18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第三章

間話 イリア・トパーズ ベル・トパーズ

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夜……   胸騒ぎを感じて、目を覚ました私はこっそりと外に出た
今日も静かな夜の筈だけど……  何処と無く何か危ない感じがする

「姉さん……」

振り返るとベルも起きてきた
私のお下がりのパジャマを着て、眠そうな目を擦りながら私の所まで来た

「ベル 起きちゃったの?」

「うん……  何か胸騒ぎがして……」

「そう……  私もよ」

ベルも胸騒ぎで起きたみたいだから安心させようとベルの頭を撫でると突然、離れた所で大量に魔力が上がるのを感じて、私達は振り返った

「ね、姉さん!? コレってヤバいよね!?」

「え、えぇ!! 急いで防具に着替えるわよ!!」

私達はすぐに家に戻り、防具に着替えると魔力が上がった場所に向けて、駆け出した
シフォン様から受け取った宝石を売って、大量の金貨を貰えた私たちの装備はあの時より良い物になっている
残ったモノは貯金の為にギルドカードに貯めている

進んでいくと突然、ガサガサと森が揺れると【ファンスファンゴ】と言う猪が現れた
危険度はCクラスで冒険者の間ではパーティーの息を合わせる為の初級で刈らされる魔物だ
だけど今、目の前のコイツは明らかに異常なのは私だけでなく、ベルも分かったみたい……

明らかに通常より大きくて凶暴してる……


「ここで食い止めないと村が危ない!!
ベル!! 私達でやるわよ!」

「う、うん!!」

私は二振りの短剣を、ベルは腰から剣を抜くと二人で左右に分かれた
ファンスファンゴは視線をキョロキョロさせ、私達を目視すると私に向けて、突進してきた

「《クイックステップ》!!」

私は身体強化し、ファンスファンゴの足元に滑り込むと腹に短剣を突き刺し、滑りながら斬り裂いていく
そしてファンスファンゴの下を抜けるとベルに合図を送った

「《フレイムランス》!!」

ベルは剣を弓のように縦に持ち、左手で矢を引き絞る動作をすれば左手に焔が集まり、それが矢のような形になると左手を離して、放った
放った矢は一気に膨張し、槍のようになると振り返ってるファンスファンゴの右目を貫いた

ファンスファンゴは痛々しい声を上げ、顔を振って、焔を消そうとしてるが私は瓶を取り出して、その焔目掛けて投げ込むと瓶が割れると同時に焔の勢いが増した

さっきのは私自家製の脂瓶だ
狩った魔物の脂を集めて、濾過すれば上等の脂になり、焔に入れるとかなりの勢いで燃えて、なかなか消えない特性がある
それを売ったりして資金を集めてたがこうして使ってみると改めて、凄いモノね……

「ベル!! 仕留めるよ!!」 「っ、まって!? 姉さん!?」

今のうちに仕留めようとベルに呼びかけて突っ込もうとするとベルに慌てて呼び止められた
するとファンスファンゴの様子が明らかに変わった
さっきまでけたたましく鳴いていたのに声を発してない

死んだと思ったけどゆっくりと動き出して、顔がコッチを見てきた

「「っ!?」」

ヤツが私たちを視界に捉えた瞬間、私達は恐らく同時に頭の中で激しい警戒音が鳴り響いた

ファンスファンゴの目が明らかに異常で瞳孔が開き、赤い何かが私たちを捉えている
だが、それはファンスファンゴではない別の何者が私たちを見てるような感じがする……

「ほぉ……  流石はあの方が危険と予知された子らだ
早くも人形相手に私の存在を気付くとはな」

そんな声が聞こえてきたが見てる余裕なんてなかった
ファンスファンゴはあろう事か、魔法陣を展開すると岩の棘を飛ばしてきた
私とベルが避けたが後ろの木々が吹き飛ぶ程の威力で直撃は命の保証は無いと見た

「《ロックバインド》!!」

すぐに左手を地面に置き、唱えるとファンスファンゴの地面から土で作られた鎖がヤツを貫いて、動きを止めた
魔法陣が発動されないようにする為に口も貫いて閉じさせている

「これで「うわぁ!?」っ、ベル!?」

攻撃に移ろうとした時、ベルの悲鳴を聞いて、慌てて見るとベルが何者かに後ろから羽交い締めにされていた

「あら? この子、男なのね?
随分と可愛い顔をしてるから女かと思ったのに」

「ベルから離れなさい!!」

その女はベルの頬を触るとそう言っているが、その女は危険と私の本能が言っている為、女に飛び掛かると女はベルを突き飛ばし、私にぶつけてきた

「ベル!! 怪我は!?」  「な、無いよ」

ベルを庇うように立って、ベルを見るとベルは頷きながら剣を構えた

「確かにその歳でコレ程の魔力量、そして戦うにつれて強くなる傾向を見るに確かに危険ですね」

女はケラケラと笑いながら指を舐めている
それだけでも異常な感じが出ていて、私は汗が噴き出していた


(目を逸らせば、一瞬で殺される……)


