18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第一幕

魔法の仕方 盗賊襲撃までの準備期間.3

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ユリアナ先生の初日の授業から十日は経った…………

「そうだ フローラ
だいぶ氷の属性を操れるようになったな」

「はい 先生のお陰です」

フローラは 五日で、氷の魔法を操れるようになり、今では自分の身長以上の城の彫刻が作れるようになった
細かい細工まではまだ年齢的に難しいが、それ以外はまさに大人顔負けであろう
フローラの成長には先生も嬉しそうだ

それに比べ……

「っはぁ!?
くそっ…………」

俺は今日まで魔法を発動させられてなかった
何度も試したがどうも一定のラインを超える度、魔力が急激に消えてしまっていた

(魔法は想像し、形にする……
先生はそうおっしゃった……
アルタナシア・ドリームでもそういう風に魔法を作れるシステムはあった
だが、コレは俺の想像力が足りねえ問題じゃねえ……)

汗を拭い、もう一度、掌に火の玉をイメージして魔力を流す
だが、火の玉が出たと思えばすぐに消えてしまった

「コッチも枷がかかってるのかよ……」

ボソッと呟き、一度、乱れた呼吸を整える
さっきから長時間、掌に魔力を流し続けて、魔法を使おうとしていたが魔力量的にまだ行ける気がする
いや、むしろ全然、魔力が枯渇するなんて事が無いくらいに平気だ……

(流石に頭を動かし続けてるから集中力とかでの疲労だな……)

開いてた掌をギュッと握ると改めて自分の失敗を考えてみる

(枷の影響で恐らく全力で撃つ事は出来ない……
少しずつ、魔力を抑えて撃ってみるしか)

「シモン」

「は、はい!?」

考えていると突然、声をかけられ、慌てて先生の方を見た
少し変な声だったが、気にしてる場合じゃねえな

「大丈夫か?
長時間、休まずに魔力を使ってるようだが……」

「はい 大丈夫です
むしろ集中しすぎて、疲れた方で」

心配そうに見てくる先生に笑いながら頭を掻けば、突然、背中に軽い衝撃があると思ったらガッチリと俺の体に腕を回されてた

「フローラ?」「お兄様……」

その腕がフローラだと分かり、声をかければ、何処か泣きそうな声が背中から聞こえてきた

「無茶……、しないでください……
お願い、ですから……」

フローラの声は段々と低くなり、最終的には泣き声が聞こえてきた
どうも……、事故がキッカケでフローラにトラウマが残ってしまったみたいだ…


「……わかった
少し休憩にしよう」

俺はフローラの手を触りながらそう言えば、背中越しにコクンと頷くのが分かった
そして先生と共に三人で塔へ、戻った

そしてその日の夜……
俺は屋敷を抜け出せば、先生に魔法の修行を見てもらってる広場に来た

(フローラには悪いが、時間が無いんでな……
少しでも使い物にならないとな)

周りに誰も居ないことを確認してから息を吐き、手を前に翳す
そして今まで魔力を全力で込めてたのを少し抑えてみた
すると火の玉が手の前に出て、前へ飛んだが一メートルしないうちに消えた

「っ、だぁ!!
発動は出来たがコレだけかよ……
これじゃあ近距離で撃つしかねぇじゃねぇか……」

魔法を使えた喜びではなく、あまりにも飛距離が飛ばな過ぎて思わず文句が出た
いや、文句が出てしまった事は仕方ないが……

(アルタナシア・ドリームで初級からお世話になってた《ファイヤーボール》がこんなチンケな火の玉じゃねぇんだよな……
まぁ、俺の場合、熟練度を上げ過ぎて、大抵の高レベルモンスターなら、即解けだったからな……)


だからと言って、ここまででやっと魔法を発動に漕ぎ着けたのは一番の成果だ
今ので大体、50%だから……

「って、少しでコレかよ!?
大体、半分くらい魔力抑えたんだぞ!?」

出力の半分……、その出来事があまりの大きさに俺は思わず叫んでいた
この結果からするに、俺の枷は魔法を発動させるのに、半分以下でしか発動は出来ないと見ていい……

(マジかよ……
威力、あんまし出ねえのに盗賊を倒せんのか? 俺……)

落ち込みながらも右手を前に出して、今度は人差し指を出し、銃のように構えた
そして指先に魔力を流せば、かなりいい感じに火の玉が出て、飛ん「っっっっっっ!?」だはいいが、あまりに衝撃が強く、人差し指に激痛が走り、押さえた

