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第六章
本番前の片付け
しおりを挟む大会実行委員の手伝いをし続け、いよいよ明日は本番……
準備は滞りなく進んでいる
フォルティア達も勝つつもりでいるから士気は最高潮だろう……
そんな事を考えている俺は一人……
真っ暗な草原に立っていた
先日、また冒険者が亡くなった……
まだ駆け出しの冒険者で暗くなってもギルドに戻ってこないことからギルドの数名で探しに来た所、首を斬られ、出血し亡くなってるところが見つかった
犯人は不明…… しかもやられ方を見るに同一犯の可能性があった
俺が報せを受け、ギルドに行くとその冒険者にしがみ付きながらなりふり構わず泣き叫んでいるギルドの受付嬢の一人が居た
ビビスさんに話を聞いた所、彼女はその冒険者の婚約者で、来月にも籍を入れる事が決まっていたらしい……
この世界なら何処にでもある光景だが、俺はこれまでその光景を目の当たりにしてなかったから強烈に思えた
そう思うと運が良かった 逆に言うと今まで見れなかったのが運が無かったと思えるだろう
すると受付嬢が冒険者の腰からナイフを取ると自分の喉に突き刺そうとしたが素早くビビスさんが止めて、ナイフを奪うと受付嬢の頬を殴った
『アンタが死んだところでコイツが無様になるだけだ!!
死にたいのならコイツの分まで生きろ!! 勝手には死なせんぞ!! お前も!! このギルドの家族なんだ!!』
ビビスさんが初めてガチギレしているのを見た……
そしてビビスさんの言葉を聞いた受付嬢は再び冒険者に抱きつくと先程までよりも大声で泣き叫んでいた
『辛いですね…… しかも安全なはずの草原でこんな事になるなんて……』
隣に居た受付嬢が話しているのを聞きながら俺はその冒険者の首元を見た
そしてその傷を見た時、ピタッとあるモンスターが浮かんだ
『あの、もしかしたら彼はまだ助かるかもしれません』
そう言うとギルドの全員が俺の方を見た
そしてさっきまで泣いていた受付嬢が俺にしがみついてきた
『ほ"ん"ど"!?』
声は泣き叫んでいたから枯れ果て、ガビガビになっているが聞かれたので俺は頷くとこの手の治療に得意なロルプレーリーを呼び出すと彼の治療を始めさせた
『今からその元凶を潰しに行きます
まだ命を奪われて一日も経ってませんからもしかしたら奪い返せる可能性があります』
俺はそう言いながら受付嬢を見た
『俺を信じてくれますか?』
俺がそう言うと受付嬢は何度も頷いてくれた
『ビビスさん 依頼として受けていいですか?』
『もちろんだ なんならこの依頼が終了出来たならA級に上げることも可能だ
だが、出来るのか?』
『大丈夫です』
俺はそう言うとニッコリ微笑んだ
『俺には頼れる相棒と友人がいるんでね』
「で、それで俺達が狩り出されたって事か」
俺の隣で経緯を聞いていたアルバートが首を回しながらそう聞いてきたから頷いた
「もちろん フォルティア達に頼もうと思っても相手が相手だ
ヤバさ加減で言えば、今の実力じゃあ負ける」
そう言い、スメラギを見るとスメラギは宙に浮き、ジッと見張ってもらっている
「で、本当にヤツなのか?」
「多分だけどな…… 異様に首の傷がおかしかった
あれは斬ったと言うより抉り削ったと言っていい」
そう言いながら俺もじっと待っている
するとスメラギが急に空に光の玉を放つとこの空間を昼間のように照らし出した
そして照らされた草原に黒い影が見えた
「やっぱりテメェか……
ソウルイーター」
【ソウルイーター】
アルタナシア・ドリームに置いて、厄介な敵ボスと言われ、有名なヤツだ
手に持つノコギリで肉体を削り、傷つけた所から魂を抜くと設定されている
実際にはHPを吸われて、回復されるというクソ面倒臭い害悪ボスだ
だが、それがまさかここに居るなんて思ってもいなかった
「まさかスメラギが呼んでたんじゃねえよな?」
「私、全くもって知らない!?」
アルバートがスメラギを見ると残像が残るくらいにスメラギが首を横に振った
「とにかく敵目標はソウルイーター
ヤツを倒せば、魂を取られたヤツらは生き返る」
俺はそう言うと三人一斉に構えた
ソウルイーターは俺たちに気付くとノコギリを構えて、突撃してきた
「来るぞ!!」
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