18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

文字の大きさ
上 下
4 / 101
第一幕

フェルストリー家騎士団 盗賊強襲までの準備期間.1

しおりを挟む

朝、フローラと共に着替え、家族で朝食を済ませれば俺は屋敷の近くにある長屋を訪れていた
ここはフェルストリー家の騎士団が駐屯し、鍛錬を行ったりしている
広さは屋敷に比べるとそこそこだが、かなり広いと思っているが実際のところ、分からないのが現状か……

「シモン様 何故、急に剣を振りたいと仰ったのですか?」

話しかけられ、後ろを振り返ればメイド服のスカートを揺らしながらメルが人差し指を下唇に当てながら聞いてきた

【メル・スター】は俺の専属のメイドであり、忙しい両親や兄達の代わりに俺の傍に居てくれた姉みたいな人だ
髪は腰元まで長いストレートで綺麗なピンク色をしていて、これまたボン、キュッ、ボンとスタイルがいい……
昔、俺が6歳の頃、街でユーリ兄さん達と散策していた時にスラムに住んでいたメルを拾った

当時のメルは髪は痛み、服は全然、機能していない布切れ一枚、痩せこけていた……
そして生きる為に娼館稼業に手を出そうと考えるほど追い詰められていて、軽度の鬱病を患っていた

だが今のメルはしっかりと鬱病を完治させ、天寿まで全うしてやるって、やる気に満ちている
最初の頃、メイドの仕事は出来なかったが、今ではフェルストリー家でトップに入る程の自慢のメイドになっていた
そんなメルだが父上に直談判し、俺の専属メイドとなった
本当に今でもメルには助けられる場面が多いからメルには感謝しかない……

そしてそんなメルのメイド服だが胸元が大きくはだけている為、少し目線がそこに行かないようにしている……
俺だって子供だが精神は立派な成人だ…
流石に見るというのは、何か罪悪感がする……


「少しな
メルは屋敷で待ってても良かったんだぞ?」

「いいえ シモン様が行くのであれば、私はそれに着いて行くだけです」

そう言えばメルは首を振り、ただ俺の後ろを着いてくる
だけど、少しだけ足取りが嬉しそうなのは気のせいだろうか?
まぁ、そこは触れないでおくか……

騎士団の訓練所に来れば騎士達が各々、素振りをしたり、木製のカカシを使った擬似戦闘訓練をしたりと各々が好きにやっていた
向こうの方では一対一のタイマン訓練をしている

(うん、こうして見れば、本当にイケメンが多いな……
あっ、モブっぽい顔もいる
めっちゃ安心する)

騎士達の邪魔にならないように少し離れた所で、勝手に作った木剣を少し振ってみる
アルタナシア・ドリームでの経験があるからか、振った時に違和感はあまり無い
だが……

(何だ?
全力で振ってるんだが、何か……、そうだな……
力を出しきれない感じがする)

少しずつ素振りを早めたり、ステップを織り交ぜて、体を動かしてみる
確かに動くことが出来る……
だが、明らかにナニカが俺の中で枷になっているみたいだ

「何だ……?これ……」

一度、素振りをやめて、自分の胸元に手を置いて呟いた
確かに動けるのは経験とシモンのステータスのお陰でもある
だが、この枷が邪魔をして思うように動けない……

「シモン様?
どうされましたか?」

「っ、いいや、何でもないよ」

不思議そうな顔をしたメルの声を聞いて、慌てて返事を返せば、また木剣を構える

「これはこれはシモンの坊っちゃまじゃあねぇか」

素振りをしようとしたら声をかけられ、振り返るとそこには黒いノースリーブのシャツを着て、ズボンも腰履き、少し短い髭面のオッサンが剣を持ちながらコチラに歩いて来ていた

「おはよう ロジャード
剣を振りたいと思ったからお邪魔してるよ
訓練の邪魔になるなら、すぐに屋敷に戻るけど」

「あーー、いい、いい
俺達に対してそう遠慮すんじゃねえよ
まだガキなんだからよ」

そう言いながらロジャードは俺の頭をガシガシと乱暴に撫でてきた

ロジャード・スミス
前世だと、黒人と見える
歳は35辺りのオッサンだがゲーマーの俺が見ても分かる……
この人……、あんまし強そうでは無いな、うん……

「ちょっとオッサン!!
シモン様が困ってるわよ!!」

「おっとこりゃ失礼」

乱暴に撫でられてればメルが怒った声をしながらロジャードに言い、ロジャードは、笑いながら撫でるのをやめた
メルの言葉遣いから察するに二人はそれなりに礼儀とか抜きで、話せる中なんだろうな……

