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【没】第五章 エレナと不屈の魔導士たち
91:魔導というもの
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「今日、皆さんに集まっていただいたのは他でもない。黄金教及びシュトラール、スペランサ……そしてテネブリスの三カ国を始めとする『対セロ・ディアヴォロス同盟』の一員として、三勇者様とエレナ様に調査してほしい事案が発生したのです」
枢機卿が真剣な顔つきで話を始めた。
彼によるとシュトラール、スペランサ、テネブリスの三カ国が存在しているベブアック大陸では現在二つの不可解な事件が同時に起こっているという。
一つ目は、「対セロ・ディアヴォロス同盟」に参加している軍事国家──エストレラ王国で大勢の女性が行方不明になっているというもの。エストレラ王国の王が同盟長である枢機卿に調査依頼を送ってきたらしい。人間の犯行とは到底思えない規模の被害が出ているため、おそらくセロが動いたと見て間違いないだろう。ちなみに「対セロ・ディアヴォロス同盟」とは同盟国が寄付金や人材などで同盟を支える代わりにこのようなセロ関連だと思われる事例に対して勇者や兵を派遣するという内容なのである。
次に二つ目。これは枢機卿の隣に座っている見知らぬ男性からの調査依頼のようだ。彼の白髪混じりのオールバックと細い目の下のくっきりとした隈が目を引く。枢機卿はそんな彼の肩を親し気に叩いた。
「彼はアンス。私の古い友人でね。とある学校の学園長だ。アンス、勇者様達にご挨拶を」
「…………、」
アンスと紹介された男性はウィン、サラマンダー、ノーム、エレナの順に見渡すと、人の良い笑顔をにっこり浮かべる。が──
「初めまして勇者様方。私はアンス。シュトラールの辺境の地にて、エボルシオン魔導学園の学園長をしております。私はそこで魔導という新たな技術によって──神の存在ひいては神の存在証明である貴方方を否定する者です」
「!」
しんっと沈黙が佇んだ。枢機卿はあちゃーと目頭を押さえると、勇者達に頭を下げる。
「申し訳ございません。この男は昔っからこういうやつなのです。芯のある強い男なのですが、その分頑固者でして──」
「サリュ。お前に何を言われようが私の信念は変わらない。よって今の紹介も訂正する気はないですよ」
サリュ、というのはどうやら枢機卿の本名らしい。普段は「猊下」としか呼ばれない枢機卿の名を知っているほど二人は親しいようだ。エレナはそこで恐る恐る手を挙げて、発言権を得る。
「あの! アンスさん、質問があります。そもそも魔導とは何なのでしょうか? 魔法と似たようなものなのですか?」
アンスの細い目がエレナに向けられた。エレナは彼の得体の知れない迫力にゴクリと唾を飲み込む。アンスはそっと胸元から手のひらサイズの細い紙を取り出した。そしてその紙を真っ二つに千切ると「燃えよ」と唱える。
そうすれば──
──彼の手の平に、小さな炎が浮かび上がった。
炎の玉は十数秒その場で燃え続けると空気に溶け込んでいく。……たった今、勇者でもないただの人間が目の前で魔法を使ったのだ。エレナ達の目が丸くなる。アンスは懐から先程と同じ紙をまた取り出した。よく見てみるとその紙にはうっすらと干し花が浮かんでいる。どうやら薄い紙で干し花を挟み込んだ代物のようだ。
「これに挿まれている花は魔花です。栽培時に炎属性の魔物の糞と血を肥料にしたので炎属性の魔力が込められています。このように魔物、魔力、魔石などの既存の魔力を利用して何者でもない凡人でも使える魔法──それが魔導。私は長年その魔導の研究をしてきました」
「魔導……。では国の兵士達の身体強化の為に魔物の血を摂取するのもそれに分類されるのか?」
ウィンが興味深そうに質問をした。
