクのふわふわスカートにツインテ、ガーターベルトは流石にコンプしすぎだろ!?
俺も何度か 自分でキャラ作って、戦わせる格闘ゲームで何度も当たった事があるけど、そっくりだぞ!?

「カイト君……」

そしてファリンがボソッと呟いた言葉に背筋がゾクッとした
俺は確かにファリンとは初対面の筈、だが、確かに今、ファリンは俺の名前を呼んだ
ソッと顔を向けるとファリンの目は真っ直ぐ俺を見ている
瞬きすらしていないのが余計にホラーを思わせる

「えっと……  初対面の筈……  だよね?」

「酷い……  私、婚約者だよ?」

それを聞いた時、俺はビシャンと雷が打たれたみたいに固まった

「えぇ~!? カイト君!! ファリンちゃんと婚約者なの!?」

カルタは驚きながら俺とファリンを交互に見ているが俺は必死に記憶を辿った
…….だが、カイトの記憶でもファリンに会ったことがない
俺は素早く魔道具の通信ラクリマを取り出すととある場所にかけた

《どうした? カイト 俺に通信して《オイト兄さん!! 今すぐに俺の婚約者について調べられる!?》はぁ!? カイトに婚約者!?》

俺の言葉に先程までのんびりしていたであろうオイト兄さんが慌てる様子が聞こえてきた
それから調べてもらったが確かに俺とファリンは婚約者となっているらしい……  ただし書類上での事だ

何でも父上……  テイト・アオミネはファリンの父親……  ルー家に対して借金をさせていたらしく、借金の返金の目処が無いルー家に娘を渡せと言い、無理やり俺の婚約者に仕立てたらしい……
本人の預かり知らんところで……

だが、テイトが捕縛された事とオイト兄さんが当主になった事からルー家に謝罪とテイトがむしり取った金銭全てを返金した

《とりあえず今、ルー家の当主に繋いで、婚約は破棄するように言ったけど断られた
何でも『娘は本気でカイト様に惚れてしまったらしい』だという事だそうだ
ちなみにカイトに会わせた事は無いとの事らしい》

一度、通信ラクリマを切り、折り返しでオイト兄さんからかかってきて、その内容を聞かされた時、俺は頭を抱えた
そしてオイト兄さんに感謝を告げて、切ってから俺はファリンを見た

「ファリン……  とりあえず確認する
俺の記憶ではお前と会った事は無い 事実確認も済ませた
何でお前は一目で俺だと確信した?」

「……ずっと見てたよ」

俺がそう聞くとファリンはガバッと俺の肩を掴み、俺の顔を覗き込みながら目を合わせてきた

「ずっと見ていたよ お兄さんたちに虐げられてる所も、一人で鍛錬している所も、森でカルタ達を助けた所も、あのメイド達と夜、ヤリまくってるところも、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部見てたよ?
私はずっとカイト様を愛してるよ? 私の心もずっとカイト様が独占してるよ? 私のこの体はカイト様の愛を刻み込まれるためにあるの
全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部カイト様専用の女なんだよ? 婚約者なんだからそうでしょ? 今もカイト様のためならここで裸になって、貴方に奉仕してあげられるよ? あ、でもそれだと他の女にカイト様のモノを晒してしまうね? だったらここから移動して私とシよ あんなメイドよりキモチイイヨ」

ファリンは早口でそう言い続けている間、俺は顔が真っ青になっていた

(怖ぇぇええぇえ!? 嘘だろ!?
めっちゃ地雷系女性ヤンデレになってるじゃねぇか!? ファリンって、確かお清楚キャラで男知らずのお嬢様キャラじゃなかったか!?)

妹に見せてもらった設定資料だと確かに男を知らない聖女ポジだったと覚えている
だが、今の彼女は確実に拗らせヤンデレだ
間違いなく圧倒的に拗らせている……

「も~ ファリンちゃん
カイト君が困ってるよ」

するとカルタはそんなファリンの頭を撫でながらそう言うとファリンはハッとして離してくれた

「ご、ごめんなさい 初めてカイト様と話せて嬉しかったから」

そう言い、頬を赤らめながらモジモジしているファリンを見ながら俺は思った

(もう少し先にその姿を見れたらよかったな……)