「丁度いいや、ロジャード
少し時間あるか?」

「えぇ、体を動かしに来たんで時間ならありますぜ」

「ならいい、少し俺と勝負してくれ」

俺がそう言うとさっきまで笑ってたロジャードの目が鋭くなり、俺を見てきた

「失礼ですが、坊ちゃん
アンタは今まで剣の鍛錬をあんまりしてねぇ
怪我しちまいやすぜ?」


「構わない それは俺の自業自得だ
そちらに非は無い」

俺がそう言えば、ロジャードは俺から離れると持ってた木剣をブンッと振り、構えた

「メル 少し離れててくれ
厩舎の所までなら安全だから」

「は、はい」

メルは、俺を心配してなのか、離れる気がなかったから俺がそう言えば、メルは後ろ髪を引かれるように何度も振り返りながら厩舎まで下がってくれた

「坊ちゃん ルールは簡単だ
俺に一回でも剣が当たれば、勝ちにしてやる」

「そうか そりゃあ楽だな」

ロジャードにルールを言われ、簡潔に答えれば、木剣を構えた
ロジャードは片手で構えながら、余裕そうな笑みを浮かべている

本来なら何とも無い相手だが、今の俺には枷があるからな……
どうなるかは、知らないが……

(今の全力をやるだけだな……)

大きく息を吸い、姿勢を低くし、ロジャードを見る
片手だが、見るからに隙が多いと見えるが、実際には隙が少ない
だがこうも考えてるはずだ……
相手は子供……、そのくせロジャードの話からにシモンはあんまり剣の鍛錬をしていないと見る……

つまり簡単に言えば、ナメられてる……

だからこそ、勝機はそこにある!!

左足を軸に踏み込めば、一気に世界が加速した

ガギィ!!

「なっ!?」 (防がれたか…………)

ロジャードの懐に入り込めば両手で木剣を握り、ロジャードの腹目掛けて、突きを出すがロジャードの剣が防いだ
ロジャードの声が聞こえた気がするが、気にしてる暇は無い

切先でロジャードの剣腹をなぞるように右へ、体を回転させ、ロジャードの剣で防がれた左側ではなく右側へ向け、木剣を叩き込む

「ちぃ!!」

だが、ロジャードはその一撃を剣で防いだ
流石に弱くても騎士……
戦い慣れてるのが、大きな要因でもあるな……
それにしても……

(動きずらい……、体が鈍い……、思うように体が動かない……)

さっきの一撃はかなり本気で狙いに行ったんだが、ソレを軽くあしらってくる辺り、力はそれこそまだ九歳児の子供なんだろう……

ならテクニックでそれを補うしかない
今度は左へ、体を回転させながらロジャードの懐深くまで潜り込む
この位置なら剣の反撃は愚か、防ぐ事も出来ないはず……
木剣を振り、地面スレスレを切先がなぞり、斬り上げのモーションに入った

「っ!? ガッ!?」

だがその斬り上げでロジャードに攻撃しようとした瞬間、背中に激痛が走ると俺は大きく吹き飛んだ
地面に叩きつけられながら転がり、凡そ五メートル程くらいだろうか?
その地点でようやく止まった

「ゴホッ!?っあ!?」(一体何が?)

さっきの衝撃で肺に入った酸素が全部、抜けちまったらしく何度も咳込み、無理やり息を吸いながら俺はロジャードの方を見た

ロジャードは「やっちまった」と言わんばかりの顔をして、こちらに駆け寄ってきているが先程までロジャードが立っていた地点になかったはずの土柱があり、ソレは曲線を描き、俺がさっきまで居た場所に天辺があった

(土魔法で柱を作り、俺の背中を攻撃したのか、通りで……)

痛い体にムチを打ち、立ち上がると突然、腕が出てくれば、メルに抱き寄せられていた

「シモン様!!私が分かりますか!?
何処か、お怪我はありませんか!?」

「だ、大丈夫だから、揺らさないで……」

涙目で俺の肩を掴み、揺すりながらメルが捲し立てるように聞いてきたので、とりあえず痛みに耐えながら落ち着いてもらう為に答えた

「すまねえ 坊ちゃん!?
無意識に魔法を使っちまったみてぇだ」

申し訳なさそうに謝ってくるロジャードを見て、ある程度は落ち着いた
そりゃあそうだ……
命を賭けてる騎士団にとっては些細な事でも致命と考える事が最重要だからな
命がかかってないとは言え、勝負には本気で挑んでもらわないと……

「いや、大丈夫だ……
魔法無しとは言ってないからな
こちらとしてはいい経験が出来た」

メルに離れてもらい、笑顔を作りながら感謝を伝える
正直に言えば、体がマジで痛え……、モロにくらったから尚更な……

「ありがとう 良ければ偶にでいいからこうして鍛錬に付き合ってもらえると助かる」

「あ、あぁ……、俺で良ければ」

「そうか それじゃあまたよろしく」

何か唖然としたロジャードを尻目に俺はメルに肩を貸してもらいながら屋敷に向け、歩き出した

「やっぱり枷があるから制限されてるな……」

さっきの模擬戦でかなりの動きの確認は出来た
単純に枷という縛りプレイがある中では動けたほうだが、やりづらくて辛い……

(何とかしないとな……)

痛い体を引き摺りながら俺は空を見上げた
今日は快晴……
だが、俺の中では嵐の前の暗い雲のようなものが蠢いてた

そんな事を考えてる後ろで「坊ちゃん……、アンタは何者だ?」とロジャードが呟いてるのに気付いていなかった……
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...