そう感じ取ったからだ
今まで冒険者として、何度も命に危険な場面はあった
でも、なんとかなったから今ここで生きてるのだが、この女に関してはそれすら出来ないと感じてしまった

「それにしてもその男の方は興味深いですね
男でありながら【女の体になってるのだから】」

「「っ!?」」

その言葉を聞き、私達は息を飲んだ
そう……  ベルはある日、突然、体が女になってしまったのだ
胸とかは小さいから男で通るし、小さい頃から見てきた男性器はあるのは確認できた
だけど声が女になり始めて、髪も急に伸びるスピードが早くなった
そして何より私と同じ女性器が合った
私も急なことに驚き、慌てて近くの教会に駆け込み、優しい老シスターに見てもらったけど原因は不明……

ベルの体の事は私達だけの秘密になったのだけど……

この女はそれを言い当てたのだ……

「アンタ!! コレが何なのか知ってるわけ!?」

「えぇ、そうね
だってソレ……  私が作った呪いだから」

私が短剣を構えながら聞くと女はサラッと当然のように答えた
その瞬間、私は女に斬りかかっていた
だが、短剣は女に当たる前に障壁で防がれた

「アンタのせいで!! アンタのせいでベルがどれだけ苦しんだと思ってるのよ!!」

女の体になってからといい……
ベルは友達付き合いが出来なくなって、一人になり、寂しい毎日を暮らすようになった
本当なら友達と遊びたい盛りなのにそれが出来ず、ずっと一人で家に居るだけ……
それに街に行ってもベルを性的な目で見てくる男まで出てきて、普通に過ごして欲しいと願った私の思いは砕け散った
だから私はベルを冒険者に誘った
出来るだけ傍に居てあげたくて……

「知らないね
まぁ、それでも君達が消えれば済む話だけどね」

「がふっ!?」

女が平然と言った瞬間、私の腹に衝撃が走り、吹き飛んだ

「姉さん!?」

ベルが私に近付こうとしてもまたしても女がベルを羽交い締めにした

「貴方にはしっかり見届けてもらわないとですね
あの方を倒せる片割れが目の前で死ぬのを」

女の声が聞こえてくる中、何かが砕かれる音がして、見るとファンスファンゴを拘束していた鎖が砕かれて、こちらに向かって突進してきた

避けようにも足に力が入らない……
起きあがろうにも力が入らない……

ベルの叫び声が聞こえてくる中、私はずっとベルに謝ってた
力がなくてごめん……  苦労をかけてごめん……

(ごめんね……  ベル……)

ゆっくりと目を閉じ、ファンスファンゴのトドメの一撃を今かと待つしか出来なくて涙が溢れ落ちた

だが、突然、雷が落ちたような轟音が聞こえてくるとバチバチと何かが弾ける音が近くで聞こえてくる
そしていくら待ってもファンスファンゴの攻撃が来なくて目を開けた

「悪い 遅くなった」

そこには雷を纏い、竜人の姿を模写て……
ファンスファンゴを受け止めながらベルを脇に抱えてる彼がそこに居た

「シフォン……、様……」

「飛ばしたんだけどよ 途中で邪魔が入って潰しながらだったから遅くなっちまった
でもよく持ち堪えた」

ベルを下ろすとベルが私を体を起こして抱きついてきた
女の方を見ると木々が倒れた場所に倒れ込んでいた

「さて……  それじゃあ」

シフォン様は拳を握り、振り返りながら左拳をファンスファンゴの額に叩き込むとファンスファンゴの内側から雷が弾け飛び、爆発した

「こっちからの誘いだ
嫌でもダンスに付き合ってもらうぜ」

シフォン様はそう言うと空を見上げた

「あら? 意外と強引なお方ね?」

そこにはあの女が居た
慌てて倒れてる方を見ると女の形が崩れ落ちた

「こっちだって強引は嫌いな方なんだがな……
テメェなら強引に行くしかねえんだよ」

「ふふふ いいわね
私は強引な方、好きよ」

シフォン様と女の間に威圧感がぶつかり合ってるのを感じ、私はベルに抱えられながら離れた

最後までシフォン様から目を離さずに……






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