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第三章

間話 悪魔王ベルフェゴール

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[同じく同時刻]


「飽きた……」

持ってきた本、もう読み終わった……
そろそろ作戦だけど私は本をインベントリに入れると空を見た

「……暇」  「暇言ってんじゃねぇよ!? この頭脳バカ!!」

小さく呟くと下から大きな声が聞こえてきた
チラッと見てから私は首を傾げた

「ベリアル 何でいる、の?」

「お前のサポートだよ……
お前、話すのが遅かったりするから作戦に影響するだろうと思って、アモンが俺に頼んできたんだよ
チャット来てんだろ?」

私がそう言ったからベリアルが頭を押さえるとチャットを指差したから確認してみる

「来てた……」 「確認してなかったんかよ……」

チャットを確認してそう言うとベリアルは完全に天を仰いだ
……面白い

「でだ 状況はどうなってんだ?」

「ガンボルト将軍は牢屋の中……
今は無事だけど王様達の話、聞いた
明後日 打首だって」

そう伝えるとベリアルが腕を組み、顎を触ると首を捻った

「なるほどな……
お前が言ってた虚偽の罪でさっさと打首にしてぇ奴らが王様を焚き付けたと言う事だな
お前の事だ 既に手ぇ回してんだろ?」

ベリアルがニヤリと笑いながらそう聞いてきたから頷く
そして時計を確認する……

「時間」

そう呟いた途端、貴族の屋敷数カ所から黒いオーラが出た

「うわぁ……  出たよ
ベルフェゴールお得意の暗転世界」

黒いオーラを見た瞬間、ベリアルが嫌そうに言い放った
あの黒いオーラは私が作った《ワールド》と言う結界……
その効果はその暗闇の中、自らの罪を認めない限り、永遠に精神世界で殺され続けるという極めてありきたりな幻影魔術だ

幻覚とは違い、ちゃんと肉体の方でもダメージは通るようにしてるからちゃんと死ぬ……

「相変わらず趣味悪いな お前の魔術」

ベリアルがそんな事を言ってきたから涙目を作り、目を押さえた

「っ!? だぁぁ!?
悪かったって!? お前の魔術は悪魔王の中でもNo. 1だから!?」

私の様子を見て、ギョッとした顔になって慌てるベリアルが面白くてスクショしといた

「あ、アレ 主犯者」

ベリアルの事を面白がりながら下を見ると屋敷から逃げる一人の男が居て、指差して教えた
ベリアルは「嘘泣きかよ……」と何か言いたげだけどそれでも指差した男を見ている

「お前の結界から逃げ出したって事は相当なやり手か?」

「ううん……  ワザと逃した」  「だろうな」

聞いてきたから首を横に振り、そう言うとベリアルは苦笑いを浮かべた

「で、アイツはどうする?」

「直接 殺す」

「分かりやすくて助かる」

ベリアルはそう言って、私を傍に抱えると男の進路上に転移した
私を下ろして、後ろに下がらせると同時に男が走ってきた

「な、何者!?」

「あー? 何者だぁ?
それならこう言ってやるよ お前がガンボルト将軍って奴に無実の罪を着せたお前を裁く悪魔だ、ってな」

ベリアルはそう言うと槍を召喚した
その槍を見て、思わず「あ」と声が出た
何故ならその槍は前に主人様に承った一槍の一つだったから……

「くっ!? 貴様ぁ!!」

男は槍を召喚すると素早くベリアルに近付き、槍を突き立てるが敢えなくベリアルの槍に弾かれた

「おいおい……、こんなもんかよ
つまらねえな」

ベリアルの声に呆れとかが混ざってるのが分かり、心からつまんなそうに言ってるのが分かった
そして今度は逆にベリアルが槍を突き出すと連続の突きを放った
男は槍で防いでるみたいだけど徐々に傷が増えていってる

「くそ!?こんなヤツに!?」  「力ねえのにイキがるんじゃねえよ? 小童」

苦言を言う男に対し、ベリアルは槍を素早く上下に動かし、男の槍を弾き飛ばして天井に突き刺すと男の喉元目掛けて槍を突き、男の喉を捉え、貫通した

「が!?」

男は血を吐き出すとワナワナとベリアルの槍を掴み、喉から抜こうとしてる

「……ベリアル そのまま捕まえて」

「あいよ」

男の生命力に違和感を感じ、ベリアルに言うとベリアルは槍に魔力を流すと男の喉から魔力の棘が出てくるとその棘は伸びて、手足を貫いた

男の身動きが拘束されたのを確認して、私は指で《アカシックコード》を展開すると男を調べた

《アカシックコード》は私専用のスキル……
これを発動すると例えばだけど……、ベリアルの性別を女に書き直すとベリアルが女になる……
つまり全ての情報を私は知ることが出来る
簡単な事だけど……、主人様には使いたくない……

