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第一幕

アルタナシア・ドリーム プレイヤーランク2位 シフォンケーキ

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「お兄様!!」

フローラの声にチラッと後ろを見ると盗賊リーダーが俺の腹を突き刺した剣を抜くのを諦めて、短剣を抜き、俺の首元目掛けて、振り下ろそうとしているのが見えた

そう言えば、「何で抜けねえ!?」とか言っていたな

(まぁ、俺が左手で掴んで抜けなくしたんだけどな)

ニヤッと笑い、すぐに俺の頭の上に魔法陣が展開されれば、《ライトニングランス》を放った
盗賊リーダーはそれに気付けば、避けようとするが残念……
ソレ、追尾型なんでな

「っ!? ぬぐぁぁあぁぁ!?」

剣を離して、避けた盗賊リーダーをライトニングランスは追尾し、スピードを加速し、盗賊リーダーの左胸を貫くとそのまま盗賊リーダーを引き摺り、地面に突き刺さって爆発した

(これで距離は空いた……
他の盗賊達も突然、リーダー格の悲鳴を聞いて、動きが止まってるな)

素早く他の盗賊達の動きを把握すれば、素早く剣を握り砕くと背中に手を回して、掴んで引き抜いた
そして剣を放り投げ、傷跡に手を置けば、ゆっくり息を吸った

《格闘家回復スキル 修息技法
特殊な呼吸法行い、ダメージを回復する
熟練度カンスト時効果・リキャストタイム無し 回復率大 状態異常完全回復》

スキルを使えば、傷口から煙が出て一瞬にして完全回復した

(はははwww  これだよコレ
この感覚、久しぶりだ)

腹を見て、思わず笑いながら手の血潮を《クリーン》で綺麗にしてから泣いてるフローラの頭を撫でた

「お、おにい、さ、ま………」

「あーもー 泣きすぎて喋れてないじゃんか
ほら、鼻チーンして」

泣きじゃくってるフローラの鼻をハンカチで押さえてあげるとフローラは戸惑いながらもチーンとした

「はい 大丈夫な」

俺が笑いながらそう言うとフローラは俺の手を取れば、自分の頬に持ってこさせた

「お兄様……、お兄様……」

「フローラ 少し待ってな?
大丈夫 俺が守るから、な?」

フローラを安心させようとそう言えば、コクンと頷くとおまじないという感じで、 俺の手にキスをしてきた
正直、小っ恥ずかしいがフローラが安心するなら好きにさせるか……

「母上 フローラと共に下がっててください」

俺は真っ直ぐ母上の目を見て、言うと母上はじっと俺の目を見てから頷いてくれた
フローラから手を離せば、振り返った

「さて、待たせたな?」

母上達が離れたのを確認しながら土煙の方を見ると盗賊リーダーが立ち上がっていた
直撃を受けたからか、足がフラフラしているがその姿に笑っちまった

「て、てめぇ……!!」

「あぁ、そうだ
礼を言わせてもらいます 盗賊の皆さん」

フラフラな盗賊リーダーを見て、俺は素直に礼を言わせてもらった
突然の事で盗賊リーダー含めて、盗賊達は驚いてるが気にしない……

「貴方方のお陰で、枷が外れた!!」

ニヤリと笑い、俺は拳を握り、合わせると、拳は一瞬にして雷撃を纏った

「《拳気・雷鳴》」

雷撃を纏った両手をグー、パーと感覚を確認してから構えた

《拳闘士スキル・拳気
拳に気を集め、オーラを纏う事で攻撃力を上げる
また属性を付与する事により、それぞれ違う効果を付与する》

《拳気・雷鳴
雷属性を付与することにより、俊敏性、貫通力が大幅に上がる
熟練度カンスト時効果・発動時間永続 リキャストタイム二十秒 雷鳴時の効果、大幅にアップ 任意による解除化
デメリット・10秒間、雷属性の魔法が使用不可》

