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結末は呆気なく……
しおりを挟む「オイト兄さん カイトです」
『入ってくれ』
テイトとの決闘から三日が経った……
空は少し星が輝く中、俺は執務室に居るオイト兄さんを尋ねた
返事があり、部屋に入るとザイドとビルト、テイトの後始末をしているオイト兄さんが居た
その隣にはオイト兄さんが直接、面談し、雇い入れた執事や従者の方々がオイト兄さんを手伝っていた
「カイト 体は大丈夫かい?
アヤネに連れて行かれた後、このバタバタで見舞いに行けなかったから」
「はい 大丈夫です
父上派閥のメイド長 料理長と遊んでやったくらいには元気が有り余ってます」
俺がそう言うとオイト兄さんはクスクスと笑っていた
決闘から二時間くらい後にアヤネの手当てを受けていたがやり残しがある事に気付いて、アヤネに部屋で待ってるように言うと俺は部屋を出るとすぐにメイド長と料理長が襲って来たが二人の顔面を掴むと転移して、森に行くと二人を再起不能までボコボコにすると置き去りにしていった
父上派閥の人だけでは無く、メイド長はアヤネに様々な嫌がらせをしていた
こうして一緒の家で暮らす事になっている原因はあのメイド長がメイド寮にアヤネを住まわせないからだ
そしてアヤネの事実無根の噂でメイド達から孤立させたのもこの人だ
そして料理長は前にアヤネに毒入り料理を食わせた
その事実だけであれば俺は二人を再起不能にする理由となった
「そうか 新たにメイド長と料理長を指名しないとね
もちろんカイト 君が決めてもいいんだよ?」
「いいや それはオイト兄さんに任せるよ
俺よりもオイト兄さんの人を見る目は凄いからね」
俺がそう言うとオイト兄さんは照れたように頬を掻いた
実際にそうだと思っている
オイト兄さんの人を見る目は本当に凄くて、今もこうしている間も従者の皆さんは着々と書類を片付けていっている
しかもチラッと見たら、この領地の予算案だったりと優秀すぎてオイト兄さんの仕事がなくなるのではと思った
「さて、カイト ここに呼んだ、という事は分かってるな?」
「あぁ、父上達の処罰が下ったんだな
意外に速くて驚いた」
俺はオイト兄さんに促され、ソファーに座るとそう言い、オイト兄さんを見た
呼ばれた時にすぐに理由は分かったが素直に驚いた
騎士団に連れてかれたのは三日前なのにそんなすぐに処罰が下るのかと……
「ふふふ 俺の知り合いが頑張ってくれたからね
こんなに早く処罰が決定されたんだ
あとカイトが俺に渡してくれた書類を渡したのが決定的だね」
オイト兄さんはそう言いながら片手間で書類を片付けては執事に渡していってるけどノールックで渡してる辺り、凄い連携しているよな?
「父上は仕事の資金を使い、豪遊していた罪で辺境の牢獄塔に幽閉
ザイド兄さん、ビルト兄さんは国外追放……
父上は罪を認めて償うという事で軽めになったけどそれでも幽閉されるのは厳しいな」
「仕方ないさ オイト兄さん
そうでもしないと私情で裁判をしたと批判され、国の各地で反乱が起きる可能性があるんだ
処罰を下した人は的確だよ」
「そうだな」
俺がそう言うとオイト兄さんは頷いてくれた
そして従者の一人に目配せするとその人が俺に書類を渡してきた
「これは?」 「ザイド兄さんとビルト兄さんによって様々な事をさせられた女性達のリストだ」
リストを確認すればかなりの人数が居る為、俺は嫌そうな顔をするとオイト兄さんは何度も頷いた
「カイトの気持ちはわかる
でも、それらの女性はカイトが《治癒》と《浄化》の魔法をかけてあげたお陰で再起できるようになったんだ
兄さん達への怒りは置いといて、残ってる人達を任せてもいいかな?」
「もちろん」
オイト兄さんに言われるまでもなく、これは俺しか出来ないことだ
決闘から一日が過ぎた頃、俺はオイト兄さんに連れられて、ザイド兄さん達が連れ去った女性達の一部が居る小屋に入るとそこには精神が壊れたり、肉体が破損していたりと多くの女性がそこに居た
俺は(彼女達を救いたい)と心から願った時、急にアナウンスで《広域治癒領域》 及び 《広域浄化領域》と言うスキルが発動されるとそこに居た女性達の傷が癒えるところか、破損していた部分が回復していき、更には彼女達から穢れと思わしき黒い霧が出ていくのが見え、最初はオイト兄さんと共に言葉を失ったが、やがて彼女達が正気に戻ったと気がつくとオイト兄さんは先ずは彼女達を安全な場所まで運び、事の顛末を説明した後、俺と共に彼女達に頭を下げた
その後のことはオイト兄さんに任せて、俺はザイド達が捨てたり、幽閉している場所に向かい、治癒と浄化を繰り返していた
そして恐らくだがチェックが付いてない数を見るにあと少しと言うところだろうな……
そして俺はずっと考えている事がある……
カイトの設定資料を妹に見せられた際、カイトは治癒魔法も浄化魔法も使えなかったはず……
そもそも書かれてなかったから適性がないはずだが……
だが、今…… 俺はそれを使い、治癒と浄化をしている
(原作とはズレがあるみたいだな……)
そのズレがどれだけのモノか、俺は知らない……
「そろそろザイド兄さんとビルト兄さんが国外追放に向け、王都から出立した頃だろうな……」
オイト兄さんは時計を確認するとボソッと呟くと手を合わせると深く息を吐きながら顔を覆った
