上 下
56 / 101
第四章

学園入学

しおりを挟む


試験から五日が過ぎた今日……
いよいよマジックキャスフ学園への入学する日だ

制服とかの規制は無いが動きやすい服装にしろと言われている為、俺は用意させてた服を着ると馬車に乗り、出発した

「いよいよ入学ですね」  「楽しみですね お兄様」

フローラとフォルティアはワクワク気味で隣に座ってるが俺は酷く冷静だった
いよいよストーリーが始まる……
だが、それは筋書き通りのストーリーなのか?
それは分からない……
現にイリアはイケメン美女、ベルは男の娘(ガチ)だから少なくとも本筋から比べるとズレが生じているのかもしれない……

(まぁ、俺はそのストーリー知らねえけどな)

そう思い、薄く微笑んだ
俺が知ってるのは攻略キャラについてずっと聞かされていたエロゲー野郎の話のみだからな
そう思うとこれから攻略キャラがわんさか会うことになると思ったら悩みが増える……
せめて、この悩みを共有できる人物がいてくれたら……

考えていたら馬車は停止した
そして下りて、学園を見ると改めて気合を入れ直した

(とりあえず目立つ事なく、卒業……
それを目標にしておこう……)

そう思いながらフローラとフォルティアをエスコートしつつ、学園に入っていった
入学式は講堂で行われるみたいで早速、向かうと大勢の新入生達が居た
周りを見渡しても相当な人数が居るため、かなりクラスが多そうだ
在校生は二、三階層の席に座っているが何処となく空間魔法で見えてる以上に人が居るみたいだ

とりあえず空いてる席を見つけて、フローラ達を座らせてから俺も座るとチョン、と腕を突かれ、見るとフードを被った女の子が居た

「ごめん……  ちょっと荷物置きたいから肘掛け、貸してくれる?」

「あぁ、構わない」

小声で囁かれ、答えてから肘掛けを譲るとそこに分厚い本が置かれた
そして始まるまで時間は僅かだが本を読み出した

フードの中を覗きに見ると金色の目が見えた

『俺の中ではやっぱりフード少女のヴィヴィアンがいいな
身長低いし、可愛いし……
ヤると毎回、お漏らししながらイクのが可愛いんだよ って、何で呆れた顔になってんだよ? ロリコン? 悪いか?』

エロゲー野郎の話を思い出して、ようやく気付いた
コイツが攻略キャラのヴィヴィアンだ!!

アイツの言う通り、見た目は10歳児と見られるが俺たちと同い年だ
そして彼女はいわゆるお助けキャラと言われ、攻略に必要なモノを主人公に教えたりしている
もちろんそこに自分の攻略法が出てくるのはゲーム仕様だな

「あの……」

ふと、声をかけられるとヴィヴィアンの不思議そうな顔が見えた
そういや顔を覗き込んでたな……

「すまない あまりにも夢中で読んでるものだから気になってしまって」

そう言うとヴィヴィアンの目がキラキラと輝いた

「この本の事? この本はね
私も古書店で偶々、見つけたモノなんだけど読んでみるとね
面白いストーリーなの」

ヴィヴィアンは早口で話して本の素晴らしさを語っているのを見て、(あっ、コイツとは上手くやっていけそう)と思った

少しして式が始まると壇上にシャルロッテが現れた
王家とかは関係なく、入学試験トップで合格した者のみ、壇上で挨拶を務める事となってるらしい
つまりシャルロッテが試験トップ合格者と言うわけだ

シャルロッテの話はありきたりな掲句になっていて、大学入学時に聞かされた内容と似ている
少し飽きてきた所で気付いた

(あれ? シャルロッテさん?
何でずっと俺を見ているのかな? 視線、動かせよ!? 何でそんなじっと俺を見てるわけ!? 怖いんだけど!?)

シャルロッテが瞬きする事なく、ジッと俺を見つめてきて、恐怖を感じたまま、入学式は終わった

そして次にクラスに入るんだが……

「まさか大所帯になるとはな……」

あれからルーク達と合流し、イリアとベルと会って、シャルロッテの突撃を背中で受けながら教室前まで来るとすっかり大所帯になっていた

「別にいいじゃない シモン」

小さく呟いたがイリアには聞こえていたらしく、そう答えてきた
ちなみにシフォンと呼ばなくなったのは『シモンと呼びたいから』と言われたのと『将来の為に、ね』とイリアがかっこいい顔とは思えないくらいに乙女なウィンクを俺にしてきた

頼むから変な騒動起こすなよ?

