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第一幕

フォルティナを解放せよ

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フォルティナ達を庇うように立ちながら、ギャン男爵にメンチを効かせている俺だが……

(ま、間に合ってよかったぁーーー……!!)

滅茶苦茶に冷や汗を流しながら焦ってました

《ハンティングビースト
デメリット・三十秒から一分間の間、ステータスが大幅にダウン》

全てはデメリットを忘れてたのが原因だが、これに関しては俺が悪い
ついでと言わんばかりに発動させたがその時、すっかりデメリットがある事を忘れていた

(あー……、俺とした事が……
このミスは何回もやってんだろうに……
それでランキング1位を取れずにいたんだから、頭に刻んだはずだったんだけどなぁ……)

デメリットを忘れた事を悔やみ、テンションが下がってるがまぁ、間に合ったからよしとするか……
ギャン男爵はさっきの一撃で、立っているのがやっとのようだ

(ってか、割と本気の《カチコミキック》だったんだけど……、少し手加減入れちまったか?)

《カチコミキック
普通の強い蹴り ダメージはかなり出る
当たり所では即死の効果を持つ(イメージだと、ヤクザが扉を蹴り破る感じだと思ってくれれば分かりやすい)》

どうも、即死の効果は引けなかったけど、大ダメージは与えられたからいいか

「ねぇねぇ、主人様~
そろそろあのクズも食べていい~?」

「ベルゼブブ あんなの食ったら腹を壊すからやめなさい
あとでプリン作ってやるから」

「主人様のプリン!?
やった~ 私、主人様の大好き~」

ギャン男爵を警戒していれば、後ろからベルゼブブが俺に肩を組んできて、そう言ってきたから、プリンで妥協すると伝えると嬉しそうに笑い、俺に抱きついてきた

元はNPCの誓約獣なんだが……
ここまで来ると、異世界ってやっぱりすげえな

「この……!!おい!!外に居るヤツら!!
聞こえているな!!金なら払う!!
コイツを殺せ!!」

ギャン男爵は部屋の外に聞こえるように大声で叫んだ
だが、部屋には誰も入って来なかった

「どうした!?」

「あぁ、すいやせん
部屋の外に居た人相の悪い奴らですか?」

「すまんが全員、殺ちまったぜ」

ギャン男爵が困惑してると、天井から声がして、見るとヤギの頭をした悪魔と三叉の槍を持った悪魔がフヨフヨ浮いていた

「バロン ベリアル
ちゃんと掃除してきたのか?
服に返り血付いてるぞ?」

「へへへ、安心してくだせえー、主人
ちょっと遊んでやっただけですぜぇ」

「その割には三秒で終わらせてたけどな」

バロンが思い出したように笑っていると、ベリアルが引きながらバロンの顔を見ていた

「くっ!?」

「魔法、使いたい?
でもダメ……」

ギャン男爵が俺に手を翳して、魔法を使おうとしたが隣から声がすると、展開された魔法陣が一瞬にして消えた

「なっ!?」

「もう貴方は、魔法を使えない……
私が貴方の体を組み替えたから……」

隣を見ると青髪の眼鏡っ娘が本を片手に、ギャン男爵を指差していた
その指には魔力で筆のようにし、文字を書いては消した

「相変わらずお前のデバフは理不尽極まりないな
ベルフェゴール」

「ん……、主人様……
ナデナデ……」

ベルフェゴールが俺の前に来て、頭を差し出してきたから、撫でてやるとベルフェゴールは嬉しそうに目を細めてウットリしていた

「な、何なんだ!?貴様らは!?」

「おやおや? 貴方は主人様から聞いたではありませんか」

「俺達は悪魔だ
正真正銘の、な」

「ですが私達のこの身、この心の全て
我が主人に忠誠を誓った者達です」

俺の後ろから、翼の生えた獅子、焔を纏った手で口元を隠し、微笑む男……
そしてその中でも見た目からして王の男が俺の前に立ち、膝を付いた
そしてそれを合図にベルゼブブ達もその後ろに鎮座し、膝を付いた

「我らが誓約せし、我らが王よ
我ら【七大悪魔王】
今再び、貴方様に忠誠をここに誓う」

「あーーー……、ホント……
懐かしくて涙が出てくるわ……
そうだろ?
ルシファー キリス アモン ベルフェゴール ベリアル ベルゼブブ バロン……」

懐かしい光景に目を押さえながら、微笑み、伝えるとルシファー達は頷いた

【七大悪魔王】とはアルタナシア・ドリームでも最高難易度を誇るダンジョンの七大ボスと言われ、かなりの難しさに多くのプレイヤーを泣かせた

何が難しいかと言えば、ダンジョン階層が100階を超え、出てくるエネミーは全てカンストレベル……
各階に休息エリアがあり、途中セーブも出来るが問題はボス戦……
七大悪魔王と呼ばれる彼らと7回連続でのボス戦……
一人倒しても休息無しで戦うことになっている為、プレイヤーが苦しめられた

