18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第二幕

フェルストリー領土の街

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パーティーまでの正確な日数と、何としてもその日は何も予定を入れないようにスケジュールの管理を父上に任せて、俺は今、馬車に揺られて、移動していた

「シモン様 街まではあと少しですので、お休みになられたらどうですか?」

「いや、そう時間がかからないなら起きてるよ
それにこうして景色を見てるのは好きだし」

メルが自分の膝を叩き、「膝枕します」と言ってるようだが、断ると見るからに分かりやすいガーンとショックを受けてるようで笑えた
だけど、馬車の中で膝枕すると正直、危ないし、足を伸ばせないからしたくない……
それに馬車の外の風景は元の世界でもなかなか見れない綺麗な自然だ
見ていても飽きないのが不思議だ……

「シモン坊ちゃん メル嬢ちゃん
街に入りやすぜ」

外の眺めを楽しんでいたら、ロジャードの声が聞こえてきた
馬車を運転してるから前の方に居るが結構、分かりやすい声をしていると、改めて思った
ちなみに護衛の為、騎士が三人、馬車の周りに居る

ロジャードを含めると過剰戦力だと思うけどな…………

そんなこんなで馬車は街に入った
ここは屋敷から三十分くらいの所で、最寄りの街だが、かなりの広さだ
街は賑わい、人々が笑顔で商売したり、自由に過ごしている
これも父上の人徳でここまで大きくなったのだと、ユーリ兄さんが話していた

何故、俺が街に来たかと言うと、シャルロッテのプレゼントを買う………、いや、ちょっと作る為だ
本当ならちゃんとしたのを作りたいが、それを10歳の俺が作ったら問題になる
だから、いっそのこと、フェルストリー領土の商会で作って、販売
そしてソレの豪華版をシャルロッテにプレゼントと言う形を取れば、一石二鳥ってヤツだ

馬車を進める事、少しして馬車はゆっくりになり、止まった
ロジャードが扉を開けてくれて、下りれば、目の前には少し小さな建物があった

ここはこのフェルストリー領土の全商会の最高責任者でもある【ラズボード商会】だ
この小さな商会で、年間、白金貨を数百くらいの稼ぎがある

そしてここの会長が良しと言わない限り、新たな商品も、商業も出来ないと言う…………

扉を開けて入れば、中は外の外見から大きくガラッとイメージが変わった
中は見事に整理された商品の数々や中には、珍しい品物もあり、品揃えは文句の言い様がなかった

「いらっしゃいませ ようこそ、ラズボード商会へ」

品を見ていれば、カウンターから声が聞こえ、見れば小さな猫獣人が居た

(うわぁ…………!! 生の獣人だ!!
めっちゃ可愛い!!)

ここに来て生の獣人を見たから内心、めっちゃテンションが上がった
異世界に来たら、やっぱり一度は見てみたいからな

「あの?」「あ」

猫の店員が首を傾げているのを見て、俺はハッとし咳払いをした

「すみません 私はフェルストリー家が三男 シモン・フェルストリーと言います
今日はこちらの会長さんにお会いしたく参ったのですが」

「ふぇぇ!? フェルストリー伯爵様のですがぁぁ!?」

自己紹介をすると猫の店員はおもいっきり驚いた
いや、そりゃそうか……
それから少しして、会長室に案内された

「これはシモン様 今日はラズボード商会にお越しいただきありがとうございます
こうしてお目にかかるのは初めましてでしょうか?
ラズボード商会及びフェルストリー領土商会が最高責任者のアルマドリス・ラズボードと申します」

【アルマドリス・ラズボード】会長はその膨よかな体を倒し、コチラにお辞儀してくれた

「いえ、私の方こそ 急に面会を求めて申し訳ございません」

「いえいえ、貴方様のお父上様にはよくご贔屓にさせていただいておりますので」

そう言い、秘書の女性がお茶を淹れてくれれば、俺達の前に置いた

「それでお尋ねになった理由を聞いても?」

「実はこちらの商会で作っていただきたい、モノがございます
勿論、ソレを販売するかは会長様にお任せいたしますが」

販売と言う言葉を聞けば、アルマドリスの目が鋭くなった

「拝見させてもらっても?」 「はい こちらが私の考えを纏めた設計図などです」

そう言い、綺麗に巻かれた書類を渡した
アルマドリスはソレを受け取ると、眼鏡をかけて内容を確認した
しばらくして読み終えたのか、アルマドリスは書類を置いた

「これは…………、実に面白そうですね!!」

「はい 王都とかでも聞いた事がないので、商品としても価値はあるかと……
それにコレが広まれば」

「フェルストリー領土の特産物として、街おこしに使えますね!!」

俺の言葉にキラキラとした目で、アルマドリスは話してくる
どうやら興味を持ってくれたようだ

「ですが、よくこのトランプ?なるモノは実に見たことのない模様をしておりますね」

「ダイヤ・スペード・ハート・クローバーの四つで、子供であっても形で覚えられるモノが分かりやすいかと思いまして
それに数字が十三まででアレば、相当の枚数になる為、貴族以外の民であっても友人や家族達で集まり、気軽に遊べると思いましたので」

