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第二幕

王都

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フォルティナのパーティーから数日が過ぎた…………
あれから《クリエイトエリア》の自宅にはフォルティナも来るようになり、令嬢としての教えとかに疲れたりしたら、自宅でこっそり休むようになった
しかしそれは俺に会うための理由だろうな
フォルティナが来ると通知が来るように設定したからフォルティナが来ると俺も大抵の事がない限りは必ず顔を出した

アレからフォルティナは、その……、俺とのキスにハマってしまったのか……
知らないが会う度に求められてしまい、理性がゴリゴリ削られていくのを、必死に耐えていた

俺も男だ……
正直、いつか約束前に手を出してしまいそうでヤバい………

そんなこんなで今、俺はシャルロッテの誕生日パーティーに向けて、馬車に乗って移動しているが……

「お兄様 もっとこちらに来てください」 「ダメ、シモン様  もっと私の傍に」

今、絶賛………、フローラとフォルティナが両腕に抱きつかれていて、身動きが取れずにいた

ってか、今、馬車には俺たち三人とそれぞれの従者三人、計6人乗ってるわけだが……
素直に言おう…、めちゃくちゃメル達の視線が痛い……
いや、違う……

(いいなぁ……  私もシモン様にくっつきたい……  キスしたい……  シモン様のでめちゃくちゃにされたい!!)

メルだけ何か羨ましそうに見ているのは分かるが、何で悪寒が走った!?
メルの視線だけが不安要素なんだが!?

「こほん……  王都までここまで七日……
そろそろ到着と思います」

「そ、そうか」

咳払いをし、外を確認するとアンがそう言ったので頷いた
正直、空気を変える為の話題を振ってくれて助かった…………

外を見ると確かに舗装された道になってきて、どういう原理か知らないが街灯が多くなってきた

「シモン様  王都に着きましたら、一日、猶予があるようです
その間に少し見て回るのはいかがでしょうか?」

「確かに王都を見て回りたいけど、流石に長時間、馬車だから疲れたから屋敷に着いたらすぐに休むよ」

「分かりました」

メルの提案に凄く魅力的で、本当に見て回りたいが、流石の俺もそろそろ尻が痛い……
馬車移動で慣れていると思っていたが、これなら馬に乗った方が楽だ……

(それに明日からは大いに気疲れとかするだろうしな……)

そう言いながらシャルロッテの手紙を思い出して、苦笑いを浮かべる
明日はシャルロッテの誕生日パーティーだが、その日から俺とフローラ、フォルティナはシャルロッテの招待で城に泊まる事となる

王族相手にするから酷く疲れるだろう………
そう思うと、今日の疲労はさっさと抜いてしまった方がいい……


「フローラ様!! 今日という今日は大人しく自室にて一人で!! 寝てもらいますからね!!
こら!! ほっぺプクーさせない!!めっ、でしょ!!」

ナッチャリはフローラに注意をするがフローラは子供っぽく、頬を膨らませるとナッチャリも子供相手に叱るように接している


「フォルティナ様 我々もこのままフェルストリー家にお邪魔させていただきますので部屋に着き次第、明日の準備に取り掛かってください
それが終われば今日のお勉強です」

「わ、分かったわ アン
確か今日は……、男の人の…、えっと、アレを口で…、ご奉仕する……、勉強だよね?」

「その通りで「アン フォルティナになんて事を教えてるんだよ…………」これも花嫁修行の一つですよ シモン様
それにこれはお嬢様が望んで、学んでいる事です」

アンがフォルティナに今日の予定を話してると聞き捨てならぬ事をフォルティナが口走ったので思わず、アンにジト目で言ったら、さも、「当然です」と言わんばかりの表情をして、そう言ってきた
サッと横のフォルティナを見ると顔を赤くしながらコクンと小さく頷いた

(マジか………)

正直、そういった事はフォルティナのトラウマになってるもんだと思っていたが、どうやら問題なさそうだ……
俺の為に頑張ってるって事は無いよな?