「オイト兄さん…… やっぱり辛いね」
「あぁ…… スカッとした部分もある……
けど…… 血を分けた兄弟を罪人として騎士団に明け渡し、国外追放されるとは……
こんなに辛いものが……」
俺がボソッと呟くとオイト兄さんは頷き、静かに涙を流していた
「オイト様…… お気持ち、痛いほどわかります
今は泣いてもよろしいと私は思います」
執事がソッとオイト兄さんの肩に手を置くとオイト兄さんは声を殺しながら泣き出した
俺は立ち上がると執事と目を合わせて、頷くと執事はコクっと頷いてくれた
オイト兄さんを任せて平気そうだ
俺は静かに背を向けると部屋を出た
部屋を出ると今まで堪えていたのか、オイト兄さんの嗚咽が聞こえてきた
それを聞きつつ、俺はその場を去った
今は月が雲に隠れ、周りは暗闇が支配する世界になった
そんな中、明かりがポツンと揺らぎながら進んでいく
それは罪人の証を記した馬車でこのまま進めば、国外に到着するだろう……
だが、突然、馬車が急に止まった
見ると馬も、そして護衛をしていた騎士達も地面に倒れ、眠っている様子だった
そんな中、一人の影が馬車に近付くと扉を開けて、中を覗き込む
中は薄暗く手足に枷を付けたザイドとビルトが横になり、騎士達と同じように倒れて、眠っていた
影はズルズルと二人を外に引き摺り、下ろしてから馬車から離れた場所に来ると二人を並べて、そして……
足に風を纏うと二人の首を切断した
そして胴体も手、足、腰と細かく斬り刻むとソレを袋に入れてから口を縛り、その先にある崖に来るとその袋を崖から落とした
袋は落ちていき、やがて暗闇に消えるとボチャン!! と水に落ちる音が聞こえた瞬間、獣やら魔物やらの声が賑わうと下から激しい水音が聞こえ、何か蠢く影が見える
「悪いな ザイド兄さん ビルト兄さん
ここで始末しないとアンタらはやがて復讐のためにこの国に戻ってくるからな」
フードを取ると俺は静かに呟いた
この後のザイド兄さんとビルト兄さんのストーリーは簡単だ
ここで国外追放されなくても、そう遠くない未来で国外追放され、復讐心を魔王に使われ、最後には主人公達の前にボスとして出てくる事となる……
そうなれば再び俺の普通の生活が脅かされるんでな……
改心していればそれで良かったけど馬車に乗っていてもザイド兄さんとビルト兄さんの心は変わらず、やむ得ず…… この手で殺す事にした
「少しはまともに兄弟として過ごせたと思うが…… 制作陣の奴らはそんな事を気にしないからな
こればかりは変更は出来ない」
そう言いながら頬に何かが伝って落ちるのを感じた
「だから…… ここで眠ってくれ
安らかに」
俺は頬に伝う涙を拭う事なく、その場で兄達に黙祷を捧げた
そして馬車に細工をするとその場を去った
後日、ザイド兄さんとビルト兄さんは魔物に襲われて死亡したと新聞に載る事になるがそれは先の話……
屋敷近くの川で血糊を綺麗に落とし、証拠隠滅した後、俺は家に入るとアヤネは出迎えてくれなかった
時間的に眠っているのかと思ったが、リビングに入ると俺は思わずアヤネの為に買ってきたプレゼントを落としかけた
リビングでアヤネは…… 「おかえりなさいませ カイト様」と頬を染めながら出迎えて来たがその姿はいつもとメイド服ではなく、何も着ていない裸の状態だった
「ア、ヤネ?」
俺は思わず言葉を失いながらも何とかアヤネを呼ぶとアヤネは徐々に顔を真っ赤にさせながらも俺の側に来るとソッと抱きついて来た
「カイト様…… 私は貴方に使えてからずっと…… 貴方をお慕い申し上げております
貴方様を愛しております」
アヤネは息を整えながら必死に言葉を繋げていっていく
「ザイド様やビルト様に見られた時、心から嫌だと思いました
彼らに私の全てを捧げたくない 体を好きにさせたくない……
そう思いました…… 全てはカイト様……
貴方様に私を抱いてもらいたいからです」
アヤネがそう言いながらカチャと音を立てて、俺のベルトを外すと俺のズボンが下に落ちた
「カイト様…… 少し前に小さく『恋愛はいいや』と言っておりましたね?
私はソレを聞いた時、悲しかったです…… ですがそれでも押さえられなくなりました……」
そう言うとアヤネは潤んだ瞳で俺の顔を見ると小さく呟いた
「私では…… ダメですか……?」
それを聞いて、俺は思わず思った
(あっ、コレ…… 断ったりしたらアヤネが自決するフラグじゃねぇか)
だが、ここまでされて断る勇気もなく、俺はため息を吐いてからアヤネを抱きしめた
「俺は恋愛は興味ねえ 少なくとも成人まではそれどころじゃねえ
だが…… アヤネはそれまで待てるのか?」
「はい!!」
俺はアヤネの目をジッと見つめながらそう言うとアヤネは満面の笑みで返事をするとキスをしてきた
それから俺ので汚れまみれになったアヤネに『俺より優先できる彼氏できたら教えろ』と言ったところ、アヤネは少し怒りながら俺の首を噛んでからジッと俺を見つめてきて『カイト様に抱かれて カイト様のを出され続けた時から私の一番、愛する人はカイト様 ただ一人です』そう告げられ、そんな質問できないようにと舌を捩じ込まれた
あれ? 何かこれ 何か盛大なフラグやっちゃった?
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