上 下
35 / 101
第二幕

巻き込まれたモブですが何か?

しおりを挟む

シャルロッテ誘拐未遂事件から二日……
今日でお泊まりは最終日となった

事件の翌日、何事もなかったようにパーティーは始まった
今年、集まった10歳の子供達はおよそで500以上は集まっている
それでも把握出来てない もしくはパーティーには参加出来ないのも含めると千は軽く超えていると見てもいいだろう

シャルロッテも事件の事は知らず、いつも通りにニコニコとしながらパーティーを楽しみ、フローラやフォルティナの手助けを借りて、彼女達の友人達と友達になれたみたいで安心した
ナターシャはいつも通りに仕事をこなしているが俺を見るとこっそり頭を下げるのを度々、目撃する

どうにもナターシャはこの事件で俺に恩を感じてるみたいだから、気にしなくてもいいのにと思った

そしてパーティーを終えるとシャルロッテに連行され、俺とフローラ、フォルティナの3人はシャルロッテの部屋に連れ込まれ、朝までトランプをすることになったが……
正直な話、シャルロッテの体力がバグってる気がする……

そして昨日は城の書斎とかを案内された
正直、書斎だけでもかなりの大きさだと分かる
書斎の中に居住区が立ちそうな程の高さと広さで一日で、全てを回ることなど出来そうになかった
城の中を歩くだけで一日が潰れてしまって、結局の所は城の全ての区画を見れていないのが現実だろう

そして今日で俺達の城でのお泊まりが終わる
朝からシャルロッテが泣き出してしまった為、城を発つのは昼頃になってしまった

「ガラルド 今度はソナタの屋敷で飲み明かそうぞ
お前とは父親同士 いや、祖父同士なのだからな」

「はい 陛下
その時の為に良い酒を準備しておきます」

出立前に陛下と父上が握手をしながらサラッと酒呑む約束を取り付けている
しかも父上達はこの三日間、夜になれば酒を飲みまくっていて、二日酔いをしてるのを見たことがない

「王妃様 また飲みましょうね」 「えぇ でも流石に今回みたいに服は脱がないようにしないといけないわね」

母上も王妃様とすっかり家族柄の仲の良さになっているが、その内容はあまり子供に聞かせるべきじゃないと思うぞ……

「父上 ローリアスの体調が良くなりましたら一度、屋敷の方へ伺います
ローリアスを連れて」

「あぁ だが無理はさせるなよ
子供が産まれるまでは母親重視で動け いいな?」  「はい」

ユーリ兄さんはこれからローリアス姉様の隣に居る為、騎士の役目を減らして、しばらくは城に滞在するとの事……
ローリアス姉様も見送りしたいと言ったがつわりが酷いらしくて、今日はベットに寝ているみたいだ
父上もユーリ兄さんとローリアス姉様の子供を楽しみにしているみたいで先程、赤ん坊用品を手配するような事を言っていた

「アシュリタ……、手加減しやがれ……
明日からまた学園に戻んなきゃいけねえのにハッちゃけやがって……」

「あ、アンタがいけないのよ……
コッチだってねぇ 今だって立ってるのがしんどいのよ……
あんなに強く縛ってきたのにアンタの方がまだ楽そうってどう言うことよ……
ホントにアンタとすると体力限界まで」

一方でゼアル兄さんとアシュリタ様は何だか立ってるのが辛そうに立っていて、コソコソと話している
まぁ、なんであんなに辛そうなのはデスアライブスパイダーの一匹がソレを目撃して、俺に報告してきたから把握しているが……

(ゼアル兄さんとアシュリタ様……、エロゲーの世界だからと言って、大胆すぎでしょ……)

結界を張ってるからって、安心しすぎだろ……
しかもあの結界は中レベルなら簡単に中を覗けたりする結界だからデスアライブスパイダーなら余裕で中に入って覗けるんだからな……
あと一つだけ思ったのは(よく避妊なしで妊娠しないな)と言うことだけだった

「ぐすっ、シモンしゃまぁ~……」  「お前はいつまで泣いてんだよ」

そして俺は目の前で未だにグズっているシャルロッテの頭を撫でて慰めていた
シャルロッテにとっては泣き出す程に、このお泊まりは楽しかったようで安心した

「シャルロッテ様 今度、お茶会に招待しますので必ず来てくださいね」

「私もシャルロッテ様とはもっと仲良くなりたいですので、お茶会なり招待状をお送りしますわ」

「グスッ、ありがどお"~……」

フローラがシャルロッテの涙を拭き、フォルティナは背中を撫でながらお互いにそう言うとシャルロッテがまた大泣きし始めた

「やぁやぁ どうにか間に合ったようだね」

そんな事をしていると階段からアルフレット様がこちらに駆け足で降りてくるのが見えた
どうやら溜まった仕事を一旦、止めて見送りに来てくれたみたいだ

「アルフレット ずっと書斎に篭ってたが大丈夫か?
何やら寝てないと聞いたが」

「えぇ 父上
少し野暮用を片付けてたのですがひと段落付いたので顔を見せにきたのです
それと少し彼に用があってね」

シャルロッテ誘拐未遂事件の事は陛下も報告で聞いているが、その処理をアルフレット様がずっとしていたみたいだ
陛下がアルフレット様に心配そうに聞いたがアルフレット様はにこやかにそう言うと俺を見てきた
その瞬間、俺の中で警報がなった……
絶対に何かあると感じたからだ……