ちなみに馬車は3台あり、前方の馬車には父上達とメリスト公爵夫妻
後方の馬車にはメリスト姉弟が乗っている
正直、フォルティナは最初、どっちかに乗るもんだと、思っていたから最初は驚いたがよくよく考えれば妥当な人数割りだったと思う

「あっ、王都に入りますよ」

メルの言葉に自然と窓の外を見た
門を潜る為か、暗くなったがしばらくして明るくなった
そこから窓の景色は一変して、賑わっていた
王都の街は人々が多く賑わっていて、笑顔に暮らしている
反対側を見ると小さな店でパンが並ぶ様子が見て取れた

王都はまさに平和、と言えるに違いない……
だが……、そんな王都でも裏がある……

そう、前のメルみたいなスラム街がある
そこには病気が蔓延したり、暴力があり、そして女を強姦したり、はたまたその逆があったりと無法地帯だ

正直、そういった所に対して、どうにかしてやりたいが、そればかりは街を収める王族の手腕にかかっている
それは目に見えて、ここ数年はスラムに対し、大きな支援があったと、父上が話していた

そして王都には様々な店やギルドもある
その中でも冒険者ギルドは王都では有名所は数えきれないほどある
そしてチラッと見えた地下への入り口みたいなのは奴隷商の入り口だ

奴隷商も様々なモノがあり、奴隷の種類も数えきれないほどである……
まぁ、奴隷と言っても、同人のようなヤツは……   いや、あるか
無理やり捕まえて、奴隷にする行為は違法とされてるが、王都でもそれが闇で動いてるのは分かっている

『なぁ!! ルミナス・エルドをやるなら金を集めて、奴隷を買え!!
ダンジョンに連れて行けるし、頼れる相棒にだってなれる!!
それになんたって、自分でキャラメイクして可愛い奴隷を連れ歩けるんだ!!
俺? 俺はもちろん性奴ぶべらぁ!?』


(そう言えば……)と、エロゲー野郎の言葉を思い出して、その入り口を目で追った

(アイツは奴隷を買って、パーティー組めるって、言ってたな?
それでいてあの言い草だと攻略対象で、容姿とか自分でキャラメイク出来る様子だったような……
あん時は大声で話してたから、つい、顔面に熱々のもんじゃをかけたが……)

「奴隷を雇って、冒険者になるのも一つの案か……」

ボソッと呟き、今後について考える……
出来るなら冒険者になって、色々やりたいのがゲーマーの心情であり、魂だからな……
ソロでもいいが、パーティー組んでダンジョンでもなんでもいいから進むのも、悪くないな……

ふと、静かになってるのに気付いて、前を向くとフォルティナ達が妙な顔をしていた

「シモン様……  冒険者になるおつもりで?」

「え、あぁ 出来るなら12歳からギルドに行って、登録「「「そんなのはどうでもいいんです!!」」」うぉ!?」

アンに聞かれて、一応の予定を話すとフォルティナ、フローラ、まさかのメルまで迫ってきた

「奴隷を雇うってどういうつもりですか!?私じゃ不満ですか!?私の貧相な体じゃシモン様のその立派な性器を満足させられませんか!?」 「お兄様!!私は冒険者になるとは聞いておりません!!そもそもユリアナ先生にお話されましたか!?私、お兄様が数日も屋敷に居ないのだって、本当は絶対に嫌なのですよ!?」 「シモン様!!私も冒険者になれますよね!?貴方について行ってもいいのですよね!?そもそも奴隷を買ってしまったら、私との時間が無くなってしまいます!!私、キスをして、舌を絡めるだけでも足りませんのに!!」「「「え!? ナニソレ!?初耳!?」」」

3人それぞれ違う内容だが、まずは言わせろ…………

「メル……、しばらく俺の風呂に入って背中流すの禁「いやぁぁ~!!?」

メルに禁止をしようとするとメルは泣きながら抱きついてきた
お前のことが時々、わかんなくなってきて、主人として怖いよ?
お前から向けられてるのが何なのかわからなくて怖いよ?

あとフローラ、そこは我慢しろよ………
そろそろ兄離れして、ブラコンを卒業し……、なくてもいいから、距離感を学ぼうよ……
フローラに抱きつかれたりするのは嬉しいから変えなくていいけど……

それとフォルティナ、それ言っちゃダメなヤツぅ!?
それ言ったら俺、確実に今夜からフローラ達にキス強請られる!!確実に舌を入れられる!!
それからアン!? お前、「知ってましたけど」って、表情やめて!?
隠してるのは恥ずかしいからって分かって!?



そんなやりとりをして、屋敷に着く頃には俺は、まるで一週間、寝ずに残業させられた会社員みたいにげっそりとしていた


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