「てめえら!! 他の奴はいい!!
このガキを殺せ!!」

盗賊リーダーの命令で盗賊達が一斉にこっちに向かってきた
炎の槍も飛んできている
だが……

「遅すぎるな」

《ラビットジャンプ
ウサギのように跳躍力、俊敏性、脚力がアップ
熟練度カンスト時効果・リキャストタイム三秒 俊敏性にプラスで加速の効果を得る》

呟き、《ラビットジャンプ》を発動し、踏み込めば……

俺の姿は消え、雷の閃光が走ったと思えば、突っ込んできた盗賊達が一斉に吹き飛んだ
そして雷の閃光がまた走ったと思えば、魔法を撃ってた盗賊達がいきなりくの字に倒れ込み、最後の一人の腹に拳を捩じ込んだ俺が姿を現した

「な、何!?」

盗賊リーダーが驚いてるが、驚くほどでもないだろう……
ただ単に向かってきている盗賊達を《拳気・雷鳴》の貫通力で一人残らず、殴り飛ばし、魔法を撃っていた盗賊達の腹に衝拳を叩き込んで倒しただけだ

「安心しろ 殺してねえよ」

驚いてる盗賊リーダーに簡潔に言うとチラッとユーリ兄さんを見た
ユーリ兄さんは俺が言いたい事が分かるとすぐに騎士達に指示を飛ばして、盗賊達を縛っていく

それを見てから前を向けば、盗賊リーダーが短剣を振り翳していた

「このガキがぁ!!」

短剣が振り下ろされたが、その短剣はすぐに止まった
何故なら、短剣は俺の人差し指と中指の2本で簡単に止まったからだ

「これで終わりか?
なら、終わりだ 降伏しろ」

「化けもゴバァ!?」

せっかく投降を促したが、諦めてなさそうなので、かなり本気で腹を殴った
盗賊リーダーは地面を転がり、やがて止まるとピタッと動かなくなり、気絶した

「あらら、準備運動にしては簡単すぎたな」

あまりに簡単に終わってしまったので、呆気に取られながら後ろに注意を向けている

「で、今度はアンタが俺の相手かい?」

振り返るとそこにはローブ姿の人間?がいた
顔は隠れていて、見えないが確実に人間じゃねえと感じた

盗賊達が全員、倒れた途端、急に気配がした
そしていつの間にか、ここに立っていたのを理解すれば、確実に人間寄りのナニカではないと思った

「                 」

ローブの人間は両手を前に出して、何かを唱えると突然、盗賊達の数名がローブの人間の前に轢きずられていき、魔法陣が展開されるとその中央に固定された

「こ、これは!?」「シモン!! 下がれ!!」

ゼアル兄さんとユーリ兄さんの声に、ジャンプで距離を置くとローブの人間は両手を下へ、下げていくと盗賊達はゆっくりと魔法陣に消えていく

「何だ?」

「させない!!」

魔法陣に注意を向けているとユリアナ先生が屋根から下りて来ていて、杖を構えると多数の螺旋土ドリルを形成し、ガトリングのように連射した

その土ドリルは回転しながら飛んでいき、魔法陣を壊そうとするが、魔法陣に当たる前に砕け散った

「障壁!?」

先生の焦った声が聞こえてくると同時に魔法陣が赤黒く光日が輝くと魔法陣の中央が血の湖のようになり、飛沫を上げながらナニカが姿を現した
その姿は翼があり、肌は黒……
その見た目はまるで……

「悪魔か………」

「違う……、シモン……
アレは悪魔だが、本物の悪魔じゃない
アレは【人工悪魔】だ……」

俺が呟けば、先生は俺を庇うように立てば、目を逸らす事なく説明してくれた

「人工悪魔とは人間を依代として、悪魔を召喚するのでは無く、完全に自我の無い悪魔……
人工的に作られた悪魔を人工悪魔と言う……
その特徴は作った主人に忠実であると同時に自我ない分、残虐性は高い……
魔法界に置いて、最重要禁忌と言われる魔術だ」

そう言われ、人工悪魔を見ると確かに自我が無いのか、正気を感じられない目をしていた

そしてコレが現れたと言うことは……

「どうやら……、退いてはくれないか………」


そう言うと同時に人工悪魔は動き出した



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