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第四章
世界樹ダンジョン第一階層.4
しおりを挟む何とかフォルティアが掴まれる前に間に合って、《下月脚》を腕にぶち当て、へし折ってからタナトスが吹き飛ばしてくれた
そしてフォルティアに抱きつかれたから笑顔で抱きしめ返して安心させた
と、言うよりフォルティアの顔を見た時、何処となく、俺が来ることが分かってたような気がした
「タナトス カゲイチに呼び出されて来てくれたのがお前で良かった」
「シフォンケーキ 俺はカゲイチに呼び出されていない」
タナトスにそう言われ、「えっ?」と声を出すとカゲイチが近付いてきた
「タナトス様の言う通りです
タナトス様は私が呼ぶ前に《召喚》された模様……
そしてフォルティア嬢ちゃんは私のHPなどが見えております」
カゲイチの言葉に思わずフォルティアを見た
(フォルティアがカゲイチのHPが見えているだと!?
ソレってつまりステータスが見えているって事か!?
何でだ!? フォルティアは言わばこの世界の住民なんだぞ!?)
俺が思考を動かしていると後ろで音がして、見ると骸骨騎士が動き出していた
「デスガイストナイト……
まさかここでコイツが出てくるなんてな……」
【デスガイストナイト】とは俺達、アルタナシア・ドリームプレイヤーからしたら、会いたくもないランダムエンカウントボスの一人だ
嫌われてる理由は主にその耐久力だ
ダメージを与えてもなかなか倒れないし、低レベルでコイツに会ったら、長時間の戦闘になる
何よりコイツは【死の属性】が付いてるからダメージを喰らえば、即死というクソゲー極まりない理不尽がある
一発だけなら何ともないけど、高確率で即死するから高レベルプレイヤーでも嫌われてる理由の一つだ
「フォルティア達が無事でよかった
けど…… こりゃあ骨が折れるヤツが出てきたもんだ」
俺はフォルティアを離すとタナトスの隣に立ち、軽く飛び跳ねたら《拳気・聖光》を発動させ、拳に光を纏わせた
「あぁ コイツとやり合うのは俺一人でも行ける……
だが、コイツは違う
明らかにステータスが上がっている
俺も押し負けそうになった」
「タナトスが? なら油断は出来ないな」
タナトスの言葉を聞いて、俺はすぐに思考を戦闘モードに切り替えた
タナトスの話が本当ならコイツは俺たちの知ってるデスガイストナイトでは無い……
何故ならタナトスはこういう系のモンスターに特攻を持っていたからだ
「カゲイチ フォルティアをフローラ達の所に
ミュレーヌ 光の防御結界を張り、皆を守れ
フローラ、シャルロッテ達も決して外に出るなよ?」
俺が指示を飛ばすとカゲイチは素早くフォルティアを背中に乗せ、フローラ達の元に向かうと来たのを確認して、ミュレーヌが結界を張った
ミュレーヌの結界は俺が試しに本気で殴っても壊れなかったから相当な耐久性があるから信頼できる
「さて、やるか」
俺の言葉にタナトスが一気に動いた
大鎌を振りかぶり、振り下ろすとデスガイストナイトは剣で防ぐと受け流した
だが、ソレはタナトスが詠んでいて、デスガイストナイトの頭目掛けて、蹴りを喰らわした
俺も追撃しようとしたが突然、アラートが鳴り、左右から来た剣と槍を防いだ
「っ!? ふざけんなよ!?
