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第一幕

家族

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ルミナス・エルド

攻略キャラ、やり込みが凄いらしい18禁のエロゲーと言われている
VRでここまでやるかってくらいに五感を刺激してくるらしい……
友人の言うにはCGの細かさ、絵の出来、ストーリー、キャラの鮮明なデザインと丁寧な設定……
そして何よりエロシーンが特にヤバいらしい……
そしてこのエロゲーには主人公の性別を選べられる
だから簡単に言えば、男が女ヒロインでゲームを始めれば、女の絶頂を…
女が主人公で始めれば、男の絶頂を味わえるとの事……
正直、初めてそう説明された時、(興味な……)と思い、買いもせずに居たが……

まさかその未プレイのゲームに俺が転生する事になるなんてな……
好き嫌いせず、やればよかったと後悔していた……
そして案の定、俺、シモン・フェルストリーは、どのポジションのキャラなのかも分からん……
全てが未知……
やるようにやるしか無さそうだ

そんな俺だが……

「シモンちゃーーーーーん!!!」

「っ!!っっっっつつつ!?!?」

絶賛、死亡フラグ中であった……
ふざけんな!?
急に扉が開いたと思えば、何か水色のナニカが見えたと思ったら、俺の顔を思いっきり何かが覆い尽くし、絶賛、抜け出そうと奮闘中だよ!! こん畜生が!!
何でいきなり死亡フラグが立ってんだよ!?
ってか、手で何処かを叩いてるんだが、背中か!?
気付かねえんだけど!?



「待て待て待て!?アリシア!!
シモンが息出来ていない!?」

「は!?ごめんね!!
シモンちゃん!!」

「ぷはっ!?」

顔を覆うナニカが無くなれば俺は思いっきり息を吸った
流石にあのままだったら、窒息間違いなしだった……
そして目に入ったのは俺の両親だ

「すまんな シモン
目覚めたばっかなのに……、何処か、痛むところはあるか?」

「大丈夫です 父上」

母親の肩に手を置き、俺に目線を合わせ、話しかけてくれてるのが父であり、この領土の領主、【ガラルド・フェルストリー】だ
階級は伯爵と貴族の中でも上である
そんな父上の容姿は天然の入ったフワッとした髪が後ろで縛られていて、髭も多少は伸びている
しかしここはエロゲーの世界……
凄くかっこいいダンディーな容姿だ……
しかも体格はガッチリとしてるから、昔はかなりの人気者だったと思う

そんな父上だが元々は騎士団の団長だとか……
母上と結婚した際、国王に爵位と領土を貰ったらしく、そこで騎士団を辞めたとか……

「でもガラルド!!
シモンちゃんがやっと目を覚ましたのよ!! こんな可愛い子があんな酷い事故に遭って、可哀想じゃない!!」

「ムギュウ……、は、母上……
お、私は今、平気ですから……」

涙を流しながらその豊満な胸を俺に押し付けながら抱きついてきた母上の【アリシア・フェルストリー】だ
元々、母上はギルドマスターだったらしいが教えてくれない
どうやって父上と知り合い、恋に落ちたかも分からない
そんな母上の容姿はあり得ないくらいに若い……
化粧をしてなくても、美しいと思えるくらいの美女と言っても構わないくらいだ
正直、今の母上を知らない人が見たら、まだ18歳未満と言われそうだ……
そして先ほど見えた水色のナニカは母上の髪だった
そしてエロゲーあるあると言える程、そのボディは豊満かつスタイルが良い
正直、この胸のサイズはリアルでは拝めないくらいだ……
まぁ、そもそも俺はグラビアとか興味なかったけど……

「父上 少し記憶が曖昧なのですが……
何故、私はベットで寝かされてたのですか?」

「覚えてないのか!?
いや、無理もない……、突然の事だったからな」

ようやく母上も落ち着いて、俺がベットに腰掛けると父上が説明してくれた
俺は一週間前……、妹と遊んでると突然、近くを通りかかった荷馬車が横転
積んでた荷物が俺達の方へ、襲ってきた
そして俺は妹を庇ってその荷物の下敷きになって、意識不明の重症……、骨も何本か、折れてたらしい……
そして頭から大量に血が流れてたと父上が話してくれた

