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魔物に襲われていた女ども
しおりを挟むゴブリンの一掃し終えると俺は汗を拭っていた
先程、アナウンスがあったが訳が分からないからとりあえず置いておくとして……
何故だか知らないが、体はまだ戦えそうだと感じた
(カイトよぉ お前って、体力すごいな
これだけ動いてもまだまだ行けそうだぞ)
その場でぴょんぴょんと跳び、改めて自分の足に感謝するとふと、ゴブリン達に囲まれて、危うくR-18展開になろうとしていた女性達を思い出して、見ると女性達はその場から動いていなかった
「おーい 無事かぁ?」
適当に血潮と肉片を払うと女性達に近付いて、声をかける
「ふ? ふぁ、ふぁい……」
周りのメイド達は俺を警戒しているようだが、そんな中で貴族そうな女性が気の抜けた声で返事をしてきた
「あーと 何でここに?」
そんな返事を聞きながら俺はある事に気づいて、固まった
(そういや女性とどう話せばいいんだ?)と……
アヤネは身内判定だから話せたけどこうも他人と話すと、前世ではずっと引きこもってた俺に対してはハードルが高いんだが、とりあえず差し支えもない事を聞いてみた
「我々はお嬢様が聖フェルガルト学園に入学されるので我々は都市にある屋敷に移動中にゴブリンの群れに襲われたのです
護衛の方々はゴブリン達に殺され、我々は身を隠す為にこの森に逃げ込んだのですが」
「まんまと策にハマり、追い詰めれていたと」
メイドの一人が説明をし始め、ある程度の状況が把握でき、聞くとコクリと頷いた
先程のゴブリンロードは人間の言葉を理解できるくらいには賢かった
だから策を練り、コイツらをここに追い詰めていたのだろうな
「お前らだけか?」
一応、他の奴らは居るかと確認するとメイドが首を横に振った
なら、探しに行かなくていいな
「で、そちらの嬢ちゃん 立てるか?」
そろそろ話しかけてもいいだろうと貴族の女性話しかけると頷いて、ゆっくりと立ち上がったがふらついて、倒れそうになったので俺が正面から受け止めた
「おいおい 足に力、入ってねえじゃねえか
無理なら無理って言いやが、ん?」
貴族の女性にそう言いながら顔を覗き込もうとするがふと、独特な臭いがしたので鼻を効かせる
そっと顔を覗き込むと女性は臭いに気づかれた事に気付くと顔が徐々に赤くなっていく
「……漏らしたな?」
察するととりあえず確かめる為にソッと囁くと女性は半泣きになりながら頷いてきた
「とりあえず誰にも言わねえから安心しろ
体を洗える場所…… 確か川が近くだったな
そこに行くか」
ここの近くに川の音が聞こえていたのを思い出せば、ひとまずそこに向かおうと提案するとメイド達は一斉に頷いた
そしてメイドの一人が大きなカバンを持ちながら移動して、川に到着すると俺は周囲警戒の為に少し彼女達から離れた所で待機
貴族の女性がドレスとか脱ぐと川に入り、体を流し始めた
(恐怖で小便はもちろん、まさか便まで漏らしていたとはな……
しかも臭い的に下○だろうな…… まぁ、本当なら風呂にでも入ってもらいたいところだが屋敷まで遠いしな 体を綺麗にするなら川だな)
そんな事を思いながらチラッと確認すると貴族の女性が半泣きで体を綺麗にしている
それにしてもアイツの顔…… どっかで見たような?
「と、考えてる場合じゃねえな」
俺はそう言いながら正面を見るといつの間にか、六匹のオオカミに囲まれていた
全員が飢えてるようで歯茎を見せながら俺を襲おうとしている
きっとゴブリン達に餌を奪われて、腹が減っているのだろうな
(適当にあしらうか)
そう思いながら適当に蹴り上げるモーションをすると突然、目の前に居たはずのオオカミ達が血肉となり、粉々に吹き飛んだ
「……は?」
あまりの出来事に思わずポカンとするとまた電子音が聞こえた
《ウルフの討伐を確認
カイト・アオミネのレベルが6上がりました
スキル《気配察知》のレベルが7となりました》
そんなアナウンスがするとすると急に視界がクリアになり、周りを見てみると木々で隠れているのに貴族の女性とメイド達がはっきり見えた
更に周辺を見てみるとかなり離れたところに敵対反応があり、ウルフだって事がわかった
(《気配察知》は分かるんだが凄くね?
最新機器を凌駕する広範囲のレーダーじゃん……
用途はSF系のFPSで出てきた手持ちのレーダーみたいだけど、この範囲だとパッと見、シミュレーションゲームのマップくらいかな)
色々と確かめながらそう思っていると《気配察知》に反応があり、木の根元を調べるとキノコがあった
「なんだこりゃ?」
見たところによると普通のキノコなのだが……
《気配察知》に引っかかったとなると魔物……、なんだよな?
「どうしましたか?」 「いや、このキノコが変でって、いつの間に!?」
キノコを調べようとしていると横から声がして、慌てて見れば貴族の女性とメイド達が居た
《気配察知》…… 急にどした!?
どうして急に察知しなくなった!?
