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第一幕
フェルストリー家が本編出ないのは、このイベントのせいでは?
しおりを挟む家族と暖かな団欒を終え、自室に戻ってきた
フローラはすっかり泣き疲れたのか、俺のベットで俺の寝間着の裾を掴み、離れないようにしながら眠っている
そんなフローラの寝息を聞きながら俺は頭をフル回転させ、目の前のディスプレイを見ていた
(ステータス2……、恐らくだがコレがこの世界を生きる為のヒントになると考えてるがそのステータスを解放するには……)
視線を下へ、向ければ解放条件イベントの内容が書いている
内容は簡潔に書いていて、フェルストリー家盗賊襲撃と書かれている
(どういうことだ?
何をどうすれば、盗賊が領主の屋敷を襲撃するんだ?)
イベント内容を見れば明らかに矛盾が見えているので、疑念が残る……
確かに……、領主の屋敷だと、金目の物ならば明らかに多いだろう……
だが、領主の屋敷となれば周辺には護衛の為に騎士団が展開されていて、交代制で見回りがされている
そして父上からの話では父上が一人ずつ会い、面談し、腕を見てから採用したとの事……
そしてそんな騎士団達は父上を信頼している為、仕事に紳士にこなす
だが……
(キナ臭いな)
そう……
明らかに勝ち目のない盗賊がここを襲撃するなんてありえない……
盗賊とは言え、人間だ……
流石に勝ち目のない盗みをするより安全かつ、効率的に盗みする筈だ
なら予測出来るのは、二つ……
一つ、その盗賊が団であり、人数が多く、騎士団にも匹敵する実力者がいる
二つ、協力者がいて、それらに支援されてる、依頼された
この二つが予想されている……
もし、ソイツらが屋敷に押し入ってきたら……
「皆殺し……」
ボソッと呟きながら俺は拳を握りしめた
何で家族が狙われるのか……、どうしてそれで命を奪われなければならないのか……
そんな理不尽が許されるわけがない……
『あっ? そのヒロインの婚約者?
死んだよ ポックリとな
確か盗賊団に襲われて、家族諸共、死んだwww
それからヒロインが酷いことになって、心を閉ざしちまうんだよ』
「まさか……、これがそうなのか?」
ふと、友人の言葉を思い出してハッとし、顔を上げた
もしアイツが言ってたその婚約者がシモンだったら……
恐らくこのイベントがソレだ……
このイベントこそがフェルストリー家のターニングポイントだ
「だったら、へし折ってやる……
死亡フラグなんかに家族全員、死なせてたまるか」
幸いにもまだ時間はある
ディスプレイにはそのイベントまでの期間が書かれていた
その日は……、俺とフローラのお披露目会の次の日だ……
その日の為に俺に出来ることをしなければ……
幸いにも、俺はアルタナシア・ドリームのプレイヤーとしての経験がある
最悪、俺も戦わないといけないだろう……
(だけど……、戦えるのか?
相手はNPCではなく、生きてる人間だぞ?)
この世界にもモンスターは居る
だからある程度の知識は、役に立てる
だが盗賊……、同じ生きてる人間だ……
それを殺す? 俺が?
でもそうしなければ、俺を愛してくれてる家族が死ぬ……
「お兄ちゃん?」
ふと、フローラの声が聞こえ、見ればフローラが眠い瞼を擦りながら体を起こしていた
「ごめん 起こした?」
「んー、ん……」
フローラの頭を撫でながら聞けば、フローラは顔を横に振ると俺に抱きついてきた
「どうした?」
いきなり抱きつかれて、驚きながらも俺はフローラを抱きしめて、顔を覗き込めば、フローラは不安そうな顔をして俺を見てきた
「お兄ちゃん……、震えてるよ?
寒い?」
「えっ?」
フローラにそう言われ、ゆっくりと右手を見ると確かに微かだが、右手は震えていた
「だ、大丈夫だよ
でもそうかもな」
「ん、一緒に寝よ?」 「そうだな」
フローラに急かされるようにベットに横になり、ケットに潜り込めば、フローラがピッタリと体を寄せてきた
そんなフローラの頭を撫でるとフローラは微笑むとゆっくりと瞼を閉じて、スヤスヤと眠り始めた
(フローラに心配されたな…
気をつけないと……)
フローラの寝息を聞きながら俺もフローラを抱きしめながら瞼を閉じ、睡魔に任せる……
『そういや言ってなかったけど、実はな……
その婚約者と妹、生きてたんだよねwww
婚約者についてはあとで説明するけど、その妹ってのは実は攻略キャラなんだよ!!
そのヒロインは気づかなかったみたいだけどなwww
っで、そのヒロインの名前はさ』
「っ!?」
懐かしい大学時代の夢を見た
講義前に話してて、ルミナス・エルドの話題になり、話してる最中で目を覚ました
まだ激しい鼓動を落ち着かせながら俺はフローラを見た
フローラはまだスヤスヤと眠っている様子でしっかりと俺のことを掴んで離そうとしてなかった
(あの時、アイツは婚約者と妹は生きてるって言ってた
そしてフローラは攻略キャラだと!?
じゃあ俺はただのモブじゃねえってことか!?)
ようやく落ち着いてきた鼓動を感じながらゆっくりと顔を動かし、窓を見ればまだ空は、薄暗くて、日の出前だろうと感じた
「……絶対に、フラグを折らないとな」
家族を守る為、それとフローラの幸せを守る為に俺は改めて覚悟を決めた
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