ヤンデレ化したファリンに少し恐怖しつつ、その後は三人で街をぶらついた
ファリンが何やら俺を連れ去り、監禁計画を立てていたのは徹底的に潰したけど……

「あ もう時間 私、寮に戻らないと」

「えぇ~? ファリンちゃん もっと遊べるでしょ~?」

少し日が傾き、午後になっていることに気がついた頃、ファリンが腕時計を確認するとそう言ってきたからカルタが拗ねたように頬を膨らませていた

「カルタ ファリンだって用事があるんだから仕方ないだろ?
その分、他の日に遊んでもらえ」

俺はそう言い、カルタの頭を撫でれば、カルタは納得してくれたように頷いた

「じゃあファリンちゃん!! 次は一日中、遊ぼうね!!」  「うん カイト様もまた……  今日中にカイト様の場所作っておくからね?」  「ちょっと待て!? それは監禁部屋の事か!?」

去り際にファリンが不安なことを言って去っていったが追求するのはまた会った時でいいだろう……

「さて、カルタ
そろそろ日が暮れ始めたし、行きたい場所があるならさっさと行く」

そう言いつつ、カルタの顔を見た
そして気づいた……  カルタの顔が真っ赤になりながら必死に足を内股にしてモジモジしているのを……

「カルタ……  我慢できそうか?」

丁度、ここは人の通りが少ない所だったのでカルタにソッと近付くと耳元で確認するとカルタはフルフルと首を横に振った

「何で先に言わねえんだよ!?」  「だって楽しかったからぁ!?」

小声で話しているがカルタは限界みたいで周りを見渡して、間に合わない事を察すると俺はカルタの手を掴み、街の外、小さな森に転移した

「ここなら誰もいないから早くしろ」 「きゃっ!?」

そう言ってる最中だが、カルタは既に下着を下ろしていたが、不意にふらつくと尻餅をついた

「あ、あぁ……!? だめぇぇ!?」

カルタが慌ててるがチョロっと出始めると勢いよく尿が出始めた
足は尻餅をついた時には広げられている為、結果として俺に尿を出してる所が丸見えであった

俺も視線を逸らせば良かったが突然のことで対応できなかった

そこから一分くらい、出ていたがやがて勢いが無くなると止まった

「ぐすっ……!! えぐっ……!!」

カルタは俺に漏らしてる所を見せた事で完全に泣き出していた

「その…… すまん……」  「カイト君の前で漏らしちゃったぁぁ……!! ごめんなさい……!! 嫌いにならないでぇ……!!」

俺が謝るとカルタはまさにアニメで言うびえーん と効果音が付きそうなくらいに泣き始めた
しかし俺に見られた事に対してではなく、俺に嫌われると思って泣いていると言ってるのを聞き、俺は頭を掻きながら近付くカルタを抱き寄せた

「嫌いになるわけねぇだろ? な?」

カルタの頭を撫でながら笑顔でそう言うとカルタはそれに安心したのか、俺にしがみつくと更に泣き出してしまい、泣き止んだ時には空には星が光出していた

「すっかり夜前になっちまったな……」

俺は空を見ながらそう言うとモゾモゾと俺の膝に座っていたカルタが俺を見てきた

「ごめんね…  泣いちゃって……」

「気にするな それが普通なんだからよ」

カルタの頭を撫でながらそう言い、俺はふとカルタの足首の下着を見てしまい、顔を逸らした

「すまん……  そういえば履いてなかったな
顔を逸らしてるから履いちゃえ」

顔を逸らしながらそう言うとカルタは黙っていた
少ししてカルタの手が俺の顔に触れるとカルタの方に顔を向かせられれば、「ちょっ!?」と驚いた

カルタはスカートを捲り、はっきりと見せてきていたのだ

「な、何やって!?」  「カイト君……  もう私が漏らしてるの見ちゃってるんだから気にしないで……  それに……  私はカイト君になら見られてもいいよ?」  「それは友達の範囲を超えているから!? だから」  「知ってるよ」

俺の言葉を遮り、カルタはそう言うと俺の手を取ると自分の股に持って来させ、触らせてきた

「こういうの行為がどんなのか……  しっかり学んだよ? カイト君と出会って、その日から色々と学んだよ?」

そう言いながらカルタはソッと俺の首元にキスをした

「でもまだ早いと思うよね? だからカイト君
今はこれで我慢するね? でも私、こう見えて諦め悪いよ?」

そう言うとカルタは笑った


その後、カルタの股を拭かされ、寮に戻るとカルタに頬にキスをされて別れた

そして俺は近くのベンチに座ると深く頭を抱えて、絶望していた

(何で俺に対する好感度が高いんだよ!? ばっかやろぉぉぉぉおお!!)

ヒロインとなるべく関わらない……
そんな目標が崩れ落ちた瞬間に俺は悩みの種が増える事となった

余談だが、部屋に戻った瞬間、俺はアヤネ達にベットに押し倒され、三人に襲われたのは言うまでもなかった

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

処理中です...