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第四章

メスガキ魔王に事情聴取

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さて……  アレから時間は然程経ってはいない……

そして場所は《クリエイトエリア》誓約世界に移った

「ではこれより事情聴取を行う
皆、いいな?」

俺が椅子に座り、低い声でそう言うと周りに居る奴らは頷いた
そして俺の目の前にはさっきからビクビクと震えて、泣きそうになりながらも俺を見てくれるコリファンスが座っている

ここは俺が誓約した者たちが一堂に集まれるように作った神殿
名を《シフォンケーキ神殿》と言うらしい……
なんか知らないけど勝手に作られ、勝手に名付けられていて、変更不可だから頭を抱えた事があったな……

そしてここに居るのは俺だけじゃない
悪魔王のルシファー達は当たり前だが、龍王達、エルフの王、神様、アイリスは勿論だが、桜花……

「ちょっと待て!? 桜花ぁ!?
お前と誓約した覚えがないんだが!?」

「妾が勝手にやっておいたぞ
ほれ? 妾の腹にお前が子種を注ぎ込んだあの日
お主の首に口付けをして、永劫誓約をしておいたんじゃ」

しれっと居た桜花にツッコミを入れると桜花が扇子で口元を隠しながら笑うとワザとらしくお腹を撫でた

そして【永劫誓約】と言う単語で俺は頭をぶん殴られた気分だ
永劫誓約とはいわゆるなら俺の魂が完全に消えるまで桜花はずっと俺の誓約獣と言う事を意味する

「お前なぁ……」  「妾が好きでやった事じゃ 気にするでない」

そう笑う桜花だが今は構ってやる時間は惜しいんでな……

とりあえず前を向いて、息を吸った

「コリファンス
これから俺が質問していく
嘘を吐いたりした瞬間、指を一本ずつへし折るから覚悟しておけ」

俺は声を低くして、昔見たヤの付くドラマを参考にコリファンスを脅すとコリファンスは我慢の限界か、ポロポロと泣きながら何度も頷いた

「では第一の質問だ
お前の名は?」

「メリル……」

俺が質問するとコリファンス……、改めメリルが答えてくれた

「何故、コリファンスの名を語った?」

「お父、様の名前……
お父様……、居なくなったから……  メリが……、しっかりしないと……」

メリルの言葉を聞き、チラッとルシファーを見ると小さく頷いた
どうやら嘘は言ってないみたいだ

「魔王としてコリファンスの名を語ったのはいつ頃だ?」

「ぐすっ……  三年前……」

三年前と言うとイリア達が11の頃か……
俺はルシファーとエルフの王を指で合図をして、近づいてもらった

「どう思う?」

「私の考えだとコリファンスって奴は何者かに捕えられて、監禁されてると思うわ」

聞くと金髪の長髪を靡かせ、腕を組むとその巨乳が強調されるとエルフの王である【キャリオット】がそう答えた

アルタナシア・ドリームのエルフは【エルフ樹海】と言うダンジョンか、【森廻国 エルカーダ】と言う国にしか居ない
それこそテイムしたいならダンジョンに潜るしかないが、テイム率はボス並に低い事からテイム出来たモノはプロゲーマーと言われるようになる

そして俺もゲーマーたるモノ、エルフのテイムを試みた
そして【ランダムエンカウントボス】であるキャリオットと出会った
そしてテイムに成功し、喜んだのも束の間、次に出た内容に俺は空いた口が塞がらなかった

内容は至ってシンプル……
これから先、俺は女性エルフしか出会わないし、女性エルフしかテイムが出来ないと言う事だ

バグかと思ったが公式からの解答でバグじゃなく、それ以来……
俺は女性エルフしかエンカウントせず、テイムしていた

「キャリオットの言うとおりです
我らが主人よ
ここはそのコリファンスを見つける事に専念するのは如何かと?」

キャリオットの言葉にルシファーが同意をした
確かにルシファーもメリルが嘘を吐いてない事が分かってるから素直にそう言えるのだろう

「そうだな
だが、先ずはメリルに情報を聞かないとな」

そう言い、再びメリルと向き合うと優しく微笑んだ

「メリル コリファンスが居なくなった時、君は何処に居たの?」

「お部屋……  お父様がメリの頭を撫でてくれて、それで眠ったの……
そしたら……、朝、お父、さまがぁぁ……」


メリルは話してくれてるがその時の事を思い出したのか、泣き出してしまった
流石にこのままじゃ進まないからメリルに近付き、抱き上げて膝に座らせると頭を撫でてあげた
メリルは一瞬、固まったが俺の行動を理解するとギュッとしがみついて、静かに泣いている

「コリファンスが居なくなった状況を考えると魔王国に捕えられてると見るがどう思う?」

俺がそう聞くと【オーディン】が長い髭を撫でながら考えている
オーディンは北欧神話ダンジョンの一部で条件を満たすとテイムできる神の一人で戦うとまず勝てないとネットで盛り上がっていた

「確かにそうかも知れないが俺の考えだと、他国の可能性を拭いきれぬ
策略により、魔王を無力化した後で捕縛
連れ去る事など動作もないかと」

「だがよぉ じゃあ誰が得をするって話になるぞ
魔王を無力化できる奴なんて居るのか?」

オーディンの説にベリアルが口を挟むと横に居たベルフェゴールがベリアルの横腹を殴った

「あり得る……   魔法なら一時的に無力化、行ける」

そう言ってるがベルフェゴールは渋い顔をしている
恐らくそこまでの腕を持つ何者かの事を考えているのだろう

ベルフェゴールがそこまで警戒する相手はなかなか居ないからな

「じゃあそこを挙げていって、怪しい所をリストアップしていきましょ」

ここまで黙っていたアイリスが手を叩くと話を纏めてくれた
隣では桜花が地図をテーブルに広げてくれている

「で、桜花
何処が怪しいと睨んでる?」

「妾は帝国と見ておる
アヤツらの行動の情報が入ってこんのでな」

テーブルを囲んで、皆が話し合っているのを見ながら俺はメリルを見た
今は泣き止んでくれてるがソッと顔を背け、チラチラと俺を見てくる

(怖がらせてしまったからな)