そう 今、俺はこの世界にトランプを広めようとしていた
簡単に言えば、この世界に娯楽があまりにも少なすぎる……
あったとしてもそれは外で遊ぶモノを中心となってしまう……
部屋でゆっくりと家族で遊べる遊びがあれば、ユーリ兄さん達が帰ってきた時に父上達と遊びながら会話が弾むと思った

「そうですね
こちらの商品、私が責任を持ち、作らせていただきます」

「ありがとうございます
それと貴族用と庶民用で分けて作れば、それぞれで儲けになるかと
資金は父上から頂いたこちらで足りますか?」

「勿論でございます
コレは国中で流行りますぞ」

アルマドリスさんは早速、取り掛かろうと金貨が入った袋を持ち、部屋を出ようとした為、俺は慌てて、呼び止めた
むしろコッチが本命だ

「あの、実はシャルロッテ第三王女様の誕生日への贈り物にしますので、一つだけ豪華なモノを早急に作ってもらえますか?」

「何と!?王族であるシャルロッテ様の!?
これは是が非でも成功させなくてはなりませんな!!
ふふふ!! 久しぶりに商人としての血が騒ぎますぞ!!」

シャルロッテの名を出せば、先程までと比べ物にならない程、燃える眼をさせながら、頷くと部屋を飛び出して行った

「あんなお父さん初めてみた……」

そう言い、先程の猫の店員がポカンとしていた

(ってか、娘さんだったのね……
何かごめんな……)

娘さんに謝りつつ、商会を後にすれば、次に向かったのは街の中央にある大きな病院だ
そこはフェルストリー随一の医学が集まり、多くの病人などが救われている
ここは、母上が力を入れていて、医学の大事さを知っているからこそ、立派に、そして全ての患者が安全に、をモットーとしているらしい………

「すみません、数ヵ月前……
馬車の荷台の下敷きになったところを助けられた」

「フェルストリー伯爵様の三男様ですね!!」

中に入れば、かなり清潔感があり、何より現代と変わらない白を象徴とした内装だ
受付の所に行き、言うとナースが一発で、俺を言い当て、すぐに院長と会うことになった

「シモン様 わざわざこの病院に訪ねていただき感謝いたします」

「いいえ、礼を言わなければならないのはこちらの方です
ガドラー院長」

【ガドラー院長】はエルフ族で、まだ若く見えるが、こう見えて年齢は五百を超えたばっかだとか……
そして母上との知り合いで、ココで病院の院長をしてもらっているとのこと……
ちなみにフェルストリーの子供……
つまり俺達はここで産まれたと、母上から聞いた事があった

「改めて私を救ってくださり、ありがとうございます
今、私がここに居られるのは院長のお陰でございます」

「う、うむっ………」

俺は礼を言い、頭を下げれば、ガドラー院長は少し歯切れの悪い返事を返してきた

「どうかされましたか?」

「いや……、うん……
シモン様には言っておくべきでしょう」

首を傾げて、聞けば、ガドラー院長は俺を見た

「実は……、あの時のシモン様の傷は私達でも治せなかったのです」

「え?」

それは衝撃的な内容だった
今、現在、俺はちゃんと生きている……
だけど、治せなかった?

「当時、私たちは全力の限り、回復魔法を使用しながら手術を行ってましたが、シモン様の内臓は三個が破裂し、片肺に至っては既に機能しない程、破損してました
そしてなにより……、シモン様の心臓に杭が刺さっており、かろうじて動いてる状態でした
下手に治療をすれば、一瞬で……」

そう言い、ガドラー院長は顔を下げたが、再びその目で俺を見てきた

「その時です
実は数日前にとある薬師が薬の売りに来たのです
最初は怪しかったのですが、鑑定士に鑑定してもらった所、その全ての物が上級の薬品で、その中にエリクサーと呼ばれる薬があったのです」

【エリクサー】
ゲームでも出てくる超有名アイテムだ……
ゲームによって、効果が違ったりするが、アルタナシア・ドリームでは完全回復、魔力回復、状態異常回復など全てを回復する言わば、奥の手とも言える回復アイテム……

「ソレを思い出して、エリクサーを使用した所、シモン様の破裂した内臓は一瞬にして元に戻り、心臓に刺さっていた杭も無くなってしまったのです
初めて薬に恐怖を覚えました……
こんなのを作れてしまうあの薬師にも……」

『あー、そうだ
ルミナス・エルドで序盤に絶対会っておいた方がいい攻略キャラがいんだわ
胸もいい、ヤれば感度良すぎてイキ狂う様もいい、そんな絶世のいい女だが、その職業は薬師で』

ガドラー院長の話を聞きながら、俺はふとエロゲー野郎の話を思い出していた
腕の効く薬師……

「院長、その人は?」

「あ、あぁ、確か女性だったかな?
ローブを着て、顔も隠れていて種族までは分からなかったが、女性の声をしていた
確か……、薬を売ってから戻っていったのは瑠璃の森だったな」

それを聞けば、俺は小さなガッツポーズをした
その女性はこのルミナス・エルドと言うゲームに置いて、重要攻略キャラだ
エロゲー野郎の話だと、薬師だと言うが、アイツがそういうなら腕前は恐らく国一と言っていいだろう

そうして、俺は次の目標が出来た



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