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第二幕

王都 シャルロッテの部屋

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「シモン様 ここが私の部屋ですわ」

シャルロッテに連行という形で連れられてきた部屋に入ると、やっとシャルロッテが離れてくれてそう言った

部屋に入ってからずっと思ってた事があるのだが……

(広すぎないか?)

シャルロッテは王族だから部屋が大きいのは当たり前だと、理解はしている
だが、実際に目にしたこの部屋はその予想を遥かに、上回る大きさだった

軽く大人が20人くらいが床で寝ても、余裕があるくらいの間取りであると同時に天井が高い
それに子供用の家具が置いてあるのは分かるがタンスやベット、鏡台等の大人になっても使う物は大人用が部屋に置いてあった
ずっとシャルロッテがここて過ごすと思ってるかの様に……

「驚きました?
ここに置いてある物は全て、お姉様方からのお下がりなのです」

シャルロッテは俺の顔を見て、微笑むと駆け出して、ベットに飛び乗った

「このベットだって、ローリアスお姉様からアシュリタお姉様に引き継がれ、そして今は私がこのベットを使っていますわ」

姉からのお下がりを宝物のように嬉しそうに話してくれれば、俺を手招きした

「シモン様 こちらに
ナターシャが紅茶を用意してくれたので一緒に飲みましょう♪」

そう言うと手招きしながらテーブルの方に向かうシャルロッテの後を俺は付いて行くと、シャルロッテは少し不器用だが紅茶を注いでくれた

「シャルロッテ 紅茶、注げるんだな」

「うん 普段はナターシャにやってもらうけどシモン様には私が注いだのを飲んで欲しくて練習したんだ
でも紅茶を最初から用意するのだけは出来なかったなぁ」

椅子に座ってシャルロッテからカップを受け取り、飲んでみると不思議な味がした

「ん? 変わった味だな」

「それねぇ~ ナターシャ曰く特別な日に飲む紅茶なんだってぇ~
私も飲んだ事ないから楽しみなんだぁ」

シャルロッテは向かいの椅子に座ると飲み始めた
さっきまでの令嬢モードが抜けてきて、すっかり素のシャルロッテが出てきた

「ん~  美味しい  そしていい香り~
この紅茶、何でもっと出してくれないんだろ?
普段でも飲みたいのに」

シャルロッテはどうやらこの紅茶を気に入ったらしく、毎日飲みたいみたいで少し拗ねた様子でチビチビと飲み始めた
側から見たら酒を飲むOLみたいだ

「シャルロッテが友達を城に泊めるから出したのかもよ
だってシャルロッテが友達を城に招待するのは初めてなんだろ?」

このまま拗ねてるシャルロッテを放置するわけにもいかないので、ありきたりな理由を話せば納得したらしく、シャルロッテが満足そうに頷いた

「そっかぁ~
なら仕方ないね シモン様と飲むと美味しいし」

無邪気に話しながらシャルロッテは立ち上がると椅子を動かして、傍まで移動してきた

「ほらほら シモン様
私ばっかり飲んでじゃ、嫌ですから
シモン様も飲んでください♪」

「分かったから落ち着いてくれ」

テンションが上がり続けてるシャルロッテを落ち着かせながら俺も紅茶を飲み進める
確かにシャルロッテの言う通り、美味しいがどこの産地で何と言う茶葉なのか、気になるところだ

「シモン様 私、最近お茶会をしようと考えております……」

産地とか気になってるとシャルロッテがそう言ってきた
見ると顔は俯き、少し不安そうに見えた

「ですが見ての通り、私はシモン様やフローラ様達としか交友は無くて……
頑張ろうとしているのですが怖くて、招待状も出せずにいて……」

シャルロッテはそう言うと机から紙を取り出し、持ってくれば俺に見せてきた
見てみるとそれは手書きの招待状だ
それも丁寧に書かれていて、凄く分かりやすい内容だった

「もし断られたら……  変な事を思われないか……
そんな事を考えると遅れず仕舞いでずっと机の中に閉まっているのです」

「じゃあさ 明日、とりあえず声をかけてみるのはどうだ?
今日と同じホールなら少なくとも数が限られるから、話しかけやすい場面があるかもしれないだろ」

「いえ……  サブの方ではなく、メインホールで行うので人数は恐らくですが千は超えるかと……」

「は?」

俺が今日あった会場の事を思い出し、そう伝えるとシャルロッテから信じられない話が出てきた

「サブ?」  「はい 今日の会場はお父様が集めたほぼ身内みたいな人達なのでサブのホールで行いました」

シャルロッテはごく当たり前に言うが俺は頭が混乱した
あの会場は大体、六十以上は入るくらいの広さだ
そして会場に居た人達も多く居たし、子連れも居たから人数は俺の予想の倍は居たと思う……
だが、それ以上の広さと大きさ?