「ええ。その場合、血を飲んだ人間は血から得た魔力を使って身体強化魔法という無属性の魔法を使用しています。身体が丈夫になる、力が強くなるというのは最も人間がイメージしやすい強化ですし、無属性は全ての属性の魔力に対応していますから最も簡単に使用できるんですよ」
エレナはそこでこてんと首を傾げる。
「では何故この魔導はあまり周知されていないのでしょうか……? それを使えばもっと生活が便利になるし、魔物と戦う術にもなるのに」
「大きなデメリットがいくつもあるからですよ。一つは効果を発揮する時間が短すぎる。長くて十数秒です。二つ、使用後に身体に副作用が出る場合がある。これには個人差があります。身体が痙攣したり硬直したり、症状も様々です。先程ウィン様がおっしゃったように国の軍事に利用した事例では死人も出たことだってあります。魔導はまだ貴方達の使う“魔法”とは低い次元の存在なのです。それに問題は何より──恩恵教ですよ!」
……と、ここでアンスが鼻息を荒げ、じろりと枢機卿を睨みつけた。枢機卿は困ったように眉を下げる。
魔導とは何者でもない人間が神の加護なしに魔法を使えるようにする術のこと。つまり魔導の存在が広がってしまえば、「神の加護など必要ないのではないか?」と考える人間が少なからず出てくるわけだ。魔法が人間にとって未知の憧れであるが故に、神、または勇者や聖女の存在が輝く。だからこそ枢機卿の管理が行き届いていなかった恩恵教はそんな魔導の存在をあらゆる手段を使って隠蔽ししていた。特に魔導の研究をしていたアンスは相当酷い仕打ちを受けたようだ。枢機卿がなんとも居心地の悪そうな表情を浮かべる。場の空気を変える為、ノームが慌てて話題を変えた。
「で、ではひとまず! 魔導のことは分かりました。それでアンス殿が余ら勇者に調査を依頼したい件について伺いましょう」
「……そうですね。大変失礼いたしました。では本題に入りましょう。先日、我が校の裏庭にてとある生徒が自殺したのです──」
アンスは語る、その自殺した青年の死に様を。彼は大人しい優等生だったようだが、ある日突然発狂し、自分の心臓にナイフを突き立てている場面を目撃されたらしい。おかしいのはそこだ。何度ナイフを心臓に突き刺しても、彼は死ななかったのだ。狂ったように三十分ほど自分を刺し続け、途端に事切れてしまったらしい。そして死ぬ直前、彼は呟いたという。
──「ベルフェゴール」という悪魔の名を……。
枢機卿が真剣な顔つきで話を始めた。
彼によるとシュトラール、スペランサ、テネブリスの三カ国が存在しているベブアック大陸では現在二つの不可解な事件が同時に起こっているという。
一つ目は、「対セロ・ディアヴォロス同盟」に参加している軍事国家──エストレラ王国で大勢の女性が行方不明になっているというもの。エストレラ王国の王が同盟長である枢機卿に調査依頼を送ってきたらしい。人間の犯行とは到底思えない規模の被害が出ているため、おそらくセロが動いたと見て間違いないだろう。ちなみに「対セロ・ディアヴォロス同盟」とは同盟国が寄付金や人材などで同盟を支える代わりにこのようなセロ関連だと思われる事例に対して勇者や兵を派遣するという内容なのである。
次に二つ目。これは枢機卿の隣に座っている見知らぬ男性からの調査依頼のようだ。彼の白髪混じりのオールバックと細い目の下のくっきりとした隈が目を引く。枢機卿はそんな彼の肩を親し気に叩いた。
「彼はアンス。私の古い友人でね。とある学校の学園長だ。アンス、勇者様達にご挨拶を」
「…………、」
アンスと紹介された男性はウィン、サラマンダー、ノーム、エレナの順に見渡すと、人の良い笑顔をにっこり浮かべる。が──
「初めまして勇者様方。私はアンス。シュトラールの辺境の地にて、エボルシオン魔導学園の学園長をしております。私はそこで魔導という新たな技術によって──神の存在ひいては神の存在証明である貴方方を否定する者です」
「!」
しんっと沈黙が佇んだ。枢機卿はあちゃーと目頭を押さえると、勇者達に頭を下げる。