「アルフレット様 お世話になりました」

「いやいや、君には感謝してるよ 色々と、ね」

俺が怪しまれないようにそう言うとアルフレット様はわざとらしく含みを帯びた言い方をしてくる
お願いだからこれ以上は止めてほしいが……

「シモン君 君にシャルロッテの兄としてお願いがあるんだ」

「はい? それは何でしょうか?」

「と、言っても簡単な事だ
シモン君 シャルロッテの婚約者になってくれよ」

聞くとアルフレット様はまるでお使いを頼むような簡単な言い草でそう言ってきた
それを聞き、しばらくは静寂がホールに広まったが言葉を理解した瞬間、「「「えぇえええ~!?」」」とその場に居た女性陣以外の人が驚愕の声を上げた

「アルフレット様!? 何をおしゃるのですか!?
それに私にはフォルティナと言う婚約者が居るのですよ!?」

アルフレット様の内容に俺は思わず無礼な事を気にせず、迫れば早口で言い立てた
フォルティナが居るのに、シャルロッテも婚約者になるのは理解が出来なかった
当のフォルティナは俺の「婚約者」発言に顔を真っ赤にさせてるが、今は彼女を気にしてる場合ではない

「貴族なら妻を複数持つのはあり得る話だから変ではなかろう?
それにシャルロッテは君を気に入っている
そんなシャルロッテの好意を私は無視できないのだ」

アルフレット様はニコニコと笑いながら俺にそう言ってくる
アルフレット様は本当に家族を思っているのは見て取れるが、実質的にシャルロッテを俺の側室に入れると言う事を認めるのは意外すぎた

「それに……、君は断る権利は無いだろう?」

アルフレット様は俺に近付き、耳元に顔を近付けるとソッと囁いてきた
その言葉に俺はゾッとした
その言葉の裏を見ると『あの事件の真相を話せば君とその家族、そして婚約者の彼女の今後はどうなるかな?』と言っているようなモノだ
実質、俺は完全にこの男の掌に乗せられ、家族とフォルティナを人質に取られたのだ……

「アルフレット様 性格が良いと言われますね?」  「お陰様で」

俺は微笑みながらそう伝えるとアルフレット様は笑顔を崩さない

『アンタ、相当なくらいに腹黒だな?』  『それはお前もだろ?』

と裏の会話を交わした後、俺は溜息を気付かれないように吐いてからアルフレット様を見た

「分かりました シャルロッテ様との婚約者の件、お受けします」

姿勢を正し、そう言うとアルフレット様はわざとらしく嬉しそうに俺の肩に手を置いた

「君なら引き受けてくれると信じていたよ
もちろんシャルロッテの気持ちが変わったら、いつでも破棄していいからね」

(そんな事言いつつ、絶対にシャルロッテが気持ち変わりしない事が分かってるくせに……)

アルフレット様はテンションが上がって声が大きくなってるような演技をしてる中、俺はそんな事を思っていた

そしてアルフレット様が離れると後ろから衝撃があり、抱きしめられた

「嬉しいです!! シモン様!!
これで私もシモン様の婚約者ですわ!!」

見ると先ほどまでグズグスに泣いていたシャルロッテが満面の笑みを浮かべていた
そしてフローラとフォルティナは「やれやれ……」と言うように苦笑いを浮かべていた

(アルフレット様……  変なことに巻き込んだ貴方は絶対に許さん……)

モブのはずなのに俺はアルフレット様のせいでシャルロッテの婚約者に巻き込まれた

これで俺のモブとしての立ち位置がどのようになるかは分からないが……
きっと俺の願う平穏なモブ生活とは少しズレて行っている事に気付く中、俺は将来が不安になった

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

18禁ゲームの貴族に転生したけどステータスが別ゲーなんだが? え? 俺、モブだよな?(リメイク)

ライカ
ファンタジー
前に書いた小説のリメイクとなります キャラとかは同じですが、物語の流れなど変更部分あります 以上

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

平均的だった俺でも異能【魅了】の力でつよつよ異世界ハーレムを作れた件

九戸政景
ファンタジー
ブラック企業に勤め、過労で亡くなった香月雄矢は新人女神のネルが管理する空間である魅了の異能を授かる。そしてネルや異世界で出会った特定の女性達を魅了しながら身体を重ね、雄矢はハーレムを築いていく。

凌辱系エロゲの世界に転生〜そんな世界に転生したからには俺はヒロイン達を救いたい〜

美鈴
ファンタジー
※ホットランキング6位本当にありがとうございます! 凌辱系エロゲーム『凌辱地獄』。 人気絵師がキャラクター原案、エロシーンの全てを描き、複数の人気声優がそのエロボイスを務めたという事で、異例の大ヒットを飛ばしたパソコンアダルトゲーム。 そんなエロゲームを完全に網羅してクリアした主人公豊和はその瞬間…意識がなくなり、気が付いた時にはゲーム世界へと転生していた。そして豊和にとって現実となった世界でヒロイン達にそんな悲惨な目にあって欲しくないと思った主人公がその為に奔走していくお話…。 ※カクヨム様にも投稿しております。

処理中です...