メリルの頭を撫でてやり、ソッと頬を触るとメリルはビクッとなったが俺の手を見るとハムっと俺の中指を咥え込んだ
そしてハミハミと優しく噛みながら俺を見ている

(小動物みたいだな……)

そんな事を思っていると入り口からトコトコと駆け足で来る影が見えた

「ご主人様!!」

それはスパイとして活動させていたゼブァルトだった
満面の笑顔で駆け寄ってくるとガバッと土下座のように膝を付いて、頭を下げると俺の足を舐め始めた

「ゼブァルト 定時報告はまだ先のはずだぞ」

その様子を呆れながら見ているとゼブァルトはガバッと体を起こすと俺の顔を見てきた

「はい!! 緊急で報告があります!!」

そう言うとゼブァルトは急いで入り口に戻っていくと誰かを連れてきた
ソレは一人の男だった
しかし何処と無くダンディーな男だった……

(ん? ダンディーな……、男?)

ゼブァルトを見るとニパァと笑った

「帝国で魔王様が牢屋に居たんで、連れてきちゃいましたぁ」

ゼブァルトはそう言いながら頭を掻いていたが俺はもちろんさっきまで討論していた奴らも全員が黙ってゼブァルトを見ていた

「あ、あの?」

「「「よくやった!!」」」

「ふぇ~!?」

ゼブァルトが困っていたが俺たちが一斉にそう叫ぶと体が跳ねながら驚いていた




「お父様~!!」  「メリル……  三年もの間、すまなかった……」


メリルはコリファンスに抱きつきながらおもいっきり泣き叫んでいた
コリファンスは愛娘を久しぶりに抱きしめられたのたがら泣いているのは当たり前だな

そんな感動的な光景を見ながら俺は功労者であるゼブァルトの頭をおもいっきり踏みつけていた

何故、こうなったかと言うとゼブァルトに褒美をあげたいから何がいいと聞くと『でしたらご主人様のお【自主規制】か、う【自主規制】でもいいのでご飯にぶっかけて食べさせてください!!』と言ってきたので思わず強めに踏みつけた

しかし当の本人は「あぁぁぁ!! ありがとうございますぅぅぅう!!」と嬉しそうに叫び、腰がガクガクとさせていた

……これで達してるのかよ

「シフォン殿」

そんなゼブァルトに呆れているとコリファンスに声をかけられた

「私が今、こうして娘を抱き上げられてるのは其方が私を救ってくれたからだ
心より感謝を」

「気にするな
俺はメリルの為に動こうとしただけだ
それにゼブァルトが帝国でお前を見つけたのは偶然の出来事だ
礼を言われるまでもない」

コリファンスが頭を下げて、感謝を伝えてきたから俺はそう伝えた
本当にコッチが動く前にゼブァルトが勝手に解決しただけだからな

「しかし主人よ
魔王が助け出されたと知れば、帝国が動くのでは?
コレが原因で戦争になるやも」

「それなら大丈夫です!!」

アモンが俺にそう言うと俺の靴の下でゼブァルトが声を上げた

「魔王様が居た牢屋に土人形で本物っぽいのを作ってきました!!
瓜二つなので気付かないと思います!!」

そう言うと自信満々に手を挙げてきた
確かにゼブァルトのステータスを見た時に【ゴーレム製作】のレベルが急激に上がっていたけどそこまでそっくりに作れるの?

もはやスパイとしては凄い技術だよ?

「そうか ゼブァルト
よくやったな」

「でしたらご主人様!!
私にご主人様のを味わわせてぇぇえぇ!!」

褒めてやったがまた振り出しに戻りそうなので、力を込めるとゼブァルトがまたガクガクと腰を震わせていた

「お兄ちゃん……」  「お兄ちゃん?」

ふとメリルを見るとメリルが俺をそう呼んできた
そしてゆっくりと俺に手を伸ばしてきたからその手に触れると魔法陣が出てきて、誓約がなされた

「メリ お兄ちゃんにお返しする
頑張るからよろしくね」

メリルはそう言いながら微笑むと年相応に見えた
魔族の年齢がどのようなモノなのかは知らないが……

「そうか ならこれからよろし「メリ 頑張るから子作りしよ」くぉおぉおい!?」


よろしくと言おうとした途端におもいっきり爆弾を投下されて思わずメリルにツッコミを入れた
メリルは不思議そうに首を傾げている
俺は思わずコリファンスを見た

「おい……  魔族は皆、このノルマとかあるのか?」


「あるわけなかろう……」

コリファンスもメリルの言葉に驚いている様子で、見合うと同時にため息をついた

とりあえずメリルとコリファンスと誓約をしてから一旦、魔王国に戻ってもらった

そして俺はルシファー達を見た

「この出来事で帝国が何らかの敵対意思がある事が分かった
お前ら、いつでも戦闘できるようにしておけ」

俺はそう言うと全員が頷いた
これからの敵は帝国……
その他の事も考えられるが先ずは目の前の障害をどうするかだ……

(帝国には何らかの手を打たないとな……)

そう考えながらゼブァルトの褒美は叶えられないが一部ならとゼブァルトを引き摺り、俺はトイレに連れ込んだ

その後、トイレから出るとゼブァルトはうっとりとした顔で大きなゲップをした


何をしたかは想像に任せるとしよう……
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