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第二幕
巻き込まれたモブですが何か?
しおりを挟むシャルロッテ誘拐未遂事件から二日……
今日でお泊まりは最終日となった
事件の翌日、何事もなかったようにパーティーは始まった
今年、集まった10歳の子供達はおよそで500以上は集まっている
それでも把握出来てない もしくはパーティーには参加出来ないのも含めると千は軽く超えていると見てもいいだろう
シャルロッテも事件の事は知らず、いつも通りにニコニコとしながらパーティーを楽しみ、フローラやフォルティナの手助けを借りて、彼女達の友人達と友達になれたみたいで安心した
ナターシャはいつも通りに仕事をこなしているが俺を見るとこっそり頭を下げるのを度々、目撃する
どうにもナターシャはこの事件で俺に恩を感じてるみたいだから、気にしなくてもいいのにと思った
そしてパーティーを終えるとシャルロッテに連行され、俺とフローラ、フォルティナの3人はシャルロッテの部屋に連れ込まれ、朝までトランプをすることになったが……
正直な話、シャルロッテの体力がバグってる気がする……
そして昨日は城の書斎とかを案内された
正直、書斎だけでもかなりの大きさだと分かる
書斎の中に居住区が立ちそうな程の高さと広さで一日で、全てを回ることなど出来そうになかった
城の中を歩くだけで一日が潰れてしまって、結局の所は城の全ての区画を見れていないのが現実だろう
そして今日で俺達の城でのお泊まりが終わる
朝からシャルロッテが泣き出してしまった為、城を発つのは昼頃になってしまった
「ガラルド 今度はソナタの屋敷で飲み明かそうぞ
お前とは父親同士 いや、祖父同士なのだからな」
「はい 陛下
その時の為に良い酒を準備しておきます」
出立前に陛下と父上が握手をしながらサラッと酒呑む約束を取り付けている
しかも父上達はこの三日間、夜になれば酒を飲みまくっていて、二日酔いをしてるのを見たことがない
「王妃様 また飲みましょうね」 「えぇ でも流石に今回みたいに服は脱がないようにしないといけないわね」
母上も王妃様とすっかり家族柄の仲の良さになっているが、その内容はあまり子供に聞かせるべきじゃないと思うぞ……
「父上 ローリアスの体調が良くなりましたら一度、屋敷の方へ伺います
ローリアスを連れて」
「あぁ だが無理はさせるなよ
子供が産まれるまでは母親重視で動け いいな?」 「はい」
ユーリ兄さんはこれからローリアス姉様の隣に居る為、騎士の役目を減らして、しばらくは城に滞在するとの事……
ローリアス姉様も見送りしたいと言ったがつわりが酷いらしくて、今日はベットに寝ているみたいだ
父上もユーリ兄さんとローリアス姉様の子供を楽しみにしているみたいで先程、赤ん坊用品を手配するような事を言っていた
「アシュリタ……、手加減しやがれ……
明日からまた学園に戻んなきゃいけねえのにハッちゃけやがって……」
「あ、アンタがいけないのよ……
コッチだってねぇ 今だって立ってるのがしんどいのよ……
あんなに強く縛ってきたのにアンタの方がまだ楽そうってどう言うことよ……
ホントにアンタとすると体力限界まで」
一方でゼアル兄さんとアシュリタ様は何だか立ってるのが辛そうに立っていて、コソコソと話している
まぁ、なんであんなに辛そうなのはデスアライブスパイダーの一匹がソレを目撃して、俺に報告してきたから把握しているが……
(ゼアル兄さんとアシュリタ様……、エロゲーの世界だからと言って、大胆すぎでしょ……)
結界を張ってるからって、安心しすぎだろ……
しかもあの結界は中レベルなら簡単に中を覗けたりする結界だからデスアライブスパイダーなら余裕で中に入って覗けるんだからな……
あと一つだけ思ったのは(よく避妊なしで妊娠しないな)と言うことだけだった
「ぐすっ、シモンしゃまぁ~……」 「お前はいつまで泣いてんだよ」
そして俺は目の前で未だにグズっているシャルロッテの頭を撫でて慰めていた
シャルロッテにとっては泣き出す程に、このお泊まりは楽しかったようで安心した
「シャルロッテ様 今度、お茶会に招待しますので必ず来てくださいね」
「私もシャルロッテ様とはもっと仲良くなりたいですので、お茶会なり招待状をお送りしますわ」
「グスッ、ありがどお"~……」
フローラがシャルロッテの涙を拭き、フォルティナは背中を撫でながらお互いにそう言うとシャルロッテがまた大泣きし始めた
「やぁやぁ どうにか間に合ったようだね」
そんな事をしていると階段からアルフレット様がこちらに駆け足で降りてくるのが見えた
どうやら溜まった仕事を一旦、止めて見送りに来てくれたみたいだ
「アルフレット ずっと書斎に篭ってたが大丈夫か?