ましてや、ボスをテイムするなんて、無理ゲーと言われていた
ボスを一人でも倒してしまえばテイム不可、失敗したらまた一階からと鬼畜にもほどがあるくらい……

だけど俺はコイツらをテイム出来た
クリアの文字を見た瞬間、俺は人生でこんなに嬉し泣きをしたかと思えるくらい、大声で泣き、膝から崩れ落ちた

初めての快挙、誰も成し遂げた事が無かった……
それだけで俺は嬉しかった……
さて、何でコイツらがここに居るかと言うと、転移して来た瞬間、《停止する世界》と言う時間スキルを使い、彼らを召喚したからだ
まぁ、アルタナシア・ドリームと同じと言うことから(出来るじゃねえかな~)と思い、試してみれば出来ちゃった
そして指示を飛ばして、彼らには仕事を行なってもらったという事だ(ちなみにルシファーにデメリットを指摘され、思い出したという事は内緒の話だ)

「して、主人様
あのゴミは私が片付けても?」

「いいや、俺がやる
そうでないと、フォルティナの婚約者なんて語れねえよ」

ルシファーが鋭い目付きでギャン男爵を見るがルシファーの肩を掴み、そう言った
そもそもフェルストリー家を狙ったのもコイツなんだ……
だったらケリは俺がやらねえとな

「このバケ「うるさい……、喋るな……、主人様の目障り……」

ギャン男爵が叫んでいたが、ベルフェゴールがまた指で文字を書けば、ギャン男爵の声は途絶えた
そしてバロンの魔法で焔の鎖が彼の手足を貫き、大の字で拘束した

「アモン どの角度なら被害って少ねえ?」

「そうですね……」

俺がアモンを見るとアモンはキョロキョロと部屋を見渡せば、ギャン男爵の右斜め後ろを指差した

「この方角ですね
この方角であれば、噴水に当たり、被害はそこだけでしょう」

「あっ、コイツの息のかかってるヤツらは消しといたぜ
それ以外の無害なヤツらは俺達が転移させた」

「今頃、冒険者ギルドでしょう
事情を話し、様々な不正の証拠も持たせたので、ここに来るのは時間の問題かと」

キリスとルシファーの言葉に頷けば、アモンが指差した方角にギャン男爵を移動させてもらい、ギャン男爵に向かって、両手を合わせて突き出した

「《拳気》 《拳気解放》」

《拳気》を発動し、何も属性をつけてないオーラが発動したのを確認し、解放すれば、オーラは一気に膨張し、一目で威圧感が増した事が分かる
そしてそのオーラは徐々に形を形成していき、最後には獅子の頭が出来上がった

「ギャン男爵 一応、言っておきます
フォルティナはもう貴方から巣立ちました
もう貴方の娘では無い
ですので、永遠に会う事はないでしょう
貴方は最低最悪の親です
ですので、改めて言います」

ゆっくりと分かりやすく話をしていた俺だが、大きく息を吸った

「フォルティナは俺が貰っていく!!
嫁としてな!!
《獅子・獣烈波》!!」

そう宣言し、《獅子・獣烈波》を放てば、獅子の頭が発射され、ギャン男爵を飲み込めば、屋敷の壁を粉砕しながら進み、外に出、噴水に着弾すると大きな爆発と土煙が起きた

《拳気解放奥義  獅子・獣烈波
属性によって、威力は違うが獅子がターゲットを食い突き進む
熟練度カンスト効果・獅子の範囲が広がり、複数の敵を巻き込む事が出来る 追尾性 手を離さない又は、着弾するまで発動し続けられる
デメリット・拳カテゴリのスキルをしばらくの間、使用不可 時間経過しなければ拳気を瞬時に再展開不可》