「申し訳ございません。この男は昔っからこういうやつなのです。芯のある強い男なのですが、その分頑固者でして──」
「サリュ。お前に何を言われようが私の信念は変わらない。よって今の紹介も訂正する気はないですよ」
サリュ、というのはどうやら枢機卿の本名らしい。普段は「猊下」としか呼ばれない枢機卿の名を知っているほど二人は親しいようだ。エレナはそこで恐る恐る手を挙げて、発言権を得る。
「あの! アンスさん、質問があります。そもそも魔導とは何なのでしょうか? 魔法と似たようなものなのですか?」
アンスの細い目がエレナに向けられた。エレナは彼の得体の知れない迫力にゴクリと唾を飲み込む。アンスはそっと胸元から手のひらサイズの細い紙を取り出した。そしてその紙を真っ二つに千切ると「燃えよ」と唱える。
そうすれば──
──彼の手の平に、小さな炎が浮かび上がった。
炎の玉は十数秒その場で燃え続けると空気に溶け込んでいく。……たった今、勇者でもないただの人間が目の前で魔法を使ったのだ。エレナ達の目が丸くなる。アンスは懐から先程と同じ紙をまた取り出した。よく見てみるとその紙にはうっすらと干し花が浮かんでいる。どうやら薄い紙で干し花を挟み込んだ代物のようだ。
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ウィンが興味深そうに質問をした。
「ええ。その場合、血を飲んだ人間は血から得た魔力を使って身体強化魔法という無属性の魔法を使用しています。身体が丈夫になる、力が強くなるというのは最も人間がイメージしやすい強化ですし、無属性は全ての属性の魔力に対応していますから最も簡単に使用できるんですよ」
エレナはそこでこてんと首を傾げる。
「では何故この魔導はあまり周知されていないのでしょうか……? それを使えばもっと生活が便利になるし、魔物と戦う術にもなるのに」
「大きなデメリットがいくつもあるからですよ。一つは効果を発揮する時間が短すぎる。長くて十数秒です。二つ、使用後に身体に副作用が出る場合がある。これには個人差があります。身体が痙攣したり硬直したり、症状も様々です。先程ウィン様がおっしゃったように国の軍事に利用した事例では死人も出たことだってあります。魔導はまだ貴方達の使う“魔法”とは低い次元の存在なのです。それに問題は何より──恩恵教ですよ!」
……と、ここでアンスが鼻息を荒げ、じろりと枢機卿を睨みつけた。枢機卿は困ったように眉を下げる。
魔導とは何者でもない人間が神の加護なしに魔法を使えるようにする術のこと。つまり魔導の存在が広がってしまえば、「神の加護など必要ないのではないか?」と考える人間が少なからず出てくるわけだ。魔法が人間にとって未知の憧れであるが故に、神、または勇者や聖女の存在が輝く。だからこそ枢機卿の管理が行き届いていなかった恩恵教はそんな魔導の存在をあらゆる手段を使って隠蔽ししていた。特に魔導の研究をしていたアンスは相当酷い仕打ちを受けたようだ。枢機卿がなんとも居心地の悪そうな表情を浮かべる。場の空気を変える為、ノームが慌てて話題を変えた。
「で、ではひとまず! 魔導のことは分かりました。それでアンス殿が余ら勇者に調査を依頼したい件について伺いましょう」
「……そうですね。大変失礼いたしました。では本題に入りましょう。先日、我が校の裏庭にてとある生徒が自殺したのです──」
アンスは語る、その自殺した青年の死に様を。彼は大人しい優等生だったようだが、ある日突然発狂し、自分の心臓にナイフを突き立てている場面を目撃されたらしい。おかしいのはそこだ。何度ナイフを心臓に突き刺しても、彼は死ななかったのだ。狂ったように三十分ほど自分を刺し続け、途端に事切れてしまったらしい。そして死ぬ直前、彼は呟いたという。
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