(どうやら一週間……、ベットに寝ていて、起きる気配もなかった……
とのことだな)

事態を聞き、駆けつけた父上と騎士団はすぐさま俺を近くの医療術師の元へ、運び込み、治療をしてくれたらしい……
回復魔法をかけてもらい、怪我や骨折を治してもらった事から腕のある医療師なのだろう……
そして付きっきりで俺の看病をしてくれてた……

「お前が頭から血を流し、倒れてるのを見て、頭が真っ白になった……
お前が死んだら……、お前が居なくなってしまったらと思うと…、俺は怖かった……」

父上はそう言うと俺を抱きしめてくれた
ただ力強く、そして優しく……

「よかった……、本当によかった……」

「父上……」

俺の顔の側に父上の顔があるがそんな父上が泣いてるところを見て、自然と俺は涙が流れた
過去の記憶を探れば、確かにシモンの記憶もある
だが、その記憶の中で父上が泣いてる所なんかなかった

「ただいまです……  父上、母上……」

「「おかえり シモン」」

俺が笑顔を作り、ただそう言えば二人は優しく俺を抱きしめてくれた

(あぁ……、俺は愛されて育ってきたんだな……)

そんな事を感じられた時間だった

二人が泣き止み、俺も涙を拭っていると廊下の方が騒がしくなっているのに気付いた
そしてその音は部屋の前に来れば、扉が壊れる勢いで開いた

「「シモン!!」」

「ユーリ兄さん、ゼアル兄さん」

入ってきたのは二人の兄で俺を見るや、ゼアル兄さんが駆け寄ってきて、俺を抱き抱えた

「ようやく目が覚めたか!!
俺の愛する弟よ~!!」

「お、おい!?ゼアル!!
シモンは病み上がりだぞ!? 安静にさせないと!!」

今、俺を抱き抱え、嬉し泣きしてるのがフェルストリー家、次男の【ゼアル・フェルストリー】だ
母上似の水色の髪を靡かせ、ニカっと笑えば父上そっくりの人で次期フェルストリー家領主だ
今はまだ学生の筈だが、再来年で卒業……、だったと思う

そしてそんなゼアル兄さんの後ろで顔を真っ青にし、アワアワとしながら俺を心配しているのが、長男の【ユーリ・フェルストリー】だ
髪は水色に黒を混ぜた色をしているがかなり似合っている
ユーリ兄さんは王都の城で政治に関わったり、騎士団に入ったりと忙しそうにしてるが仕方ない
だってユーリ兄さんの婚約者は、この国の第一皇女殿下だ……
まぁ、ユーリ兄さんがモテるのは理解してる……


そして何を隠そう……、二人のビジュアルがイケメンすぎる!!
何で乙女ゲー、ギャルゲー、エロゲーだとビジュアルがめっちゃ良いやつしか居ないんだよ!?
……まぁ、それが売りなのかも知れないけどな

「ユーリ兄さん 私は大丈夫だよ
ゼアル兄さん そろそろ下ろして? ズボン脱げちゃう」

「おぉ!! 脱げ脱げ!!
そしたら俺が何度でも履かせてやる!!」

いや、普通に下せよ!?
流石にゼアル兄さんの身長が高いから地味に高いんだよ!! ちょっと怖いよ!?