そして火の玉の方を見ると目の前にあった先生が作り出した土壁が溶解され、溶けていた

(な、なんつう威力だよ……
今のは、大体30%ぐらいの魔力で放ったんだぞ……
何で魔力を抑えた方が強いんだよ……
でも、アルタナシア・ドリームで使った《ファイヤーボール》に似ていた
やっぱり魔法は想像力…、あとアルタナシア・ドリームをやり続けた結果だな……)

神ゲーに感謝とここまではいい……
問題は、この人差し指だ…
恐る恐る見れば、目に分かるくらいに骨が折れて、曲がってはいけない方に曲がっていた

(この指……、どうしよう……
何て言い訳すれば「シモン!!」って)

言い訳の内容を考えていると突然、名を呼ばれ、声の方を見ると先生が駆け寄ってきた

「先生……」

「っ!?何だ!?
その指は!?」

先生は俺が指を押さえてるのに気付き、曲がった人差し指を見れば、顔を青くさせながら指に治癒魔法をかけてくれた
少しずつだが、痛みは引け、指が元の位置に戻る頃にはさっきまで感じた痛みが無くなった

「先生 ありがとうございます」

「そんな事はいい……
ここで何をしていたか そしてその指の怪我についても全て話してもらう」

先生に礼を言えば、鋭い目で俺を見てきた
そんな先生の様子に黙って頷けば、塔へ、連行された

「……………」

先生の前で正座させられながら俺はあそこで魔法の練習をしていた事、人差し指で魔法を放ったら、骨が折れた事を全て話した
ここまできて、誤魔化しは効かないし、何より先生の青ざめた顔を見たら、話さざるおえなかった

「シモン…、お前は何をしたか分かってるのか?」

「えっと………」「お前がしたのは魔術界でも禁止とされるモノだ!!」

珍しく先生が机を叩き、怒ってきた
先生の話によれば、人体に流れる魔力を一箇所に集中させる事はあまりにも危険な為、世界で禁止にされてる術らしい…
失敗すれば、確実に体がダメになる
今の自分みたいに骨が砕かれ、最悪の場合、破裂して肉塊が飛び散るとような事があるらしい……

「すみません……、そのようなモノだとは気付きもしなくて……」

「それもそうだが………、一番、私が怒ってる事が分かるか!?
何で私を頼らなかった!?」

先生を見るとさっきまで怒っていた顔が、泣きながら俺を見下ろしていた

「何でお前だけで解決しようとした!!
何でそこまで自分を追い詰めていたんだ!?
何で……、何で私に一言も相談しないで一人でやろうとした!?」

「すみません……」

先生の言葉に顔を俯きつつ、謝罪した
確かに……、少し焦っていたのかもしれない……
魔法が使えなかったら、盗賊に勝てない……
剣だけでは守り切る事が難しい……
ましてや、今の俺は枷がついてる縛りプレイ中だ……
流石に焦っていたのだろう

拳を強く握れば、突然、俺は先生に抱き寄せられた

「私こそ、気づいてやれなくてすまん…
力になるから……、決して、お前を見捨てないから……」

耳元で先生の言葉を聞きながら、俺はただ頷いた
こんなにも心配してくれる人がいる……

(本当に俺……
いや、シモン・フェルストリーは幸運だったんだろうな)

頭を撫でてくれる先生の温もりを感じながらいつの間にか、俺は寝ていたんだろう……

気付いた時には先生のベットで寝かされていた

「おや? 起こしてしまったかい?」

「いいえ、先生
俺こそ、昨日はすみませんでしたぁ!?」

声がして、謝罪をしながら先生の方を向いたがすぐに急いで顔を逸らした

「ん? あぁ、この格好か
私の寝間着でな まだ子供には早かったかな」

先生は何とシャツにパンツの何とも目のやり場に困る格好をしていた
正直、ゲームばっかしてた俺からするには物凄く刺激が強すぎる
ってか、パンツに関しては透けてたぞ……


「い、いえ、こちらこそ……、急に先生の方を向いてすみませんでした」

「なに、気にするな
私も過ごしやすい格好で過ごしてるんだ
それに他の誰にもこの姿は見せられないがな」

そう言うと先生は俺の頬を触り、自分の方を向かせれば、優しく微笑んだ

「君だけ……、特別だ……」

そう言い、妖艶な笑みを浮かべ、ワザとらしく胸元を見せてくる先生に俺はキャパオーバーして、気絶してしまった

先生曰く、「君が特別なのは本当さ もちろんどんな意味かは君が大人になったら教えよう」と塔を後にする前に囁いてきたが、先生の性格からすれば、(かなり揶揄われてるな)と感じた

まぁ、その後、メルに「何処に行ってたんですか!?何をしてたんですか!?何であの淫乱雌ギツネの匂いがしてるんですか!?」と問いだだされた

ってか、ちょっと待て!?
メル!?
少し見ない間に口が悪くなったな!?


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