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第二幕

メリスト公爵家に到着

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ヒュレムがウチに来て、数日が過ぎた頃…………

俺は馬車でとある場所に向かっていた

「シモン 予定ではメリスト公爵の屋敷に着いた後、時間が出来る
パーティーまでに準備を済ませておくといい」

「はい、父上」

そう、明日はいよいよフォルティナのお披露目パーティー当日だ
今、馬車の中には俺と父上、母上、フローラの四人が居る
そして後方の馬車にはメル達、従者と俺達の着替えが乗せてある

正直、出来るなら二日前あたりにメリスト公爵の元を訪れたかったのだが、ユーリ兄さんとゼアル兄さんからの手紙が届くのが遅れたから、一日前となってしまった

ユーリ兄さんは婚約者であるローリアス様が体調が優れない為、参加できず、ゼアル兄さんは簡単に休み過ぎて、単位が危なくて参加出来ないとの事……

(絶対にそうならないようにしよう……)

そう決意している中、ふと、外を見れば……

「……は?」

思わず声が出た……
窓から見えた恐らくメリスト公爵の屋敷だが、明らかに大きさがバグっていた

また着く距離を考えれば、およそ三十分弱、まだ敷地内に入る門を越えていないのにも関わらず、ここから見た屋敷はかなりデカい規模の屋敷なのは見て取れた

「相変わらず……、ヤツの屋敷建築力は凄まじいな……」

「あら~、そう言ってるけどガラルド
私達の屋敷も作ってもらったじゃない」

父上が俺と同じようにここから見えた屋敷に若干、引いていれば、母上は何処か、楽しそうに話している

(ってか、ウチの屋敷って、メリスト公爵が建てたのかよ……)

色々と衝撃的な事が判明して、頭が痛くなってくるがそんな事を言ってる場合では、なさそうだな
着けば、先ず挨拶だのしなければならない…………

「うみゅ……、おにぃ……、さまぁぁ……」


意外と馬車での移動に時間がかかっているからか、フローラはすっかり眠って、夢の中だ
俺の肩に頭を置き、完全に体を預けて、眠っているフローラの頭を撫でれば、少し気持ちが落ち着いた


「ぁ……、おにぃさま……、フローラを……、あいしてぇ……」

(前言撤回……、フローラ……
俺はお前の将来が不安で仕方ないぞ………)

小さな寝言は俺にしか聞こえてなかったからいいものの、俺はこの先、フローラがちゃんと結婚出来るのかが、不安で仕方なかった…………
母上はフローラを俺の嫁にするつもりだが……、出来るならそれは最終手段でとっておきたい……

やがて、馬車が門を抜けるとそこからはすぐで十分もしないうちに、屋敷前に着いた

「ガラルド!! 久しぶりだな!!」

「あぁ、お前も元気そうでなによりだ」

馬車を下りると髭を生やし、結構、年が行っていそうな男が父上に近付いてくると父上も嬉しそうに握手を交わした

「お兄様、義姉様
こうして会えて嬉しいですわ」

「あら~、アイズ君とテセリアちゃんも
前と比べると随分、見違えたわねぇ」

その男の後ろから二十歳に行ってなさそうな女性が来ては母上が駆け寄り、抱き着いては頭をナデナデしている

【アイズ・メリスト】そしてその妻である【テセリア・メリスト】は言わば、俺達の親戚である
テセリアは父上の妹で当時、男爵だったメリスト家に嫁ぎ、そこからの交流だが今では両家共に仲睦まじい関係が続いている