「お? 俺達、全員、同じくクラスだぜ」

クラス分けの紙が張り出されているのを見ていたルークが嬉しそうにそう言ってきた

どうやらこのメンバーは同じクラスみたいだ

「えへへ~ シモンと一緒」

俺の後ろでベルが嬉しそうに小声で呟くとジュルリ、と音が聞こえた

(俺は貞操の危機かもしれない……
まぁ、フォルティアで卒業したけどな)

そう思いつつ、中に入ると中は空間魔法で広げられているらしく魔力の流れを感じた
机を確認していき、俺の名前があるのを確認して、席に着くとチョンチョンと背中を突かれ、振り返るとヴィヴィアンが居た

「さっきぶり」  「そうだな フード取ったのか」  「うん 読みずらい」

そう言い、また本に目線を向けて、ヴィヴィアンは読み出した
苦笑いしつつ、クラスの連中を見渡す
ここが俺の戦場となる場所……

正直、女の攻略キャラはエロゲー野郎の話である程度は聞かされて、耳に残っている
だが、問題は男の攻略キャラだ……

あのエロゲー野郎は男しか選んでなかったから女ルートの攻略キャラに関しては分からずじまいだ……
出来るなら分かりやすいヤツが居ればいいんだが……

目線を動かしているが目に映るのは女の攻略キャラ達が多く、男の攻略キャラが僅かな気がした

(あれ? 確か平等に教室に居るって話だったよな? 女性の方が多くないか?)

そう思っていると扉が開いて、先生が入ってきた

「はい 静かにしてください
私がここ一年A組の担任を務めます
ユリアナ・ラペストリーです
皆さんとはこれから長い年月の付き合いとなりますがよろしくお願いしますね」

担任は何とユリアナ先生だった
ユリアナ先生は笑顔で静かになったら自己紹介をしてキリッとメガネを掛け直した

あのメガネはきっとユリアナ先生が先生っぽい、と買ったものだろうな

「さて、ここから始まるのですから皆さんの自己紹介をしていきたいと思います
皆さん よろしいね」

そう言うと拒否させないオーラを出した先生は確認してからニコッと微笑んだ

「では右列からお願いしますね」

こうして自己紹介が終わった
まぁ、問題はなかったよ……
一人だけ『彼女募集中だ!!』と叫んだヤツが居るが即フォルティアに『あっ、婚約者が居ますので私はお断りです』と言われ、落ち込んでいた

フォルティア……  ワザワザトドメを刺しに行かなくても……

「シモン すまない
これから私と学園長の元に来てもらうがいいか?」

「……ふぇ?」

ホームルームが終わり、寮に戻って、メルと荷解きをしようと考えていたがユリアナ先生が突然、そう言ってきた
何で入学早々に呼び出しされなきゃならんねん……

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

18禁ゲームの貴族に転生したけどステータスが別ゲーなんだが? え? 俺、モブだよな?(リメイク)

ライカ
ファンタジー
前に書いた小説のリメイクとなります キャラとかは同じですが、物語の流れなど変更部分あります 以上

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

平均的だった俺でも異能【魅了】の力でつよつよ異世界ハーレムを作れた件

九戸政景
ファンタジー
ブラック企業に勤め、過労で亡くなった香月雄矢は新人女神のネルが管理する空間である魅了の異能を授かる。そしてネルや異世界で出会った特定の女性達を魅了しながら身体を重ね、雄矢はハーレムを築いていく。

凌辱系エロゲの世界に転生〜そんな世界に転生したからには俺はヒロイン達を救いたい〜

美鈴
ファンタジー
※ホットランキング6位本当にありがとうございます! 凌辱系エロゲーム『凌辱地獄』。 人気絵師がキャラクター原案、エロシーンの全てを描き、複数の人気声優がそのエロボイスを務めたという事で、異例の大ヒットを飛ばしたパソコンアダルトゲーム。 そんなエロゲームを完全に網羅してクリアした主人公豊和はその瞬間…意識がなくなり、気が付いた時にはゲーム世界へと転生していた。そして豊和にとって現実となった世界でヒロイン達にそんな悲惨な目にあって欲しくないと思った主人公がその為に奔走していくお話…。 ※カクヨム様にも投稿しております。

処理中です...