「ちなみに今日あった人達の中で招待状を送れそうなのは?」

「覚えておりません……
ローリアスお姉様の妊娠が分かったり、シモン様のプレゼントにドキドキしてたのは覚えておりますのに」

そう言ってくれば俺は頭を押さえた
確かに今日の出来事をまとめたら、そっちの方が目立つから一々、来た人とどう言う事を話したか、仲良くなれそうだなとか分からなくなるよな……

「だったら一回、フローラとフォルティナのお茶会に参加するのはどうだ?
見知った顔も居るし、そこから交友関係を広げるのもいいと思うぞ」

一度、冷静に考えてみると『パーティーで友達を作りましょう』は陰キャからしたらとんでもない大きいハードルだった
だったら身近で頼れて、交友関係が広そうと言えばフローラとフォルティナしか思い浮かばなかったから彼女らのお茶会に招待してもらって、そこから友人を作っていくようにした方がいいと思った
だが、シャルロッテは少し不安そうに顔を埋めた

「その……、邪魔じゃないでしょうか?」

「フローラとフォルティナがそんな冷酷な酷い奴に見えるか?
参加したいと言えば日程を決めて、すぐにでも招待状なり送ってくると思うぞ」

シャルロッテがそんなバカみたいな不安を言ってきたから俺はそう返した
フローラとフォルティナも本当ならシャルロッテをお茶会に招待したいはずだ
現にフローラに何度もシャルロッテ宛にお茶会の招待状を送ろうとしたが、ユーリ兄さんにシャルロッテの予定を確認してもらうと、時間が合わずに送れなかった事が度々ある為、シャルロッテが言えばフローラは喜ぶし、フォルティナもシャルロッテと話すのは好きだと言っていたから嬉しいはずだ

「っ はい!!
ありがとうございます! シモン様!!」

シャルロッテはそれを聞くと悩んでたのが吹き飛んだのか、満面の笑みを浮かべて俺に抱きついてきた
まぁ、今だけは許すかと思い、シャルロッテの頭を撫でながら紅茶を飲む

(ん? 何か体が暑いな)

その異変に気付いたのはそのすぐの事だ
紅茶を飲んでいくと体が妙に暑くなり始めていた
部屋の気温か、紅茶が暖かいのを飲んでるからその影響かと思ったがどうもそれとは別の事らしい……

「シャルロッテ 少し窓、開けていいか?
何か暑く」

シャルロッテに窓を開けていいか、聞こうとして見ると「シャル、ロッテ?」目を疑い、彼女の名を呼んだ

「し もん しゃまぁ……」

そこに居たのは着ていたドレスを半脱ぎのまま、顔を赤らめながらまるで風呂でのぼせたような状態のシャルロッテが居た

「シャルロッテ?
どうした? 熱でも出たか?」

あまりにも先程までの無邪気な感じではない為、シャルロッテの額を触った

「っっっ」

そしたらシャルロッテは突然、口に手をやり体が跳ねるとクテッと力が抜けた

(は? この反応ってまさか)

俺はシャルロッテの反応でとある説が出るとシャルロッテが用意させた紅茶の入ったポットを手に取り、蓋を外して中を覗いた
だが中は至って変なモノは入ってなかった

(と、なると紅茶自体がソレになるがあるのか?
そもそも俺の場合だと、状態異常扱いになるのか?)

自分のステータスを確認しようとした瞬間、突然強い力で引っ張られると床に倒された

そして起きあがろうとしたが体の上にズシッと重みがくればシャルロッテに馬乗りにされた

「シャルロッテ!? 落ち着け!?
とりあえず落ち着け!?」

危険を察知して、俺はシャルロッテに呼びかけるがシャルロッテには俺の声が届いていないのか知らないが脱ぎかけだったドレスを脱ぎ捨てると下着だけになり、最悪だがブラがズレ始めていた
そしてゆっくりと体を倒すと俺の服のボタンに手をかけ出した

(ちょっ!? 本気でマズイ!?)

シャルロッテの腕を掴んで抵抗するがあんまり力を入れると痣になる為、そこそこの力で抵抗する事となってしまった
それでもシャルロッテの力では抵抗出来ないはずなのに腕が動き続けながら凄い速さでボタンが外されていく

シャルロッテの顔を見ると完全にタガが外れて理性が残ってなく、目がもう捕食者のような眼差しになっていた

「っ、シャルロッテ ごめんな!!
《スリープ》!!」

流石にこのままでは抵抗しきれないと考え、俺はワザとシャルロッテを抱き寄せると頭に手を置き、《スリープ》をかけた
シャルロッテはピタッと動きを止めるとクテッと倒れ込んできた
起き上がり、シャルロッテをベットに寝かせてから様子を伺うとスヤスヤ眠っている様子だった

(あ、危なかった……  あのままだったら確実に既成事実が生まれてたな)

抵抗したから乱れた呼吸を整え、指を鳴らしてシャルロッテの服の時間を戻すと服は元通りにシワ一つなく、シャルロッテが着こなしていた


「とりあえずナターシャだったか?
そのメイドは後で絶対に説教してやる」

そう言って紅茶の入ったカップを見た
あの紅茶には恐らくだが、極めて分かりづらい媚薬が入っていたらしい
いや、そもそも紅茶自体がソレの可能性があった
ともかく俺は成人してる精神だったお陰か、抵抗は出来たがまだ未成熟のシャルロッテの精神じゃ抵抗は出来ずに本能に呑まれ、あの行動に走ったと見る

(これから一仕事あるってんのによぉ……
まぁ、おかげで目が覚めた)

外されたボタンを元に戻しながら俺は先程の騒ぎの中、送られてきたチャット見ていた

[主人 怪しい奴らが居たから分身に見張らせてたがソイツらが動き出した
目的はシャルロッテと言う女の誘拐が目的らしい
あと数時間後には城に着く模様 連絡求む]


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