デスガイストナイトが3体同時かよ!?」
俺は武器を掴んで、確認すると思わずプレイヤー目線で思いっきり叫んでいた
俺を攻撃してきたのはデスガイストナイトで間違いない
だが、この二体とタナトスが相手している一体を含めると3体同時となる
アルタナシア・ドリームでもあり得ない事だし、実際にこんなことが起きたら、クレーム殺到するだろうな
掴んでいた武器を大きく振り回して、デスガイストナイト二体を投げ飛ばした
剣の方は壁に激突したが、槍の方が地面に槍を突き刺し、吹き飛ぶのを中断すると素早く俺に接近してきた
そして《連続突き》と言う槍攻撃スキルが来て、俺は避け続けた
モンスターでもスキルを使ってくる
だが、このデスガイストナイトの《連続突き》は熟練度が高い模様で、槍の突き回数が多い……
避け続けていると剣の方が体勢を立て直して、俺に向かってきているのが見えれば、流石に俺一人ではキツいと感じ、《召喚》を行った
「出番だぞ!! アイリス!!」
「仕方ないわね!!」
アイリスは召喚された瞬間に魔法陣を盾代わりにして剣を防ぐとそのまま至近距離で《ライトギャザリス》をブチかました
《ライトギャザリス
光の球体を作り、敵に当てる事により光の爆発が起き、ダメージを与え、距離を空ける》
《ライトギャザリス》が直撃したデスガイストナイトは吹き飛んだが地面を削りながら足で踏ん張ったせいで距離があまり出来てなかった
「なるほどね
コイツら、きっとアッチの世界じゃなくてコッチで生まれたモノのようね
仕様が変わってるだけでなく、私達みたいに戦い慣れてるみたい」
アイリスが分析しながらデスガイストナイトを見ているがそこにタナトスがデスガイストナイトを吹き飛ばしてきて、剣持ち二体が合流した
「アイリス 貴様とは決着をつけ損ねていたな?
コレが終わったら、ルシファーの立ち合いで決着をつけさせてもらうぞ」
「あら? 誰かと思えば私に近付けたけどカウンターを受けて呆気なくやられたダメ神じゃない
別にいいわよ けどシフォンに迷惑かけるんじゃないわよ?
私だって、アイツの誓約したんだし」
「ぬかせ 貴様より俺の方が付き合いは長い」
タナトスはそう言い、突っ込んでいくとアイリスはすぐにタナトスにバフをかけて、援護する
そして剣持ち二体とタナトスが戦い出した
「おっと!! 流石に槍持ちはリーチがあって面倒いな」
一方、俺は接近をして数回、殴ったけどすぐに距離を取られ、槍の有利点を存分に発揮されていた
避けるのには他愛無いが流石にダメージレースだと不利になってきたな
「あ、そうだ
言うの忘れてた シフォン!!
装備!! 装備、付けなさい!!」
すると突然、アイリスが俺に向かってそう言ってきた
装備? そういや確認してなかったな……
確認すると装備欄が出てきて、何故か、何も付いてなかった
つまり俺はここまでノー装備でやってたのか~……
「……早く言えやぁぁ!?
ってか、俺も早く気付け!?」
俺はアイリスに叫びながら槍持ちを《バザードウェーブ》で壁に押し流すと急いで装備を付けていった
頭装備から足装備まで完全に装備し終えると槍持ちがそこまで来ていた
さっき壁まで押し流したのに立て直しが早いな……
「《光翼拳》!!」
俺は拳を握りして、《光翼拳》を当てると手首から翼が出たと思えばデスガイストナイトの頭、首は勿論、肺の位置まで吹き飛んだ
そしてガラガラと崩れ落ちた
《光翼拳
光のオーラを纏った拳の手首に翼を用いたブースターが形成され、殴ったと同時にオーラを放ち、ダメージを与える》
「うわぁ…… 今までの苦労が何だったと、言うくらいに楽に倒せた……
ってか、装備付けたらこうなるわな……」
今までの戦いを思い出しながら俺は苦笑いを浮かべながらタナトス達を見ると形成は逆転していて、アイリスのバフ援護を受けたタナトスが圧倒して、デスガイストナイトを斬り伏せていた
「ふむっ、急に力が湧いたと思ったがシフォンケーキが装備付けたからか
確かアクセサリーの中に俺達の能力を引き上げるリングがあったな」
「えっ? そんなの付けてたの!?
あん時、妙に強いと思ったのソレじゃん!?」
タナトスが感触を確かめるように手を開いたりしていて、アイリスは「ナニソレ!? ズルい!!」と言いながら俺に迫ってきた
仕方ねえだろ!? プレイヤーなんだから!?
「し、シモン様?」
声をかけられ、振り返るとフォルティアやフローラ達が来ていたが全員がキョトンとしていた
「どうした?」
「お、お兄様 そのお姿は?」
聞くとフローラが俺を指差してきたが俺はフローラの言葉に慌てて自分の姿を確認した
「は……?」
自分の姿を確認した瞬間、俺は小さく声を出した
その姿は正しく、俺がアルタナシア・ドリームをプレイしていた時のアバターの姿だった
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