この位置からでも、離れた噴水跡地が見える
噴水があった所は大きな深いクレーターとなっていた

「相変わらず凄まじい威力だな……」

「流石は我が王です」

その光景に唖然としていると、誇らしげなルシファーが隣でお辞儀していた

振り返ると、ベルゼブブ達もお辞儀をしていたがフォルティナとアンさんが近付いてきた

「し、シモン、様……」

フォルティナの顔は面白いくらい真っ赤だ
つーか、言った内容が内容だけで、こっちも凄え恥ずかしい……
が、今はそれは捨てておこう

「ルシファー この騒ぎを聞いて、冒険者ギルド、及びヤツの息がかかってない防衛隊の奴等がココに来るはずだ
上手く誤魔化してくれ」

「承知致しました」

俺が指示を飛ばすとルシファーは《変化》の魔法を使い、人間に姿を変えて、部屋を後にした
ルシファーに続く形でアモンもついて行ったから、問題は無いだろう……

「んじゃ、フォルティナ
それにアンさんも……
こっちも終わらせようか」

「「え?」」







「シモン様!!」

ベルフェゴールに転移してもらい、俺達はフェルストリー家の庭に戻ってきた
俺に気付いて、メルが駆け寄ってきたが、話は後だ

「メル すまんが話は後だ」

メルを抱き止め、一旦、離れて貰えば、少し離れた場所に行き、俺は右手を地面に翳した

「《召喚 メルデウス ロルプレーリー ワカメ》」

そう告げれば、魔法陣が展開され、三人の女天使が召喚された

「お久しぶりです 誓約者様
些かお姿が変わられましたが、あの頃と変わらないようでなによりです」

「御託はいい メルデウス
お前ら、こっそりコッチに来ては俺の為に動いてたんだろ?
感謝する」

メルデウスの挨拶を軽く流しながら、俺は礼を述べ、頭を下げた
実はギャン男爵の不正、盗賊達のやり取りについては俺の部屋に報告書が置いてあった事から知ることが出来た

そしてそれが出来るのは天使族である彼女らしか居ないと理解した
だが、姿も見えない、声も聞こえないからちゃんとこうして会ってお礼を言いたかった

「いえ、私達の使命は誓約者様をお守りすること  当たり前の事です」

ロルプレーリーが俺の顔に触れながらそう言ってきたので顔を上げた

「あぁ、それでもだ
感謝している」

「盗賊の~、アジトには~私の部下が回収に~行ってますので~、問題ないと~思います~」

フワフワとした話し方でワカメがそう言ってきた
このフワフワした話し方ではあるが、この中だとゴリゴリの強者だ……

三人を見てから振り返り、フォルティナとアンさんを手招きするとフォルティナとアンさんがすぐに来てくれた

「シモン様 一体、何をするおつもりですか?」

アンがメルデウス達を見ながら聞いてきた
流石に天使を前にしてるからか、いつもは完璧メイドと思われるアンさんの顔がコロコロ変わって面白い

「今からお前らの全てを癒す」

「誓約者様 アレを使うのですね」

俺の言葉にメルデウスが気付けば、俺は頷くと既にワカメが魔法陣を描いていた

「では、お二人共 この魔法陣の中央に立ってください」

ロルプレーリーが二人を促し、魔法陣の中央に立った事を確認し、俺達もそれぞれの位置についた

「では、参ります!!」

メルデウスの声を合図に俺達は両手に魔力を込め、フォルティナ達に向けると手の平から光の粒子がフォルティナ達を包んだ

「な、何コレ?」「不思議な光の粒…、それに私とお嬢様の体を通り抜ける度に暖かさが体に広がっていく……」

フォルティナは驚き、アンさんは最初は警戒したが不思議そうに光の粒子を見始めた

「っ……!!誓約者様!!
頑張ってください!!」

「分かってるよ!!」

その一方で、俺達は汗を滝のように流しながら集中していた
いや、俺が皆の足を引っ張っていた
この魔法は熟練度がカンストしておらず、発動に時間がかかり、MPをほとんど持っていかれる……
それに発動条件がむず過ぎるから、熟練度が上がらなかったが……

「よし、行ける!!」

俺の言葉にメルデウス達が頷くと、同時に魔法陣に手を置いた

《天使族究極回復スキル 女神の愛した世界で願うは、かの者の幸せ》

魔法陣の線が光走り、フォルティナ達を囲んでる線まで光ると天に向かって、光が伸びた
その瞬間、フォルティナとアンさんから様々な燻んだ色の粒子が出ていき、やがて光が収まると同時に魔法陣が消えた

「い、一体、何が?」「お、お嬢様!? 傷が!?」「えっ?」

フォルティナが困惑しているとアンが気づいて、フォルティナに言うとフォルティナは破れたドレスを気にせず、自分の胸元を見た

「えっ!?傷が……、無い!?」

フォルティナは信じられないと言った顔をしながら胸元から体を見ている
アンも失礼だと思うけどゴソゴソとフォルティナの体を調べている

(アンさんが重なって外には見えないようになってるのが幸いだな……)

「あ、ありません!!
傷が……、お嬢様の傷が……」

綺麗になったフォルティナの体を見て、アンさんの感情のダムが壊れたのか、思いっきり泣き始めた
フォルティナもアンさんに釣られて、泣き始めていた

「シモン!!」「凄えな!!」

終わった事を察するとユーリ兄さんとゼアル兄さんが駆け寄って来てくれた

「ユーリ兄さん ゼアル兄さん」

「何だ?」「どうした?」

「疲れた」ドサッ

「「シモーーーーン!?」」

ユーリ兄さんとゼアル兄さんの困惑した叫び声が聞こえるが倒れた体が酷く疲れて、起き上がる事はできなかった

(あー、でもいい疲労だ
気持ちよく熟睡できそう……)

そのまま俺は目を閉じると、すぐに眠るように意識を失った

その後、丸一日半は眠り続けたと聞いた

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