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第六章
ティファ 対 マルタ
しおりを挟むフォルティアとヴィヴィアンがステージから下りたのを確認してから俺はティファとマルタをステージに呼び寄せた
「さて、次はティファとマルタだ
それぞれさっき見てた通りだが、先ずは身体調査をさせてもらうぞ いいな?」
俺がそう言うと二人が頷いたのを確認してから俺はマルタに近付いて、肩に触れると魔力を流した
「……うん 問題ない
けど、マルタ 薬、持ってたのか?」
「うん…… あまりにも使い過ぎると枯渇症に陥るからって、お医者様に貰ってるの
ルークが勧めてくれたお医者様だから信頼できるから任せてるけど……
薬って、シモンに渡しておく?」
「そうだな 試合の時に落としたり、無くしたりしたら困るからな
俺が預かっておくよ」
マルタは内ポケットから薬を取り出すと俺に渡してくれた
俺はちゃんと確認してからアイテムボックスに入れた
「いいか? 無理するなよ?
ヤバいと思ったらすぐに降参しろ お前が無理してるのが分かったら俺が止めに入るからな?」
「うん…… ふふふ
なんかシモンだと安心出来ていいね」
「それ、ルークの前で言うなよ?
俺がルークに刺されちまう」
俺がそう言うとマルタはクスクスと笑っていた
その様子を見て、微笑むとティファの方に近付いた
「ティファ いいな?」 「バッチこい!!」
両手を広げて、胸を張るティファに「そこまでせんでいい」と言いつつ、肩に手を置き、魔力を流していく
「ティファ お前、両性なのか?」
「そうだよ 言ってなかった?」
するとティファの下着が両性用のだと気付いて、驚きながら聞くとティファはケロッと答えた
「最初はさ 唯一の友達であるシャルロッテがシモンの婚約者になって、嫉妬で寝取ってやろうと思ってたけど、シモンっていい男だよね
だってこんなベルに聞いたよ?
ベルの為に両性用の防具とか下着を調べて、用意してくれてるって」
ティファはそう言いながら俺の空いてる手を取ると笑顔で微笑んだ
「今度からはもっとシモンと仲良くなりたいからさ
二人でダンジョンとか行こうよ? それと両性用専門店に行って、私の物を見立てしてもらいたいな?」
「おいおい それは俺でいいのかよ?」
「もちろん だってシモンは両性でも守備範囲なんでしょ? ベルが言ってた♪」
(ベルは後でお仕置きだ)と決めてからティファとマルタを立ち位置に立たせ、俺は離れた
「ルールはさっきと同じだ
では、始め!!」
そう言うとマルタは杖を構えると魔力を練り始めた
恐らくだが、一撃で決めるつもりだ
そしてティファはおもむろに武器を取り出したが……
「な、なんじゃありゃあ!?」
思わず俺は言っていた
ティファが取り出したのは馬鹿デカいハンマーだった
そしてあろう事か、ティファはそれを片手で持っていた
ティファが駆け出すとマルタはマントの内側から魔道具である《魔力貯蓄機》を取り出すとそれを口に咥えると火と水の球を放ち出した
一応、大会では唯一、あの魔道具だけは使用を許されているが一本までとされている
火と水の球はティファに迫るがティファがハンマーを一振りするだけで掻き消された
マルタはどんどん水と火の球を放ち続けているが《魔力貯蓄機》が空になったのか、丁寧にマントの内側に戻した
「もらった!!」
ティファが大きく振りかぶり、マルタに振り下ろそうとした瞬間、ティファの足元に大きな魔法陣が展開された
「《アイス・ド・シェル》!!」
マルタが唱えた瞬間、魔法陣から強力な光の柱が出ると一瞬にして、氷の柱となった
ティファは氷の柱に閉じ込められた
マルタは膝を突き、息を乱しながら確認していると氷の柱にヒビが走り出すとどんどん大きく、何本も走ると砕けたり、その中からティファが飛び出してきた
「そこまで!!」
ティファの勢いはそのままマルタに振り下ろす勢いだった為、間に入り、止めるとティファはハンマーを俺の目の前で止めた
「私の勝ちだね」
ティファはそう言っているが今はそれどころじゃない
慌ててマルタに近付くとマルタは咳込んで、吐き出していた
「マルタ!! 薬だ!!」
アイテムボックスからマルタの薬を取り出して、渡すとマルタは乱暴に受け取ると口に放り込んで、何とか飲み込んだが苦しそうに咳込んでいる
「落ち着いて 大丈夫だから」
マルタの背中を撫でながら落ち着かせるとマルタは俺を見上げてきた
「ご、めん、ね……」
「謝んな 分かってるから」
マルタが泣きながら謝ってきたからそう言い、背中を撫でていると突然、影が出たと思うとルークがマルタをお姫様抱っこした
「悪い シモン
マルタの事で世話をかけた」
「ルーク お前、試合は?」
俺が聞くとルークは指を指したので、見るとステージに転がる生徒達を見て、「あ」と察しがついた
「ルー、ク……」 「マルタ 大丈夫だ 木陰で休もう」
マルタはルークを見ると落ち着いたようにリラックスし出して、ルークは優しく微笑みながらマルタを連れて、木陰の元に歩いていった
「いや~…… お熱いこと」
「お前が焚き付けたんだろうが……」
その後ろ姿を見送りながらティファがクスクスとイタズラめいた笑みを浮かべているのを苦笑いしながら俺はツッコミを入れるのであった
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