「……ベリアル その男、人間じゃなくなってる」

「あっ?」

男を調べると種族の欄の人間が消え、魔族に変わっていた
調査中は人間だったからその後に変化した……  そうとしか考えられない……

「魔族に変わってるから気をつけて?
ただでは死なない」

私がそう伝えると男の体が膨れると弾け飛び、針が私達に飛んできた
だけどその針はベリアルの張ったシールドで防いだ

「なるほどなぁ 槍を刺した時、手応えがあんまり感じなかったのはソレか」

ベリアルが槍を回しながらそう言ってるけど視線は男の方を向いていた
いいえ……  もう元男と言った方がいいかな?

「ゴオォォォ!!」

男が弾け飛んだ場所にはグールと思う魔族が居た
言葉は話せず、自我があるかすら分からないけど両手の爪が槍のように鋭くなってるのを見て、《アカシックコード》を使おうとした
けど、ベリアルに手で静止された

「ベリアル?」  「ベルフェゴール コイツは人間に戻さなくていいぜ」

ベリアルはそう言うと槍を構えるとベリアルから感じる魔力が一気に跳ね上がった

「ましてや、デバフをかけなくていい
コイツは真っ向で叩き潰したほうがいい」

ベリアルがそう言ってきたから私は素直に従い、《アカシックコード》を閉じた
ベリアルは直感で言い当てるのが必ずあるからこう言った場面はベリアルの直感を信じる

「なら……、私も全力で行く」

私も自分の枷を外して、一気に魔力を上げていく
そして私の周りに7色の魔力玉が回り出した

「ベリアル 一瞬で終わらせるよ」  「お前こそ……  遅れんじゃねぇぞ!!」

簡単に言い合うと一斉に動き出した
グールは両手を突き出し、爪が伸びてきた
ベリアルは槍を振るうと地面から魔力で形成した槍が飛び出して、爪を貫き、動きを防いだ
そこを私が《炎・風の属性混合》で作った《ボルテックスヒート》をグールに放つと避けられずに直撃
激しい爆炎は風の壁で球体になり、中では風で火力が上がった爆炎がグールを燃やしていく
しばらく見ていると風の壁が無くなると熱い熱風が来る
そしてグールは跡形もなく燃え尽きたみたい……

「……やりすぎた」 「ホントだよおい!? どうすんだよこの跡地!?」

グールが立ってた場所付近の壁や道が溶けてしまってるのを見て、呟くとベリアルが頬を掴んでくるとムニューと引っ張ってきた

「って、伸びすぎだろ!?
お前の頬、どうなってんだよ!?」

そして次の瞬間、慌てて手を離すとそうツッコミ入れてきた
本当に揶揄いやすい……

ベリアルで遊んでいるとピコンとチャットが入って、確認する

「ベリアル ベルゼブブからチャット来た
丁度、アッチも終わったって」

「そ、そうかよ……」

ベリアルにそう伝えると苦笑いを崩さずベリアルが私を見ているけど、ふと城の方を見た

「そういやどうすんだよ?
主犯がいなけりゃあ、ガンボルト将軍の無実を証明できねえんじゃねえか?」

「大丈夫……  手は打ってある」

ベリアルに言われると私は親指を立てて、自信満々に頷いた

そのまま翌日の朝まで待ってれば、城の方が騒がしくなるとガンボルト将軍が牢屋から出されて王の間に連れてかれると王はガンボルト将軍の前で膝を付いて、土下座して謝った

そしてその日の内にガンボルト将軍の無罪が広まった

「ベルフェゴール お前、何したんだよ?」

「ん……  主犯達の記憶や証拠品を王に突き出しただけ
あの王が優しくてよかったね」

その様子を空から見てた私達だったけど、ベリアルが気になって聞いてきたから私は簡単に答えた

そしてガンボルト将軍が一人になった所で私はその後ろに転移した

「っ、誰だ!?」

ガンボルト将軍は剣に手を置き、私を警戒してるけどどうやら敵意が無いことは分かるみたいだ

「大丈夫……  敵じゃない
主人様からの言伝がある」

「お前の主人だと?」

ガンボルト将軍武器から手を離すのを見てから私は口を開いた

「[貴方の娘、ネロ・ガンボルトは奴隷となっていたが今は俺の傍で保護している
トラウマを抱えてるから会うのは難しいかも知れないけど、いずれそっちの問題が解決したら○○○○国のフェルストリー領を訪れよ]だって……」

「っ!? 娘が!?」

私はそう伝えるとガンボルト将軍が何か言う前に転移した
その後、ガンボルト将軍がどうなったかはわからない……

けど主人様の言葉を借りるなら……
もう大丈夫だろうね

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