「んー…… これはマンドラゴラですね」
「マンドラゴラ?」
そんな事を気にしている俺を尻目にメイドの一人がキノコをじっと観察するとそう言ってきた
「はい 生息地域が限られており、希少なキノコではありますが採取となると危険度はA 級と熟練の冒険者でなければ危険が伴うものです」
メイドの説明を聞きつつ、俺はじっとマンドラゴラを見ていた
とにかく《気配察知》に反応があったと言う事は一応、魔物判定なのだろうから、取っておきたいがマンドラゴラは引き抜くと発狂してそれを聞くと即死する可能性だってあるからな……
(もし《能力率強化》が俺の想像通りなら……)
俺は確かめる為にマンドラゴラを掴むとゆっくりと右手を構える
そして引き抜くと同時にマンドラゴラのコア部分がある所をカルタのように手を滑らせ、斬り落とすとマンドラゴラは叫び声を上げる事なく力無く俺の手に収まっている
(やっぱりか…… 《能力率強化》とは簡単に言えば成長率アップと同じ効果だ
そう考えるとつまりレベルが上がれば上がるほど、それが通常より二倍…… いや、十倍の上がり値になると言う事か……)
マンドラゴラを見ながら冷静に自分の能力を確認していると視線を感じ、見てみると貴族の女性がキラキラした眼差しでこっちを見てきていた
正直…… めっちゃビビった
「凄いです!! マンドラゴラをあんな簡単に処理するなんて!!
どうやったのですか!? 私にも出来ますか!?」
「ちょちょちょ!? 落ち着いてくれ!?」
そのまま貴族の女性が勢いよく迫ってきたので俺は咄嗟に肩を掴んで、近づいてくるのを止めた
《レアモンスター マンドラゴラの討伐を確認
スキル《完全耐性》を取得》
「あ? 《完全耐性》?」
まだアナウンスが聞こえて、俺はボソッと呟くと貴族の女性がキョトンとした
「どうされましたか?」 「いや…… さっきからアナ、ん"ん"…… 耳鳴りが……」
貴族の女性に聞かれ、咄嗟にアナウンスが聞こえると言おうとしたのを咳払いで誤魔化して、耳鳴りと伝えたが……
(さっき《完全耐性》って言ってたよな?
それって毒とか効かなくなったということか?
あーもー、実践しようにも魔物が居ねえしなぁ……)
そんな事を考えつつ、とりあえず貴族の女性にマンドラゴラを渡した
「とりあえずコレはやるよ 何か聞いた感じだと言い値はするんだろ?
それで新しい服と下着を買ったらどうだ?」
「は、はいって!? わ、私がノーパンだと何で知ってるんですか!?」
「何でノーパンなんだよ!? 女なら下着の予備くらい持ってろよ!?」
「ゴブリン撒く為に投げ捨てました!!」
「それは仕方ない!!」
漫才みたいなやり取りをしてから俺は溜息を吐くと際ほどと同じ様にマンドラゴラを取るとメイドに渡した
「お前達も下着とか捨てたから着替えねえだろ?
とりあえず必要な金分は取ってやるから待っててくれ」
そう言うとメイドの一人が何か言いそうになってたけど無視して、《気配察知》でマンドラゴラの場所を見つけると採取していった
「すみません……
街まで送ってもらって……」
結局、マンドラゴラは6個ほどで足りるとか言っていたので、取り終えるとコイツらが載っていた馬車に来た
馬は殺され、護衛の騎士達も無造作に地面に転がされていた
騎士達を弔ってやると野生の馬が居たので取っ捕まえて、馬車を引かせた
幸いにも何か言うこと聞いてくれたからこうして安全に街まで送り届けられたのだった
ちなみにここの街を超え、首都に着く
「気にするな 人は助け合いで生きてるモンだからな」
信頼できる宿に貴族の女性達を届けると礼を言われたがヒラヒラと手を振り、あしらった
まぁ、前まで俺も助けられてばっかだったしな……
今思うと俺は親父やお袋に恵まれていたと思う
親父は仕事の関係で海外を飛び回っている事が多かったけど、俺の事故をキッカケに日本に長居する事が多くなった
そして家に居る間は常に俺の心配をしてくれた
お袋も仕事で社長をしていたのにも関わらず、仕事を早めに切り上げてきては俺の事を世話してくれる
正直、子供に溺愛していると言っても過言ではなかったな……
そんな二人に会えないと思うと寂しさもあるが後悔の方があるな……
俺は何で此処に居るのだろうか? 最後にせめて親父やお袋に一言でも言い残したかった……
「あの……」
そんな事を耽っていると貴族の女性が顔を覗き込んでいた
「あっと、悪い
考え事をしていてな」
「……そうですか」
貴族の女性は少し俺の顔を見つめると頷いて、背を正した
「この度は助けていただき、ありがとうございます
何とお礼を申し上げまればいいか」
「気にするなって お互いに同級生になる事だしよ」
礼を言われ、頭を掻きながらそう言うとバッと顔を上げてきた
「同級生!? では、貴方も聖フェルガルト学園へ、入学を!?」
「あ、あぁ」
貴族の女性が勢いよく迫ってくると俺は思わずたじろいだ
「まぁ!! それでは私の第一の友人という事になりますわね!!
私、カルタ・シラクモと申します!!」
「か、カイト・アオミネだ」
「カイト君ですわね!? しっかり覚えましたわ!!」
その後、カルタに夕飯でもと誘われたが何とか断り、街を出た
流石にあのままの勢いだと困っちまうからな……
それにしてもカルタ・シラクモねぇ……
「……ヒロインの一人じゃねぇかぁぁぁぁああ!?」
ヒロインの一人と言う事実に気付くと俺はおもいっきり膝を滑らせながらガックし項垂れた
(まぁ、絡まねえだろうな)と思ってた矢先にめちゃくちゃ印象深い出会いを果たしてしまった……
俺…… 無事に強敵と戦いつつ、過ごせるのか一気に不安になった一日であった……
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