ゼアル兄さんが笑ってる後ろで、ユーリ兄さんが何かを取り出すとソレでゼアル兄さんの頭を引っ叩いた

「ゼアル?
そろそろお兄ちゃん 怒るよ?」

「す、すまねえ ユーリ兄
あとお仕置き用ハリセン止めてくれ…………
下手したら俺の頭が「元々、成績の悪いゼアルを叩いた所でバカは治らないだろうがな」んだと!!」

ゼアル兄さんは俺を優しく下すと、ユーリ兄さんと言い争いになってしまった
まぁ、ソレが兄さん達にとってのコミュニケーションなんだろうけどね……

(ってか、ハリセンあるんだ……)

ユーリ兄さんのハリセンを見ていたがふと視線を感じ、そちらを向くと部屋の入り口付近からフワッとした髪がはみ出ていて、様子を見ている姿が見えた

「おいで、フローラ」

「っ、シモンお兄ちゃーーん……!!」

俺が両手を広げて優しく呼べば、泣きべそをかきながらトテトテと駆け寄ってきて、フローラが俺に抱きついてきた

この可愛い少女が俺の唯一の妹である【フローラ・フェルストリー】だ
俺とは双子の妹で髪色も含めて母上にソックリだ
そしてフローラはまさに女神と言えるほどの美少女で可愛すぎるのが問題だ………

「お兄ちゃん……!!お兄ちゃ、ん……」

「大丈夫だよ 不安にさせてごめんね?」

優しくフローラの髪を撫でながら囁けば、俺の背中に回っていたフローラの手の力が強くなった
一週間……、俺が寝ている間、フローラはずっと自分を責めてたのかも知れない……
そう思うと自然とフローラの頬に手を当てた

「ほら? フローラの笑顔を見せて?」

そう言えば、フローラはグジュグジュになった顔をゴシゴシと拭いてから俺を見て、ニコッと笑った
まだぎこちない笑顔だけど、それでも安心した
フローラには笑っていてほしいからな……
出来るだけ傍に居ようと思う

「さて、シモンも目覚めたから、少し日を置いてからシモンのパーティをやろう
アリシアの料理も多く作って、久しぶりに家族で食卓を囲もう」

その様子を見ていた父上が手を叩き、話題を変えるようにそう言えば、母上は満面の笑みを浮かべた

「そうね!!
シモンちゃんの大好きな物、いっぱい作ってあげなきゃ!!
早速、ロビンリと話し合わなきゃ♪」

そう言えば、ルンルン気分で母上は部屋を後にした
そしてそれを見送ってからユーリ兄さんが、クスッと笑った

「これじゃあしばらくはパーティーが続くな
二ヶ月したら、シモンとフローラの誕生日パーティー及びお披露目会だからな」

「そうだな!!
ユーリ兄 俺、まだ休学の日数あるから仕事手伝うぜ」

「お前はそうやって……
今回はシモンの事で免除になってるだけだろう」

上機嫌なゼアル兄さんに呆れながらもユーリ兄さんも機嫌良さそうに笑みを浮かべながら部屋を後にして行った

(そうか もう10歳のお披露目会か……)

ふと、お披露目会と単語が聞こえてきて、ようやく自分の年齢が分かった
そしてこの家族の感じからするに悪役貴族とかでは無いと確信した

「シモンお兄ちゃん……」

ふと、名前を呼ばれて、フローラを見るとギュッと首を抱き寄せられ、頬にフローラの頬が当たってる

「フローラ……、今日はお兄ちゃんと居る……   ダメ?」

「いいよ、家族なんだから」

フローラのお願いを了承するとスリスリと俺の頬に頬ずりしてきて、嬉しそうだ
久しぶりだからか、甘えん坊になってるらしい……

ブゥン……

「っ」

そんなフローラの頭を撫でてると聞き慣れた機械音が聞こえ、前を向けば、そこには小さなモニターのディスプレイが浮いていた
そして【ステータス】の欄が出てきていた
そこにはシモン・フェルストリーのステータスが書かれていたが、勝手に画面が変わった

「は?」

そしてそこに映し出された文字を見て、俺はフローラに気づかれないくらい小さな声が出た

《ステータス2解放条件イベント
領主 フェルストリー家盗賊襲撃》

そこには目を疑いたくなるようなことが書かれていた
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