色の無いアイツを俺が変えた

夏休み

「じゃあな！暁、山田」
「心配掛けてごめんね。バイバイ」
「お大事に」
「うん……」

   心配で、少しでも来未を守ってやりたくて……だが、こんなにも気まずい事だったなんて……誤算だ。

    俺と来未の間には、まだもう2人程入れそうな空間が空いている。話す事も無く、目を合わす事も無い。ただ、淡々と過ぎて行く時間。時折、来未がチラリと俺を見ては、頬を染めている。それを見て、俺まで頬を染めてしまう。

    少しでも話をして……いや、普段の俺ならそんな事しないな。普段通りしないとな。普段通りの俺、話し掛ける事は、もちろん。来未の事をうざがるそんな俺。

「ねぇ……1つ聞いていい？」
「何だ？」
「拓真君は、私の事を性格を何処まで理解して、いつも心配くれるの？それ……」
「俺もよく分からねぇよ……来未の事も性格も。だけど、辛そうな来未や楽しく無さそうな来未の顔を見ていると守りたくなるだけだ」
「そう、なんだ。ありがとう」
「自己満足だから、そう何回もお礼なんて言わなくていい」
「じゃあ、私も自己満足で拓真君にありがとうって言ってるの！」
「あっそ！」

    これくらいのテンションで明るい来未が1番似合って、好きだな。友達として、楽しいしな。