何やら寝てないと聞いたが」
「えぇ 父上
少し野暮用を片付けてたのですがひと段落付いたので顔を見せにきたのです
それと少し彼に用があってね」
シャルロッテ誘拐未遂事件の事は陛下も報告で聞いているが、その処理をアルフレット様がずっとしていたみたいだ
陛下がアルフレット様に心配そうに聞いたがアルフレット様はにこやかにそう言うと俺を見てきた
その瞬間、俺の中で警報がなった……
絶対に何かあると感じたからだ……
「アルフレット様 お世話になりました」
「いやいや、君には感謝してるよ 色々と、ね」
俺が怪しまれないようにそう言うとアルフレット様はわざとらしく含みを帯びた言い方をしてくる
お願いだからこれ以上は止めてほしいが……
「シモン君 君にシャルロッテの兄としてお願いがあるんだ」
「はい? それは何でしょうか?」
「と、言っても簡単な事だ
シモン君 シャルロッテの婚約者になってくれよ」
聞くとアルフレット様はまるでお使いを頼むような簡単な言い草でそう言ってきた
それを聞き、しばらくは静寂がホールに広まったが言葉を理解した瞬間、「「「えぇえええ~!?」」」とその場に居た女性陣以外の人が驚愕の声を上げた
「アルフレット様!? 何をおしゃるのですか!?
それに私にはフォルティナと言う婚約者が居るのですよ!?」
アルフレット様の内容に俺は思わず無礼な事を気にせず、迫れば早口で言い立てた
フォルティナが居るのに、シャルロッテも婚約者になるのは理解が出来なかった
当のフォルティナは俺の「婚約者」発言に顔を真っ赤にさせてるが、今は彼女を気にしてる場合ではない
「貴族なら妻を複数持つのはあり得る話だから変ではなかろう?
それにシャルロッテは君を気に入っている
そんなシャルロッテの好意を私は無視できないのだ」
アルフレット様はニコニコと笑いながら俺にそう言ってくる
アルフレット様は本当に家族を思っているのは見て取れるが、実質的にシャルロッテを俺の側室に入れると言う事を認めるのは意外すぎた
「それに……、君は断る権利は無いだろう?」
アルフレット様は俺に近付き、耳元に顔を近付けるとソッと囁いてきた
その言葉に俺はゾッとした
その言葉の裏を見ると『あの事件の真相を話せば君とその家族、そして婚約者の彼女の今後はどうなるかな?』と言っているようなモノだ
実質、俺は完全にこの男の掌に乗せられ、家族とフォルティナを人質に取られたのだ……
「アルフレット様 性格が良いと言われますね?」 「お陰様で」
俺は微笑みながらそう伝えるとアルフレット様は笑顔を崩さない
『アンタ、相当なくらいに腹黒だな?』 『それはお前もだろ?』
と裏の会話を交わした後、俺は溜息を気付かれないように吐いてからアルフレット様を見た
「分かりました シャルロッテ様との婚約者の件、お受けします」
姿勢を正し、そう言うとアルフレット様はわざとらしく嬉しそうに俺の肩に手を置いた
「君なら引き受けてくれると信じていたよ
もちろんシャルロッテの気持ちが変わったら、いつでも破棄していいからね」
(そんな事言いつつ、絶対にシャルロッテが気持ち変わりしない事が分かってるくせに……)
アルフレット様はテンションが上がって声が大きくなってるような演技をしてる中、俺はそんな事を思っていた
そしてアルフレット様が離れると後ろから衝撃があり、抱きしめられた
「嬉しいです!! シモン様!!
これで私もシモン様の婚約者ですわ!!」
見ると先ほどまでグズグスに泣いていたシャルロッテが満面の笑みを浮かべていた
そしてフローラとフォルティナは「やれやれ……」と言うように苦笑いを浮かべていた
(アルフレット様…… 変なことに巻き込んだ貴方は絶対に許さん……)
モブのはずなのに俺はアルフレット様のせいでシャルロッテの婚約者に巻き込まれた
これで俺のモブとしての立ち位置がどのようになるかは分からないが……
きっと俺の願う平穏なモブ生活とは少しズレて行っている事に気付く中、俺は将来が不安になった
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