「アイズ叔父様 テセリア叔母様
お久しぶりでございます」

「今日は私たちをお招きいただき、感謝いたします」

俺は挨拶をすれば、すぐさま隣にフローラが立ち、二人でお辞儀をした
ちなみにフローラはすっかり素の自分と令嬢の自分を使いこなしているみたいで、素直にすごいと感じる

「おー!! あの小さかった双子がこんなに立派に……、叔父さん嬉しくて涙が出てきたわぁ……」

アイズ叔父様は俺とフローラを見れば、嬉し泣きをしている
昔、執事のヌリークに聞いた事だが、俺達、双子の出産はどうやら難産で、母上も危険な状態だった
そして産まれたが俺とフローラは想定より小さく、最初は呼吸が止まってたらしく、医師達の執念でなんとか息を吹き返したらしい……
呼吸が止まってた俺とフローラを見て、母上は泣き叫び、自分も危険だった事を忘れて、無理矢理体を起こして、俺とフローラを抱き寄せようとして、押さえ付けられてたと聞いた

目の前で我が子が死ぬかもしれないと知って、母上も気が気ではなかったのだろう……
だから今、こうして俺とフローラは家族の愛情を沢山、注がれているのだろうと感じた

「もう………、泣かないの
今は私達の可愛いフォルティナの婚約者なのよ?
フォルティナが結婚すれば、シモン君も私達の息子になるのだからカッコ悪い姿を見せちゃ、恥ずかしいわよ」

「っ………、そうだな………
未来の息子となるシモンにカッコ悪い父親を見せる訳にはいかないな」

テセリア叔母様が慰めるようにそう言えば、アイズ叔父様は涙を拭き、キリッとした表情になった
ちなみに今更だが彼らはこう見えて、かなり若い……
ウチの両親と比べてもこの世界の実年齢と比べると、美男美女が多いからかなり困っている………
若いと思ったら、実は年が行っていたと何回、あったことか……

「シモン様!!」

そんなくだらない事を考えていれば、フォルティナの声が聞こえて、そちらを向くと驚いた
そこに居たのは最後に会った時よりも可憐で、美しさに全振りしたかと思えるくらいのフォルティナがドレスのスカートを揺らしながらこちらに駆け寄ってきていた

「おっと」

フォルティナが止まる気配が無いから抱き留めるとガバッと首に抱きつかれた

「お会いしたかったです!!」  「あぁ、俺もだ」

嬉しそうに笑うフォルティナに釣られて微笑めば、ようやく現状を理解したのか、フォルティナが顔を赤くした

「あ、し、失礼「駄目、離さん」シモン様!?」

父上達に見られて、フォルティナが恥ずかしくなり、逃げようとした為、逃がさないように逆に抱き寄せるとフォルティナが面白いくらいに真っ赤にしながら俺を見てきた

「はははwww
ウチに来て、沢山、フォルティナの笑顔を見てきたがここまで嬉しそうな笑顔は初めて見たな」

「えぇ、それだけシモン君を愛しているのね」

アイズ叔父様とテセリア叔母様の話に参ったのか、フォルティナは頭から湯気が出てそうなくらい羞恥してたので流石にこのままじゃ可哀想と思い、フローラと目配りするとフローラがフォルティナの手を取った

「フォルティナお姉様
私、屋敷の中を見てみたいですわ」

「俺は庭園を見てみたい
父上、叔父様、よろしいですか?」

俺が聞けば、父上とアイズ叔父様は嬉しそうに頷いた

「あぁ、だが迷惑をかけるなよ?
それと迷子になったら従者の方に案内してもらうようにな?」

「それと屋敷を見て回るのは今の時間帯だと厳しいから、庭園に行ってみるのをオススメするよ
フローラの好きなお花もあるから、きっと気にいるはずだ」

「ホント!? お姉様!!
早く早くぅ!!」

父上達の話に目をキラキラさせながらフォルティナの手を取り、フローラは駆け出した
フォルティナは驚いているが、俺はその背を押し、その場を後にした

「早く孫がみたいな」 「そうだな シモンとフローラの子供も混ざれば、大所帯になりそうだ」

父上とアイズ叔父様がそんな話をしているのを遠くから微かに聞こえていたが、言い返す余裕がなかった

(父上!? 貴方、ちゃっかり俺とフローラが子供作るの賛成派なのですね!?)

父上がまさかのそっち側だった方が驚きいっぱいであった
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